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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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第一幕 第四場 : 犯人


「非通知着信・・」
薪は、青木の操作する画面を、覗き込んでいる。
更にその画像が、大きなモニターにも、映し出される。

「ええ。坂上は、この日、知人達とゴルフをしていて・・これは、家族の証言と一致します。その合間に、何度か非通知の着信画面を見ています。でも、ゴルフの最中は放っておいたようですね。そして、知人達と別れ、車に乗り込んだ時点で、もう一度かかってきて・・」

坂上が、受話器ボタンを押す・・そして耳に当てたようだ。
「視界が・・」
薪は、つぶやいた。

「視界が一瞬揺れて、ぼやけている・・何か、会話の内容に、気を取られた・・」
「そして、電話を切った、そのすぐ後に、今度は坂上から電話をかけています。住所録から、『高橋Y』という名前を選んで」

「今井! 坂上のケータイの通話記録を調査。非通知でも、発信元は特定される筈だ。『高橋Y』という人物も確定しろ!」
「はい!」

青木は、画面を進めながら、話を続けた。
「この高橋という人物との電話を切った後、坂上は、カーナビをここに合わせています・・別荘地です」
「帰宅する予定だったのに、ここに向かったのは、非通知の電話が原因か」

「・・少し画像を飛ばします。車で1時間程。その間には特に何も起こりません。・・そして、着いたのがここです」
「どこだ?ここは」

「別荘地の入り口にある公園です」
「誰も居ない・・一人でこんなところへ出向くとは、警戒するような相手ではなかったということか?」

「道路を隔てた向かいには、別荘の管理事務所や、土産店もあります。決して人里離れた場所ではありません」
「・・だが、この公園には、誰も居なかった」

「更に、奥に入ると、死角になって、周囲から遮断されるようです」
「・・この場所をよく知っている人間・・別荘の持ち主か・・」

「そして・・」
青木の言葉と共に、次の画像が現れ、薪は、その大きな瞳を、更に見開いた。

坂上は、車から降りると同時に、光の点滅を見て、目を閉じた・・。
「殴打されている・・こんなに、簡単に・・」
薪は、唇を噛み締めた。

「小池! この別荘地の所有者のリストを入手。そこから、坂上と接点のある人間を絞るんだ!」
「はい!」

「薪さん! こちら、いいですか?」
宇野の声に、薪はそちらに移動した。
宇野の指す画面を覗き込む。

「2時間程、気絶していたようです。目を開いたところです」
「青木! 今度はこちらをモニターに映せ!」
「はい!」

「視界が低い。床に直接座らされている・・動こうとして動けない・・自身の手が見えない。後ろ手に縛られているからだ。白い壁。白い天井。横に長い部屋。ドアが一つ。反対側に棚が一つ。・・そして、小さな窓が一つ」
薪は、軽く握った手をアゴに当て、じっとその画面を見つめている。

坂上が、何か物音を発したのか、その窓が開いた。
その向こうに立っているのは、男か。
ワイシャツの胸の辺りが見える・・だが、顔は見せない。

坂上の視点が、盛んに動いている。
窓を凝視し、更に部屋を見渡し、また窓を・・いや、たぶん、男を、見ている。

突然、坂上は、動かなくなった。
「何だ?」
モニターを見ながら、岡部がつぶやいた。

窓から見えるその男を見つめたまま、坂上は動かない。
青木は、モニターを見ながら、何かが背中を走る感覚を覚えた。

・・そこに感じられるのは・・恐怖・・。

「あっ!」
曽我が叫んだ。

突然、坂上の視界が、真っ暗になった。
「部屋のライトを消されたか?」

そして・・二度とその視界が、蘇ることは、無かった・・・

「くっそお・・情報が足りな過ぎる!」
岡部が頭をかきむしって叫んだ。

・・呼び出しに応じたというのは、何か取引があったからだ。すぐに足を向けさせる程の、何か・・
最初は、脅しではなかった。脅しだったら、坂上はもっと警戒する筈だ。
一体、何があった? 何が坂上を、ここまで連れ出した?

薪はめまぐるしく脳を回転させ、指示を出す。

「曽我! 青木! もっと過去にさかのぼって、関連する画が無いか探せ。何か因縁がある筈だ。宇野! この男の画像を出して、前科者のリストと合わせろ。シャツから見える首の部分、ここからコンピューターで突き合わせて検索を」

「岡部」
薪は、岡部を呼び寄せた。

「お前は、どう思う?」
薪の質問に、岡部は怪訝な顔をした。

薪は、傍のデスクにもたれると、握った手を口に当て、目を伏せ、言った。
「坂上の画を見て、何か・・気が付いたことがあるか?」

「そうですね。実に計画的な犯行だと思いますね」
「それに・・犯人は、坂上の脳が、MRI捜査にかけられることを、意識していた」
「え?」

薪は、目を上げた。
「相手を殺すつもりなら、普通は、顔を見られたって、構わない筈だ。だが、犯人は、電話も非通知にして、坂上の視界に入らないように気絶させ、会話をする時も、顔を見せなかった・・唇の部分さえ・・読唇を警戒して・・」

「MRI捜査は、今や世間一般的な物です。犯罪を犯すものが、それを警戒するのは、当然のことでしょう」
「被害者の肉を切り取り、それを遺体の傍に置くという、常軌を逸した犯罪を犯した。・・猟奇犯罪が、第九に回されることは、充分承知の上で。その上で、巧妙に自分に関わる情報を隠した」
「頭のいい奴ですね。・・そして、異常者だ」

「犯人は、自分は捕まりたくは無い。だが、坂上の脳を、第九が見ることは望んだ。・・何の為に?・・」
「薪さん・・」

薪はもう、岡部に話しているのではなかった。
犯人の気持ちとシンクロするがごとく、犯人と共に、この事件を追っていた。




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