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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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第四幕 第五場 : 道程


薪は、青木が運転する、その助手席に居た。

「そこを右折だ」
小池が端末に呼び出した大学の地図、それを一度見ただけで、薪の頭には、道順がインプットされているようだった。

青木はここに至るまで、薪に、「萩原俊耶という大学講師に会いに行く」そしてそれは「犯人の可能性がある」としか、聞いていなかった。
薪が、それ以上のことを沈黙した為、青木も、尋ねなかった。

・・薪の胸に、重い物がかぶさっていることを、青木は感じていた。

「・・薪さん」
青木は、前を見ながら、口を開いた。
薪は、黙って青木を見上げる。

「薪さん・・オレ、夕べから、色々と考えたんですけど」

この日も、雨が降っている。
道は込んでいて、流れが滞りがちだ。

ノロノロと進む車の中で、青木は言った。
「確かに・・MRI捜査は、両刃の剣です・・使い方を間違えると、人を傷付ける・・」
青木のその言葉に、薪は目を伏せた。

「・・でも、それで救われた人も、たくさん居るんです・・」

青木は、自分のセリフが、今の薪には綺麗ごとにしか聞こえないことは、分かっていた。
分かっていても、言わずにはいられなかった。

「以前のような捜査だったら、手も足も出なかった・・そんな事件が、MRI捜査によって、解決に導かれる・・そのままだったら、失われていたかもしれない命を、先に続く被害者を、救った例もたくさんあります・・そんな結末を、オレは、薪さんの傍で、何度も見てきました」

「・・既に犠牲になった命の方が、はるかに多いけどな」
薪が、つぶやいた。

「確かにそうです。第九に回されるのは、既に亡くなった被害者や加害者の脳です。でも・・それを見ることで、一人でも・・その事件でたとえ10人の被害者が出た後だとしても、11人目を救えたなら、それは、凄いことじゃないでしょうか」

「・・数は関係ない。どんな捜査にだって、限界があるのは、仕方のないことです。・・それは、皆救えれば、いや、最初から犯罪なんて一つも起きなければ、それが一番の理想です。でも・・現実にはそうじゃない・・だから、第九が必要なんだと思います」

道は益々渋滞し、車はそこに、停止状態になった。

「全て終わったように見える犯罪でも、MRIによって、被害者、加害者の死因が明らかになる。被害者が、どんな最期を遂げることになったのか、加害者が、どんな理由で犯罪を犯したのか・・・それを究明することが出来る。それは、以前の捜査では何も知ることが出来なかった遺族にとっても、無念な思いだった当事者にとっても、大切なことです・・・!」

薪は、伏せていた目を見開き、青木を見上げた。

「・・これまで、MRIを、犯罪に利用した人間、自分の利益の為に使った人間・・そういった人達が居た・・。もしかしたら、これからも、そんな、MRI捜査の理想を踏み潰すような人間が出て来るかもしれません。でも・・」

「でも、だからと言って、第九が・・薪さんがこれまでして来たことが、それで消えるわけじゃない・・!」
青木は、ハンドルから片手を離すと、薪の手を、ギュッと握り締めた。

「青木・・」
じっと青木を見つめ、薪はつぶやいた。

青木は前を向いたまま、続ける。
「人の脳を見るということは・・とても、特殊なことです。オレだって、この仕事に疑問を持ったことが無いわけじゃない。それでも、オレは・・」

「オレは、薪さんを見てきて、思いました。MRI捜査は、その人の人生の一部を見て、自分もその人の思いを背負う覚悟が必要だって。それは、とんでもなくキツイけれど・・でも、これは・・・とても、とても尊い仕事だって・・・」

薪のその目が細まり、唇がかすかに開く・・何か、言いたげに・・
でも、薪は、何も言わなかった。
ただじっと、青木の横顔を見つめていた。

渋滞から抜け出し、急に、車の流れがスムーズになった。
青木は、前を見つめ、ハンドルを握っている。

そして、言った。
「薪さん・・オレは、薪さんの、仕事に対する姿勢に、教えられました。色んなことを・・。第九の仕事は、ただ憧れて外から見ていたよりも、実際は、とてもハードで、ずっと重い・・重い物だったけれど・・」

「それでもオレは・・後悔していません。第九への配属を希望して、念願が叶ったことを。薪さんの傍に居て、薪さんを見てきて、事件に関わる人達への、その偽りの無い思いで仕事に向かう姿を見て・・やはり、第九は素晴らしい所だと。オレの選択は、間違ってなかったと・・!」

青木は、言葉より先に、想いが溢れ出るのを感じていた。

「そして・・そしてオレは、そんな薪さんを、これから先も、ずっと・・・」
「青木」

薪が、青木の話をさえぎった。
「青木、そこを左に入って、すぐだ」
「あ・・はい!」
ハンドルを両手で握り直し、青木は前方を見据えた。

青木は、胸一杯に広がる想いを、薪に伝えたかった。

だが、それは、後で言うことに決めた。
正面から薪の目を見て、きちんと、今のこの想いを、改めて伝えようと。

道を曲がると、その先に、大学の門が見えた。





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コメント

■ 伝えて下さい!!!

おはようございます。かのん様☆

そうですね。
MRIの捜査は、とても辛く、重い仕事です。
そして、淡路のようにそれを利用する犯罪も出てきました。
でも、第九や薪さんのしてきた事が無くなるわけではありません(ρ_;)
とても、とても尊い仕事です。

私も、メロディ8月号で、独り歩いていってしまった薪さんに・・・青木から、青木の口から、こう言って欲しかったのです(ρ_;)

それなのに・・・(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)

青木のばか・・・


とても、波乱の展開になりそうな予感がします(;゜∇゜)

青木~!絶対、無事に薪さんに伝えてね!

続き、とても気になります~(^_^)v
お待ちしております♪♪♪

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございますm(_ _)m

> そうですね。
> MRIの捜査は、とても辛く、重い仕事です。
> そして、淡路のようにそれを利用する犯罪も出てきました。
> でも、第九や薪さんのしてきた事が無くなるわけではありません(ρ_;)
> とても、とても尊い仕事です。

同意していただき、とても、とても嬉しいです。
すみません・・それ以上あまり言葉が出てきません・・(TT)

> 私も、メロディ8月号で、独り歩いていってしまった薪さんに・・・青木から、青木の口から、こう言って欲しかったのです(ρ_;)

そうですね・・。
私も、今回青木が薪さんにこう言ってくれたことで「よく言った、青木!」と思いましたから・・

> それなのに・・・(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)
> 青木のばか・・・

・・・・・・・。

> とても、波乱の展開になりそうな予感がします(;゜∇゜)
> 青木~!絶対、無事に薪さんに伝えてね!
> 続き、とても気になります~(^_^)v
> お待ちしております♪♪♪

ありがとうございます!!

すみません・・なかなか進まなくて・・。

四幕が以上に長くなってしまって・・こんな予定じゃなかったんですが・・
今回も「岡部さんはどうしてるんだろう」と思ったら、とても頑張っているので、ついつい長く・・・

内容的に続いているので切るわけにもいかず・・このままだと四幕は十場位まで行きそうです。
ああ・・早く五幕に入りたいです・・・

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