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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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第3話 過去


「しかし、今日は驚いたな。あんなことになるとは」
イマイップが切り出した。

ここは城の食堂。
兵士達が集う場所だ。
特に近衛兵達は特別にいい位置に座り、上等のワインを酌み交わす。

もっとも、この国では、ワイン、チーズ、パン、その全てが豊かな土地から生まれ、下々の者まで、充分に行き渡る程に栄えていたのだったが。

アオキールとイマイップは、一つの丸テーブルに並んで座り、静かに語り始めた。
「姫の手合わせは、いつものことだ。だが、手加減をするとあのように、姫のお怒りを買う。かといって、姫の御身に万一のことがあったら大変だ。誰も恐れて手出しが出来ない」

「だから、ほとんどの者は、姫の申し出を辞退する。辞退してお叱りを受ける方が、まだしもマシだからだ。だから、結局、オカベック殿以外は、ほとんど姫のお相手はしない。」

アオキールは視線を落としたまま、イマイップの話を聞いていた。

「もっと早くに話しておくべきだった。アオキール、悪かった」
イマイップの言葉に、アオキールは驚いて顔を上げた。
自分の無分別な行動を責められはしても、まさかこんな言葉が出て来るとは、思いもよらなかった。

「イマイップ殿・・」アオキールが言いかけたが、イマイップは、それ以上は言うな、というように、片手を上げて制した。

イマイップは、黙ってワインを飲み続けた。
アオキールもワインに口を付けた。
なんて美味い酒だろう。

「イマイップ殿」
今度切り出したのは、アオキールの方だった。
「姫は・・・マキアーヌ姫は、どうして、あのような男装をしておられるのでしょう」

アオキールは、下級兵士の頃から、男装の姫の噂は聞いていた。
その後、階級が上がるにつれ、姫の姿を遠くから拝謁する機会も出てきた。
だが、誰も、姫のその姿の、理由は知らなかった。

「近衛兵のイマイップ殿なら、ご存知かと」

「うん・・。元々、姫は幼少の頃から、武術を習い、その時には男装で行なっていたと聞いている。・・スズキーツ殿のことは知っているか?」

「スズキーツ・・」アオキールがつぶやくと、
「私が入隊する以前に、近衛兵に入っていた。その中でも精鋭だったらしい。何でも、姫の幼馴染であるとか。詳しいことは、近衛兵でも、古くから居る者しか知らないのだが・・」

「姫と共に育ったのだ。まるで、兄妹のようにな」
野太い声が響き、アオキールが振り向くと、そこにオカベックが立っていた。

「オカベック殿・・」
昼間の様子を思い出し、アオキールは即座に立ち上がり、頭を垂れた。
「オカベック殿・・その・・大変、申し訳ないことを・・」

アオキールが座っていた椅子にドカッと座ると、オカベックは言った。
「姫がもう良いと言ったのだから、もう良い。お前が遣えるのは私ではない。王であり、姫なのだからな」
アオキールが顔を上げると、オカベックの瞳は、穏やかさをたたえていた。

「まあ座れ」
オカベックが隣りの椅子を指し示し、アオキールは座った。

オカベックは話し始めた。
「スズキーツは、姫の乳母の、子供だった。他にご兄弟が居ないこともあり、5つ違いのスズキーツを、姫は、兄のように慕った。王も、男のお子に恵まれないせいか、スズキーツの身分に対して、寛大なお心で接していらしたようだ」

「スズキーツが、城付きの騎士を目指したのは、当然の流れだった。姫も一緒になって、剣や馬を習い、共に成長していかれたのだ」

『私に本気で向かってきたのは、お前が2人目だ』
昼間の姫の言葉が、アオキールの胸の内をよぎった。

「そして・・2人はやがて、惹かれ合うようになった」

オカベックはそこで、ひと息付いた。
どこか、遠くを見るように、視線を泳がせた。

「しかし、身分の差が大き過ぎる。だが、2人はあきらめなかった。スズキーツは、姫の特別な計らいを受けることもなく、自らの実力のみで、階級を駆け上がった。姫も、隣国の王子との縁談を断り続け、スズキーツが姫のところまで登ってくるのを、じっと待っておられたのだ」

「近衛兵になってからも、スズキーツは、先頭に立って、王や姫の数々の危機を救った。その功績が認められ、貴族の称号を授かることになった。そのあかつきには、姫との結婚も許され、2人は結ばれる筈だった」

「・・・・あの出来事が起こったのは、その矢先のことだ」

「賊が押し入ったと、聞き及んでいますが」
イマイップが言った。

オカベックは、ちらりとイマイップを見て、それから、続けた。
「そうだ。よりによって、城の内部に賊が押し入ったのだ」
「この厳重な警固の中で、どれ程の賊だったのでしょう」イマイップがつぶやく。

オカベックはそれには答えず、
「その夜、姫の警護をしていた中に、スズキーツが居た。賊は残らず捕らえたが、スズキーツも深手を負い・・・そして・・そのまま、帰らなかった・・・」

「姫は、それ以来、髪を切り、それまで武術の稽古の時に身に着けていた王子の衣装を、常に身にまとうようになった。この国を、父王を、率先して我が手で守らねばならない、兵士に頼り、兵士のみを犠牲にするわけにはいかないと、そうおっしゃっていた。あのお姿は、姫の決意なのだ」

「我々、近衛兵が知ることは、これで全てだ」
オカベックが、アオキールをじっと見て、言った。

「アオキール、お前は、面差しが、スズキーツに似ている」
「えっ!?」声を上げたのは、イマイップの方だった。

「よく・・似ている。・・だが、姫の前で余計なことは言うではないぞ。無駄に姫のお心を乱すことはならぬ」
3人の間に、沈黙が流れた。

「オカベック殿! お静かですなあ。飲みが足りないのではありませんか?」
近衛兵の1人、ソガンザが声をかけてきて、その話は、そこで終わりになった。

この国を、父王を、率先して我が手で守らねばならない・・とは・・。
アオキールは、姫の姿を思い浮かべた。
母王妃はとうに亡くなり、父王は病に伏し、1人、あの華奢な体に、どれだけの重荷を背負っているのだろう・・。

その夜、アオキールはいつまでも、姫のことを思い巡らせていた。



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コメント

■ 

さすが「脳内薪一色☆妄想三翼将」!!
その翼はなんと大きく、色彩豊かなんでしょうか・・・!

まず名前で笑いが止まらなくて困りました(テーブルに激しく肘をぶつけちゃいましたよ)
もう、面白すぎる~~~~!
ストーリーにも、ぐいぐい引き込まれて、一気に読んじゃいました。

訓練場でのオカベックとの場面が好きです(*^_^*)
マキアール姫の華麗な剣さばきにも心奪われるんですが、やっぱり、

ひざまずくオカベックの顔を、平手で殴る。
「手加減するなと言ったであろう!」

わ~~~~怒った顔もこれまた美しい・・・。
この場面いいですね。どの世界にいても、岡部さんはこのポジション死守(笑)

スズキーツとの過去話もキュンとしました。両思い・・・だったんですね・・・(涙)
アオキールがどこまで姫の心に近づけるのか、支えてくれるのか、楽しみにしています♪

■ 失礼しました。

先ほどは、大変失礼しました。

申し訳ございません。お手数を掛けますが、削除して下さい。パスワードを入力していなかったので訂正が出来ないみたいです。

ネット初心者なもので、本当に失礼しました。


マキアーヌ姫とスズキーツのなんて、美しい恋物語なんですか♪♪♪

幼馴染の乳兄弟が、出世をしてくるのを待ち、もうすぐ、二人が結ばれる時に悲劇が・・・。

も~サイコーです。あぁ、やっぱり、この二人は両思いですよねっっっっ(力説)!!

かのん様の翼は、こゆう様のおっしゃるとおり、広く色彩、豊かですね♪♪うっとり・・


そして、私の妄想の翼は、黒くて、重いっっつ(笑) しかも、妄想が纏わり付いて、余りの重さに墜落寸前!!! あうっ。

私の世界だったら、ヘンタイ魔法使いが出てきちゃいそうですよ(^^;)

ゆっくり、美しい恋物語にはまらせていただきました。 とてもすてきでした。ありがとうございました♪♪♪





■ 

○こゆうさま

コメントありがとうございます。

ネーミング、ウケていただいたようで(^^)
キャラをそのまま思い浮かべていただきたくて、あえてそのままの名前にしてみました(^^)

オカベック、やっぱり大人気ですね~。

>わ~~~~怒った顔もこれまた美しい・・・。
↑どんな顔か書かなくても、皆さんちゃんと想像して下さるのが、嬉しいですね♪

>どの世界にいても、岡部さんはこのポジション死守(笑)
↑私が考えなくても、こういうポジションになってくれちゃうんです・・健気さに泣けます・・。

>スズキーツとの過去話もキュンとしました。両思い・・・だったんですね・・・(涙)
↑私の中では、この2人は永遠に両想いです!(TT)


○たつままさま

コメントありがとうございます。
かえってお手数をおかけしましたm(_ _)m

そうです、私の中ではこの2人は、出会ったその日から最期の日(TT)まで両想いなんです。
・・少なくとも、実際に清水さんが過去話を書いてくださるまでは、そう信じています。
ていうか、清水さんが書いてくださらないと、私の中で勝手に鈴木さんが益々いい男に成長していっちゃうんですが・・。

魔法使いとかが出て来るような夢のあるファンタジーワールドにはなりませんでした・・たぶん、私が普段そういったファンタジー物を見たり読んだりしてないせいなんでしょうね(^^;)

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