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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene27:父親


サルバトーレの書斎に、執事が入ってきた。
「フィレンツェ警察の方がお見えです。どう致しましょうか」
「・・通せ」

入ってきたのは、ラティーニと若い刑事だった。
「もう家を訪ねることはしないと約束しましたがね。そうも行かなくなったんで」
ラティーニは言った。

「息子を逮捕したそうだな」
「ええ」

「既に顧問弁護士をやってある。・・馬鹿が。弁護士が行く前に、自白なんかしおって・・」
「例え弁護士が居ようと居まいと、あんたの息子は、同じ証言をしただろうよ。精神的に、もう、限界だったんだ」
ラティーニの口調は、ぞんざいになっていた。

「・・誰に向かって物を言ってる?」
「今日来たのは、息子さんのことじゃない」
ラティーニの言葉に、サルバトーレは、顔を上げた。

「弁護士が必要なのは、あんたの方じゃないのか?」
「・・・・」
「逮捕状が出た。死体遺棄に、傷害罪だ」

「まさか心当たりが無いなんて、今更言うなよ」
「・・ブルーノか?」

「いや、彼はあんたに随分忠実なようだ。何でも、極貧生活してるところを、あんたに拾われたとか。怪我をして今は病院に居るもんでね・・取調べも充分には出来ない。口を割らせるのに苦労したよ。やっと経緯を全て話しはしたものの、今度は、全ては自分の一存でやったと言いやがる。・・しかし、それにしちゃ、事実との相違、ステファノの証言との矛盾が、あまりにも多い」

ラティーニはサルバトーレに迫り、そして言った。
「ルッソは単なるコマだ。動かしてる人間が居る。そして・・それはあんた以外に、あり得ないんだ」

「一体どうして? あんたは言った。一族の当主として、もし息子が事件に関わっていたりしたら、縁を切って終わりだと」

「・・一族をまとめる人間として、当然のことだ。ファチャード家に泥を塗るような人間は・・切って捨てるしかない。しかし・・」
サルバトーレは、言葉を継いだ。

「私は・・当主である以前に、一人の父親だ。ステファノを・・息子を、守りたいと思った・・」

「あー・・」
ラティーニは口を開け、しばし、言葉を失った。

「息子を守る・・はーっ・・。4年前、コスタの事件を知りながら、忘れろと言った、それがあんたの守り方かい?」
「他に何が言える? 事件に巻き込まれ、警察から執拗な取り調べを受け、世間からは逃げた卑怯者だと叩かれる・・あの気弱な息子に、それが耐えられると思うか?」

「・・少なくとも、通報しないことで、4年間、悪夢を見続けるよりは、マシだったんじゃないかと思うがね」
「私は忘れろと言った。忘れられなかったのは、あいつ自身の問題だ」

「そう。忘れられなかった。結局、自責の念から、追い詰められ、本当の殺人者になってしまった。・・その死体をコスタの手に渡すことで、あんたは、息子を何から守りたかったんだ?」

長い長いため息を付き、サルバトーレは、話し始めた。

「息子のことは、ブルーノを頻繁に出入りさせ、何かあれば、報告させていた。ステファノが、コスタの居場所を突き止めたことも、私は知っていた。・・私は、ステファノと、ローマに居るコスタの双方の様子を伺うようにと、ブルーノに言った」

「コスタが外出を最小限に抑え、家にこもっているのは分かっていた。だが、ローマで殺人をしたことまでは知らなかった。一方、ステファノは、日に日におかしくなっていくようだと報告を受けた。・・心配はしていたが・・」

「そして、私の息子は、遂に・・」

「あんたのせいだよ。あんたが最初に息子を抑えつけた。それがステファノを追い詰めたんだ」
「抑えつけて等いない! 私は、昔から息子に自由にさせていた。何をやろうと。どんな仲間と付き合おうと。好きにやらせていた」

「好きにやらせることが? 自由にさせることが、子供の為になるのか? あんた、本当にそれでも親か?」
「・・私はあれが小さい頃から、仕事が忙しく、構ってやることが出来なかった。気付いた時には、もう私の手を離れていた。私に出来ることは、好きにさせるしかなかった・・」

「大したもんだな! だったら、4年前の時にも、彼の自由に、警察に行かせたら良かったんだ」
「・・私は忘れろとは言ったが・・それを選んだのは、息子自身だ」

「いや! あんたは忘れろという一言で、息子を縛ったんだ。少なくとも、奴はそう思った。ファチャード家の為に、余計なスキャンダルは持ち込むなと、あんたがそう言ったように感じたんだ!」

「違う!・・私は、息子を守りたかっただけだ・・!」
いつしか、サルバトーレも叫んでいた。

ラティーニは言った。
「・・あんたは、息子の守り方を間違えたんだ。4年前も。今回も」
「だったら、どうすれば良かったと言うのだ。私に出来ることは、他に無かった・・」

「簡単なことだ」
ラティーニの目は、目の前の相手を、哀れんでいた。

「抱き締めてやれば良かったんだよ。抱き締めて・・お前を愛してると、そう言えば良かったんだ」
「そんなことで・・」

「そう。たったそんなことだ。どこの親子もやっていることだ。しかし、あんたはそれをしなかった。まだ息子が小さい頃、忙しくて構ってやれなくても、1ヶ月に1ぺんでもいい、抱き締めてやれば良かった。それが出来ずに大人になって、放蕩をしているようだったら、その時でもいい、そんなお前を愛してると、抱き締めたら良かったんだ」

「4年前だってそうだ。逃げた自分を責めて、あんたに話したんでしょう? ステファノは、あんたを頼ったんだ。その時に、逃げたお前、弱いお前を、それでも愛していると、言って抱き締めてやれば良かった。そうすれば、警察に尋問されようが、世間に叩かれようが、奴は乗り越えられた筈だ」

「・・あんたは間違い続けたんだよ。その結果がこれだ。そして、息子が逮捕されても、自分より先に、弁護士をよこした。あんたは、また間違いを犯したんだ」

ラティーニは、じっとサルバトーレを見つめると、言った。
「とにかく、署にご同行願います。事件の詳しい話は、それからだ」
「・・仕事のことで、少し秘書に話しておきたい。それからでもいいかね?」

「いいですよ。ただ、私も同席させてもらいますがね。・・目を離した隙に・・」
「逃げたりはせんよ」
「いや、自殺でもされたら、かなわないんで」

「私はそんな、弱い人間じゃない」
サルバトーレが静かに笑い、ラティーニの顔を、じっと見た。

そして秘書を呼び、要件を言いつけた。
相手は、驚愕に目を見張りながら、サルバトーレの話を聞いていた。

そんな様子を見守りながら、ラティーニは、これまでのことを一つ一つ、思い返していた



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