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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene2:気配


「じゃあ、何かありましたら、呼んで下さい」
そう言って、室長室を出ようとする岡部を、薪が呼び止めた。

「ああ。早速聞きたいことがある」
「何ですか?」
「パスワードを入れたら、アクセスを拒否された。・・青木に聞いたパスワードが、どうやら違っていたらしい」

薪の言葉に、一瞬、岡部は無言になった。
「・・薪さん、帰国してから、青木にお会いになったんですか?」
「ん? ・・ああ」

薪はチラリと岡部を見上げたが、それ以上は、何も言わなかった。

「職場で・・ここで会ったんですか?」
「いや」

・・薪の様子だと、帰国してから第九に来るのは、今日が初めて、しかも、つい先程着いたばかりに見える。
職場以外で会ったというのは、本当だろう。

だったら、どこで?
会ったのは、偶然か?

薪さん、もう少し、もう少しでいいから説明して下さいよ・・
と、岡部は思ったが。

「それで、パスワードは?」
薪に尋ねられ、岡部は我に返った。

「ああ・・室長室の端末は、また別のパスワードに設定してあるんですよ。ここの端末は、他部署の情報とも繋がってますから。個人情報の保護に関しては、世間は益々敏感になってますからね。オレなりに、色々と考えてやってるんですが」

そう言って、岡部は薪と共に端末に向かい、目の前でパスワードを入れて見せた。
「うん・・分かった」
画面にはパスワード自体は映らず、不規則な文字や数字の羅列であるのに、薪は、岡部が叩くキーを見て、一度でそのパスワードを覚えたようだった。

ごく近くにある薪の横顔を見て、岡部が「薪さんは、全く変わらないな」そう思っていると、薪もふいに振り返り、岡部の顔を見た。

「? 何ですか?」
岡部が尋ねると、薪は言った。
「お前、以前よりもヒゲを伸ばすことにしたのか?」
「え!?」

岡部は、自分の顔をさすった。
今日は、どうせ守衛にしか会わないと思い、ヒゲの手入れを怠っていた。
だが、元々伸ばしているヒゲ等、多少の違いには誰も気付かないとも、思っていた。

だが、薪には、その些細な違いを、簡単に見破られてしまう。
自分のアゴに手を当てる岡部を見て、薪はクスッと、笑った。

その柔らかな笑顔を見たら、岡部は、青木のことなど、どうでもいい気分になっていった。


************


その日、薪が家路へ向かうと、見上げたその部屋の窓に、明かりが見えた。
「!・・・・」
自然に足が速まる。

部屋の前まで来ると、玄関のライトも点いていた。
チャイムを鳴らしたが、反応が無い。
鍵を開けて入ると、そこも明かりが点いていた。

見下ろしたその先には、青木の靴。
リビングからも、漏れてくる明かり。
そして物音・・人の気配。

音の源へ近付くと、青木が顔を上げた。

「すみませんでした。出られなくて。ちょうど今上がったところで」
脱衣場で、青木はスウェットのズボンを履き、裸足で上半身は裸のまま、タオルを頭にかぶっていた。

青木は、身体から湯気を立たせ、メガネを外しているため、若干目を細めて、薪を見つめた。
「お帰りなさい、薪さん」
「ああ・・ただいま」

それ以上何も言わず、薪は青木を見つめていた。
「薪さんも入ったら」
「・・そうだな」

薪は寝室に入った。
大きな鞄が目に入る。

「直接、ここへ来たのか?」
「え?」
ドライヤーを使っていた青木は聞き返し、そのスイッチを止める。

「何ですか?」
「自分の部屋に寄らずに、福岡から、直接ここへ来たのか?」
「ええ」

「・・明日は仕事だぞ。今日は帰った方がいい」
「え・・」

「明朝は早い。着替えもあるだろう。それじゃなくても疲れてる筈だ。まったく・・真っ直ぐ自分の家に帰れば良いものを」
「・・・・・」

青木が脱衣場から出て来るのと入れ違いで、薪はバスルームに入っていった。
青木は、そんな薪の背中を見送り、ため息を付いた。

薪は湯船に浸かった。
自分でスイッチを入れなくても、沸いている風呂。
既に暖まった浴室。
その一つ一つを、受け止めている自分が居た。

薪が風呂から上がると、青木は、リビングで、缶ビールを手に、ポツンとソファーに座っていた。
「・・何か、食べるか?」
薪が聞く。

「・・薪さんは?」
「僕は、岡部と食べてきた」
「そうですか・・。岡部さんと」

「3日間、あいつが居て助かったからな。引継ぎも全て終わった」
「・・オレも、途中で腹が減ってラーメン食べてきましたから」
「・・そうか」

薪は、テーブルを挟んで、青木の向かいに座った。

「岡部さん、嬉しかったでしょうね」
「うん? 大した物は食べてないぞ」
「そうじゃなくて。・・2年ぶりに、薪さんに会えて」

「2年ぶりとは言っても、頻繁に連絡は取っていたからな。モニター会議で、定期的に顔も見ている」
ことも無げに薪は言う。

薪のその顔を見て、青木は微笑んだ。
相変わらず、自分のことには、無頓着な薪・・

「・・いくら、モニターを通して顔を見たり、声を聞いたりしても、直接会うのとは違いますよ・・それは、オレが一番良く知ってる」
自分をじっと見つめる青木の言葉に、薪も青木の顔を見る。

「・・だって、たった3日だって、離れていたら、薪さんに会いたくてたまらなかった。何度か電話したけど・・声を聞けば、余計に・・」
「青木・・」

「自分の部屋に帰るなんて、そんなこと、考えもしませんでした。今日はオレ、ここに泊まります。明日の朝、出勤前に一度帰って、着替えてきますよ。薪さんの命令でも、今夜は、帰りませんから」
言うと同時に青木は立ち上がり、薪に近付いた。

「あお・・」
最後までは言えなかった。
薪は、青木にしっかりと抱きかかえられ、唇を塞がれていた。

舌と舌を絡めながら・・青木の左手は薪の背中を支え、右手は、薪の身体をさぐった。
「う・・あ・・」
薪の吐息と共に甘い声が漏れ、身体はビクビクと反応した。

たった3日、いや、2日半、離れていただけなのに、薪の身体はまるで、数ヶ月ぶりに会った時のように、敏感になっていた。

「帰れなんて・・言わないで下さい・・」
青木が、薪の耳元でささやく。

答える代わりに、薪は青木の肩を、両腕で強く抱き締めた。





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