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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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第五幕 第六場 : 破壊


萩原は、薪の耳元でささやいた後、そのまま、薪の身体に手を延ばした。

「!!・・」
薪は、とっさに身を引こうとする。

が・・

萩原は、薪の背中に腕を回し、薪の身体を浮かせると、そのまま、座り直させた。
それから、背後に回って薪の腕をさすり、手錠を少し動かした。

そして再び薪の正面に向き直り、言った。
「ずっと同じ体勢だと、辛いだろう。でも、君を解放するわけにもいかないし。・・少しは、楽になったかい?」

薪の顔は、真っ蒼だった。
確かに、動かされたことで、身体の軋みが少し楽になった。
・・しかし、萩原に手をかけられた、精神的な衝撃が大きかった。

「やっぱりもう少し・・もう少し、君と話していたい」

萩原は言い、手の平で、そっと薪の頬に触れた。
それはまるで、大切な物を、慈しむように・・・

「・・何故、今だったんだ?」
薪は言った。
目の前で薪の唇が動くのを見て、萩原はハッとして、手を引いた。

「何故、その時ではなく、6年立った今なんだ? 何か、理由があるのか?」

薪の問いに、萩原は一度目を伏せ、それから、目を上げ、言った。
「・・そうだね。君には、全てを知っておいてほしい」
萩原は、薪の斜め前に置かれたソファに座ると、話し始めた・・

「6年前・・それは、修士課程の最後の年。更に博士課程に進み、そのまま大学の研究員になる道が、当たり前に延びていると思っていた。大勢の友人にも囲まれていた・・あの年」
萩原の目は、途端に、郷愁を帯びた物に、変わる・・

「僕の父は、素晴らしい人だった。何でも知っていて・・子供の頃、父は忙しい身だったけれど、それでも、休日には、僕の相手をしてくれた。父は、僕の理想だった。僕は、何でも父を真似た。母は、そんな僕達を、いつも優しい目で見ていた・・」

「でも、成長するにつれて、僕は、父の真似をし切れないことに気付いた。政治には、全く興味が持てなかった。でも父は、そんな僕を、認めてくれた」

「・・幸せだった。幸せだとは、自分で気付かなかった程、僕は、幸せの中に居たんだ・・。そう、全てが壊れる、あの日まで・・!!」

壊れるその日まで、それがどれだけ素晴らしい物であったか、気付かないことがある・・薪は、それを知っていた。

「信じられなかった・・父が死ぬなんて。朝、いつものように、笑顔で出て行った、父が・・」

「病院のベッドに横たわる父の顔は、むくみ・・苦痛にあえいだシワに刻まれ・・あんなに、強く優しかった父が・・まるで、別人のようで・・」
萩原の声が、上ずる。

「残された母と僕に、皆、同情してくれた。父が事件に巻き込まれたことを悔やみ、議員をかばったのだろうと、褒め称えてくれた。立派な父。素晴らしい父。死んでからも、それは変わらなかった」

「・・それが・・ひと月後、全てが、一変した・・・!!」

萩原は、両手で頭を覆った。
だが、しゃべることは止めなかった。

「母も僕も、事件の後は、テレビのニュースを見ることが辛くて、ほとんどテレビを付けなかった・・あの日、親戚から電話が来て・・テレビを付けて、報道されている物を、目の当たりにした・・!」

「仲村議員は、汚職にまみれていた。父は、そんな奴に仕えて・・父が最後まで運命を共にした議員が、そんな奴だったんだ・・!」

「・・でも、きっと父は知らなかったんだ。議員のことを信じていたんだと、僕はそう思った。父は騙されていた・・そう思おうとした・・だが、それだけでは終わらなかった・・」

突然、萩原は顔を上げ、赤い目で、薪を見つめた。
そして、言った。

「実名は報道されなかった。写真も修整されていた。・・だが、父を知る人間なら、容易に分かるやり方で、スキャンダルは流された・・父が、父が・・仲村議員の・・・愛人にされていたと・・!!」

それは悲痛な叫びだった。
その叫びに、薪は、唇を噛み締め、目を閉じた。

「最初は暴力行為の下で、その後はそれを元に脅されて・・父は関係を結ばされていたと・・。議員から離れようとして、それすら叶わなかったと・・。そんなこと・・そんな・・」

「あの父が。理想に燃えていた、輝ける父が・・そんな・・・・」

萩原はソファから滑り落ち、床にしゃがみ込んでいた。
その頬に、涙が伝う。

「父は・・晒し者になった・・。素晴らしい父が・・。君が、君達が、仲村の脳を暴かなければ・・こんなことに・・!」

「父は被害者だった・・被害者だったのに・・・!」

萩原は、しゃくり上げていた。
まるで子供のように、身を丸めて。

薪は目を開け、そんな萩原の姿を、じっと、見つめていた。





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コメント

■ そうだったのですか・・・

おはようございます。かのん様☆

薪さんが、拉致監禁されたのに、第九と一課だけで、ひっそり捜索なんて・・・とショックを受けていました(ρ_;)

でも、総監の言うことも一理あるし・・・
あうう・・・(T_T)

その間にも、萩原の魔の手が、薪さんに伸びるのではないかと、非常に心配でした(T_T)

薪さん、今、お身体が湿気で弱っているのに、水分を取らないと衰弱しそうです(T_T)

萩原が少し、労ってくれましたが・・・かえって、触れられて、薪さんショックだったのですね・・・。

早く、青木来てくれ~(T_T)

でも、何だか、萩原は薪さんの事を詳しそうだし、青木が来ることを予想して、罠でもはってありそうです!!!←古典的なところで、落とし穴とか(^_^;)

それにしても、ビックリしました(°□°;)

私、てっきり、萩原の母親が、無理やり愛人にされていたのかと思っていました。
まさか・・・父親だとは・・・

友人も多く、ハンサムで優秀な萩原が、どんな辛い思いを味わったのかと思うと、同情の余地はありますね。

でもっっっ!!!
薪さんを拉致監禁した罪は重い。

あああ~
薪さんの運命や如何に!!!

続き、お待ちしております~♪♪♪

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!!

> 薪さんが、拉致監禁されたのに、第九と一課だけで、ひっそり捜索なんて・・・とショックを受けていました(ρ_;)
> でも、総監の言うことも一理あるし・・・
> あうう・・・(T_T)

たつままさんがショックを受けるようなことを書いてしまい、本当にすみません!(><)
実際には、薪さんの身にこんなことが起こったら、国家の一大事として、全警察官が緊急配備されるかもしれません・・。

この世界では、そうなってしまうと、クライマックスに辿り付く前に話が終わってしまうので・・・

> その間にも、萩原の魔の手が、薪さんに伸びるのではないかと、非常に心配でした(T_T)

ああああ・・・すみませんすみません!!
夜中にUPした分をお読みになって、卒倒してらっしゃるのではないかと・・その方が非常に心配です・・・(;;)

> 薪さん、今、お身体が湿気で弱っているのに、水分を取らないと衰弱しそうです(T_T)

今回は、湿気(暑さ)も、薪さんの敵です。

> 萩原が少し、労ってくれましたが・・・かえって、触れられて、薪さんショックだったのですね・・・。

時間が無いとささやかれた後に手を延ばされたので、かなり驚かれたようです・・薪さん・・(TT)(←自分で書いておいて・・)

> 早く、青木来てくれ~(T_T)

すみません。
青木、これでも車を飛ばしているのですが・・

> でも、何だか、萩原は薪さんの事を詳しそうだし、青木が来ることを予想して、罠でもはってありそうです!!!←古典的なところで、落とし穴とか(^_^;)

ハッ!鋭い!(落とし穴ではないですが・・いえ、ある意味落とし穴かも・・・)

> それにしても、ビックリしました(°□°;)
> 私、てっきり、萩原の母親が、無理やり愛人にされていたのかと思っていました。

あ・・そういう発想もありでしたね・・・
(男性間の発想はすぐに浮かぶのに、男女間の発想が全く浮かばなかった私って・・・自分の発酵の進み具合に、今更ショックを受けております・・・)

> まさか・・・父親だとは・・・

佐々木はたぶん、もし自分の妻がそんな目に合う、あるいは合いそうになったら、全てを捨てても戦ったかもしれません。
自分自身だったからこそ、家族を想い、最期まで隠し通すしかなかった・・そんな男だったのではと思います。

> 友人も多く、ハンサムで優秀な萩原が、どんな辛い思いを味わったのかと思うと、同情の余地はありますね。

萩原も、そんな目に合ったのが父親だったからこそ、衝撃はより大きかったかもしれません。

> でもっっっ!!!
> 薪さんを拉致監禁した罪は重い。

あ・・そちらでしたか・・(殺人犯罪は許されないとかそちらに行くのかと・・)
でもそうですね。
私も、他の方がこれを書いているのを読んでいたとしたら、何と言っても、薪さんをこんな目に合わせた罪が一番果てしなく重いですよ~

> あああ~
> 薪さんの運命や如何に!!!

運命・・ああ・・申し訳ございません・・(謝ることしか出来ません・・)

> 続き、お待ちしております~♪♪♪

いつもいつも本当にありがとうございます(TT)

やっと、先が見えて参りました。
今月中に完結・・は、無理となりましたが、あと8話(順調に行けばあと4日)で、終わる予定です。

長い・・こんなに長くなる予定ではなかったのですが・・・

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