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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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第四幕 第二場 : 詩集


薪が、その名をつぶやいた頃、当のその名前の人物は、学生達を相手に、「タイタス・アンドロニカス」についての、講義を行なっていた。

学生達の間で、ゲンナリとした空気が漂うのを見て、萩原は言った。

「終了時間まで、あと10分程ある。ここで、口直しをしよう。みんな、ソネット集のテキストは持ってきているね」
学生達が動き、テキストを取り出す。

「シェイクスピアのソネット集について、基礎的なことは、以前説明したね。今日は、中でも有名な18番を朗読しよう・・塚本君、私が原文で読み上げるから、その後、訳文を朗読して」

萩原はテキストを手に立ち上がると、ゆっくりと、読み始めた。
「Shall I compare thee to a summer’s day・・・」

原文を読み上げる時には、萩原の低めの声が、更に一段低音になり、そして、それは深みを帯びて教室に響き渡る。
テキストはそっちのけで、聞き惚れている女学生も居る・・。

「・・and this gives life to thee.」
萩原の朗読が終わり、続けて、学生が訳文を読み始める。

「君を、夏の日にたとえればいいだろうか・・」


  君を、夏の日にたとえればいいだろうか
  いや、更に美しく、更に穏やかな君

  激しい風が、5月の可愛い花の蕾を揺らし
  夏の日は、なんて早く過ぎ去るのだろう
  時に、天の光の目である太陽は暑すぎる
  そしてしばしば、その黄金の輝きさえ、陰りがさすこともある
  どんなに美しい物も、全て、やがては色あせる
  偶然や、自然の摂理に従い、いつかは飾りを失う

  でも、君の永遠の夏は、移ろうことは無い
  君の美しさが、失われることは無い
  死神の陰が、君を覆うことも無いだろう
  この永遠の言葉の中で、君自身も永遠となる

  人々が息をし、目で見ることが出来る限り
  この詩が、君に命を与え、この詩の中で、君は永遠に生き続ける


学生が読み終えてからも、萩原は、目を閉じて腕を組み、教卓にもたれていた。
「・・・先生?」
朗読を終えた学生が、萩原に声をかける。

「ああ・・。素晴らしかった。ありがとう」
萩原は目を開けると、ニッコリと笑いかけた。

改めて教卓の後ろに回ると、そこに両手をついて、萩原は話し始めた。

「以前にも話したが、この『君』という人間は、女性ではない。この詩は、ある美しい青年に捧げられたものだ。語り手である『詩人』は、最初は青年に結婚を勧める詩を書いているが、この18番から、『詩人』から『君』に対する、直接的な愛を歌った物へと、姿を変える」

「先生・・つまりそれは、シェイクスピアは、ホモセクシャルだったということですか?」
「でも、シェイクスピアって、結婚してたよね。子供も居たし」
「じゃあ・・・バイ?」

学生達の話に、萩原は微笑むと、言った。
「確かに、ここから126番に至る詩は、ホモセクシャル的恋愛を綴った物だと言える。しかし、127番以降には『ダークレディー』という女性が中心になるし、一概に決め付けることは出来ない」

「本来ソネットは、実在の人物にあてて書かれる物であり、詩の内容も実にリアルだ。相手の青年にモデルが居たという説は、これまでに随分出てきた。だが、シェイクスピアは、その戯曲からも分かるように、架空の人物になりきり、心情を表現することも巧みだ。これが実体験に基づいた物なのか、あるいは全て創作なのか、シェイクスピアが生きた時代が過ぎ去りし今は、明確な結論を出すことは出来ない」

萩原は、教壇を降りると、学生達の傍にゆっくりと歩み寄りながら、話す。

「シェイクスピアは、戯曲でも、男性同士の対等な友愛、あるいは王や王子とその臣下との強い繋がりといった、高潔な結び付きを、よく描いている。ソネット集の青年への愛も、そういった、精神的な友愛を歌った物かもしれない」

「だが一方で、戯曲の中の結び付きでさえ、実はホモセクシャル的要素が強いとする説もある。例えば、前回学んだ『ベニスの商人』。アントーニオは、冒頭で何か憂鬱な思いにとらわれているが、これには理由が書かれていない。シェイクスピアが描く人物には、理由も無く憂鬱症に襲われる人物もよく登場するが、これを、バッサーニオが女性と婚約したからだとする意見もある」

へええ・・・と、教室内がざわめいた。

「そういう見方をすれば、そう取ることも可能だし、逆もあり得る。言えることは、シェイクスピアの世界では、実に多様な人間が、生きて、動いているということだ」

「たとえ、主役と敵役に分かれていても、どちらにも確かな心の動きがあり、それは非常に複雑なものだ。主役にも暗い部分がある一方で、敵役にも様々な葛藤がある。そこが魅力だと、私は思う」

講義の終了時間を告げる、チャイムが鳴った。
「では、ここまで。次回は『ハムレット』を取り上げたいと思う」

萩原の声は、学生達が立ち上がり、おしゃべりをする、そのざわめきに埋もれた。





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コメント

■ 遂に(〃▽〃)

おはようございます♪かのん様(^_^)v

おおっ♪
早朝のup嬉しいです\(^ー^)/

遂に、あの詩が出てきましたね。
とても美しいですね~☆☆☆
いろいろな解釈があるのですね。ふむふむ←学生の一人になってます(^_^;)

薪さんは、何故、彼に引っ掛かりを感じたのか気になりますね(^_^)v

そろそろ、薪さんと接点も出てきそうですね★★★
続きを楽しみにお待ちしております(^_^)v


お子さんは、今日から夏休みなんですね。
いろいろと、ご予定があるようで、楽しい夏休みになりそうですね\(^▽^)/

うちは、この間の3連休から夏休みで、遊園地だの映画館だのとせっつかれています(^_^;)

昨日からは、子供会のラジオ体操が始まりまして、役員の私は、6:30から、元気に公園で体操をしています(^▽^;)
怠け者の私は、朝からふらふら~です(≧ヘ≦)

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!(^^)

> おおっ♪
> 早朝のup嬉しいです\(^ー^)/

そうおっしゃっていただけると・・早起きしたかいがございます・・・!(;▽;)

> 遂に、あの詩が出てきましたね。
> とても美しいですね~☆☆☆
> いろいろな解釈があるのですね。ふむふむ←学生の一人になってます(^_^;)

あ・・・これは、実は辞書を片手に私が訳した物なので・・(汗)
いくつかの本やネットの訳文も参考にしたので、内容的には間違ってはいないと思いますが・・言い回し等はオリジナルなので・・

本にある物をそのまま写した方が間違いないのでしょうが、勝手にそんなことをするのも問題がある気が致しまして。
正確な物はまた別のところで読まれた方がよろしいかもしれません・・(滝汗)

> 薪さんは、何故、彼に引っ掛かりを感じたのか気になりますね(^_^)v

すみません。
理由に関しては、もうちょっと引っ張ります。

> そろそろ、薪さんと接点も出てきそうですね★★★
> 続きを楽しみにお待ちしております(^_^)v

いつもいつも、本当にありがとうございますm(_ _)m
とても励みになっております!(TT)

> お子さんは、今日から夏休みなんですね。
> いろいろと、ご予定があるようで、楽しい夏休みになりそうですね\(^▽^)/

お手軽な物ばかりで・・暇とお金があれば旅行等に連れて行きたいのですが・・
それでも私は充分楽しめちゃいますけどね(^^)ただ子供的にはどうなのかなと・・

> うちは、この間の3連休から夏休みで、遊園地だの映画館だのとせっつかれています(^_^;)

いいですね!
楽しそう(^^)
私も今日の午後は娘を映画に連れて行きます(水曜は近所の映画館がレディースデーで私の分が安くなるので・・)

> 昨日からは、子供会のラジオ体操が始まりまして、役員の私は、6:30から、元気に公園で体操をしています(^▽^;)
> 怠け者の私は、朝からふらふら~です(≧ヘ≦)

素晴らしい・・!!!
役員もされているのですね。大変ですね。

うちの子供会は、3軒しか無い上に、あとの2軒のお母様がお仕事や団体活動等で忙しく、かなり消極的な活動ぶりなんですね。
ラジオ体操も、今日と明日の2日間だけ(それさえ1軒は来なかったし)

なので、去年の夏も、後は家で親子でNHKのテレビ体操をして、可愛いハンコも買ってきて、娘の体操カードにスタンプを押してやりました。
今年も明後日からはそうする予定です(^^;)

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