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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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第四幕 第十場 : 接近


雨の中、青木が差す傘に入り、二人は早足で車に向かう。

歩きながら、青木は、薪に言った。
「薪さんは、いつからご存知だったんですか? 萩原俊耶が、仲村議員の秘書の息子だと」

「・・6年前の刺殺事件の際、第九に回されたのは、仲村の脳だけだった。今以上に、当時検証されるのは、最小限の被害者・加害者の脳だけであったこと、佐々木嵩俊は、その場に居合わせて巻き込まれただけであり、目撃者も多い事件であることが、その理由だ。佐々木の脳は、第九で見ることは無かった」

「つまり、僕は、過去に、萩原俊耶という名前を目にしたことも、彼の画をMRIで見たことも、一度も無かった」

薪は歩みを止めず、話し続ける。

「だが、何か引っかかりを覚えた。事件のデータに、俊耶という名前があったんだ。佐々木の、当時24歳の息子の名前として」

「姓が違っていたので、気付くのが遅れた。小池が出した個人データでは、萩原とその母親は父親の戸籍を抜け、母方の姓になっていた。・・あの事件の犠牲者の遺族、しかも、その後のスキャンダルに巻き込まれた人間・・その名前が、別荘地の所有者リストに載っていた。犯人像と一致する点も多い」

「それで、犯人の可能性があると・・」

「それに、萩原の講義は、火曜と木曜だ。坂上を殺害する時間は充分にあった。高橋が殺された日も、萩原の講義は朝の1コマ目。講義を終え、帰宅してからでも、高橋に接触することは可能だ」

薪が、事務員と話しながら、端末に現れた萩原の講義スケジュールをチェックしていたことを、青木は、この時に知った。

「あの写真を見るまでは、確信は無かったが・・」

写真を見つめる薪の表情に、青木と同じことを、長谷川も察した。
だが、長谷川は薪に何も聞かず、言った。

「・・あなたがどう思おうと、私は、俊耶くんを信じています」

「萩原が、もし、長谷川教授を本当に信頼し、心に抱える物を晒すことが出来たら・・また違う結果が引き出されていたかもしれないな・・」
薪は言った。。

「確かに、人は、大きな苦しみを抱えた時、誰かを心から信頼することは困難だ・・。だが・・」
そうつぶやく薪の横顔を、青木が見つめる。

車に戻り、二人は乗り込んだ。

大学からほど近い、萩原のマンションへと向かう。
呼び出しても応答は無い。
マンションの管理人に警察手帳を見せ、萩原に繋いでもらっても、結果は同じだった。

現在の時点で、これ以上は踏み込めない。
「・・一度戻って出直すしか無いな。これだけ揃えば、礼状も出るだろう」

外は、雨が降り続いている。
「今、車を回して来ますから」
青木は、傘を片手に、マンションの裏手の駐車場へと去って行った。

一人、マンションの出口に立つ薪のポケットで、ケータイの着信音が鳴った。
ケータイを取り出しながら、薪は、ふと、目の前に停まる車に目が行った。

妙だな。

その車は、エンジンをかけたまま、誰も乗っていない。
周辺に人が居る様子も無い。

無用心だな。あれでは、車ごと盗まれる・・

そう思った次の瞬間、薪はハッとした。
周囲を見渡そうと振り返ろうとして・・

「んっ!!」
薪の口が、布に覆われた。
強い薬臭がする。

「くっ・・!」
反撃する間も無く、意識が薄れていく・・
背の高い男の手・・萩原か・・

そして、薪の意識は途切れた。

「薪さん?」
青木は、薪の姿が無いことを認め、車から降り、マンションの前に駆け寄った。
エントランスの階段に落ちていた物を見つけ、足を止めた。

薪のケータイだけが、そこに残されていた。





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