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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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第7話:朝食


クラウド王子とは、一体どんな人物か。
その噂は、一日と立たないうちに、城内に広まった。

「なかなか堂々とした見栄えの御仁らしい」
「実によく飲み、よく食べるそうだ」
「しかも、全く酔わぬとか」
「給仕係や、その他下々の者にも、気さくに声をかけるそうだ」

・・といった、男達の噂話より、どちらかというと、女達の噂話の方が、広まるのは早かった。

「凛々しいお方なのですって?」
「それはもう。姫様と並ぶと、まるで絵のようだとか」
「お会いするなり、姫様のお手を取り、永遠の愛と忠誠を誓ったのですって」
「まああ。なんて大胆なお方!」

この「永遠の愛と忠誠を」という言葉は、まるで流行の言葉のように、またたく間に城内に広がり、しかも、それには尾ひれが付いて回った。

その言葉と共に、王子は皆の前で姫を抱き締めたとか、いや、頬に接吻したのだとか、あげくには、早速寝室を共にしたという、下世話な噂まで流れていた。

噂は、近衛兵達の耳にも届いていた。
休憩を取る近衛兵達が、城の食堂で荒れていた。

噂を聞いて驚く者。
「畜生!」と叫ぶ者。
ヤケ酒のようにワインをあおる者。

無理も無い。
近衛兵達は、多かれ少なかれ、皆、姫に焦がれていたのだから。

その食堂には、アオキールの姿は無かった。

浮かれる城の内外で、兵士達は、普段以上に強固な警護を求められ、休みを取るのもままならなかった。
しかし、皆、豪勢な宴に合わせ、家来達の食堂でも振舞われるご馳走に有り付きたくて、交替が来るのを心待ちにしていた。

アオキールは、そんな仲間の兵士達に、先に休憩を取ることを勧め、自分は最後まで交替を断り続けた。
食事を取る気にも、休む気にもなれなかった。
ただ、兵士としての務めを果たす事が、今のアオキールには必要だった。

やっと最後に交替を告げられ、その場を離れても、食堂に向かう気力は無かった。
そのまま寝室へと足を運び、寝床に倒れ込んだ。

さすがに疲れた身体はすぐに眠りに就いたが、明け方になって、アオキールは夢を見た。
マキアーヌが、ワイン色のドレスを身にまとい、遥か先を歩いていく。
共に歩く男は、噂に聞くクラウド王子だろうか。

・・いや、違った。
その背中には、見覚えがあった。
「スズキーツ・・」

いとこが姫の手を引いて、どこか遠くへと歩いていく。
やめてくれ!
姫を、連れ去っていかないでくれ!

飛び起きた時には、アオキールはびっしょりと汗をかき、顔は蒼白になっていた。
そのままアオキールは外へ出て、吐いた。

ろくに食事も取っていなかったから、吐く物はすぐに無くなった。
それでも、延々吐き続けた。

その様子に気付いたイマイップが、アオキールを食堂に引っ張っていった。
「何も食べなければ、体力も無くなる。まずは食事を取れ」
そう言って、アオキールの目の前に、パンやチーズを並べ、ワインを突き付けた。

アオキールは、酒はそんなに強い方ではない。
朝からワインを飲むことに、とまどう気持ちもあったが、思い切ってそのワインを飲み干した。
隅々に液体が染み込んでいくようで、身体が温まったように思えた。

パンに手を伸ばす。
一口食べると、身体が、腹がすいていると気付いた。
一口、また一口、気が付くと、目の前にあった物を、全て平らげていた。

先輩兵の気遣いが嬉しく、涙が浮かんでくるのが分かった。

そんなアオキールの様子をじっと見ていたイマイップは、口を開いた。
「アオキール、お前は・・」
「はい?」

アオキールはイマイップを見て、続きを待った。
だが、イマイップはアオキールの真っ直ぐな目を見ると、もうそれ以上、何も言えなかった。



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