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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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でも必ず書かせていただきますので
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Scene2:ローマ


結局、青木は2日間、ほぼ休まず、仕事をやり終えた。
先輩達が気遣って、応援を申し出てくれたが、青木にも意地があった。

同時に、それじゃなくても忙しい中、一人第九を抜けるというのに、その前に、これ以上周囲に迷惑はかけられない、せめて、担当していた仕事だけでも、片付けていかなければという思いもあった。

それから急いで旅支度をして、飛行機に乗った。
青木の体格には、飛行機のシートは狭過ぎたが、それでも、青木はすぐに深い眠りに落ちた。
食事の度に、機内アテンダントに起こされたが、食事を終えると、また眠った。

最後に目覚めた時は、既に飛行機はヨーロッパ上空に差し掛かっていた。
トイレで顔を洗い、気合を入れ直す。

フィウミチーノ空港に着いた。
税関を抜けると、そこには・・

「薪さん!・・」
青木が薪に歩み寄ろうとしたその時、
「Mr.アオキ?」

見知らぬ男に、行く手を阻まれ、青木は歩みを止めた。
英語でにこやかに挨拶をする相手に、青木があっけに取られていると、
「ファビオ、ここからは日本語で頼む」
その男に、薪が声をかけた。

男は目を見開いて薪を見、更に青木に視線を移し、
「初めまして。私はファビオ・コンティと申します。イッコウ・アオキさんですね? お会い出来て光栄です」
満面の笑顔と共に、流暢な日本語で挨拶をして、右手を差し出した。

青木も手を出し、握手を交わすと、薪が言った。
「ファビオは、英語と日本語が話せる。元々は捜査官では無いが、MRIセンターが正式に稼動するまでは、センターに所属して、イタリア語との通訳や、我々滞在者の案内をする。分からないことがあったら、何でも聞くといい」

「ファビオとお呼び下さい」
またも笑顔を見せてそう言う男は、20代後半といったところだろうか・・いや、白人は総じて大人びて見えるので、実際はもっと若いかもしれない。

背はあまり高くない・・青木と比べればの話だが。
170センチ台後半はありそうだ。
しかし、愛想の良さと身のこなしの軽さが、全体的に軽快に見せている。

白い肌に高い鼻、生き生きと動く茶色の瞳。
癖の強い、縮れた黒髪。
どう見ても、典型的なイタリア人を思わせる容貌の男が、正確な日本語を操る様子に、青木は違和感を覚えた。

「アオキさん、この荷物には貴重品はありませんね? では私が預かりましょう。マキさん、では、行きましょうか」
気安く薪の肩をポンと軽く叩き、先導するファビオ。

「・・・薪さん、彼とは、以前から知り合いなんですか?」
「ファビオか? いや、知り合ったのは、こちらに来てからだ。僕は、お前より1日半、早く着いたからな。センターの人間との挨拶は済ませている」

薪の答えに、青木は、たった2日で薪にあんなに親しげに振舞えるファビオに、どこか感心すらした。
イタリア人というのは、そんなものなんだろうか。

「それにしても、イタリアって、遠いんですねえ。ほとんど寝てましたけど。体中が痛くなりましたよ」
そう言って、歩きながら伸びをする青木を見て、薪が言った。
「・・お前、エコノミークラスで来たのか?」

「もちろんですよ。・・え?薪さんは?」
薪は何も言わず、視線を前に戻して、先を急いだ。

・・どうやら、薪さんはビジネスクラスで来たらしい。
そう、青木は気が付いた。
アメリカと日本の予算の違いなのか、それとも、薪と青木の立場の違いなのか・・。

ファビオの運転する車で、ローマ市内に着いた。
石造りの建物に入る。

「ここは、国家警察の本部だ。MRIセンターは、この国家警察の、科学警察研究所の一部という位置付けだ。・・まだ、確定ではないが・・」
内部を歩きながら、薪が青木に説明した。

「確定ではない・・というのは?」
「イタリアには複数の警察組織が存在する。カラビニエリ・・国家憲兵の科学捜査班も、この部門を手中にしたいという思惑もあるようだ」
「カラ・・え?」

「いずれにせよ、そういったことは、我々には関係の無いことだ。僕達の仕事は、MRIの設備が、捜査に有効に使われるよう、その使い方を助言することにある。自分達の役割を果たせば、それでいい」
「・・・・・」
背景は何だかよく分からないが、青木は、自分のやるべきことは、薪の話でハッキリと分かった。

「そうだ。言っておくが、お前のことは、アメリカの僕と同等の立場・・日本では第九の室長に次ぐNo.2に当たる人間だと、イタリア側の関係者に伝えてある」
「え!?」

「ここでは、仕事をする上で、ある程度権力を主張しておいた方がいい。下から数えた方が早い立場等と、正直に言う必要は無いからな」
「ちょ・・薪さん、プレッシャーかけないで下さいよ」
青木は、あわてて言った。

「大丈夫だ。お前の経験と実績は、ここに居る人間の誰よりも上だ。自信を持ってのぞめ」
ファビオと薪が立ち止まった。
どうやら、MRIセンターの入り口に着いたらしい。

青木は、ファビオが、自分に会えて光栄だと嬉しそうに言っていた理由が、何となく分かった。
今更になって、自分が、とんでもないところに来てしまったような、気がした。



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