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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene4:夜風


ファビオの「とっておき」の一つであるトラットリアは、国家警察本部の建物から、ほど遠くない所にあった。
メインの通りから1本入っただけで、大通りにある観光客が集まる店とは、違う趣の店が並んでいた。

「前菜は、生ハムやサラミでいいですか? それにパスタと・・メインは魚と肉料理だったら、どちらが好みですか?」
ファビオが笑顔で尋ねる。
「この店のオススメ料理は何だ?」薪が聞き返した。

「う~ん・・たぶん、店長に聞いたら、どれもオススメだと言われるでしょうね」
「え?」青木がいぶかしげにファビオを見る。
「この店の料理はどれも上手い、文句あるかって感じでしょう。・・そうですね、私はここで頼むなら鴨のローストは外せませんが」

「まかせる」
薪の一言で、ファビオは手際よく注文をし、前菜にパスタ、メイン料理にワインが運ばれてきた。

「赤ワインにしてみました。これだったら、どんな料理にも合うと思いますよ」
ファビオが言い、ウェイターが3つのグラスに並々とワインを注ぎ、3人はグラスに口を付けた。

ノドが乾いていたのか、ついごくごくと飲み、青木はフーッとため息を付いた。
「あれ? マキさんも飲むんですね」
ファビオの声に、青木が顔を上げると、薪はそっと、グラスをテーブルに置くところだった。

「一口だけだ」
少しだけ減ったワインが、グラスの中で揺れていた。

「昨日は飲まないっておっしゃったので。全く飲まない方なのかと思っていました。そうですか。少しは飲めるんですね。良かった。イタリアのワイン、滞在中、少しでも味わっていって下さい」
ファビオはニッコリと笑うと、料理をそれぞれの皿に取り分け始めた。

青木が薪を見ていると、薪も、青木を見上げた。
青木には、ファビオの話し声が、遠く近く、波のようにかすれた。

3人は食事を堪能し、店を出た。
「ホテルには自分で行ける。ご苦労だったな」薪がファビオにそう言うと、
「では。私は帰ります。おやすみなさい」
最後まで笑顔で、ファビオは帰っていった。

「あいつは日本語が堪能だが・・上の人間が来るまでに、挨拶だけは、少し教え込んだ方がいいかもしれないな」
薪がつぶやいた。
確かに、青木も、仕事の相手と別れるのに、「おやすみなさい」は、ちょっとそぐわない気もした。

「ここからホテルは、歩いてすぐだ」薪はそう言って、歩き出した。
青木も並ぶ。

青木は、早足で歩く薪の横顔を見つめた。
夜風が、薪の髪をなびかせる。

青木は、歩きながら、薪の手を取った。
一瞬、足を止める薪。
だが、すぐにまた、歩き出した。

足取りが、ゆっくりになった。

半日、共に過ごしたのに、イタリアに着いてから、青木が薪に直接触れるのは、これが初めてだった。
細い指を、華奢なその手を、青木は自分の手の中に感じた。

もしこれが、日本で、第九での仕事の帰りだったら、こんな行動には出なかったろう、と青木は思う。
なのに、ここでは何が自分を動かしているのか、自分でも分からなかった。

二人の周囲を、さわさわと、風が通り抜けていく。
二人とも、何も言わず、歩き続けた。

ホテルに着いた。
近代的で落ち着いたビジネスホテル。
「チェックインは、ファビオが済ませておいた筈だ。お前はここにサインをすればいい」

薪に言われてサインを済ませ、ファビオが運んでおいた荷物をフロントから受け取り、青木は薪とエレベーターに乗った。
「3階の302、お前の部屋だ。僕は隣りの301」薪が言った。

「・・部屋、別なんですか?」
「当然だ」

「朝食はホテルに予約してある。1階のダイニングルームだ。7時に待ち合わせよう」
薪は続けた。

「じゃあな。お前も疲れているだろう。ゆっくり休むといい」
そう薪が言って、自分の部屋に入ったと同時に、青木もドアの中に滑り込み、薪を抱き締めた。

「・・つっ・・青・・」
薪は一度抗う様子を見せたが、青木は構わず、薪を益々強く、抱き締めた。
青木の腕の中で、薪の力が、抜けた。

そんな薪の様子に、青木は顔を上げ、薪の顔に見入った。
薪のその瞳を、唇を見ながら、頭がクラクラするのは、普段は滅多に飲まない赤ワインを飲んだせいなのか・・。

青木は、薪の頬に手を延ばすと、唇を近付けようとした。
・・が、薪はその青木の唇に、そっと手をかぶせ、うつむいた。

「・・青木、今回は休暇じゃない。仕事だ。長いフライトと初めての仕事で、お前も疲れている筈だ。今夜は、休んだ方がいい」
青木は、薪の表情に、その言葉がゆるぎない物だと見て取った。

薪から、身体を離す。
「おやすみなさい・・薪さん」
何も言わない背中にそう言って、青木は、薪の部屋を出た。

自分の部屋に入り、シャワーを浴びて、ベッドにもぐった。
こんな状態では、とても眠れないと思った。

だが、実際には、薪の言うとおり疲れていたのだろう。
何度か寝返りを打つうちに、いつの間にか、眠ってしまった。



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コメント

■ 

かのんさん、こんばんは。
明日からの苦行(メロディ発売前)を前に、巡礼にきました。

「一口だけだ」
「一口だけだ」
「一口だけだ」

ああああ~(←堪能中)
まきしゃんすてきっっ

ふたりきりではないけれど、大好きな人を交えての久しぶりの食事、幸せなひとときですね。
・・・・ありがとうございます(T_T)
欲を言えば青木にあのまま押し倒して欲しかったですけど・・・と思ったのは私だけではないはず!!

■ 

○こゆうさま

こんにちは。
見に来てくださって、また、コメントも、どうもありがとうございました!

> 「一口だけだ」
> 「一口だけだ」
> 「一口だけだ」
>
> ああああ~(←堪能中)
> まきしゃんすてきっっ

ブハッ!☆と、ウケてしまいました!(≧m≦)
と同時に、とてもとても嬉しかったです。
こんな風に味わっていただいて、言葉も無いです。

> ふたりきりではないけれど、大好きな人を交えての久しぶりの食事、幸せなひとときですね。
> ・・・・ありがとうございます(T_T)

そんな!こちらこそ、嬉しいお言葉を、どうもありがとうございます!m(_ _)m

> 欲を言えば青木にあのまま押し倒して欲しかったですけど・・・と思ったのは私だけではないはず!!

あ・・・・・・すみません。
私も見たかった(笑)のですが、脳内で薪さんがそうなってくれなくて・・

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