カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
第三幕 第五場 : 抱擁


薪は、第九メンバーに、その夜は帰宅するよう、告げた。

「明日の朝、この犯人が、全国に指名手配されることになった」
薪は言った。
小池の努力は、報われたらしい。

「そこからまた、動きが出るだろう。目撃情報も寄せられる。犯人がどう出るかも分からない。・・次のターゲットが居るとしても、それは誰なのか、確定することも出来ない」

薪はそこで、やや視線を落とす。
脳裏には、会議の様子が、よみがえっていた。

「この、仲村議員のスキャンダルに関わった人間に、注意を促しましょう」
薪は言った。
だが、その場に居た上役達は、互いに顔を見合わせるだけ。

「あれは、単なるテレビ局のでっち上げに過ぎない。今更、あれに関わった人間は居ないかと呼びかけたところで、話を蒸し返すだけだ。実は情報が漏れたのだと、警察が認めたことにもなりかねない」

「事実、情報は漏れていました」
「薪警視正!」
言葉に気を付けろとでも言うように、上役の一人が制した。

「それじゃなくても、MRI捜査に関しては、未だ反発が根強い。過去に脳データが漏れた事実があるとなったら、どうなるかは、分かるだろう?」
「今は、そんなことを言っている段階では無いでしょう」

「これが仲村議員の脳データだという根拠は、この不鮮明な写真のみ。しかもそれは、薪警視正、君が独断で判断したに過ぎない。他の誰が、これを見て、そう確定出来る?」
「間違いはありません。いずれにせよ、当時の仲村議員に関する報道は、何か情報源が無ければあり得なかった。その情報源が、これだったということです」

「いや、情報源は、別にあった。あるいは、あくまでテレビ局が作り上げた物だ」
「まだ、そんなことを・・!」
「そうだ。脳データの流出は無かった。・・昔も、今も」

彼らの結論は、そういうものだった。

「とにかく、通常の指名手配をする。それで充分、危険な連続殺人鬼が、大手を振って歩いているという注意を世間に促すことにはなる。・・それでよろしいですね? 皆さん」

薪以外に、反対する者は、誰一人として、居なかった。

「薪さん?」
岡部に声をかけられて、薪は顔を上げた。

「・・明日は朝から、忙しくなる。今夜のうちに、皆、休んでおけ」
言い終えると、薪は、室長室に入っていった。

薪が、端末に向かい、過去の捜査資料を見ていると、ノックの音がした。
「岡部です」

岡部は顔を出すと、じっと薪の様子を見つめ、言った。
「薪さん、まだ、何かやることがあるんですか? よろしかったら・・」
「いや、無い」

「・・そうですか。薪さんも今夜は帰って休んだ方がいいですよ。じゃあ、失礼します」
薪の即答に、岡部は何も追及せず、出て行った。

入れ替わりに、青木が入ってきた。
「薪さん、みんな帰りましたよ。オレ達も帰りましょう」
「一人で帰れ」
にべも無い。

「薪さん・・どうしたんですか?」
青木の言葉に、薪は顔を上げた。

青木は、とまどった視線を向けている。
今日の会議の内容も、過去の事件の因縁も、青木は知らない・・

「お前は、何も知らなくていい」
言いながら、薪の中で、過去にも誰かに同じセリフを放った、その場面が重なった。

青木は、一瞬目を見開いたが、すぐに穏やかな顔になり、言った。
「・・薪さんが言いたくないのなら、何も聞きません。でも、今日は帰りましょう」

青木の言葉に、薪は一度、目を閉じた。
そして目を開けると、端末の電源を落とし、立ち上がって、上着を手に取った。

「じゃあ、帰ることにする。全ての電源を落として、セキュリティーをかけてこい」
そう言うと、薪は早足でドアに向かう。

「え!?・・待って下さい!」
青木は薪の後を追った。
「終わるまで、待ってて下さい。外は雨が降ってますよ。車を出しますから・・薪さん!」

青木が呼びかけるにも関わらず、薪は歩みを止めることなく、出て行った。
青木は急いで帰り支度を終えると、外に出た。
薪の姿は、どこにも無い。

急いで車を出し、後を追う。
マンションまで、道のりの半分以上が過ぎた時、傘も差さず、歩いている薪の後ろ姿を見つけた。

「薪さん!」
窓を開けて、呼びかける。
それでも、薪は立ち止まらない。

「ったく!」
青木は、薪を通り越してから、路肩に車を寄せて停めると、薪を掴まえた。

「薪さん! びしょ濡れじゃないですか! 早く乗って下さい!」
薪は抵抗するでもなく、青木に抱えられ、車の助手席に押し込められた。

・・様子がおかしい。
何が、薪をそうさせるのか。
犯人を追い込めないことに、犠牲者が増えたことに、また、薪は自分を追い詰めているのだろうか・・

青木は、部屋に帰ると、薪をバスルームへと連れて行った。
「全部脱いで下さい。すぐにシャワーを浴びて・・いや、お湯に浸かった方がいい」

青木は、バスタブに向かい、風呂のスイッチを入れた。
バスタブに湯がふき出し、湯気が立ち昇る。
と・・

「薪さん?」

振り返ると、背後に、薪が立っていた。
全てを脱いだ、その姿で。

「風呂、すぐに沸きますから」
青木はそう言い、もう一度バスタブに目をやると・・

薪が、青木のワイシャツの背中に、抱きついた。
「?・・薪さん、どうし・・」

青木が薪の手を取り、正面に向き直ると、薪は青木の身体にしがみつき、唇を重ねた。
「ん・・ま・・」

薪の舌が、狂おしいほどに青木を求めてくる。

青木も、そんな薪に、溺れた。





関連記事

コメント

■ そうだったのですね・・・

おはようございます。かのん様☆

6年前のあの事件。
やりきれない隠ぺい体質の警察機構。

薪さんの態度。
「お前は、何も知らなくていい。」

鈍い私も、ようやく気が付きました。←何処かで聞いたようなセリフ!?

この事件って・・・
「暴力団が絡んだ連続発泡事件」
だったのですね。

かのん様ったら・・・相変わらず凄いですね\(^ー^)/
伏線に注意しなくっちゃ♪♪♪

だから、あの時の因縁に薪さんが苦しんでいるのですね(ρ_;)
鈴木さんの事を思い出しながら・・・

鈴木さんと青木は、違う・・・
二人とも、同じように、薪さんの事を案じる。

鈴木さんは、部下だけど、対等な友人として、薪さんを抱き寄せ、その胸で思いっきり泣かせてくれた。

しかし、青木は、薪さんを追求することなく、一歩下がって、穏やかに言いたくなければ言わなくていい。と。でも、帰宅する事を勧める。

二人の異なる優しさを受け止めた薪さん。

そして、薪さんは、青木の腕の中で泣くことは無くても、抱き締めて恋人(夫婦?)として、狂おしい程に、愛し合うのですね。

きゃ~(≧∇≦)
かのん様・・・素敵です(〃▽〃)☆☆☆
とても素敵過ぎます☆☆☆←素晴らしい事を伝えたいのですが、語彙不足ですみません(^_^;)

青木には、こんなふうに、薪さんが辛いときにさりげなく支えてほしいです!!!
そして、薪さんは、躊躇うことなく、青木を抱き締めてほしいですね\(^▽^)/

二人の素敵な世界をありがとうございました♪

事件の展開も気になります(^_^)v
続きお待ちしております~!!!

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!(^^)

> 6年前のあの事件。
> やりきれない隠ぺい体質の警察機構。
> 薪さんの態度。
> 「お前は、何も知らなくていい。」
> 鈍い私も、ようやく気が付きました。←何処かで聞いたようなセリフ!?

ああ、このセリフ(笑)

> この事件って・・・
> 「暴力団が絡んだ連続発泡事件」
> だったのですね。
> かのん様ったら・・・相変わらず凄いですね\(^ー^)/
> 伏線に注意しなくっちゃ♪♪♪

チャラララララン♪
正解です!!☆☆☆

さすがたつままさん!♪
過去の創作も読んで下さり、そしてそれを覚えていて下さるからこそ、繋がるのですよね。
本当に本当にありがたいですm(_ _)m

この話では、「薪と鈴木と雪子 第4章」を読んでいなくても、ストーリーを追うのに差し支えないように書いているつもりですが。
それでも、私の中では密かに繋がっていたので、気付いて下さったのは、嬉しいです♪

> だから、あの時の因縁に薪さんが苦しんでいるのですね(ρ_;)
> 鈴木さんの事を思い出しながら・・
> 鈴木さんと青木は、違う・・・
> 二人とも、同じように、薪さんの事を案じる。
> 鈴木さんは、部下だけど、対等な友人として、薪さんを抱き寄せ、その胸で思いっきり泣かせてくれた。

いつも思いますが、たつままさんが解説して下さると、あの話が実際より素敵な物になったような気が致します・・

> しかし、青木は、薪さんを追求することなく、一歩下がって、穏やかに言いたくなければ言わなくていい。と。でも、帰宅する事を勧める。
> 二人の異なる優しさを受け止めた薪さん。
> そして、薪さんは、青木の腕の中で泣くことは無くても、抱き締めて恋人(夫婦?)として、狂おしい程に、愛し合うのですね。

青木は、ある意味、鈴木さんには永遠に敵わないと思います。

でも、薪さんに対して、青木にしか出来ない、鈴木さんとは別の役割がある筈だと思います。

> きゃ~(≧∇≦)
> かのん様・・・素敵です(〃▽〃)☆☆☆
> とても素敵過ぎます☆☆☆←素晴らしい事を伝えたいのですが、語彙不足ですみません(^_^;)

いえ、充分伝わりました。
もったいない・・
ありがとうございます・・!!

> 青木には、こんなふうに、薪さんが辛いときにさりげなく支えてほしいです!!!
> そして、薪さんは、躊躇うことなく、青木を抱き締めてほしいですね\(^▽^)/

そうですね。
青木には、薪さんが本当に必要な時に必要な位置に居てほしいし、薪さんが、そんな青木に自分の気持ちをさらけ出せたら・・と思います。

> 二人の素敵な世界をありがとうございました♪

いえいえ、こちらこそ、こんな素晴らしいコメントを、どうもありがとうございましたm(_ _)m

> 事件の展開も気になります(^_^)v
> 続きお待ちしております~!!!

ありがとうございます。
三幕は七場で終わります。

やっと半分を過ぎた感じですね・・

なかなか進まず、自分でもどかしいのですが、たつままさんのコメントに、本当に励まされます!(^^)

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/346-4ff876aa

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |