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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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第五幕 第十場 : 選択


薪の唇に、かすかに赤い血が滲んでいる。
だがそれは、薪の物ではなかった。

萩原は、薪に咬まれた、その指を見つめた。
「・・こんなことは、君の為になるとは思えない。痛みは、人のサディズムを余計に呼び起こす・・そう思わないかい?」

萩原の言葉に、薪は、ギッと強い視線を浴びせた。
身体は軋み、震え、それでも・・・

「でも、僕は、君を汚すことは出来ない。何故なら・・君は、5月の薔薇なのだから・・」
そう言うと、萩原は立ち上がり、薪に背を向けた。

その背を見ながら、薪は、フーッ・・と、ため息を付く。
背筋を覆っていた悪寒が消え、一気に汗が出た。
急に、部屋の中が暑くなったように感じる・・

萩原は、一度部屋の隅に行き、薪の傍へと戻ってきた。
手には、小さなガラス瓶が握られていた。

横にずらしていたローテーブルを、薪の正面に配置すると、その上に、ボトルを置いた。

「To be,or not to be(生か死か)・・まさしくその問題に、君に、答えてもらいたい」

萩原は言い、見上げる薪と視線が、ぶつかった。

「もうすぐだ・・もうすぐ・・薪さん・・!」
青木は、目的地のすぐ傍まで、来ていた。

ケータイは何度も鳴っていたが、その留守電に吹き込まれるのは、自分に対して「戻れ」「待て」という物だった。
薪が無事に姿を現せば、その連絡が入るだろう。
それが無いということは、まだ、薪は行方不明だということだ。

向かう先に薪が居るという保証は無いが、今、自分が行くべき場所は、そこしか無かった。

「・・・・・」
薪は、萩原の言わんとするところを、測り兼ねていた。

萩原は言う。
「これは、ハムレットの剣の切っ先に塗ってあった物・・」
薪の顔色が、変わる・・・

「あるいは、クローディアスが用意した杯に入っていた物。ガートルードの、クローディアスの、レアチーズの・・そして、ハムレット自身の命を奪った・・毒薬だよ」

「時間稼ぎはもう終わり。そろそろ、本題に入りたい」
萩原の言葉に、薪は目を見開き、蒼ざめた顔で、相手を見上げる。

「君は、僕に話をさせることで、部下がここに辿り着くまでの、時間を稼ごうとした。僕には分かっていたよ。そう、決して君が、僕自身に興味を持って質問してくれたわけではないとね・・。それでも、僕は嬉しかった。君が、僕の話を聞いてくれたことが」

「理由は何であれ、状況はどうであれ、君は、僕の人生の一部を、一緒に辿ってくれた・・それは、君に脳を見られることに、近いかもしれない・・」

「もし君が、僕の脳を見たならば、僕がどれだけ、君を見つめてきたかが分かるだろう・・。残念だ。出来ることなら、僕は、君にそれを見てほしかった」

薪の、胸の鼓動が早くなる。
萩原の言い方は、まるで・・・

「君に、無理矢理、飲ませるようなことはしないよ。・・僕は、君に、君自身に選んでもらいたいんだ。生か、死か」

薪は、じっとりとした、暑さを感じていた。
萩原も、部屋の異変に気が付いた。

リモコンをエアコンに向けて操作するが、思うような結果が得られない。
「・・調子が悪い。こんな時に・・」
萩原は舌打ちをして、薪に向かい、言った。

「かと言って、今、窓やカーテンを開けるわけにはいかない。だから・・早く終わらせたい」

薪は、相手を睨み付ける。
その身体を、まとわり付くような湿った空気が、襲い始める。

「君は・・これまで、様々な人間の脳を見続けてきた。捜査の為という名目の元、多くの人間のプライバシーを覗き見てきたんだ。何て意地汚いことだと、思ったことは無いかい?」

萩原の口調が、また、変わった・・・。

「来る日も来る日も・・人が、誰にも見られたくない、そんな個人的な物を見続けて・・ふふ・・それこそ、排泄行為や生殖行為まで・・君は、そんな自分に、罪悪感を覚えたことは?」

それは、言葉のいたぶりだった。

「異常者の脳を・・人が殺される・・血を流し、切り刻まれ、内臓を晒す・・そんな物まで見るんだろう? 精神が壊れてもおかしくない・・いや、壊れないとしたら、それも異常だ・・そんな物を平気で見続けられるなんて、見られている人間よりも、見ている君の方が、ずっと異常なんじゃないか・・?」

萩原の言葉が、薪の心を侵食する。
暑い・・薪は、暑くてたまらない・・・

「そして・・君がそうやって、人の脳を暴き続けたせいで・・多くの人間が傷付いたんだ。分かるかい?・・君は、正義を振りかざすフリをして、人の脳を暴き、心を覗き、人を、傷付けているんだ・・どれだけの人間が、君のせいで・・君は、加害者だ・・!」

暑さが・・薪の思考を狂わせる。
萩原の言葉が身体の中を巡る・・ぐるぐると・・

「君は、自分を制裁するべきだ。その薬を飲むといい。・・そうすることでしか、君は許しを得ることは出来ない。君に脳を見られ、個人の聖域を汚された人間、君が脳を暴いたせいで、傷付いた周囲の人間、君がやっていること・・そのせいで、死んでいった人間達・・!」

「!!・・・」
薪は、引き付けるような声を出した。

これまでに、MRIで見た画像が、次々と浮かぶ。
異常者達の凄惨な犯罪、妄想にとらわれた映像、隠蔽せざるを得なかった事件・・・

自分の周囲で傷付いた人々、精神を壊した人間、そして・・失った部下達・・・

ハア・・ハア・・ハア・・・
呼吸がどんどん速くなる。
瞳孔が開く。
胸がつぶれそうになる・・

苦しい・・
ここから逃れたい。
今すぐ、楽になりたい・・・

「口を開けて」
萩原は、ボトルのフタを開け、薪に差し出した。

「これは君の意思だ。君が選択するんだ。君が、君自身の、死を・・」





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コメント

■ 

薪さんが、薪さんが!
萩原の術中にはまってる!
うぎゃあ!薪さん、飲んじゃダメ!
と、とにかく青木、早く来い!

時間稼ぎに萩原の話を聞いた、と萩原は言ってますが。
誤解だよ・・・・薪さんは、あんたの苦しみを理解して、ちゃんと聞いて、ああ言ったんだよ・・・。薪さんの過去を調べたんなら、薪さんがとてつもない苦しみを抱えていて、だからこそあんたの気持ちが解るんだってことが、解るでしょう?

薪さんが死んだら、自分も死ぬつもりなんだろうな・・・萩原・・・・。
やっぱり憎みきれません・・・・。

かのんさん、ラストスパートですね。
お身体に気をつけて、がんばってください。

それと、私信です。
わたしのブログの名称を、来週から変更します。URLは変わりませんので、もしもうちに訪ねてくださるようなことがあれば、どうかこのURLからお願いします。
(あっ、でも・・・あれやあれを読まれるのはちょっとマズイ・・・たぶん、怒られる・・・・あはは)

■ 何て事・・・

おはようございます。かのん様。

恐ろしい展開ですね。
薪さん!!!
そんなの絶対に飲まないで下さい。

薪さんが悪い事なんて全くない。
何一つ、薪さんのせいなんかじゃありません。

薪さん、大丈夫ですよね(^_^)
こんな、心理攻撃の1つや2つでは負けません。

萩原・・・なんて酷い事を。
自殺に、薪さんを巻き込むつもり?
薪さんは、そんな弱い人間ではないよ。
人を信じられるから・・・。

青木!
萩原を捕まえて、生きて罪を償わせてやって下さい。

青木も、絶対にそんなの飲まないでね(T_T)

ああ・・・
恐ろしい・・・

早く、薪さんを助けて下さい。
お願いします。

続き、お待ちしておりますm(_ _)m

■ 

○しづさま

コメントありがとうございますm(_ _)m

> 薪さんが、薪さんが!
> 萩原の術中にはまってる!
> うぎゃあ!薪さん、飲んじゃダメ!
> と、とにかく青木、早く来い!

すみません・・
青木、目的地に到着はしたのですが・・・

> 時間稼ぎに萩原の話を聞いた、と萩原は言ってますが。
> 誤解だよ・・・・薪さんは、あんたの苦しみを理解して、ちゃんと聞いて、ああ言ったんだよ・・・。薪さんの過去を調べたんなら、薪さんがとてつもない苦しみを抱えていて、だからこそあんたの気持ちが解るんだってことが、解るでしょう?

うんうん、そうですね・・・

薪さんは、そういう方ですよね・・・

> 薪さんが死んだら、自分も死ぬつもりなんだろうな・・・萩原・・・・。
> やっぱり憎みきれません・・・・。

そうですか・・
・・萩原、目的を果たしてしまいましたが・・・

> かのんさん、ラストスパートですね。
> お身体に気をつけて、がんばってください。

どうもありがとうございます(TT)
実は、自分で書いていて重くなっております・・
頑張れ自分!あと6話だ・・

> それと、私信です。
> わたしのブログの名称を、来週から変更します。URLは変わりませんので、もしもうちに訪ねてくださるようなことがあれば、どうかこのURLからお願いします。
> (あっ、でも・・・あれやあれを読まれるのはちょっとマズイ・・・たぶん、怒られる・・・・あはは)

ご連絡ありがとうございました!!

早く自分のを終わらせて、しづさんワールドの豪快かつ繊細な薪さんに会いにいきたいです・・

でも怒られるって・・・・・??

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございますm(_ _)m

> 恐ろしい展開ですね。
> 薪さん!!!
> そんなの絶対に飲まないで下さい。

ううう・・・すみません・・・

> 薪さんが悪い事なんて全くない。
> 何一つ、薪さんのせいなんかじゃありません。

そうです。
そうなんです。

> 薪さん、大丈夫ですよね(^_^)
> こんな、心理攻撃の1つや2つでは負けません。

はい。
こんな心理攻撃には負けない方でした。
薪さんには、仕事に対する信念がありましたから・・
でも・・・

> 萩原・・・なんて酷い事を。
> 自殺に、薪さんを巻き込むつもり?
> 薪さんは、そんな弱い人間ではないよ。
> 人を信じられるから・・・。

そうですね。
薪さんは、強い方だと、そう、私も思います。

> 青木!
> 萩原を捕まえて、生きて罪を償わせてやって下さい。
> 青木も、絶対にそんなの飲まないでね(T_T)

薪さんや青木にエールを送り続けて下さり、本当にありがとうございます。

> ああ・・・
> 恐ろしい・・・
> 早く、薪さんを助けて下さい。
> お願いします。

ああああ・・・本当に・・本当に・・申し訳ございません・・・・・・・・

> 続き、お待ちしておりますm(_ _)m

自分でもキツイ展開なのですが、それにも関わらず、読んで下さること、本当にありがたく思っております!!

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