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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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Scene8:密談


国防省の建物は、国家警察本部から、程近い場所にあった。
車から降りて、建物に入る際、薪は、隣りの建物に目をやった。

「あれは・・」
「ああ、国家憲兵の科学捜査部だ」
あれが・・そう薪は思った。

受付でアポイントを確認し、ロビーで待つ間に、車を置いてきたファビオが追い付いた。
「国防省と一口に言っても、様々な機関がありますからね。会いたがっている相手は、誰なんでしょうね」

やがて、薪達3人は、別室に案内された。
中には、二人の男性が待っていた。

奥に座っていた年配の男性が、立ち上がって握手を求めてきた。
「私は、マリオ・ロンバルディ。国家憲兵の司令官をしている」
年齢は行っているが、鋭い視線に、鍛え抜かれた身体が、現役の軍人であることを物語っていた。

「ロンバルディ司令官。お会い出来て光栄です」センター長が握手を交わす。
「君はMRIセンター長だな・・君が来るとは予想外だった」
ロンバルディの言葉に、センター長は一瞬ひるんだようだが、笑顔を保ったまま、握手を終えた。

「薪剛と申します。アメリカのMRI研究所から参りました」
「資料は読ませてもらった。素晴らしい実績だ」
「ありがとうございます」

続いてファビオも握手を終え、そして、同席していた秘書の紹介がされ、全員、席に着いた。

「呼び出してすまない。今回は、公式の会談ではない。私が個人的に話をしたかったのだ」
ロンバルディは、話し始めた。

「MRI捜査は、画期的な捜査方法だ。このセンターが我が国に設立される事を、私は心より歓迎する。これで、犯罪捜査が一気に進展することだろう。だが・・」
ロンバルディは言葉を継いだ。

「我が国には、保守的な人間が多い。一般犯罪において、被害者や加害者の脳を暴くということは、簡単に受け入れられる物ではない。こうして仮設置をするまでにも、各方面から多大な反発があり、膨大な説明を要した筈だ」
ロンバルディがセンター長を見ると、センター長はそのとおりだと、うなずいた。

薪が言った。
「どの国においても、そういった反発はあります。日本でも、アメリカでも・・。闇雲に全ての犯罪をMRIで捜査するわけではありません。凶悪犯罪のみに特化して、更に遺族等の関係者の了解を得た上で行うものです」

「・・確かにそのとおりだ。・・だが、私は別の使い道もあると考えるのだ。国家警察で取り扱う事件、これは、ごく一般の人間が巻き込まれる物が多い」

「それよりも、我が省の管轄の下、国家憲兵の科学捜査部において、なかなか証言しようとしないまま死んでいく、スパイや、マフィア対策に使用すれば、有効だと思わないかね。正直、我々カラビニエリは、こういった犯罪者達に手を焼いている。そして、そういった事件に使うのであれば、根強い反発もかなり少なくなる筈だ」

「そういった話が出たことは、私も存じております。しかし、内務省の管轄下で、国家警察でMRI捜査を行う事は、もう決定事項の筈では」
センター長が言った。

「あくまでも仮設置だと、私は聞いているよ。だからこうして話をしている。そしてまた、実際には内務省でも、このセンターが、将来のお荷物になる可能性も否定出来ないとする人間が、大勢居るのだ。だから本部長も、今回話を通してくれた」

「え・・本部長が・・」センター長が絶句していると、
「彼も、公には動けないのだ。・・君は、もちろん口が堅い方だろうな。まあ、センター長の立場である君には、面白くない話だろうが」

「いや・・しかし・・」うろたえるセンター長を尻目に、薪がロンバルディを見て、言った。
「そういった話は、イタリア人同士でするべきでしょう。外国人である私に、あえてそういった話をする、理由が分かりません」

「・・確かに。本来なら、君に話すべきことではない。それどころか、隠すべきことだ。しかし、今回、あらゆる策を講じたにも関わらず、MRIセンターは、内務省の管轄下に入ってしまった。大きな力が動いていて、公には誰も異議を唱えられない」

「大きな力とは・・?」
センター長の疑問を無視して、ロンバルディは続けた。

「今、イタリア国内で関係者が動くと、誰かが犠牲になる懸念は避けられない。そこで、君だ。薪捜査官。・・アメリカ政府側から、MRI捜査を国防上で使用することには懸念を覚えると、イタリア側に訴えてほしいのだ」

「・・どういうことですか」
「君は、今ここで、内々に、MRI捜査をスパイ活動の排除に使おうとしていると聞いた。アメリカの人間にそれを伝えれば、どうなる? アメリカとイタリアは、今は良好な関係にある。しかし、そういった目的で使われるとなれば、心穏やかじゃないアメリカ人も、少なからず居る筈だ」

「・・こういった話は、あっという間にトップまで伝わる。そして・・アメリカ側から、MRI捜査のシステムを開発し、提供する国の人間として、イタリア側に、あくまで国内犯罪に使用せよとの表明をしてくれば・・」

「逆に、こちらでは、国防上で使いたくなる人間が出て来る。・・そういうことだ」

「・・公のMRIセンターとは別に、内密な機関が出来るということですか・・しかし、私はアメリカ側の人間です。そんなやり方に、手を貸すと思いますか?」
「・・君を賢い人間だと見込んだ。危ない目に会いたくは無いだろう」
「・・脅しですか?」

不穏な空気に、センター長も、ファビオも凍り付いた。

「・・いや」
空気を変えるように、ロンバルディは立ち上がり、ゆっくりと薪に近付き、言った。

「あくまで、提案をしているだけだ。それに、一方的な提案では、君も納得が行かないだろう。色々と見返りも考えている」
「これ以上聞く必要はありません」

薪も立ち上がった。
ロンバルディと、薪の目が合った。

「私は、この事は聞かなかったことにします。ファビオもそうでしょう」
薪がファビオを振り返りながら言い、ファビオは何度もうなずいた。

「・・そういうことか」
ロンバルディは薪の目を見つめ・・・そして、頭を振った。

「いや、悪かった。忘れてくれ。足を運んでもらって、すまなかった」
司令官が謝罪する様子を、センター長もファビオも、驚きの顔で見ていた。

「今後も、我が国のMRIセンターの為に、協力をお願いする」
そう言うと、ロンバルディは、薪に改めて握手を求めた。
薪も手を差し出し、握手が交わされた。

それは、全てをここで忘れるという、約束。

来た道を戻り、3人は、国防省の建物を出た。
センター長は、顔をしかめて、黙ったままだ。

薪はいつもと変わらず、平静な顔だった。
そしてそんな薪を、ファビオは、賞賛の目で、見つめていた。



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