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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene12: 列車


薪と青木とファビオの3人は、ローマから、特急列車に乗り込んだ。

「公費ですから2等車ですが、快適だと思いますよ」
小さなテーブルを挟み、向かいに座ったファビオが言う。

「これで充分ですよ。眺めもいいですね」
大きな窓を見て、そう青木は言った。
その窓と青木の間に、薪が座っている。

「残った捜査官達が、コスタの全ての画像を見ることになるでしょう」
ファビオが言う。

「もう、オレが教える事も無いですね。彼らだけで」青木が言うと、
「マキさんとアオキさんの指導と熱意があったから、ここまで来られたんです。お二人のお陰ですよ」
ファビオが、ニッコリと笑った。

「ルチアーノが統率するようになりましたね。自然と慕われてると言うか」青木が言うと、
「元々、科学捜査官としての経験は、彼が一番あるんですよ」とファビオ。

「あれで、死体の映像にうろたえなければ、リーダーの素質は充分にあるな」
薪がつぶやき、青木とファビオは、顔を見合わせて苦笑した。
ルチアーノは、グロテスクな画像に、何故か、なかなか慣れない様子だった。

列車は、静かに動き出した。

「フィレンツェまで、どれ位って言いましたっけ?」
「1時間半程ですね」
「結構ローマからあっという間ですね・・って、薪さん?」

青木が話しかけた時には、既に薪は、窓にもたれて、寝息を立てていた。

青木は、自分の上着を、薪にはおらせた。
薪はそれでもビクともせずに、目を閉じている。

そう言えば、ここ数日、薪さん、まともに寝てないんだ・・。
青木は思った。

ファビオも言う。
「マキさん、あの夜以来、たぶん、よく眠ってないんでしょうね。センター長や重役達まで巻き込んで、今回の捜査の重要性について、マキさんは遅くまで説得していました」

「あの夜」というのは、薪が青木を先にホテルに返し、遅く帰った夜のことだ。
「そうでしたか・・。ファビオ、あなたも大変な立場ですね」青木が言うと、
「いえ、私はいいんです。マキさんや、皆さんの役に立てると思うと、やりがいがあります」

薪への敬愛を隠さないファビオの様子に、青木は改めて、薪のすごさを思う。
たった数日で、ここまでファビオを信頼させ、センター長をも動かしてしまった。

きっとアメリカでも、薪に信頼を寄せ、慕う人間は、数多く居るのだろう・・。

薪さんなら、当然のことだ・・
青木は誇らしく思うと同時に、何故か、胸の奥がチリチリとうずいた・・。

そんな青木の様子を見ていたファビオが、言った。
「それにしても、電車の中でこんな風に眠ってしまうなんて、随分、無防備ですね」

「あ・・この人は、昔からこうなんですよ。職場の仮眠室でも、ソファーでも、時には屋外でさえ、眠ってしまうんです。それに、一度眠ると、すぐに熟睡しちゃうらしくて・・」

青木が言うと、ファビオはじっと青木を見て、言った。
「・・それだけじゃないと思いますよ」
「え?」

ファビオは一度肩をすくめると、おもむろに話し出した。
「最初にマキさんにお会いした時・・アオキさんの時と同様、空港まで迎えに行ったんですが、正直、恐い人なのかと思いました」

「恐い人」と言うのは、あながち間違いではない、と、青木は思う。

「もう遅かったんで、直接ホテルまでお送りしたんですが、ほとんどしゃべらないし、笑わないし。きっと、着いたばかりで、お疲れなんだと思ったんですけどね」

「翌日は一日ご一緒したんですが、全く変わらない。私としては、これじゃあ仕事がやり辛くてかなわないと思って、一生懸命打ち解けようと必死ですよ。食事をしながらなら何とかなるかと思って、夕食をお誘いしたんですが、これが失敗でした」

「失敗・・ですか?」
「食事をしてても、マキさんは全く同じ調子で。しゃべらないし、飲まないし。逃げ場も無くて、かえって困りました。ず~っと私が一人でしゃべってましたね」

「でも・・あれ?」
青木は、自分が着いたその日の、薪の様子を思い浮かべていた。
ファビオに向かって、笑いかけていたような気がしたが・・。

「それが、3日目位から、急に穏やかになって。ああこの人、笑えるんだと思って。やっぱり、着いたばかりの頃はマキさんも緊張してたんだなって。それからは、仕事がやり易くなりました」

ファビオは薪をチラッと見ると、言葉を継いだ。

「でも、その後、アオキさんと別れて、マキさんと二人で行動すると、また元に戻っちゃうんです。まあ、初日の頃よりはしゃべってくれますけどね。なんて言うか・・マキさんが緊張してるのが伝わってくるんですよ。だから自然と、こちらも緊張しちゃうんです」

そこまで聞いて、青木はようやく、ファビオが何を言いたいのか、分かった気がした。

「マキさんは、アオキさんが居る時と、そうじゃない時では、全く違った顔を見せるんですね。・・やっぱり、元同僚が一緒に居ると、違うんでしょうね。今だって、私と二人だったら、こんなにリラックスはしてないと思いますよ」

青木は、改めて薪の寝顔を、見つめた。

薪さん・・・・
そう、心の中で、つぶやいた。

この数日、自分が抱いていたわだかまりが、急に馬鹿馬鹿しく思えた。
つまらないことを気に病んでいた自分が、情けなかった。

薪さんが背負っている物が大きいなら、大きい程、オレが・・
オレに出来る事は・・

車窓には、なだらかな丘陵地が広がっている。
その風景を背に、薪は静かに、眠っていた。



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コメント

■ 青木!良かったね。

こんばんは。かのん様。お身体大丈夫ですか?

じ~んとしました。
「青木良かったね!」
と背中をおもっきり叩いてあげたいぐらいです(^_^)v

色々と考え、思い悩んでいましたが、ファビオのお陰で薪さんのお気持ち(薪さんは無意識でしょうが。)がわかりましたね♪

薪さん…いつも緊張を強いられているけど、恋人が一緒だと、心が休まるのね(*^_^*)

きゃ(≧∇≦) かのん様の薪さんって可愛いですね♪ 私も寝顔を見てみたいですね♪
(きっと、殺気…腐の気配を感じて飛び起きて睨まれそう(^_^;))

しかし、ファビオさんは薪さんを敬愛していますが、やっぱり、恋心や下心はないのですね。普通のいい人なんですね。安心というか…残念というか…。
まぁ、その役はフォスターしか出来ませんね♪

薪さんと青木の結び付きにほっとした素敵なお話でした\(^ー^)/

トトロはうちにビデオがあり、かのん様同様かなり見ましたね~。でも、うちは教育TVの方が食い付き良かったですね。
ニモはDVDを持っていないのですが、大分本を読まされたような…自分で読め―(^_^;)
すぐにお母さん♪読んで~って!幾つだ!お前は…(-_-#)
ポニョはかなりお気に入りで本(漫画ですが)を読んでいますね。というか歌っているかな? 私に性格が似て、とても能天気な女顔の息子です(^_^;)

私もスターウォーズ大好きです♪子供の頃見たのと大人になって見るのは印象が全然違いますね。
かのん様はかなり映画を見ていらっしゃるのですね。単純なアクション系のハリウッド好きな私は恥ずかしいです…。
テーマが重いものもは、引きずってしまうんです…。つい、単純で安心して見られる娯楽性の高いものばかり見ています。

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます。

風邪はお蔭様で、大分よくなって参りました・・が、今度は娘がまた熱を出して学校を休むことに・・娘→夫→私→娘と回っているこの風邪、一体いつ終わるのか分かりません・・(^^;)

> じ~んとしました。
> 「青木良かったね!」
> と背中をおもっきり叩いてあげたいぐらいです(^_^)v

こんな風におっしゃっていただいて、私も嬉しいです!!

> 色々と考え、思い悩んでいましたが、ファビオのお陰で薪さんのお気持ち(薪さんは無意識でしょうが。)がわかりましたね♪
> 薪さん…いつも緊張を強いられているけど、恋人が一緒だと、心が休まるのね(*^_^*)

青木の好意は分かり易いけど、薪さんは・・
それがまたツボだったり(^^)

> きゃ(≧∇≦) かのん様の薪さんって可愛いですね♪

ギュッ☆としたいです!ギュッ☆とね!!

> (きっと、殺気…腐の気配を感じて飛び起きて睨まれそう(^_^;))

ウケました(^^)
たつままさん、楽しい・・。

> しかし、ファビオさんは薪さんを敬愛していますが、やっぱり、恋心や下心はないのですね。普通のいい人なんですね。安心というか…残念というか…。

そうですねえ・・どうなんでしょうねえ・・残念ですねえ(笑)

> 薪さんと青木の結び付きにほっとした素敵なお話でした\(^ー^)/

このお言葉、とってもとっても嬉しいです!ありがとうございます!

たつままさん宅でもトトロのビデオ、ご覧になったのですね。
本は、読んでって言われるうちが花かもしれないですよね(^^)
うちは最近自分で読むようになって・・ちょっと寂しかったりします。

> ポニョはかなりお気に入りで本(漫画ですが)を読んでいますね。というか歌っているかな? 私に性格が似て、とても能天気な女顔の息子です(^_^;)

想像しちゃいました(^^)
ほのぼの・・素敵な親子ですね♪

> 私もスターウォーズ大好きです♪子供の頃見たのと大人になって見るのは印象が全然違いますね。

昔の3部作と、最近の3部作、ジョージルーカスさんの構想だと、他に後3部作が残ってる筈ですが・・本当に作って下さるのでしょうか・・。

> かのん様はかなり映画を見ていらっしゃるのですね。単純なアクション系のハリウッド好きな私は恥ずかしいです…。
> テーマが重いものもは、引きずってしまうんです…。つい、単純で安心して見られる娯楽性の高いものばかり見ています。

そんなことないです~!
アクションも大好きですし、重いのは私も苦手かな・・。
10代の頃はかなりズシンと来る物も好んで見てましたが、今は最後には何かしら救いやほのぼの感が残る物じゃないとキツイですね・・。
なので、「パンズ・ラビリンス」も、傑作だとは思ってますが、単純に好き嫌いを聞かれると・・う~ん(^^;)

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