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基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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※シェイクスピアの戯曲の中でも、特に残虐な物のご紹介です。知りたくなかった方、申し訳ございませんm(_ _)m


第二幕 第一場 : 復讐


プロデューサーの失踪から、2日後。
その大学の教室は、エアコンがかけられているというのに、じっとりとした空気に包まれていた。

「先生・・これ、キツイっすよ・・」
男子学生の一人が、つぶやく。

「おや。君は、見かけによらず、繊細な心の持ち主なんだね」
「勘弁して下さいよ~」
萩原と学生のやりとりに、この日も、周囲に笑い声が上がる。

「先生―! 私も、こんなのより、ロミオとジュリエットとか、やりたいです」
今度は、女子学生が言った。
「ああ。それは、この単元の最後に取り上げるよ」
萩原は、笑顔を向けて言う。

「シェイクスピアの作品の中で、日本では、君が今言った、『ロミオとジュリエット』や、四大悲劇等の、悲劇が先に立つ傾向がある。次いで、『夏の夜の夢』『じゃじゃ馬ならし』といった喜劇、そして、『ジュリアス・シーザー』や『ヘンリー4世』『リチャード3世』といった歴史劇が有名なところだろう・・」

「だが、中にはこういった、徹底した復讐劇もあるんだ。是非それを知っておいてほしくてね。シェイクスピアの多才さを表す物として」

「だって・・冒頭からあれだもんね。四肢を切断して生贄にするっていう・・」

学生の言葉に、萩原は言う。

「確かに、この『タイタス・アンドロニカス』は、冒頭から凄惨なシーンが出て来る。だが、これがあるからこそ、その後エスカレートしていく復讐の連鎖に、説得力が出ると言えるだろう。ここが中途半端だったとしたら、その後の復讐劇が、実に納得の行かないものになったんじゃないだろうか」

「私は、ラビニアが襲われるシーンが嫌だな・・襲われた上に、舌と腕を・・」
女学生の言葉に、うんうんと、周囲もうなずく。

「オレはこっちの方がキツイかも・・。タイタスの二人の息子の生首と、タイタス自身が切断した腕が並べて突き返されるっていう・・」
「・・・・・・」
皆、想像したのか、押し黙っている。

「でもやっぱり、一番強烈なのはこれでしょう。タモラの息子達の・・・・人肉ミートパイ」

学生の最後の一言に、うげげげっ・・といううめきが、そこかしこから、漏れた。

「しかも、これは、小説ではない。戯曲だからね。これをお芝居として上演したわけだ」
萩原の言葉に、またしても、うげーっという響きと、「これを、どうやって?」という声が上がる。

「それに、シェイクスピアが活躍していた当時のイギリスでは、劇場内の売店で、ミートパイを売っていたそうだよ。あたかも、映画館でポップコーンを販売しているがごとくね」

げーっ・・という学生達の大合唱が、また起こり、萩原は、くすくすと笑った。

「皮肉が好きな民族だからね。この状況も、当時の観客達は、案外楽しんでいたかもしれないね」
萩原が言うと、学生が言った。

「『ベニスの商人』といい、結構シェイクスピアの書いた話って、残酷ですよね」
「あれはまだ、未遂だったじゃない。ナイフを研ぐところで終わるんだから。それに比べて、これは・・」
別の学生が、言いよどむ。

「更に、ラビニア、タモラ、タイタス、サターナイナスが、次々と死んでいく。ラストにはエアロンが生き埋めにされる。・・この流血の多さは、他のシェイクスピアの悲劇も、遠く及ばない。初めてこの戯曲に触れる人は、皆、少なからず驚くだろう」

「驚きますよ!」
「こんな残酷なの、よく見に行きますよねえ」
学生から上がる声に、萩原は言った。

「君達だって、わざわざお金を払って、ホラー映画を見に行ったりするだろう。それと同じだよ。テレビも映画館も無い時代、劇場は大衆の娯楽施設だった。金のある者は、3階の桟敷席に4ペンスを支払い、無い者は1ペニーで立ち見をしながら、この時代の大きな娯楽である芝居を求めた。彼らにとって、ロマンスも、復讐劇も、同じように胸を躍らせる娯楽だったんだ」

「オレは、ホラー映画、苦手だけどね」
見当違いな意見を言う学生に、萩原が微笑むと、別の学生から、声が上がった。

「私は、これ、結構好きかも」
「ええ!?」
「だって、ただ流血を見せるスプラッターや、意味も無く怖がらせるホラー映画より、こちらはずっと説得力があるもの。皆ひどいことしてるけど・・それぞれ皆、動機がハッキリしてる」

「・・そうだね。大衆娯楽を目指しながら、そこには、見る人が見ても納得し得るだけの筋を通してある。シェイクスピアの戯曲が今日まで上演され続けているのは、そういうところにあるのかもしれないね」
言いながら、萩原は、ニッコリと笑った。

「シェイクスピアは、これでもかと恐ろしい復讐劇を見せ付けることで・・実は、復讐のむなしさも、訴えていると思います」
学生のこの言葉に、笑っていた萩原の目が、一瞬、鋭く光った。

「むなしさ・・復讐はむなしい・・か。そうだね。そうかもしれない」

萩原は目を伏せた。
再び視線を上げた時には、既に、いつもの柔和な表情に、戻っていた。





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コメント

■ うわ・・・怖い・・・

おはようございます。かのん様♪

シェイクスピアについて、殆んど知らなかった私は、今回、ビックリしました。←ちょっと賢くなったかも♪♪♪

小学生の頃、子供向けの文庫本で
「ロミオとジュリエット」とか「リア王」ぐらいしか読んだことがないです(T_T)←
しかも、子供向けに小説風・・・

今回キーになりそうな復讐劇は、題名すら知りませんでした(^_^;)

これが・・・になるのですか・・・(°□°;)
かなり、怖いですね~
血抜きして、どうするつもりだったのでしょうか・・・(/ロ゜)/

プロデューサーの運命は?

これからの展開にドキドキします~!!!
やっぱり、本格派のミステリーです(^_^)v
ミステリー好きの私には堪らないです♪♪♪
ちなみに、私、エラリークイーンが大好きです♪♪♪

きゃっ(≧∇≦)
薪さんの鋭い推理力と洞察力に惚れ惚れしました\(^ー^)/

続き、お待ちしております!!!

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!(^^)

> シェイクスピアについて、殆んど知らなかった私は、今回、ビックリしました。←ちょっと賢くなったかも♪♪♪

これは本当に・・「驚きますよ!」ですよねえ・・

> 小学生の頃、子供向けの文庫本で
> 「ロミオとジュリエット」とか「リア王」ぐらいしか読んだことがないです(T_T)←
> しかも、子供向けに小説風・・・

読むとしたらそこから入りますよね。
私もそうです。
シェイクスピアは、物語として直されてる物で充分面白いというか。

直訳されてる物を読むと、いきなり読んでも結構分かり辛くて、お芝居の台本形式って、読み慣れないと退屈だし、現代語的じゃない部分も多くて何でこんな言い方するのかとか・・(^^;)

> 今回キーになりそうな復讐劇は、題名すら知りませんでした(^_^;)

これは青少年向けのシェイクスピア全集とかには載せられないと思います(笑)
残酷なシーンは修正して・・って、ここまで来ると直しようが無いというか・・

大人向けの本でも、完全な全集じゃないとなかなか・・代表作の抜粋とかには、まず載らないですよね・・

> これが・・・になるのですか・・・(°□°;)
> かなり、怖いですね~
> 血抜きして、どうするつもりだったのでしょうか・・・(/ロ゜)/
> プロデューサーの運命は?

色々と考えていただいて、本当に嬉しいです。
お陰さまで、書いて良かったと思えます。

> これからの展開にドキドキします~!!!
> やっぱり、本格派のミステリーです(^_^)v
> ミステリー好きの私には堪らないです♪♪♪

・・・・あのね、ですからね、ミステリーと思って読んではいけませんてば・・。
ミステリーを読み慣れてる方から見たら、余計に稚拙さが目立ちますからね・・。

> ちなみに、私、エラリークイーンが大好きです♪♪♪

・・・しかも、こんな本格ミステリー作家の名前をお出しになって・・・

私はミステリーを読んだことはあまり無くて、エラリークイーンは、遠い遠い昔にXYZのシリーズを読んだ位・・もうストーリーさえ忘れております・・(T▽T)
そんな人間が書いているのですから・・・ね!

> きゃっ(≧∇≦)
> 薪さんの鋭い推理力と洞察力に惚れ惚れしました\(^ー^)/

きゃあ☆

私の拙い文章で、薪さんに惚れ惚れしていただいて、原作の薪さんが魅力的な上に、たつままさんが補完して読んで下さるせいだとしても、感激です(つ;)

> 続き、お待ちしております!!!

どうもありがとうございます!!(^^)

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