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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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Scene21:息子


サルバトーレ・ファチャードが、自宅で数人の部下や秘書達と話をしていた時、あわただしく近付いてくる物音があった。

「今は、サルバトーレ様は、お仕事中です!」
執事の叫び声と一緒に、足早に近付いてくる人物、それは・・

「ステファノ・・」
サルバトーレは、つぶやいた。

「外してくれ」
サルバトーレが周囲の者に声をかけ、部屋には、サルバトーレとステファノの二人だけになった。

「何故、戻ってきた」
「ここが、オレの生まれ育った家だからだ。帰っちゃ悪いのか?」

息子の言葉に、サルバトーレは、ため息を付いた。
「今、戻ってくるのはまずい。そう伝えた筈だ」

「ファチャード家に泥を塗る不肖の息子は、厄介払いしておきたいわけだ」
「・・何とでも言え。とにかく、今すぐフィレンツェを出ろ」

「なあ・・4年前、オレが本当に助けを必要としていた時、あんたはオレを突き放した。全て忘れろ。それでいいんだと。オレは思ったよ。オレ自身の気持ちより、あんたはファチャード家が大事なんだとね」

「忘れろ・・そう言われて、本当に忘れられたと思うか? 繰り返し、繰り返し、同じ場面を夢に見る苦しさが、あんたに分かるか?」

ステファノの言葉を、サルバトーレは、黙って聞いていた。

「分かるわけないよな。あんたは、オレから聞いたその瞬間に忘れたんだろうよ。そんなもんだよな。やることが山ほどあるもんな。当主として。政治家として。父親としてやってくれたことなんか、これっぽっちも無かった」

「オレが、政治家の息子連中じゃなく、職人や、色んな仲間とつるんだのは、この世界から抜け出したかったからだ。あんたの後を継ぐなんて、御免だと思った」

「でも、多少は引き止めるのかと思ってたよ。馬鹿なことするな、戻って来いってね。でもあんたは、何も言わなかった。一度だって、オレに関心を持ったことなんて、無かったんだよ!」

ステファノは、一度声を上げ、激情を吐き出すと、今度は静かに話し始めた。

「・・あれからオレは、ずっと気になっていた。あの時一緒に居た女は? その後、どうなった? あいつは、ビットリオはどうしている? 本気になれば、探し出すのは簡単だった。以前のあいつのムラトーレ仲間に聞いて、ローマに居ることは、すぐに分かった」

「あいつの声を聞いた時は、震えたよ。あいつは、女を二人とも殺していた。しかも・・あいつは、もしオレが警察に話したら、オレも仲間だと証言すると脅したんだ・・!」

「どうだ? オレは殺人を見逃しただけじゃなく、殺人の共犯者になるんだぜ? オレが逃げ出して、通報もしなかったのは事実だ・・しかも、4年も前の話だ。警察はどう思う? ファチャード家から殺人者が出るんだ。大したもんだよな!」

「オレはビットリオと何度も連絡を取った。不安にさいなまされていた。また同じ夢を毎晩見るようになった。そして・・うなされるオレを見た女に、全てを話してしまった・・」

「女は警察に行こうと言った。きっと信じてくれるって。信じてくれる? そうか? ビットリオは異常者だ。どんな手を使ってくるか分からない」

「・・それに、あんただ。オレはあんたの顔が浮かんだ。あの時忘れろと言ったあんただ。今更通報して、しかも殺人者になったら? あんたはオレをどう思う? どう、処分する? オレはあんたが恐かった・・笑えよ、オレは、いつもいつも厳格なあんたが、警察よりも、ビットリオよりも、恐かったんだよ!」

「・・そしてオレは、本当の殺人者になったんだ・・」
「もういい!!」
ステファノの言葉を、サルバトーレが遮った。

「これ以上聞かないのか? 何があったと、どういうことかと、聞かないのか?」
「・・聞く必要は無い。とにかく、早くここを出ろ」

「そうか・・やっぱりそうなんだな。あんたは・・」

ステファノはそこまで言うと・・
「ククッ・・クククッ・・」
低く笑い出した。

「よく分かった。最初から分かってたことだ。そうさ。・・もう、終わりだ・・」
ステファノは来た時とは全く違う、重い足取りで、部屋を出て行った。

一人残ったサルバトーレは、手近にある電話に手を延ばした。

「・・そうだ。今ここを出た。・・あいつを、守ってやってほしい・・」
電話を切った。

もう、手遅れかもしれない。
そう思っても、例え最後のあがきでも、何かせずには、いられなかったのだ。



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