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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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でも必ず書かせていただきますので
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Scene5:湖畔


フォスターと薪は、並んで釣り糸を垂れていた。
と言っても、近過ぎても釣り糸が絡むので、3メートル程、離れた場所で。

餌を付け、釣り竿の先を湖面に放つまでは、フォスターが薪を手伝い、多少の言葉を交わしたが、二人とも後はただ黙々と、釣り糸を垂れるばかりだ。

西に傾きかけた太陽が、湖面を照らす。

フォスターが用意した野球帽型のカーキ色の帽子は、薪の頭には、少し大きかった。
ゆるめのその帽子は、薪の顔に斜めにかぶさり、薪の白い顔に、影を作っていた。

フォスターは、竿の先を眺めては、空を見上げ・・そして、薪の横顔を、見つめた。

遠くに近くに聞こえる鳥の声。
風にざわめく木々の音。

それ以外には何も聞こえない、静かな世界・・・

と、フォスターに、当たりが来た。
フォスターはにわかに立ち上がり、慎重に糸を引き上げる。
そして・・

釣り針にかかった最初の獲物を、フォスターは満足そうに、薪に持ち上げて見せた。

薪は、目を見開いてその様子を見ていたが、無言のまま、自分の釣り竿に視線を戻した。
先程までよりも、薪の表情が真剣になった・・ように、フォスターには見えた。

どれ位の時間が立ったろうか。
薪は突然、手元に振動が伝わるのを感じた。

「!!・・・」
立ち上がり竿を動かす薪の様子に、フォスターは自分の釣り竿を置くと、薪のそばに歩み寄った。

「・・そうじゃない。もっとゆっくり。いや・・薪、落ち着け!」
フォスターは、薪の手に自分の手を重ねた。

「・・ゆっくり。ゆっくり。一度戻して・・そうだ。そして引いて・・」

二人とも、今は、かかった獲物に夢中だった。
いつしか、フォスターが薪を背後から抱きかかえるかのように、ピッタリと密着している事に、二人とも気付いていなかった。

「くっ・・!!」
薪は苛立っていた。
その獲物は、目の前にあるのに、なかなか手に入らない。

「早まるな! 薪・・もっと・・!」
フォスターが声をかけた、その瞬間、薪はバランスを崩して足を踏み外した。

あっ・・と思った時には、二人同時に、その場に倒れ込んでいた。
薪は竿を握ったまま。
そしてフォスターは、そんな薪を、背後から抱きかかえたまま。

「・・・・・・」
その時になって初めて、二人は、互いの近さに気が付いた。

一瞬、鳥の声も、木々のざわめきも、聞こえなくなった・・・

ポチャン。
水の跳ねる音がした。

魚の背中が、キラリと光って見えた。
見えたのは、背中だけ。
顔を見せることが無いまま、その魚は、命拾いをして、湖の中に消えて行った・・

二人は座り込んだまま、その魚の行方を目で追った。

「フッ・・ククッ・・」
その声に、薪はフォスターの方を振り向いた。

「クククッ・・ハハッ・・ハハハッ・・・アッハッハッハ・・!!」
フォスターは笑っていた。
おかしくてたまらないというように。

つられて、薪も笑い出した。
「ハハハッ・・・」
「アハハハハ・・」
「ハハハハ・・」

いつしか真っ赤に染まった、夕焼けの空の下、二人とも、笑っていた。

遠い昔にも、誰かとこんな風に笑い合っていた・・。
そんな想いが、薪の胸の中を、よぎっていた・・


************


その頃、薪の部屋の電話が鳴っていた。

留守電のメッセージ音に、青木は受話器を置いた。
いつもなら、週末のこの時間は、大概薪は家に居る筈だった。

買い物にでも出ているのだろうか。
それとも、また、休日出勤をしているのだろうか。

薪が来月、帰国する事になるのかどうか、そろそろ分かる筈だと、そう薪は言っていた。
ハッキリしたら、薪はすぐさま自分に連絡を入れるだろう・・そう思いながらも、青木は待ちきれなかった。

薪が帰国してからの事を、共に話し合いはしたものの、薪がすぐにも日本に戻りたいのかどうか、薪の口からハッキリと聞かれた事は、一度も無かった。

自分は、すぐにでも薪を日本に連れて帰りたいと、薪にそう言い切ったのだが。

青木は、自分の心はいつも薪のそばにあると、そう誓った。
だが、薪の心は、果たしていつも、自分のそばにあるのだろうか。

共に過ごす時間には、満たされ、迷う事など無いのに、離れていると、例えようも無く、不安が押し寄せる。
薪よりも、薪を信じきれない自分が、情けなくなってくる・・

「薪さんが帰ったら、こんな不安は、無くなるんだ・・」

青木はそう口に出し、自分に、言い聞かせていた。



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