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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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第13話:少女


マキアーヌは、広間のバルコニーに出て、夜の風に当たっていた。

遥か眼下に、衛兵達の灯す、松明が見える。
アオキールも、あの松明の近くに居るのだろうかと、そんな事を、考えた。

「姫、そんな所に一人でおられては、心無い者に狙われるのではありませんか」
現れたのは、クラウド王子だった。

「城の守りは、衛兵達が固めてくれている。もし、それを越えてここまで来る者があったところで、己の身は己で守る。それすら叶わないのであれば・・」
言葉の続きを、王子は黙って待った。

「・・それも、良いやもしれぬ」
そう言うと、マキアーヌは目を伏せた。

「姫・・」
クラウドは、姫に並び立ち、共に眼下を見下ろした。

「姫、ご自身の身がどうなっても構わぬと、そんな事を申されるな。亡くなったスズキーツ殿も浮かばれまい」
王子の口から、思いがけない名前が出た事に、姫は驚きの目で、王子を見上げた。

「・・スズキーツ殿のことは、大変残念であった・・。そして、我が国の宰相が刺客を放った事、心から詫びを申し上げる。・・すまなかった」
「・・・・・」

姫は、言葉が出なかった。
カイニーとの事件はともかく、スズキーツの一件に関しては、キョータカ公の関与は、表沙汰にされていなかった。

「キョータカ公とカイニーが共謀した先の事件に関しては、正式な詫びを入れたこと、知りおきかと思う。しかし、この城に忍び込み、王の暗殺まで謀ったとなれば、ただの詫びでは済まぬ。その重大さを理解するからこそ、公には認めることは、まかりならなかった」

「なので、こういった形でしか、詫びる事が出来ない。・・許される事ではないと分かってはいるが・・。本当に、すまなかった」

姫は、王子の言葉に、しばらく声を失っていたが、やがて・・言った。
「・・何も証拠が無いのだ。当然であろう。・・それに、もう済んだ事だ。この話を蒸し返したところで、スズキーツが帰ってくるわけでもない・・」

スズキーツの話をする事は、もっと動揺を伴うことだと思っていたが、こうして実際に王子と話していると、不思議な程、心穏やかに話せる事に、姫は自分でも驚いていた。

「・・姫は、私と初めて会った時のことを、覚えておいでだろうか。いや、此度の事ではない。もっとずっと昔、まだあなたが幼き頃に、私は一度、お会いしているのですよ」

クラウドは、静かに話し始めた・・

今は、王のご病気などで、それどころでは無いかもしれないが、ずっと以前は、和平の証に、互いの国に行き来する事もあったのですよ。

私が大臣に連れられてこの地に参ったのは、14の時でした。
和平を結ぶ国々に、その証として、王家の人間が訪れる、その際に連れられるのは、いつも私でした。

まだ幼き弟はともかく、第一王子である兄が選ばれないのは、大切な跡継ぎであるからだ。
よその国へ赴き、何かことがあったらただでは済まないと・・その点、私は・・

「捨て駒」そういう言葉を耳にした事もあります。
その意味が分かったのは、ずっと後のことですが。

でも私は、よその国を訪れる事を、楽しんでもいた・・もちろん、不安もありました。
実を言うと、とても恐かった。
しかし、訪れる国は、私にたくさんの物事を、教えてくれました。

14にもなれば、立派に王の代理として扱われる。
例え、実際に物事を成すのは、大臣だとしても。

何度目かの和平の結びを新たに行い、務めを果たして解放された私は、最後の日、城の外に出ました。
一人では出歩くなと大臣に言われてはいたが、私は、自由に歩きたかった。

それは、夏の初めの頃でした。
城のすぐ裏手に、花畑が広がっていた。
その中に、まだ7つか8つと思われる、美しい少女が座っていた。

恐がられるかとも思ったが、私はその少女に近付いた。
ところが、少女は全く怯えることも無く、私に、花を手渡してくれました。

家臣が探しているであろうと、私はすぐに城へ戻ろうと背を向けて歩き始めた。
すると、声がした。
振り返ると、そこには、少女より少し年かさの少年が居た。

「スズキーツ・・」
クラウドの話を聞いて、マキアーヌの脳裏にも、その時の情景がよみがえった。

「マキアーヌ、あちらに、君の好きなシロツメクサが、たくさん咲いていたよ」
そう言って、スズキーツは、摘んだ花を姫に手渡した。

「わあ。ありがとう、スズキーツ」
「あちらにも行ってみるかい?」
「うん」

そこに現れた、城の家来の一人。
「姫様、こんな所に居らっしゃいましたか。探したのですよ。スズキーツ、またお前は姫様を連れ出して。姫様が昨日まで、お熱を出して寝込まれていたのは知っているな。お仕置きが待っているぞ」

「待って。スズキーツは悪くない。私が、スズキーツが摘んできてくれた花を見て、咲いているところを見たいと頼んだの。スズキーツを叱らないで」
「姫様、乳母の息子の事を、気になさることはありません」

「スズキーツを叱らないで。叱らないと約束するまで、帰らない」
「姫様・・」

クラウドとマキアーヌの中で、同じ情景が流れていた。

「少女が、マキアーヌ姫だということは、すぐに分かった。熱を出したせいで、公の場に出てこられないと聞いていたので。そして、少年が姫の乳母の息子であり、兄妹のように接している事も、後から知る事が出来た」

クラウドは続けた。
「見ず知らずの私に、自ら花を手折り、家臣の息子の為に、必死に取り成していた・・私はその小さな姫を、ずっと忘れずにおりました・・」

マキアーヌも思い出していた。
誰だったのか、今日この時まで知らなかった、年上の少年を・・

「最初にあなたとの縁談を断られた時、私は、事情を探りました。そして、スズキーツ殿の存在を知った。あの時の少年と、ずっと変わらぬ想いを育んできたのかと、あなたのその一途さに、更に惹かれた。そして、それならば私は身を引こう、そう思った・・」

「しかし、宰相達は、納得しなかった。あなたや、あなたの国が、ユナイカ国をないがしろにしていると、宣戦布告だと受け取る者さえ居た。私は彼らを説得した。・・表向きは、私はそんな立場には無い。王や兄を立てなければならない。彼らの陰で、多くの人間を動かし、公には事なきを得た」

「・・だが、公に事を抑えた事で、キョータカ公は、裏で陰謀を謀る事となってしまった・・あの時は、誰もあの男に逆らえなかったのだ・・父王でさえも・・。まさか、そこまで謀るとは、私も予測出来なかった・・」

「王家の者として、国を治めることは、計り知れない重荷だ。誰も、それを肩代わりする事など出来ない。・・姫、あなたにもそれは、分かっている筈」

クラウドは改めて、姫をじっと見つめた。

「王家の姫として、あなたの肩にかかった重荷は、王家の者でなければ分からない。共に、その重荷を理解し合い、分かち合う事が、あなたと私なら可能だと・・そうは思いませんか?」
「・・・・・・」

何も答えられずに居る姫の、その手を王子は、そっと取った。
「姫、お相手を」

「今日は幸い、ドレスではない。踊ることもかないましょう」
楽士も居ないのに、王子はまるで、音楽が流れているかのように、姫の身体を軽やかに動かしてみせた。

狭いバルコニーで、どこにもぶつかる事もなく、王子は姫を自在に操り、無音のダンスが続いた。
踊りながら、姫も王子も、互いの顔を見つめていた。

姫の胸を打つ音が、徐々に速くなる。
それは、久々に味わうダンスの動きのせいだろうか。

と、王子は姫の手を自分の方へと引き寄せ・・姫が気が付いた時には、身体が王子の腕の中に、スッポリと納まっていた。

それはまるで、ダンスの続きのように。
あまりにも自然な事だった。



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コメント

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■ 

○非公開コメント下さった方

コメントありがとうございますm(_ _)m

きゃーーーーー!!!
すみませんすみません!!!

・・と思ったら・・あら、「うっかり許しかけた」とは・・
王子が姫に惹かれた理由が納得出来ましたか。そうおっしゃっていただき、とても嬉しいです。

ダンスまでは何とか許容範囲でしたか・・
いえもしかしてバルコニーで二人だけで並んで話してる時点で嫉妬されるかもと内心思っておりました・・

そして・・すみません、抱き締めちゃいました・・
きゃーーーーー!!!
やっぱり申し訳ございません!!!

これがアオキールだったら・・そうなんですよねえ・・彼も何やってんでしょうねえ・・(←人ごとのように・・いえ決して彼に責任転嫁しているわけでは・・)

■ きゃっ(≧∇≦)

こんばんは。かのん様♪

きゃっ♪(≧∇≦)♪

クラウド王子様やっぱり☆素敵☆です\(^ー^)/

こんな一筋に少年の頃から、マキアーヌ姫を想っていたのですね(ρ_;)

姫のスズキーツへの想いを知っていたので、一度は身を引いた。
では、スズキーツのいない今度は・・・。

もしかしたら・・・今のマキアーヌ姫のお心を「ご存知」?

う~ん。やっぱり、クラウド王子は冷静に鋭いところを突いてきますね~(^_^;)

そして、遂に、マキアーヌ姫を抱擁(≧∇≦)☆☆☆←今回は腐でないので白い星です☆

マキアーヌ姫ドキドキ(≧∇≦)

アオキールは今はああだから、辛いお心をクラウド王子様に慰めていただいて下さい(^_^)v

ほらっ!アオキール!ボーッと寄り道していると、大切な姫様は隣国の王子様に取られてしまうよっ(≧ヘ≦)

愛に身分は関係ない~☆\(^ー^)/☆・・・と思いたいです。

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます♪(^^)

> きゃっ♪(≧∇≦)♪
> クラウド王子様やっぱり☆素敵☆です\(^ー^)/

素敵ですか?良かった・・
そうおっしゃっていただき、嬉しいです。ありがとうございます。

> こんな一筋に少年の頃から、マキアーヌ姫を想っていたのですね(ρ_;)

あ・・いえ、一筋かどうかは・・(汗)
彼も年が年ですし・・諸外国に行って色々な経験もあるようですし・・
ただ、姫への想いは特別の場所にずっとあったかもしれませんが・・

> 姫のスズキーツへの想いを知っていたので、一度は身を引いた。
> では、スズキーツのいない今度は・・・。
> もしかしたら・・・今のマキアーヌ姫のお心を「ご存知」?

出ましたね、「ご存知」(^^)

どうでしょう。
少なくとも、姫が結婚に乗り気ではないのは分かっているし、その理由が何なのか考えた時、ある程度の想像は付くかもしれません・・

> う~ん。やっぱり、クラウド王子は冷静に鋭いところを突いてきますね~(^_^;)
> そして、遂に、マキアーヌ姫を抱擁(≧∇≦)☆☆☆←今回は腐でないので白い星です☆

たつままさん、星が白い・・さすが、芸が細かいですね(^^;)

姫が寂しそうにしてたシーンが頭にあったせいなのかどうなのか、気が付いたら抱擁までしてました・・まあ、クラウド王子がまた勝手に脳内で動いた結果なのですが。

> マキアーヌ姫ドキドキ(≧∇≦)
> アオキールは今はああだから、辛いお心をクラウド王子様に慰めていただいて下さい(^_^)v

寂しい時や辛い時に、自分を想って抱き締めてくれる・・ドキドキするし、頼りたくなっちゃうのではないかと・・

> ほらっ!アオキール!ボーッと寄り道していると、大切な姫様は隣国の王子様に取られてしまうよっ(≧ヘ≦)

そうだよ~。
君がしっかりしないと!

でも、アオキールはアオキールで、姫は王子と結婚するものと思っているし、姫は姫でアオキールが自分の傍に居るのは仕事の上での事であって、ユキエンナが居ると思っているし・・さて、どうなるでしょうね・・

> 愛に身分は関係ない~☆\(^ー^)/☆・・・と思いたいです。

そうですね、そう思いたいですが・・う~ん・・・

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