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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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でも必ず書かせていただきますので
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Scene13:フィレンツェ


列車はフィレンツェに到着した。
サンタ・マリア・ノベッラ中央駅は、人で溢れている。

「歩いても行ける距離ですが、スリも多いですし、タクシーを使いましょうか」
3人でタクシーに乗り込み、フィレンツェ中央警察署に着いた。

正面玄関前には、長蛇の列。
青木が目を見張っていると、
「滞在証明書を取る人達ですね。私達はこちらから入りましょう」ファビオが言った。

外国人の行列を横目に、署内に入る。
ファビオが受付カウンターで話をすると、程なく、体格のいい、男が出てきた。

男はパオロ・ラティーニと名乗り、事務局長を務めていると言った。

互いに自己紹介と握手を交わした後、
「署長達に紹介しよう」ラティーニはそう言い、薪達を、重役達に引き合わせた。

「署長、こちらが先日話した、アメリカの薪捜査官と、日本の青木捜査官、それにローマのMRIセンターのコンティ捜査官です」
代わる代わる握手をする様子を見ながら、ラティーニは続けた。

「私がMRIセンター長のアルベルト・ピッチーニに頼んで、MRI捜査の現状と可能性について詳しく聞きたいと要望したところ、彼らが招きに応じてくれました。せっかくですから、フィレンツェ警察の視察も兼ねてもらおうと思っております」

「よろしく頼む。パオロ、客人の案内もいいが、自分の仕事も忘れるなよ」
「いやいや」
署長とラティーニが言葉を交わし、その場に居た他の重役達も笑った。

署長室を出ると、ラティーニは、3人を連れて、署内を案内して回った。
各部署に行っては、薪達を紹介し、署員達と軽口を叩き合う。

最後に事務局に戻ると、イタリアの警察機構の仕組み等について、薪達に講義を始めた。
青木は、ラティーニが一体いつ本題に入るのか、何故、薪が何も言わないのか、不思議に思っていた。

やがて、ラティーニは時計を見て、
「ちょうどいい時間だな。皆さん、美味い物を食べに行きましょう」
そう言った。

4人でピッツェリアに入ると、店主が近付きながら叫んだ。
「パオロ! 久しぶりに来てくれたか。忙しいのか?」
「マルコ! 相変わらず繁盛してるようだな」

厨房では、一人の職人が、ピザを回し投げながら広げる技を披露していて、カウンター席に座る、若いカップルを楽しませていた。

「我々は、あの奥の席に座るとしよう」

他のテーブルとは少し距離を置くようにして、店の奥に、広いテーブルがあった。
「マルコ、ピザとワインを頼むよ」ラティーニは店主に声をかけてから、席に着いた。

「私は、かしこまったレストランより、こういう店が好きでね」
ラティーニは言った。

「何だか、あのセンター長と親しいというのが、不思議な気がしますね」青木がつぶやいた。
「何て言ったんだ?」ラティーニに聞かれ、ファビオは仕方なくそのまま訳したようだ。

「ははっ。アルベルトは相変わらずらしいな。決して陽気な方ではない。ルールは守る・・そして、日和見主義・・そう言いたいんだろう?」

「アルベルトだって、警察官としての理想を抱いていたこともあった。・・そのうち、体制に巻き込まれていくのだよ。私だって例外じゃない」

料理が運ばれてきた。
大きな魚介のピザに、白ワイン。

「おお! ちゃんとこのソアベを出してくれたか。これはペスカトーラに実によく合うんだ。たくさん食べて、飲んでくれ」

ウェイターが行ったのを確かめると、ラティーニは、口を開いた。
「さて、例のビットリオ・コスタの件だ。ここなら、気兼ねなく話す事が出来る」

「なる程。あなたが、署内では話し辛いことを口にする場所が、きっといつも、ここなんですね」
薪が言い、ラティーニは、驚いたように目を見張った。
青木もファビオも、薪を見つめた。

薪さんが、ずっと何も言わなかったのは、こういう場所に連れてこられる事を、予期していたからなのか・・。
そう青木は思った。

「ふむ。・・薪捜査官、アルベルトから、この件に関しては、君を出来るだけ手助けするようにと言われている。しかし、この件は非常に微妙だ。特に、最後の2人の女性の刺殺事件に関しては、ローマ警察で一度解決済みになったものだ。君は、ステファノ・ファチャードをもう一人の容疑者と考えているようだが・・」

「可能性があると言っただけです。逆に言えば、彼以外の人物が浮かび上がらないからです。容疑者としてではなく、まずは、最初の事件の目撃者として、事情聴取をするべきです」

「・・それがなかなか難しい。ファチャード家には、警察官僚もなかなか手出しが出来んのだ。もちろん、政治家だろうが、貴族だろうが、容疑者となれば、遠慮はしない」

「だが、ステファノは目撃者に過ぎず、しかも、手がかりは犯人の見た映像だけ。MRIセンターは、まだ正式に稼動すらしていない、まだこのフィレンツェでは誰一人MRI映像なんて物を見たことも無い、そんな状態で、それを証拠にすることも出来ん」

「先方に拒否されれば、もうそれ以上無理強いすることは難しい。しかも、ステファノ本人が、今やフィレンツェにはおらんのだ」

「え?」皆、ラティーニに注目した。
「父親の話では、国内を旅行中ということだが・・」

「逃亡した、ということですか?」薪が聞くと、
「いや、あくまでも旅行だと父親は言っている。連絡も取れていると。国外に出てるわけではない事は、確かだ。かといって、容疑者でもなければ、失踪したわけでもないとなると、捜索する訳にもいかない」

「・・その父親に、接触することは可能ですか?」薪は更に尋ねる。
「サルバトーレ・ファチャードかね?・・忙しい人物だが・・あえてアポを取らずに、自宅に居る時を狙って行けば、会えるかもしれん。・・しかし、会ってどうする?」

「ステファノが、今どこに居るのか、最後の事件の時に、ローマに行っていなかったかを、聞くんです」
「それはまた単刀直入だな。・・しかし、正直に答えるだろうか」
「答えなければ、父親も、何かを知っているということでしょう」

「う~ん・・」
ラティーニは腕を組み、目を閉じて、考え込んでいるようだった。

「私はもう現役の刑事ではない。・・会いに行く口実を見つけなきゃならんな・・」
目を開いてそう言うと、薪を見た。

「あのアルベルトが、どうしてこんな事を頼んできたのか・・彼に一体、どんな変化があったのかと思っていたが・・」
その視線は、薪を通じて、遠い日の、まだ若い頃の誰かを見ているかのようだった。



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