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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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でも必ず書かせていただきますので
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Scene4:祈り


土曜の朝、薪は、フォスターの運転する車の助手席に居た。

「釣り? 子供の頃、お遊び程度にやったことがある位だ」
「じゃあ、この週末、やってみないか? いい釣り場があるんだ」
「興味が無い。週末は、やることもある」

「何をするんだ?」
「一週間分の日米のニュースをチェックする。平日はほとんど出来ないからな」
「君のことだ。そんな事、二日もかからないだろう」

「時間があれば、出勤して、報告書のチェックもするつもりだ」
「よせよせ。せっかくの休日に仕事なんて。人生には潤いも大切だ」

「お前と居ると、そちらがメインになりそうだ」
「当然だ。人生は楽しむ為にある」

・・そんなやり取りの末、薪は、フォスターの強引さに、結局は押し切られる形になった。
それに、「釣り」以外に、何か、フォスターが頑として、薪を連れ出したい理由が、他にあるような気配を感じたせいもあった・・。

「ここには、毎年来るんだ」
木立の中を運転しながら、フォスターは言った。

「この先に、私が寝泊りしている小屋があって、そこから近くの釣り場に行く。夏の初めから、秋の終わりまで、何度か休日を、ここで一人で過ごす」

「一人で? 彼女は連れてこないのか?」
薪が尋ねると、フォスターは言った。
「彼女は・・こんな田舎に付いてくるような女じゃない」

話しているうちに、木立を抜けた。
道が開けると、その先に目的地が見えた。

車を降りると、薪は言った。
「これが、お前の言っていた『小屋』か」

それは、日本の感覚の一戸建て以上の、広々としたログハウスだった
中に入ると、暖炉の付いた広いリビングダイニング。
その端には立派なキッチンがあり、反対側は吐き出し窓で、南側のウッドデッキへと続いていた。

階段の上にはロフト。
ベッドがいくつか並んでいて、その上には天窓が見える。

薪が中を見渡している間に、フォスターは二人分の荷物を運び、途中で買って来た食材を冷蔵庫に仕舞いこんだ。

メインになるログハウスの入り口近くに、もう一つ、小さなログハウスがあった。
フォスターはそれを「物置き」と呼んだ。

「釣り竿は物置に入っている。いくつかあるから、好きなのを選んでくれ」
中には、素人でもそれと分かる、一流メーカー品の釣り道具の数々・・

薪はそれらを一べつすると、
「まかせる」と、一言、言った。

フォスターは、手際よく道具を準備し、車に積むと、
「出かけよう」薪に笑顔を見せて、そう言った。

車を走らせながら、フォスターは言った。
「釣りをするなら、もう少し時間を置いて、夕方近くなってからの方がいい。その前に、ちょっと寄りたいところがあるんだ。付き合ってくれ」

その場所には、すぐ着いた。
森の一部を切り開いたかのようなその場所には、草が生い茂っている。

その草の間に、まるで獣道のような細い道が見え、フォスターはそこに足を踏み入れた。
薪も続く。

10メートルも進むと、道が開けた。
目の前には、大きな木。
そしてその根元に、ごく小さな、十字架・・・

「祖父は、ここで亡くなった」
フォスターの言葉に、薪はフォスターを見上げた。

「祖父が住んでいた家は取り壊してしまったが、土地はそのまま、残しておいた。墓は別にある。だが祖父は本当は、この田舎に、骨をうずめたがっていた」

薪は、フォスターが、ごく小さな花輪を手にしている事に気が付いた。
フォスターはそれを、十字架にかける。
薪がよく見ると、十字架とその周囲には、これまでにも幾度も花輪をかけた形跡が残っていた。

連れてきたかった理由は、これなのか・・。

フォスターは何も言わなかったが、薪はそう、理解した。

フォスターは目を閉じ、両手を腹の前で組んで、黙って祈りを捧げた。
フォスターがふと目を開けると、隣りで、薪も目を閉じ、胸の前で手の平を合わせていた。

日本式の、冥福の祈りか・・

薪の横顔を見つめ、フォスターは、形容しがたい何かで、胸が一杯になった。
そして、もう一度フォスターも目を閉じ、長い祈りを捧げた。



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