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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※清水先生の作品とは、一切関係ございません。


オリジナルストーリー

「恋人」



青木が、街中で、その女性に声をかけられたのは、ある休日の、午後のことだった。

「青木くん!」
聞き覚えのあるその声に、青木はハッとして振り返った。

「晴香・・!」
驚きに目を見開く青木に、晴香は近付いた。
「久しぶりね」

肩よりやや長いストレートの髪を、ハーフアップにして、紺のアンサンブルに、ベージュのパンツ姿。
シンプルなそのスタイルに、アクセサリーを効果的に配し、クラッチバッグを手にした彼女。

「すぐに分かったわ。青木くん、ちっとも変わってないから」
「ああ・・図体がデカイのは、変わらないよ」
青木のトボけた返答に、晴香はクスッと笑って見せた。

「この辺りに・・住んでるのか?」
青木の問いに、晴香は首を横に振る。

「ううん。今日はこっちで商談があってね、出てきたの」
「商談・・すごいな」
「そんなことないわよ。私はアシスタントだし、輸入代行業なんて、いつも綱渡り」

そう言って、晴香は青木の姿を、下から上まで眺めた。
「青木くんは・・そっか。公務員は土曜は休みなのね」

青木は頭に手をやり、自分のカジュアルな服装を改めて見て、言った。
「いや・・普段は、土日も関係ないことが多いんだけど。今週は、捜査に区切りが付いたから・・」
「捜査・・か。かっこいいね」
「いや・・・」

青木は、言葉を濁した。
その「捜査」に、のめり込み、第九に着任早々、目の前の彼女と、別れることになってしまったのだから・・

「仕事・・頑張ってるんだ」
晴香の言葉に、青木は、相手を見つめた。

「晴香・・悪かった。あの時は・・」
「やめて」

晴香は、青木の言葉をさえぎった。
「そんな話、したくない。それに」
晴香もじっと、青木を見つめる。

「仕事の為に・・あんなことになったんだから。その仕事に、相変わらず、突き進んでてくれなくちゃ。青木くんが、仕事に頑張っててくれる方が、私だって、報われる」
「晴香・・」

青木の目がやわらぎ、口元が、フッと緩んだ。
「やっぱり、敵わないな」

そして、言葉を継いだ。
「うん。頑張ってるよ。夢中でやってる。仕事自体は、結構キツイけど・・いい上司や先輩に恵まれて・・」
「そう。良かった・・」

晴香は笑顔になると、言った。
「私も頑張ってる。大変なこともあるけど・・仕事のやりがいや楽しさも、分かるようになったしね」
そう話す目の前の女性を見て、青木は言う。

「うん。今の晴香、すごくイキイキしてる。オレと付き合ってた頃よりも、ずっと・・」
青木は、目を細めて、続けた。

「ずっと・・綺麗だ」

晴香の目が大きく見開き・・そして、晴香はプッ・・と吹き出した。
「何それ?」
「え?・・」
晴香の反応に、青木はとまどう。

「だって・・付き合ってる頃、そんなこと、一度も言ったことなかったじゃない」
「え?・・そ、そうだったかな・・」
青木は額に手を当てた。
顔が赤く染まる。

「今更そんなこと言って、私のこと、口説くつもり?」
「い、いや、そういうわけじゃ・・」
青木は困った表情になり、うろたえ、益々真っ赤になった。

そんな青木を見て、晴香は言った。
「そんなことを言うなんて・・きっと、今の彼女は、青木くんから、自然にそんな言葉を引き出すような人なんでしょうね」
「え?」

「居るんでしょう?・・付き合ってる人」
晴香は、青木の顔を伺う。

青木は、顔から手を離し・・
「うん」
真面目な顔になり、そう言う青木を見て、晴香は、穏やかな目で相手を見上げた。

「素敵な人なんだ」
「うん」
きっぱりと答える青木に、晴香は一度目を伏せ・・そして上げた。

その時、声がした。
「晴香!」

少し離れたところから、こちらに手を振る男性の姿があった。
「あ、行かなくちゃ。彼に荷物預けたままなの」
「彼?」
「うん。彼が、会社のボス」

「ボス? 社長?」
「じゃあね」
晴香は、数歩行きかけ、立ち止まり、振り返った。

「会えて良かった」
一言、そう言って、彼女は遠ざかっていく。

「オレも・・オレも会えて良かったよ。晴香・・」
青木の言葉に、彼女は、足早に遠ざかりながら、手を振る。

待っていた男性は、晴香と少し会話を交わすと、青木の方を振り返った。
そして、青木に会釈をすると、晴香の肩に、手を回した。

「荷物を持って、晴香と呼ぶ、ボス・・か」

青木の胸に、愛しい人の顔が、浮かんだ。
無性に、会いたくて会いたくて、たまらなくなった。

「お帰り」
部屋に帰ると、ソファーに座り、本を手にしていた薪が、顔を上げた。

「ただいま・・帰りました」
そう言う青木と、一度目を合わせると、薪は、すぐに本に視線を戻す。
青木はその場に立ったまま、じっと、薪の顔を見つめた。

動かない青木の様子に、薪は、もう一度、目を上げる。
「?」
どうしたのかと問うように、青木を見上げる薪の顔。

青木は、その瞳を見つめ・・

「な・・! どうした?」
青木がいきなり抱きついてきたことに、薪は、怪訝な顔をした。

青木は構わず、薪を抱き締めた。
強く、強く・・・

そして、言った。
「薪さん・・綺麗です」

「突然、何を・・」
「綺麗です。綺麗です・・とても」

繰り返す青木に、薪は、それ以上、問うのを止めた。
手にしていた本を傍らに置き、薪も、青木を抱き締めた。

青木は、薪の温かさを感じた。
薪の首筋に顔を埋め、薪の匂いを嗅いだ。

腕の中にある、華奢な身体を、薪の存在を、感じていた。

薪は、そんな青木を見つめ、片手で青木の背中を抱きながら、もう片方の手で、青木の頭を撫でた。
青木の頭に頬を寄せ、繰り返し、繰り返し・・

薪の優しい手の動きを、頭を伝わるその感触を、青木は目を閉じて、感じていた。




恋人 終





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