カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
第16話:定め


アオキールは、何故自分がクラウド王子に呼び出されるのか、理由がさっぱり分からなかった。

最上級の賓客が使う部屋の、その手前にある、その賓客が自分への客に会う為の、部屋。
兵士が姫に目通りする謁見の間とはまた違う、その豪奢な作りに、アオキールは、所在無い思いだった。

膝を付き、頭を垂れて待っていると、供の者を連れ、王子が現れた。
王子は部屋に入って奥の椅子に座ると、供の者を退出させ、部屋には王子とアオキール、二人だけになった。

「アオキールと言ったな」
「はい」
「顔を上げよ。立て。楽にしろ」

アオキールは立ち上がったものの、楽にしろと言われても、なす術が無く、そのまま、王子を見つめていた。
遠くからは何度か拝謁したが、間近で王子の顔を見るのは、これが初めてだった。

王子は、その人となりを見透かすかのように、アオキールをじっと見つめていた。
容赦なく真っ直ぐに向ける視線は鋭く、人を威圧する雰囲気があった。
だが、アオキールも目をそらすことなく、その視線を真っ直ぐに見返した。

「ふん・・」王子はそう声を出すと、話し始めた。

「サン・フクオーノ村出身。貴族の血を引く。実家は平民に過ぎぬが、食うには困らぬ裕福な暮らしぶりだ。父親を亡くし、母親と、結婚して隣り村に住む姉が一人」
よどみなく王子が話すのを聞き、アオキールは、自分の事を詳しく語る王子に、驚きを隠せない。

「国一番の馬の遣い手で・・・マキアーヌ姫の乳母の甥・・スズキーツのいとこに当たる」
王子は、そう結んだ。

一体王子が何を言いたいのか、自分の事を調べたのは何故なのか、アオキールには、見当も付かない。

「スズキーツのいとこだと、その事で、姫に取り入ったのか?」
王子の一言に、それまで呆然としていたアオキールの表情が変わった。

「取り入るなどと!」
「じゃあ何故だ。何故、姫はお前のような者を気にかけている」
「気にかける?・・おっしゃる意味がよく分かりません」

「・・なる程。少なくとも、通じ合う関係では無いわけだ」
「通じ合う・・姫が、そのようなことを・・! あなたは、姫を、侮辱するおつもりですか!」

「もう良い。よく分かった。我が妻になる女性を、近衛兵として守らんとするその働き、ありがたく思う」
王子はアオキールの顔も見ずに、そう言った。

アオキールは、憤慨していた。
その思いが、言うべきではない事を、口に出させた。

「・・姫は、あなたの妻にはならないと、そう言っていました」

王子の表情が、突然、硬くなった。
改めてアオキールを見上げると、言った。

「姫が、お前に、そう、言ったのか?」
一言、一言、噛み締め、確かめるように、尋ねる。

「・・・そうです」
アオキールは、キッパリと答えた。

クラウドは、アオキールを鋭く睨み付けた。
その視線は、より一層強さを増し、アオキールを射抜くかのようだった。

無言で睨み合う二人。

しかし、王子はフッとその視線を緩めると、口元に笑みを浮かべた。
その表情が何を意味するのか、アオキールは理解出来ず、怪訝な顔をした。

「・・姫は確かにそう言ったのかもしれぬ。だが、世の中には、誰がどう言おうと、既に決まった定めという物がある」
王子は笑みを浮かべたまま、話し続けた。

「この国が、もしや攻め込まれたその時、今の兵士だけでは守りきれるかどうか怪しい物だということは、お前にも分かるだろう。何、お前達の力が足りないと言っているわけではない。例えどんな精鋭でも、国を守り抜くには小さ過ぎるという事だ」

「その点、我がユナイカには、強大な軍事力がある。姫と私が結ばれれば、それが共有の物となるのだ。この国の宰相達も、それを当てにしている。そして、ユナイカ側では、この国の豊かな実りを。王家の結婚は政治であり、それに伴う利害も大きな産物だ。見過ごす事は出来ない」

王子の話を聞き、アオキールは言った。
「あなたは・・利害の為に、そんな物の為に、姫との結婚をお考えなのですか?」

「そんな物・・例えそんな物でも、それだけの産物を得られる結婚は、王家の者同士でなければ有り得ぬ。王家の人間の肩にかかる物とは、そういう物だ。お前達には、一生かかっても理解することはかなわない。・・姫の立場を、その重さを理解するのは、私以外には無理なのだ」

「これで分かったろう。定めという物が。姫がお前に何と言おうと、定めから逃れることは有り得ない」

アオキールは、何も言えなかった。
確かに、姫の重さを理解する、それは、どうあがいても自分には無理なことに思えた。

だが・・・

アオキールの胸に、結婚はせぬと、そう言ったマキアーヌの顔が浮かんだ。

「・・本当にそうでしょうか」
「うん?」
「定めとは、決められた物なのでしょうか。望まなくても、そこに歩を進めなければならない、そういう物でしかないのでしょうか」

アオキールは、今、王子に向かって話しているのではなかった。
目の前に居る人間にではなく、自分の中に向かって、話していた。

「私は、違うと思います」
そう言って、アオキールは改めて、顔を上げた。

「定めとは、自分で作る物です。人と人の出会いは、最初から決められた定めかもしれません。でも、その上でどう生きていくのか、それは自分の意志で、望みで、道を作っていく物だと思います」

「姫が望むのであれば、その道を阻む術は無いでしょう。でも、望まない道であれば・・」

「例え、そこにどんな利があろうと、進むべきではない。姫には、姫自身が作る、道がある筈です」

アオキールは言い終えた。
一国の王子を前に、思う事の全てを、言い切ったのだ。

王子は束の間、黙ってアオキールを見つめていたが・・
「望まない道だと、どうして言い切れる?」
「え?」
「姫が一度、妻になる気は無いと言ったからと言って、それが本心とは限らない」

思いがけない王子の言葉に、アオキールは、虚を突かれた。

「女というものは、往々にして、本心とは別の言葉を口にするものだ」
「姫が・・それは・・」
アオキールは、姫が心と違えた言葉を口にするなどとは、考えもしなかった。

「それに、例えその時は本心だったとしても、私は、それを変えてみせる。そう、心というのは、不安定な物だ。特に今は、様々な事柄で、姫の心も迷い易い。何が一番の望みなのか、姫自身も分かっていないかもしれぬ」

「確かに、お前が言うように、定めとは、人が望んで作る道かもしれない。だとしたら、姫の望みが、その定めが一体何なのか、私は、一番正しい道に、姫を導いてみせよう」
「・・・・・」

「アオキール、お前との話は楽しかった。下がるがよい」

アオキールが退出すると、つい立ての陰から、ジェラントが現れた。
王子をよその者と二人だけにする事には、危険が伴う。

王子の身を守る為、人払いしたように見せかけた時、実はいつもこうして、ジェラントが傍に控えているのだった。

「王子に対して、一介の兵士があんな口を聞くとは。聞いているこちらの方が、きもを冷やしました。何という奴だ」
「一介の兵士だからこそ、恐い物を知らぬのかもしれぬ」

「無知な人間とは、恐ろしい物ですな」
ジェラントはそう言って、笑った。

「そうだな。何も知らない。だからこそ、手強いとも言える」
「?・・王子?」
不思議そうな顔をするジェラントを通り過ぎ、クラウドは、遠くを見ていた。

「だが、だからと言って、何が出来る? 何も出来はしない・・」
口元は、笑みを浮かべているようにも見えたが、その目は、笑っていなかった。

まるで、そこに居ない人間を、じっと見つめているかのようだった。



関連記事

コメント

■ 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

■ 

○非公開コメント下さった方

コメントありがとうございます。
レス遅くなりましてすみませんでした。

わくわくしていただき、嬉しいです!!

姫に焦がれてる男はたくさん居ると思うのですが、たぶん立場が恐れ多いだけに、ここまで露骨に姫の事で火花(?笑)を散らす二人というのは初めてかも知れませんね(^^;)

「よく言った」とおっしゃっていただき、嬉しいです(^^)
アオキールは、王子だろうが姫だろうが関係なく、堂々と意見できるイメージがありますね。

そして、ご指摘のセリフも、たぶんアオキールは、基本的に真面目で、あえて道を外れるような事はしないけれど、かと言って、決められた道に染まらない、自由な発想で、自分で道を切り開いていく人かなあと思います。

そそ・・嬉しいですが、あの・・アオキールが言ってるのであって、私が言ってるのではありませんし・・
私の方こそ、そちらのブログでの麗しい絵や文、その溢れるセンス、薪さんへの深ーい愛、垣間見えるお人柄を、尊敬致しておりますm(_ _)m

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/240-bc892e25

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |