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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene3:そよ風


男二人で指輪を買う。
・・ということに、青木は少し躊躇していた。

指輪の話が出てからというもの、デパートのアクセサリーコーナーや、ジュエリーショップを傍らに見ると、ふと、足を止めていた青木だったが。

「何かお探しですか?」
すかさず店員が近寄り、笑顔で青木を招き入れる。

「大切な方へのプレゼントですか?」
「あ・・はい。その・・揃いの指輪を・・」
「ペアリングですね。こちらにございます」

「こちらでしたら、男性の方が付けてもお似合いですよ。あるいは、女性の方がこのピンクコーティング、男性はこちらのブラックコーティングを合わせるという組み合わせもあります」
「あ・・」

「彼女の指輪のサイズは、お分かりですか?」
「あ・・いえ・・」
「少し大きめの物を選んでおいて、プレゼントしてからお直しするということも出来ますが」
「・・・やっぱり、また、今度にします」

「よろしかったら是非、彼女もお連れになっていらして下さいませ。お待ちしております」
・・笑顔で見送られたのだった。

どの店に入っても、相手は女性だと決め付けられる。
当然と言えば当然だが。
店員のそういった認識の中で、どうしたら良いものか、青木はとまどうばかりだった。

「そんなこと、気にする必要は無い」
「・・それは、そうなんですが・・」
「それなりの店に入れば、どうこう言われる事も無いだろう」

薪が選んだ「それなりの店」は、青木には、ちょっと敷居の高いものだった。
「薪さん・・こんな店、入ったことあるんですか?」
「いや、初めてだ」

言いながら、薪はショップのドアを開けた。
「いらっしゃいませ」
入り口に居た店員に、丁寧に頭を下げられて、青木は、出掛けに薪に服装チェックをされたわけが、分かったような気がした。

「どのような物をお探しですか?」
キビキビとした態度の女性にそう聞かれ、薪が答える。

「指輪を見たいのですが」
「プレゼントですか? それとも・・」
「自分で、普段から使える物を」
「それでしたら、こちらに」

二人で、いくつかの指輪を試してみた。
薪の細い指、青木の男性的な手、どちらにも似合う物となると・・

結局、少し幅のある、銀色のリングを選んだ。
上から見ると、外側が不規則な八角形に見えるデザインで、あとはシンプルな物だった。

「この、値段の違いは?」青木が尋ねる。
「素材によってお値段が変わって参ります。プラチナ、ホワイトゴールド、シルバー・・普段使いをされるのであれば、シルバーをお求めになる方が多いですね。長くお使いになるのであれば、プラチナをお勧め致しておりますが」

青木が、薪を見る。
薪は、肩をすくめる。
「じゃあ・・プラチナで」
店員に向かってそう言う青木に、薪はフッと、微笑んだ。

「何か、刻印はなさいますか?」
「え?」店員の言葉に、青木は聞き返した。

「名前やイニシャル、メッセージ等の刻印を承っております。特に無いようでしたら、このままお包み致しますが・・」
「・・特には」
青木は、そんなこと、考えてもいなかった。

薪の様子を見ると、薪はじっと青木を見上げ・・そして、目をそらした。
「・・・・・」
さっきの薪の表情とは、あきらかに違う・・

「あの!・・やっぱり・・入れるとしたら、どういう物が入りますか?」

年月日とイニシャルの組み合わせ、互いの名前を入れた物、メッセージを組み合わせた物・・様々な見本があった。

「これは・・?」
メッセージ例の中に、見慣れない言葉があった。

「こちらは『誓い』という意味ですね」
「誓い・・」

その刻印を、入れてもらうことにした。
受け取るまでに、日数を要する事になってしまったが・・。

店を出て、青木はふっ・・とため息を付いた。
何ヶ月も気にしていた仕事を、一つ終えた気分だった。

ホッとしたら、お腹がすいた。
「何か食べて行きましょうか」
青木の提案に、薪は返事をしない。

「薪さん・・?」
隣りを歩く薪に声をかけると、
「ん? あ・・何だ?」
薪は我に返ったように、青木を見た。

「どうしたんですか?」
「・・・・・」
薪は黙って、ゆっくりと歩きながら、そっと青木に寄り添った。
腕が触れる程、近くに・・

そして言った。
「ありがとう・・」

青木は立ち止まり、薪を見下ろした。
薪も、青木を見上げている。

青木は思わず、薪のその肩を抱き寄せようとして・・だが、肩に手をそっと乗せただけで、すぐにその手を降ろした。
「・・薪さん、やっぱり今すぐ、帰りましょうか」
「うん?」

「ここじゃ・・何も出来ない」
「・・馬鹿」

薪は微笑んだ。
風がそよぎ、薪のその笑顔を、茶色い髪がかすめた。

二人は並んで、歩いていった。





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