カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
※清水先生の「秘密」とは、一切関係ございません。


オリジナルストーリー

「おぼろ月夜」



Scene1:提案


「花見?」
岡部が聞き返した。

「ええ。第六研究室では、今夜、あちらの土手の桜の下で、やるそうですよ」
曽我が言った。

それは、青木が第九に配属されて、2ヶ月半が過ぎた、ある日のこと。

「今夜辺りは、ちょうど見頃ですね」青木が言えば、
「でも、夜桜見物には、ちょっと寒くないか?」小池が返す。

「ねえ今井さん、うちでもやりませんか? お花見」
曽我が提案した。

それまで端末に向かっていた今井が、椅子を回して振り返った。
「確かに。部署によっては、毎年の恒例行事になっているところもある。でも、うちでは無理だろうな」
「何故です?」
「・・薪さんが、そんな事、承諾すると思うか?」

「・・・・・・」
今井の言葉に、一同全員、黙り込んだ。

「何をしている」
そこに、薪が入ってきた。
あわてて皆、端末に向かう。

曽我だけが、薪から視線を外さない。
「あの~・・薪さん」

「何だ? 被害者のリストが出来上がったのか?」
「あ・・いえ・・」
「まだなのか?」
薪の表情が険しくなった。

「あ・・すぐに、すぐにまとめます!」
さすがの曽我も、その場の空気を、やっと感じ取ったようだった。

「宇野!凶器の特定と分析を」
「はい!」
「岡部!この犯人の被害者と思われる次の遺体が出た。手続きに行け!」
「はい!」

「・・・花見の話を持ち出す雰囲気じゃないな・・」
小池が、青木に向かって、そっとつぶやいた。


Scene2:深夜


その日は、犯罪者と被害者、両方の脳を手分けして分析し、第九メンバー全員が、遅くまで残業となった。

12時を過ぎる頃、やっと捜査のめどが立ち、薪の「帰っていいぞ」という一言に、メンバーは次々と帰っていった。

部下を帰しながら、薪は室長室にまだ残り、書類のチェックをしていた。
「失礼します」ノックの後に声がして、岡部が入ってきた。

「まだお帰りにならないんですか?」
「お前こそ。まだ残ってたのか」
「捜査資料を整理していました。何か手伝いましょうか?」
「いや。僕ももう帰る。後はやるから、先に出ていいぞ」

「すみません。じゃあ、お先に失礼します」
そう言って、岡部も出て行った。

薪は、室長室を出て、全ての電源が落ちてるのを確認し、第九を出て、鍵を閉めた。
表の玄関は、もう閉まっている。

裏の職員用玄関で、警備員に声をかけ、建物の外に出た。
公用車の運転手に送らせるにも、もう遅い。
それ程遠くはない公舎まで歩いて帰るか、それともタクシーを使うかと考えながら、足を踏み出す。

と、見覚えのある長身の立ち姿が、視界に入った。

「・・青木?」

庁舎の裏、その先の土手に、青木が立っていた。
薪は、そのまま、声をかけずに通り過ぎようとも思ったが・・

「こんな所で、何をしている」
薪は青木に歩み寄り、声をかけた。


Scene3:花びら


「薪さん!」
青木は、薪がすぐそばに来て、声をかけるまで気付かず、驚いた様子だった。

「こんな夜中に、一人で立っていて、周囲を警戒しないなんて。捜査官として問題だぞ」
「あ・・すみません」
青木は素直にそう言った。

「何をしてるんだ?」
薪は、もう一度聞いた。

「桜を、眺めてたんです」
「桜を?」
「ええ」

薪が改めて見上げると、周囲には、桜が見事に咲き誇っていた。
二人が居るその土手も、川の向こう側も。

「腹が減ったんで、そこのコンビニで買い物をしてたんですよ。で、帰ろうとしたんですが、あんまり桜が綺麗なんで」

花見をしていた人間達が撤収した後の、わずかに残った紙くずが、風に舞っている。
室長室の窓を開けて空気を入れ替えた時、花見客の喧騒が聞こえた事を、薪は思い出した。

今は、そういう時期なのだと、薪はもう一度、桜を見上げて、思った。
こんなに近くに、満開の桜があるというのに、青木が今夜、ここに立っていなければ、気付かなかった・・

桜の芳香の中、見上げた木々の間から、おぼろに霞んだ、月が見えた。

そして、月の薄明かりに照らされた、薪のその横顔を、青木は見ると、自分もまた、桜を見上げた。
束の間、二人は並んで、同じ景色を見ていた。

風が吹きぬけ、二人の頭上に、桜の花びらがひらひらと舞い降りた。

ブルッと、薪は身体を震わせ、両腕を自分の体に回した。

「寒いですか?」
花見の時期は、まだ夜風が冷たい。
なのに、薪がコートを着ていないことに、青木はその時、気が付いた。

「薪さん、コートは?」
「・・いつもは車だからな。この時期になれば必要ない」
「ああ・・」

薪が、通勤も出張も、第九メンバーか、あるいは公用車の運転手付きの車で移動している事を、青木は思い出した。

「あの・・」
言いながら、青木は自分のコートを脱いだ。

「かえって失礼かもしれませんが、良かったら」
そう言って、青木は脱いだコートを、薪の身体に羽織らせた。

「・・・・・」
薪は一瞬、無言になった。
まだ新人の青木が、躊躇せずに、自分にそんな事をしてくる事に、驚いていた。

「薪さんが着ると、ロングコートになっちゃいますね」
・・しかも、言ってることも、失礼だ。

「お前が・・風邪を引くぞ」薪は、青木の顔を見ずに、そう言った。
「いえ。オレは、身体だけは丈夫なんで」青木は、笑顔でそう返した。

「あ、そうだ」
言うと青木は、手に提げたコンビニの袋から、缶コーヒーを取り出した。

「少し冷めちゃいましたけど。どうぞ」
薪は、それを受け取った。

「じゃあ。オレ、こっちから帰ります。お疲れさまでした!」
青木と薪は、土手の上、桜の下で、左右に別れた。

満開の桜を見たせいだろうか。
青木は、仕事で身体は疲れていたが、空に浮かぶ月を見ながら、
「明日も頑張ろう」そう思えた。

薪は、土手沿いの道を歩きながら、コートをかき合わせた。
青木から受け取ったコーヒーの缶が、手の中で、ほんのりと、温かかった。



(終)



関連記事

コメント

■ ☆.。.:*(*゚ー゚*) ( *゚ー゚).。.:*☆

凄く静かで素敵ですね~・・・
真っ暗闇の中で淡く光る桜の木々たち。
ひらひらと舞う花びらまでも浮かんできます。

二人の間に流れるゆったりとした雰囲気、この頃のこの距離感も好きです。

いつかは第九全員でお花見できたらイイですね★

あ、でも付き合い出してからの二人にとっては二人っきりでのお花見の方がいいですねvvv どんな素敵なシチュエーションになるんでしょうね~(//∇//)

「花より団子」ならぬ「花より薪さん」でしょうか♪ウ腐♪
(↑結局こうなるw)

■ 

かのんさま
こんにちは ご無沙汰しております。

鈴木が死んで初めての春ですね。薪さんはコートも着ないで、暖かくなってきたのは分かっていたけれど、それが春になったとは思わなかった。桜が咲いたのにも気付かなかった・・・(;;)薪さ~ん><

曽我、がんばってお花見を提案したら、案外と「ああ、桜が咲いてるのか、気付かなかった。僕は夕方から会議あるから、みんなでちょっとやってきていいぞ。でも戻ってこいよ。飲み過ぎるな」くらい言ったかもしれないけど、とても提案できません・・・^^;)

>「薪さんが着ると、ロングコートになっちゃいますね」

うおお。さすが青木。薪さんにこんなことしたり、言ったりする奴がいないから、頭真っ白になっちゃいますね。照れちゃって、まあ。

 青木のコートを着て、土手の上をコーヒー缶を握りしめながら、コートの前をかき合わせて歩いてる姿・・・肩幅は余りすぎだし、裾は靴まで届きそうでズルズル・・・。

 静かにしんみりと浸っていたら、最後に吹いてしまいました。
 そんな場面じゃないはずなのに、かのんさん、ごめんなさい~(><)

 ちょっとぬるくなってしまったコーヒー缶の温度は、青木の心と同じくほんのりとした温もりで、春になっても薪さんの心に吹き荒れるブリザードがちょっと小やみになったのか、と思ったら、数年後の花見は、あにゃにゃな花見に・・・(@@;

 おじゃましました。

■ 

○コハルビヨリさま

コメントありがとうございます。

> ☆.。.:*(*゚ー゚*) ( *゚ー゚).。.:*☆

可愛くて素敵なタイトル、嬉しいです☆

> 凄く静かで素敵ですね~・・・
> 真っ暗闇の中で淡く光る桜の木々たち。
> ひらひらと舞う花びらまでも浮かんできます。

あああああ・・・なんて嬉しいお言葉!!(TT)
私が伝えたかった静かな情景を、そのまま思い浮かべていただいたようで、とても嬉しいです。

> 二人の間に流れるゆったりとした雰囲気、この頃のこの距離感も好きです。

好きですか?嬉しいです!!
私も、この「微妙な距離感」が自分自身のツボでもあるのです。
まだ意識しないところで、実は惹かれ合い求め合っているという・・

> いつかは第九全員でお花見できたらイイですね★

とても楽しそうですよね!(^^)

> あ、でも付き合い出してからの二人にとっては二人っきりでのお花見の方がいいですねvvv どんな素敵なシチュエーションになるんでしょうね~(//∇//)
>「花より団子」ならぬ「花より薪さん」でしょうか♪ウ腐♪
(↑結局こうなるw)

はいはいはい!
コハルさん、さすがです!

ピッタリ言い当てられました!!
まさしく「花より薪さん」な展開になった続編をご覧下さい・・・

ちなみに後書きでも書いておりますが、続編はコハルさんのお陰で生まれました。
ありがとうございましたm(_ _)m

■ 

○第九の部下Yさま

こんにちは。
こちらこそ、大変ご無沙汰しております。
コメントありがとうございます

> 鈴木が死んで初めての春ですね。薪さんはコートも着ないで、暖かくなってきたのは分かっていたけれど、それが春になったとは思わなかった。桜が咲いたのにも気付かなかった・・・(;;)薪さ~ん><

そうですね。
薪さん、仕事に自ら没頭していて、桜には気付かなかったようですね。
目には入っていても、意識しなかったというか、そんな感じかもしれません。

ちなみに、「鈴木が死んで初めての」という言葉にウッと来る私・・
自分ではそういった描写をあえて書かないようにしているというか、自分で辛過ぎて書けないというか・・(TT)

> 曽我、がんばってお花見を提案したら、案外と「ああ、桜が咲いてるのか、気付かなかった。僕は夕方から会議あるから、みんなでちょっとやってきていいぞ。でも戻ってこいよ。飲み過ぎるな」くらい言ったかもしれないけど、とても提案できません・・・^^;)

そうですね。
仕事に余裕が出来たら、薪さんはそういった配慮も見せてくれるかもしれませんよね。
でも、どうせやるなら薪さんが居ないと、つまらないなあ・・(←これは私の個人的意見です^^;)

> うおお。さすが青木。薪さんにこんなことしたり、言ったりする奴がいないから、頭真っ白になっちゃいますね。照れちゃって、まあ。

あ、照れてたの、分かりましたか?
伝わっていて、嬉しいです。

>  青木のコートを着て、土手の上をコーヒー缶を握りしめながら、コートの前をかき合わせて歩いてる姿・・・肩幅は余りすぎだし、裾は靴まで届きそうでズルズル・・・。
>  静かにしんみりと浸っていたら、最後に吹いてしまいました。
>  そんな場面じゃないはずなのに、かのんさん、ごめんなさい~(><)

あはは☆
いえいえ・・どう想像するかは、読み手の自由ですから(^^)
同じ物を読んでも、しんみりする人、微笑む人、笑う人、色々あっていいと思うし、そんな風に味わっていただけたら、幸いです。

>  ちょっとぬるくなってしまったコーヒー缶の温度は、青木の心と同じくほんのりとした温もりで、春になっても薪さんの心に吹き荒れるブリザードがちょっと小やみになったのか、と思ったら、数年後の花見は、あにゃにゃな花見に・・・(@@;

あにゃにゃにしてしまって、申し訳ございません・・(←あやまるしか無い私・・)

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/221-edab2c22

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |