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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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第24話:夕暮れ


中庭の、訓練場に向かう道とは反対側に、城の裏手へと続く並木がある。
木は互いに枝を張り合い、こんもりと茂り、その奥は林のようになっていた。

そのうちの、特に背の高い一本に、マキアーヌは居た。

太い幹に、丈夫な枝。
幼い頃に、その登り方を教えてくれたのは、スズキーツだ。
今思えば、そんな事を自分に教えた事で、またもスズキーツは叱られていたことだろう・・

マキアーヌは、この木が好きだった。
葉が生い茂り、更にツタが絡まるこの木は、登ると、周囲からの視界を阻む。
幼い頃から、一人になりたい時には、よくここへ逃げ込んでいた。

この場所を知るのは、自分と、スズキーツだけだった・・・

「姫、そこにおられるのですか?」
誰も知る筈の無いその場所に、聞き覚えのある声がする。

身をかがめ、生い茂る葉をくぐり抜けて、声の主が姿を現した。
「アオキール・・」

「そこへ、私も行ってよろしいですか?」
姫が返事をするその前に、アオキールは手をかけて登り始めた。
程なくアオキールは、姫の隣りに並んだ。

狭い木の上では、身をそらす事もかなわず、姫は、アオキールとピッタリと身を寄せ合う形になった。

どうしてこの男は、いつもいつも、王女である自分に対して、ここまで無遠慮に出来るのだろう。
そして、どうして、そんな無礼な男に、自分はこうして寄りかかる事が、嬉しいのだろう。

「へえ。外からは見えないのに、中からは、葉の間から向こうが見えるのですね。遠い山まで。もう夕暮れだ」
アオキールは、葉の隙間から入り込む夕日に、目を細めた。

「何故、ここが分かった?」
「・・何故でしょう」アオキールは、姫を見て、微笑んだ。

「・・身体はもういいのか?」
姫は、アオキールから目をそらして、言った。
あまりにも、相手の顔が近過ぎる。

「ええ。身に余る部屋を用意していただいて。お陰ですっかり良くなりました」
「・・そうか」

「姫も、二度程、私の元に足をお運び下さったそうですね。侍女の方から話を聞きました。・・眠ったままで、失礼を致しました」
「・・良いのだ。お前が無事であれば。それさえ確かであれば、私はそれで、良いのだ」

姫が、アオキールの眠る部屋に向かうと、お付きの者達は、すぐさまアオキールを起こそうとした。
だが、姫はそれを止め、束の間、アオキールの寝顔を眺めると、すぐに、部屋を去った。

アオキールが、そこで眠っている。
健やかに、寝息を立てている。
マキアーヌは本当に、それだけで、満足していた・・・

アオキールは、静かに微笑む姫の顔を、じっと見た。

葉の間から夕日が差し込み、姫の茶色い髪が、ところどころ金色に光る。
姫が瞬きをする度に、その長い睫毛が羽ばたきを見せる。
白い肌に、頬だけがうっすらと赤みを帯び、ふっくらとした唇は、艶めいていた。

アオキールは、まるで、初めて姫を見たかのような、錯覚にとらわれた。
これまで、ずっと見てきたというのに、何にも、自分は気付いていなかったと、悟った。

今、目の前に居る姫の横顔は、これまでアオキールが見てきた誰よりも、何よりも、美しかった・・・

「姫」
「アオキール」
同時に二人は、声をかけた。

そして互いに、押し黙った。
姫の方から、その沈黙を破った。

「アオキール、お前は・・心に決めた女性が居るのであろう?」
「え?」
アオキールは、自分の心を見透かされたのかと、一瞬、驚いた。

そんなアオキールの様子を見て、姫は寂しげにつぶやいた。
「・・やはりな・・」
「あ・・私は・・」
言いかけるアオキールを、姫が制す。

「良いのだ。ユキエンナは、聡明な女性だ。お前とは・・似合いかもしれぬ」
静かにそう言う姫の顔は、穏やかに微笑んでいるようにさえ、見えた。

「え!?」
アオキールは、思わず大きな声を出した。

「違うのか?」
「あ・・いや・・」
アオキールは、真っ赤になっていた。
姫がそんな噂を聞いていたとは、思いもよらなかった。

「いえ・・彼女は、違うんです。あれは・・」
口ごもるアオキールを、姫がじっと見つめている。

その顔を見ているうちに、アオキールも、次第に真剣な面持ちになった。
そして、改めて声を落とし、ゆっくりと、言った。

「確かに・・私が、ユキエンナ殿に惹かれていたのは事実です。彼女は、魅力のある方だと思います」
マキアーヌは目を見開き、そして、顔をそむけた。

覚悟していた事とは言え、アオキールの口から直接その言葉を聞くことは、やはり、耐え難いものがあった。

「ですが・・私が惹かれていたのは、ユキエンナ殿の、その人の魅力ではありませんでした。私は、彼女の持つその瞳に、惹かれていたのです」
「・・・?」
どういう事かと、姫はまたアオキールに向き直り、その顔を見つめた。

「ユキエンナ殿の目を、初めて正面から見た時、私は、何やら不思議な感覚に襲われました。その時は分かりませんでしたが・・私には、その瞳が、別の女性と、重なって見えたのです」
アオキールは姫を見つめ、そして正面の空を見上げ、続けた。

「彼女の瞳には、強い意志が感じられました。己の信じる道を進む、ひたむきさと健気さ・・そこに私は・・私は・・姫と同じ物を感じたのです」
「アオキール・・」

「己の信じる物を守らんとする強さ、そして・・姫はそれだけではなく、誰かの助けを必要としながら、必死で独り耐えようとしている・・弱さを内に秘め、それでも強くあらんとする姫の瞳に・・私は・・惹かれているのです」

姫は言葉を失い、ただただ、アオキールを見つめていた。

「・・もちろん、姫にはクラウド王子という、正式なお相手がいる事は承知しております。私など、何一つ、王子に敵う物は無い事も・・。それでも、身の程知らずとは分かっていても、私は・・ずっと、姫のお傍に、お仕えしたいのです」

「それは・・どういう・・?」
アオキールの、あまりにも思いがけない言葉に、姫は、どう受け止めたら良いものか、とまどっていた。

「姫、以前、私にお聞きになりましたね。王女でもない、兵士でもない、姫という一人の人間に、私という一人の人間が答えるとしたら、何と言うかと」

アオキールは、真っ直ぐに姫の顔を、その瞳を見つめて、言った。

「兵士としてではなく、私という一人の人間は、姫、あなたという一人の人間と・・・この身が朽ちるまで、共に、生きて参りたいのです」

姫の瞳が揺れた。
何かを言おうと口を開きかけたが、言葉にならず、代わりに身体がぐらりと揺れた・・

「ウワッ・・!!」アオキールが思わず叫ぶ。
木の枝から落ちかけた姫を、アオキールはしっかりと抱き留めた。
そしてそのまま・・

アオキールは、姫のその唇に、自分の唇を重ねた。

ほんの少しの間にも関わらず、その一瞬は、長い長い時に思えた。
世界の時が全て、止まってしまったかのようだった。

アオキールは、顔をそっと離した。
姫の輝く瞳が、そこにあった。

姫は、アオキールの頬にそっと触れ、アオキールは、更に姫をしっかりと抱き締めて・・

互いに引き寄せられるように、もう一度、二人の唇が重なった。
その口付けは、さっきよりも、もっと長く、もっと深く・・
互いの唇を、その感触を、確かめ合うように。

そして繰り返される、まるで嵐のような口付け。
互いの想いが溢れ、ほとばしり、とどまるところを知らなかった。

目くるめくその口付けは、二人の上に、甘い甘い夢を、降らせていった・・・・





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コメント

■ きゃあああ(≧∇≦)

こんばんは。かのん様♪\(^ー^)/♪

このシーン♪最高です(〃▽〃)
胸がきゅ~んとしてきました(^_^)v

マキアーヌ姫良かったね。
アオキールはあなたを心から愛していますよ(≧∇≦)

もう、一人で苦しまないで下さいね(^_^)v

アオキール、ユキエンナの強い意思を秘めた瞳にマキアーヌ姫を見い出していたのね(^ー^)

マキアーヌ姫の瞳に惹かれていたアオキールは、改めてマキアーヌ姫の美しさに魅了されてましたね(≧∇≦)

出てきましたね。薪さん・・・じゃないマキアーヌ姫の美しさを語る上で外せない「長い睫毛」
さすがかのん様☆☆☆
それに、羽ばたくなんて♪♪♪
まるで・・・私たちの黒い翼ですね(笑)

素敵ですね・・・夕陽に包まれ、二人きりの空間で抱擁と口付けの嵐(〃。〃)
溢れる二人の想いを感じました☆☆☆

マキアーヌ姫とアオキールで、二人きり、というのはなかなか難しいですよね(^_^;)
なので、誰からも見えない木の上なんてサイコーですっ♪

姫と兵士という関係でなく、一人の人間として向き合う。

木の上で座り、同じ目線で、アオキールが自分の想いを告げる・・・
ああ、なんて・・・某漫画(笑)でも是非お願いします\(^▽^)/

この二人の抱擁と口付けの嵐には、夕陽が合っていますね☆☆☆「朱色の空」のシーン33を思い出しました(*^▽^*)

この幸せを、この愛を、今は誰にも邪魔されたくないですね(≧∇≦)


でも、クラウド王子様の動向も気になります~(^ー^)

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!

> きゃあああ(≧∇≦)

叫びのタイトル、嬉しいです☆

> このシーン♪最高です(〃▽〃)
> 胸がきゅ~んとしてきました(^_^)v

きゃ~~~~~っ!!!最高ですか?
嬉しいです、嬉しいです、嬉しいです~~~!!!

きゅ~んとして下さって、更に嬉しいです、嬉しいです、嬉しいです~~~!!!

> マキアーヌ姫良かったね。
> アオキールはあなたを心から愛していますよ(≧∇≦)
> もう、一人で苦しまないで下さいね(^_^)v

ホントそうですね。
一人で苦しまないでほしいですね(TT)
これからは、分かち合う人が居ると、信じてほしい・・

> アオキール、ユキエンナの強い意思を秘めた瞳にマキアーヌ姫を見い出していたのね(^ー^)

惹かれたのは事実だと本人も言っていますが、それは姫と同じ物を感じたからこそ惹かれた、ユキエンナ本人に惹かれたのではなかった・・と(・・これも願望?)

> マキアーヌ姫の瞳に惹かれていたアオキールは、改めてマキアーヌ姫の美しさに魅了されてましたね(≧∇≦)

だからね、姫の美しさに今まで気付かなかったのは、君ぐらいだよ、アオキール(笑)

> 出てきましたね。薪さん・・・じゃないマキアーヌ姫の美しさを語る上で外せない「長い睫毛」
> さすがかのん様☆☆☆
> それに、羽ばたくなんて♪♪♪
> まるで・・・私たちの黒い翼ですね(笑)

はい。一つのお話しに一度は登場する睫毛☆☆☆
この時のアオキールの目には、瞬きで動く睫毛でさえ、美しいスローモーションに見えるのです。
で、一番ピッタリ来る表現が「羽ばたく」かなと(^^)

> 素敵ですね・・・夕陽に包まれ、二人きりの空間で抱擁と口付けの嵐(〃。〃)
> 溢れる二人の想いを感じました☆☆☆

ああああああああ・・嬉しいです(TT)
ずっと以前から想い合っていたのに気付かなかった、それが溢れ出る瞬間・・さぞや情熱的だろうなと。

> マキアーヌ姫とアオキールで、二人きり、というのはなかなか難しいですよね(^_^;)
> なので、誰からも見えない木の上なんてサイコーですっ♪

危険な目に合ったばかりなので、お城の外というのは危ないかなと。
かといって城の建物の中というのも、やはりたつままさんのおっしゃるとおり、姫と兵士ではなかなか二人きりは有り得ない・・
そんな中、自然とこの情景が浮かびました。

> 姫と兵士という関係でなく、一人の人間として向き合う。
> 木の上で座り、同じ目線で、アオキールが自分の想いを告げる・・・
> ああ、なんて・・・某漫画(笑)でも是非お願いします\(^▽^)/

はいはいはい!!!
「第九室長とその部下」としてではなく、互いに一人の人間として向き合って、自分の胸に宿る気持ちに気付いてほしいのですよっ!!!
是非!是非・・・・!!

> この二人の抱擁と口付けの嵐には、夕陽が合っていますね☆☆☆「朱色の空」のシーン33を思い出しました(*^▽^*)

私も近いイメージで書いておりました(^^)
今回は、自分で書いた二次創作の二次創作な部分も大いにあります。
思い出していただいて嬉しいです♪

> この幸せを、この愛を、今は誰にも邪魔されたくないですね(≧∇≦)

次話ももう書き上げてるのですが、自分でもこの余韻に浸りたくて、なかなかUP出来ず・・(笑)
うだうだと細かい所を推敲しながら、引き延ばしております・・

> でも、クラウド王子様の動向も気になります~(^ー^)

4話連続お休みしていたクラウド王子、次話でやっと出てきます。
そして、それも含めてあと3話(2話+エピローグ)で終わりです。

ラストスパート、頑張ります!

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