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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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第六幕 第四場 : 目的


薪は、救急病棟から、一般病棟の個室へと、移った。

青木も一度目覚めたと、薪は医師から聞いたが、薪が再び目覚めた時には、青木もまた眠っていて、目を開いたその姿を、見ることは無かった。

病棟を移ってすぐ、岡部が、薪の病室を訪れた。
薪が、事件のことを尋ねても、今は身体の回復に専念しろ、職場に復帰するまで何も気にするなと岡部は言い、語ろうとはしなかった。

聞かなくても、岡部の様子から、薪は何となく、事件の結末を察し、また岡部の気持ちを思い、それ以上追及はしなかった。

その夜、点滴を終え、薪がうつらうつらとしていると、その向こうに、人影が見えた。
頭を振り、目を凝らすと、ベッドサイドに、青木が座っていた。
青木の腕には、まだ点滴の針が刺さり、その管は、可動式の台に下がった袋へと、続いている。

「あおき・・」
薪の唇が、その名前を、形作った。
その声は、かすれる程に小さかったが、青木は読み取った。

「薪さん・・」
青木は片腕を延ばし、その手で、薪の頬を、髪を、包む・・・

「動いて・・大丈夫なのか?」
青木が、最初にハッキリと耳にしたのは、青木を労わる言葉だった。

青木は目を細め、穏やかな声で、言った。

「はい・・。薪さんから少し遅れて、一般病棟に移ったんです。薪さんは突き当たりの個室に居ると聞いて・・じっとしてろとは言われたんですが、看護士さん達が居なくなった隙に、来てしまいました」
青木は、クスッと笑った。

「オレはもう・・このとおり。すっかり元気です。薪さんこそ・・・」

その先は、言葉が出なくなり・・代わりに青木は、顔を近付け、薪の唇にそっと、キスをした。

顔を離す青木を、薪は、静かな、静かな表情で、見つめている。

「・・・オレ、薪さんに、感謝しないといけませんね」
「?・・」
青木の言葉に、薪は、やや怪訝な顔をする。

「オレ・・薪さんが仮死状態だった時、萩原と直接話したんです。そして、薪さんは毒を飲み干して死んだと聞いて・・すっかり、信じてしまって。薪さんが・・死んだと思い込んで・・。薪さんの後を追おうと思ったんです。銃で自分を・・撃つ、つもりでした。でも・・」

「薪さんが、オレに、銃を自分に向けるなと約束させたから・・オレは、撃てなかった・・。代わりに、薪さんの口に残った毒をもらって・・それで、死ねると思いました・・」

薪は、かすかに・・ぼんやりと、覚えている光景が浮かぶ。
うっすらと目を開いた時、青木が、自分を抱き締めていた。
そしてまた自分は、目を閉じたのだと・・・。

自分は、死との境で、夢を見ていた。
だが、あの青木に抱かれた感触は、きっと、夢ではなかったのだ・・・

「薪さんとの約束が無かったら・・オレは、銃で自分の頭を撃ち抜いて・・オレだけ、死んでいました・・」

「最後は・・『ハムレット』じゃなかった・・・」
「え?」

薪には分かった。
萩原が用意したラストシーンは、『ハムレット』ではなかった。
最後の最後に用意していたのは、『ロミオとジュリエット』だったのだ。

自分を仮死状態にさせ、その上で、自分が死んだと、青木に思い込ませ、青木を、自殺に追い込む。
・・その苦しみを、萩原は、自分に味合わせたかったのだ。

萩原は、ただ自分を殺すことは、欲しなかった。
自分の愛する人間が死ぬ・・その苦しみを味あわせて。

しかも、自分があの薬を飲んだ、飲むことを自分が決断したそのせいで、青木は死んだのだと・・自分のせいだという罪悪感を、その苦しみを味わうことを望んで・・・

・・そうなったら、苦しみの末、今度こそ、僕は・・・・

「薪さん・・本当に、感謝しています。あなたは・・オレに約束させることで、オレの命を・・救ってくれた・・・」

薪は、青木を見つめた。
そして、思った・・・

そうじゃない。
この世に、僕とお前を留まらせたのは、僕じゃない。
あれは、お前が・・・・・

薪の目から、涙が溢れた。
「薪さん?・・」
青木が薪の顔を覗き込み、その涙を、手の平で拭く。

それでも、薪の涙は治まらず、青木は顔を近づけ、薪の涙を吸い取った。
青木は、薪のまぶたに、頬に、唇を這わせ、溢れる涙をすくい取っていく。

それでも薪の涙は、後から後から溢れて、止まらなかった。

「うっ・・くっ・・」
嗚咽が漏れ、薪は、青木の頭を両手で掴み、その唇を、自分の唇へと押し当てた。

そして、青木の口の中で、声を上げて、泣いた・・・・・・・

涙と鼻水と唾液にまみれたその顔が、青木はとても、愛しかった。





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コメント

■ よかった

2人とも無事に逢えてよかったぁ。

あ、表では、はじめまして。
つい最近「秘密」にはまった不届き物のyumemiです。
よろしくお願いします。

ロミオとジュリエット
うろ覚えですが、「剣よ、剣。ここがお前の鞘よ。」でしたっけ?
そんなことにならなくて本当に良かったです。
薪さん,今日思いっきり泣いたら、明日は笑ってくださいね。

後は 萩原氏と6年前の事件の真相と黒幕ですね。
どんな展開になるのか楽しみにしています。

■ 

○yumemiさま

コメントありがとうございます。

> 2人とも無事に逢えてよかったぁ。

はい。やっと無事に会うことが叶いました(長くてすみませんでした・・)

> あ、表では、はじめまして。
> つい最近「秘密」にはまった不届き物のyumemiです。
> よろしくお願いします。

ご訪問、ありがとうございます。
こちらこそ、どうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

つい最近ハマったのですね。
私が「秘密」にハマったのは、去年の6月です。
「秘密」の長い歴史から見たら、私もまだ1年2ヶ月の新参者です(^^;)

> ロミオとジュリエット
> うろ覚えですが、「剣よ、剣。ここがお前の鞘よ。」でしたっけ?
> そんなことにならなくて本当に良かったです。
> 薪さん,今日思いっきり泣いたら、明日は笑ってくださいね。

私のことですから(笑)
やっぱり薪さんにジュリエットのような思いはさせられませんでした。

好きな人の前で、思いっきり泣いて、そして笑う・・原作薪さんにそんな日が訪れることを願いつつ・・・

> 後は 萩原氏と6年前の事件の真相と黒幕ですね。
> どんな展開になるのか楽しみにしています。

あと1話で完結です。
ここまでお付き合い、ありがとうございましたm(_ _)m

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