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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene11: 目撃者


薪と青木が出勤すると、もう既に何人ものイタリア人捜査官が来ていて、それぞれにMRI映像のチェックを始めていた。
それは、彼等自身に、捜査官としての使命感が生まれた、表れでもあった。

「書類は上げておきました。ただ、本部長が数日席を外しているので、決裁が降りるのはその後になります。それに合わせて、重役達もMRI映像を確かめに来ると」
ファビオが薪に言った。

「正式な事件として、捜査が認められるんですか?」青木が聞いた。
「最終的には、センター長も、このまま放置しておくわけにはいかないと、判断したようだ」
「そうですか・・分かってくれたんですね」

「たぶん・・センター長も、薪さんのことを、見直したんじゃないでしょうか・・」
ファビオが言い、青木が顔を上げると、薪がキッとファビオを睨みつけ、ファビオはそこで言葉を止めた。
青木はまた、気持ちがフッと浮遊するのを感じた。

「それまでに、説得出来る画を見つけておくんだ。僕も画像のチェックに入る」

手分けして、作業が進められた。
終業時間になっても、帰る者が居ない。
交替で休憩を取り、食事に行く。

センター長の公認になったこともあり、MRI室は、夜も閉められることなく、そのまま作業が続けられた。

5年前、まだコスタが仕事をして、人付き合いもあった頃の、画像。
ほんの時々、キレて暴力的になる以外は、ごく普通に生活している、男の姿。
4年前、3年前と、捜査官達は、それぞれに担当を割り振って、画像を見ていく。

そして・・

「薪さん!」
青木が指した端末のモニターに、コスタと、もう一人の男性が、それぞれに女性を連れてコスタの家に入る映像が現れた。

カップル同士、それぞれ別の部屋に入り、コスタはベッドに寝そべる女性を見下ろす。
女性は笑っている・・が、その顔が、徐々に恐怖に引きつっていく・・。

「あ!!」
ファビオが叫んだ。

女性は、コスタに首を絞められた。
更にナイフで、止めを刺すコスタ。
恐ろしい瞬間・・。

コスタは、ナイフを手に、別室へと向かう。
そこに戯れている男女・・女性が気付いて叫び声を上げ、男性も振り返る・・そして・・男性は逃げ出した。
残された女性も、コスタの餌食となった・・。

「・・青木、女性二人と、逃げた男性の画像を調査に回せ」
薪は視線を落としていた。
予想はしていた・・しかし、実際に見るとなると、その衝撃は大きかった・・。

「薪さん・・」青木が声をかけようとすると、
「早くしろ!」薪の激が飛んだ。

二人の女性は、フィレンツェで行方不明になっていた女性と判明。
路上で声をかけた関係だった為、コスタとの接点は無く、捜査対象とはならなかった。

しかし、この事件をきっかけに、コスタは家にこもるようになり、仕事はクビになる。
朽ちた遺体を損傷するのが、コスタのやり方であり、最終的に、無残な姿になった遺体は、遠く海まで運ばれ、捨てられた・・。

この事件の後、コスタはフィレンツェを出て、ローマへと移り住む。
そして・・ほぼ1年おきに、路上で女性を襲っては、同じ事を繰り返していた・・。

「フィレンツェでの事件の時、通報されていれば・・事件は繰り返されなかったかもしれない・・」
薪は蒼ざめ、怒りに震えた。
青木も、他の捜査官達も、同様だった。

いくつもの事件が浮上した事で、重役達も映像を確認し、新たに全てを調べ直す物として、捜査が決定した。

逃げた男性は・・
「ステファノ・ファチャード・・」薪が出てきた資料を見て、つぶやいた。
最後の事件の前に、コスタに電話をかけていた人物だった・・。

「何故! ここまで来て事情聴取が出来ないんです!」
薪の声が、重役室に響く。

「しかし・・先方が拒んでいるのだから、仕方が無い」センター長が言った。
「彼が、事件に関わっている事は、はっきりしています! あなたも映像を確認した筈だ!」

「確かに・・。だが、彼はその場に居合わせたというだけで、実際に手を下したのはコスタだ。ファチャードは重要参考人でもなんでもない。あくまで任意での事情聴取しか出来ないんだ。拒まれればそれまでだ」

「彼は・・もしかすると、もう一人の犯罪者かもしれません・・」
「事件の前に電話をしていたからと、それだけの理由で? そんなことで犯罪者扱いは出来んよ」
「何故なんです・・」

薪がセンター長に詰め寄ると、ファビオが、いたたまれずに、口を挟んだ。
「ファチャード家は、地元では代々政治家を出している程の名士なんです・・」
「・・そんなことで!!」

「とにかく! 誰であれ、確たる証拠も無く、犯罪者扱いは出来ん。今、君と我々に出来ることは、コスタの映像に現れた犠牲者達、その全てを洗い出す事だ。行方不明になっていた犠牲者達の行方が、これでハッキリする。遺族も我々に感謝するだろう。これはMRIセンターの功績だ。輝かしい最初の第一歩だ! 一体何の問題がある!」

「・・これ以上話しても、無駄なようですね」
薪はセンター長に背を向け、重役室を出ようとした。

「薪捜査官」センター長が声をかけた。

「君はどうして、そんなに必死になるんだ? これは我が国、イタリアの事件だ。君は本来日本人であり、今はアメリカの捜査官だ。ここには、センターを稼動させる手助けに来たに過ぎない。そう私は言った。君だってそのつもりで訪れた筈だ。ここでは正式な捜査権さえ無い。それが、何故・・」

薪は振り返った。
そして、話し始めた。

「・・ビットリオ・コスタが、フィレンツェで通報されていれば、ローマでの事件は起きなかったかもしれません。彼は逮捕を逃れ、結局、同じ過ちを繰り返した・・そして、犠牲者も増え続けた・・」

「犯罪者自身が、それ以上、道を誤らない為にも、そして、犠牲者を増やさない為にも、彼らを逮捕する事が必要だと・・そう、私は思っています」

薪の話は、どこか、過去の出来事を、思い起こしているようでもあった・・。

センター長は、額を押さえると、フーッと、ため息を付いた。
そして、薪を見て、言った。

「我々イタリア警察も、犯罪者を野放しにしておきたいわけではない。しかし、あくまで法律の下に動くのがルールだ。・・フィレンツェ警察に、私が親しくしている人間が居る。直接話を通せば、あるいは・・」

「直接、と言うと?」
「私は、立場上、ここを動く事は出来ない。それについて、君がどう思おうと構わん。そして、君にはこの国での捜査権は無い。また、もし危険な目に合ったとしても、我々が責任を取ることも出来ない・・。もちろん、君がこの国の為に、無理に動く義務も無い。・・決めるのは君だ。薪捜査官」

薪も、相手を見た。
初めて、互いを真正面から、見た瞬間かもしれなかった。



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コメント

■ 

こんにちは、かのんさん。
朝の3時半から読んでます。
今夜は朝まで眠らせないよ、って、ああ、壊れてきました、わたし・・。

コメは最後に、と思ったんですが、ここの薪さんの言葉に止まってしまって。

「犯罪者自身が、それ以上、道を誤らない為にも、そして、犠牲者を増やさない為にも、彼らを逮捕する事が必要だと・・そう、私は思っています」

そうなんですよね、薪さんが救いたいと思っているのは、被害者だけじゃなく、加害者を含めた哀しい人々なんですよね。
ここはわたしも同感で、薪さんが世間から非難の嵐に遭っている被害者家族を助けるために必死で捜査をする話を書きました。
薪さんの愛は広く深く、果てしないのですよね。

つづきに戻らせていただきます。

■ 

○しづさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!

> 朝の3時半から読んでます。
> 今夜は朝まで眠らせないよ、って、ああ、壊れてきました、わたし・・。

3時半から・・・・・・っ!!!!!

ひゃあああああああああ・・・・・
あ・・・ありがとうございます。
何だかもう、申し訳ございません(><)

しかも、またこんな長編にトライしていただいて・・
でもこれもまた後のいくつかのお話にかかってくるので、読んでいただいて本当に嬉しく・・
ああああ・・どうしましょう・・・・

> コメは最後に、と思ったんですが、ここの薪さんの言葉に止まってしまって。
> 「犯罪者自身が、それ以上、道を誤らない為にも、そして、犠牲者を増やさない為にも、彼らを逮捕する事が必要だと・・そう、私は思っています」
> そうなんですよね、薪さんが救いたいと思っているのは、被害者だけじゃなく、加害者を含めた哀しい人々なんですよね。

・・・・・薪さんは
貝沼の万引きを、法の下きちんと処理しなかった、そのことを、ずっと背負っていると思うんです。
本当に、加害者自身の為になることというのは、一体何なのか・・葛藤し続けたと思うんです。

その上で、今、日々、必死に捜査をされているのだと。

> ここはわたしも同感で、薪さんが世間から非難の嵐に遭っている被害者家族を助けるために必死で捜査をする話を書きました。

後でまた改めてゆっくりそちらにもお邪魔致しますm(_ _)m

> 薪さんの愛は広く深く、果てしないのですよね。

そうです、そうなんですよね。
薪さんの、あんな華奢な体の中に秘めた、この大きさ・・本当に尊敬致します。

共感していただけて、とても嬉しく思います。

> つづきに戻らせていただきます。

本当に本当に申し訳なく・・・事件は納得行かない部分もあるかもしれませんし・・
ありがとうございます。

■ 鍵拍手コメ下さったAさま

○2/6に鍵拍手コメント下さったAさま

こんにちは。
コメントありがとうございます。

わわわ・・こんな長編を読んで下さっているのですね(><;)
申し訳なくも嬉しいです(〃▽〃)
ありがとうございます!!

大好きな国であるイタリアを舞台にしているので、設定そのものにも、愛着があるお話です。
読んでいただき、本当に嬉しいです。

そうですね・・薪さんはきっと、貝沼の事件以来、加害者自身の為にもどうするべきか・・葛藤し続けたと思います。

ぶぶ・・ぶんさいだなんて(汗)恐れ多いお言葉です(><)
でも、少しでも面白いと思って読んでいただけるのでしたら、とても嬉しく思います。

書くことが好き・・そうですね、きっと、そうなんでしょうね。
オリジナルではなく、「秘密」という舞台の上に乗っかった、二次創作という手軽な世界で書かせていただいているに過ぎないので、偉そうなことは申せませんが、それでも、確かに、書くことは好きなんだと思います。

原作からは、しばらく距離を置いたままです。
薪さんのお姿を思い出しただけでも、辛くなるので・・(;;)
こんなことでは、レビューも書けないし、まして次号なんて迎えられるのか・・もうあと2週間ちょっとだというのに、全く心の準備が出来ません・・(T▽T)

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