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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene3:人影


それから、2週間あまりが過ぎた。

最初こそ、第九メンバーは、復帰した薪を気遣う様子を見せていた。
だが、当の本人が、容赦なく自分達を叱咤する姿に、気遣うどころでは無くなった。

程なく、第九は以前と変わらぬ様相を見せ、全員が目の前の捜査に没頭し、日々が過ぎていった。

その日の昼休み、青木は一人で第九に残っていた。
薪が早朝から出張のこの日、後から家を出た青木は、出勤途中で朝食と昼食をまとめてコンビニで買い、昼休みになったら、第九の執務室で、早々に昼食を済ませたのだ。

外に食べに行ったメンバー達は、薪が居ない開放感も手伝ってか、昼休みをゆっくりと過ごしているようだった。

そこに、第九への来訪者を告げる電子音が鳴った。
セキュリティドアの向こうにあったのは・・・青木以上に長身の人影だった。

「フォスター捜査官・・!!」
青木は、フォスターを中に招き入れた。

「ど・・どうして・・?」
突然の来訪に、青木は驚きを隠せない。
「今週は、アメリカの科学捜査関係者が、日本の科学捜査及び科学警察の視察に訪れることになっていた。薪から、聞いていなかったか?」

「いえ・・」
「第九は視察部署に入っていないからな。まあ、今回は上の連中の交流が目的のようなものだ」
「薪さんは・・フォスター捜査官がお見えになるのを、知っていたんですね・・」
青木は、また薪が今回のことを自分に話さなかったのだと、内心、気落ちしていた。

「いや・・」
フォスターの言葉に、青木は目を上げる。

「私は当初、視察団のメンバーに入っていなかった。・・こんな、予算消化に過ぎない無駄な物、付き合うのは御免だ。自分の縄張りで仕事をしていた方が、余程いい」
「じゃあ・・」

「薪は視察団の来訪は聞かされていたと思うが、手にした資料に、私の名前は入っていなかった筈だ。ここが視察部署に入っていれば、追加の連絡もあるだろうが・・。2週間前に、急に思い立ったのでね。しかも、それからスケジュール調整に入ったので、実際に来られるかどうか、私自身、直前まで分からなかった」

2週間前と言えば、フォスターからの電話があった頃だ。
そして同じ日に、薪からも・・

「薪さんは、今日は出張に出て、夜まで戻りませんが」

残念でしたね。
・・と青木は言いたくなったが、こらえた。

フォスターが薪を心配する様子に、薪から電話をすべきだと言ったのは自分だが、まさかそれが、こういう結果を生むとは・・・

「それは聞いている。今日は、薪に会いに来たわけではない」
「え・・?」

こんな無駄なことは御免だと言いながら、それでも薪に会う為に、無理を押して来日したのでは無いのか?
フォスターの言動は、青木には、よく分からない。

「薪は、現状維持のようだな」
「はい」
話題は、薪の立場へと移った。

先の事件で、薪自身の拉致誘拐など、いくつかの事柄が、第九の不手際と目され、槍玉に上がった。
だが、結果的に事件が解決に導かれたとも言え、薪が処分を受けることは無かった。

その代わり・・
「噂に上っていた薪さんの昇格も、流れたようです」

青木の言葉に、フォスターは、フッ・・と、得意の皮肉な笑みを浮かべた。

「理由など、何だって良いのだろう。薪が警視長にでもなれば、第九の室長では納まらなくなる。連中は、薪を現状のまま、手元に置きたいだけだ」
「連中・・」

「彼をアメリカに引き抜く時も、随分大きな反発にあった。・・岡部と違い、薪は、特別だからな」
「岡部さんだって、薪さんがそちらに赴任している間、第九をちゃんとまとめていてくれました」

室長代理としての、岡部の能力を過小評価されたようで、青木は、少しムッとした。

「それはそうだろう。能力のことを言っているのではない。薪は、これまでのあらゆる事件の画像を見ている。・・薪だけが見ている物が、あまりにも多い。連中は、それを手放したくないのだ。理由はいくらでも付けられるが、結局は、そういうことだろう」

「フォスター捜査官、あなたは、どうして・・」

フォスターの言葉に、青木は内心、驚愕を覚えていた。
一体、フォスターは、どこまで知っているのだろう・・・

「何故、私が日本の第九の周辺について、こんなにも詳しいのか、不思議に思うか? それは、どこの世界でも、連中が考えることは、似たようなものだからだ。日本でも、アメリカでも。・・君だって、イタリアで、上の連中がどういった動きをするのか、見てきたんじゃないのか?」

その言葉を聞き、青木の脳裏に、1年近く前の光景が、ありありとよみがえった。

フォスターは、第九の中を見渡しながら、言った。
「システムは多少変更されたが、部屋の中は、大きくは変わってないな」

フォスターも、青木と同様、過去の光景を思い描いているようだった。

「そう・・ここで、私が日本語を話し出したら、皆、一様に驚いた顔をしていた」
言いながら、フォスターはデスクに近付いた。

そして、脇の壁を指差し、言った。
「薪は、そこに居た。私がここに入ってきた時からずっと、彼は私を、睨み付けていた・・」

フォスターの目が細まったことに、青木は気が付いた。
まるで、その視線の先に、今誰かが実際に、居るかのように・・・

「フォスター捜査官、あなたは、オレとそんな話をする為に、今日、ここまで来たんですか?」
フォスターは振り返って、言う。
「人は、年を重ねるに従い、過去を振り返りがちになるものだ」

「オレが言いたいのは、そんなことじゃなくて・・」
青木は言った。
「あなたは、薪さんを、避けているんですか?」

「避ける?」

フォスターの動きが、止まった。
「私が、何故?」

「何故かは、オレには分かりません。でも、あなたは今日、薪さんが居ないのを承知で、それでもここにやって来た。それは・・薪さんの面影を求めてやって来たのではないですか? だったら、直接会えばいい。なのに、あなたはそうしない。何故です? 急遽調整してまで、日本にやって来て、あなたは一体、何をしたいんですか?」

フォスターは向き直り、青木を真っ直ぐに、見返した。
互いに目を合わせると、まるで威圧するかのように鋭い、フォスターの視線・・
それでも、青木は目をそらさなかった。

やがて、フォスターの口元が、緩んだ。そして・・
「ハハッ!・・ハハハッ・・・」
さも愉快そうに、声を上げて、笑った。

「・・・フォスター捜査官・・」
青木は、呆然と相手を見つめた。
そう、愉快そうに笑っているのに、それはまるで・・・

「君は・・相変わらずだな」
フォスターは笑いが治まると、言った。

「最初から、君はそうだった。とても勘が良く、そして・・率直だ。君のそんなところに、薪も救われているのだろう」
「・・・・・」

「私もそうだ。地位が上がるにつれて、周囲に群がる人間も増えてくる。だが・・結局は、率直な人間が残る。私自身が、そういった人間に救われているからだ」

フォスターは微笑むと、ドアに向かって歩き出した。

「日本に滞在する間、薪さんには、会わないんですか?」
青木が言葉をかける。

「あえて会う気は無い。・・だが、近いうちに顔を合わせることにはなるだろう」
「え・・」
「いや、まだ分からないが。・・どちらでもいいんだ。私は、どちらでも・・」

「青木、今日、君に会えて良かった。彼の傍に居るのが、君で・・良かった」

フォスターは青木に背を向けたままそう言い、そのまま、出て行った。

青木がその場に立ち尽くしていると、第九メンバー達が帰ってきた。
「青木、今、第九を出て行った人間が居なかったか?」
「遠くから見えただけなんだが、まるで、フォスター捜査官みたいな・・」

「そうです」
「え!?」
「フォスター捜査官、科学捜査の視察団として、日本を訪れているそうです」

「え? 今の、本当にフォスター所長だったのか!?」
「何だ・・もう少し居てくれればなあ」
「結局、一度も飲みにお連れしてないんですよねえ」

メンバー達が言い合う中、青木は、仕事に戻った。
端末に向かいながら、青木は、フォスターの笑顔を思い出していた。

フォスターは、声を上げて笑っていた。
なのに、青木には、フォスターのその顔が、まるで、傷付いた少年のように見えた・・・





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