カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
※清水先生の作品とは、一切関係ございません。

全3話です。


オリジナルストーリー

「雪白」


Scene1:視線



コンコン・・と、ドアをノックする音がする。

「どうぞ」
彼は、ちょうど読み終えた本をパタンと閉じて、言った。

ドアが開き、一人の女性が、ストロベリーブロンドの豊かな髪を揺らしながら、入ってくる。
「クリス」
女性をそう呼び、彼は顔を上げる。

「クラーク」
言いながら、女性は微笑み、書斎のデスクを前に座るフォスターの傍へと、歩み寄った。

「お邪魔じゃなかったかしら?」
デスクに置かれた本を見て、クリスは言った。

「君の邪魔なら、いつでも大歓迎だ」
フォスターはそう言って、座ったまま、目の前に立つクリスを抱き締めた。

そんなフォスターの髪に手を置き、そっと撫でながら、クリスは言う。
「・・読書に夢中な時は、声をかけても、返事もしない癖に」

クリスを抱き締めたまま、ふっ・・とフォスターの口から、笑みが漏れる。
フォスターは、彼女のこんな物言いを、好ましく思っていた。

「ねえ、私、前から不思議に思ってたんだけど」
「うん?」
「あのピアノは、一体何の為にあるの?」

クリスの言葉に、フォスターは顔を上げた。
広い書斎の一角に、グランドピアノが一台、置かれている。

「あなたは、弾かないんでしょう?」
「ああ。私には、音楽の素養は全く無い」

「やってみれば、あなたなら、出来るような気がするけど」
「・・・・・・」

わずかな沈黙の後、フォスターは言った。
「弟が・・」
「え?」

「弟のジェームスが、3歳の頃からピアノを習っていてね。今でも、多忙な身で時間を見つけては、クラブに行って、披露する程の腕前だ。逆に言えば、その程度の腕と言うことだが」
「そうなの・・」
初めて聞くその話に、クリスは耳を傾けた。

「・・新しいピアノに買い替える時、このピアノは処分すると言うので、私が引き取った」
「じゃあ、弟さんが来て、このピアノを弾くの?」
「いや・・」

フォスターは目を伏せ、言った。
「弟は、滅多にここへは来ない・・。来ても、ピアノを弾くことは無い」
「・・・・・・」

クリスは、フォスターを見つめ、それから、顔を上げてピアノを見つめた。
「じゃあ・・このピアノは、ここに来てから、誰かに弾かれたことは、一度も無いの?」

クリスの言葉に、フォスターもピアノを見つめる。

「クラーク?」
返事が無いことに、クリスは怪訝な顔を見せる。

「そうだな・・君が弾けばいい」
フォスターの言葉に、クリスは、目を見開いた。

「私がピアノを習っていたのは、子供の頃よ。もうとっくに忘れて、恥ずかしくて弾けたもんじゃないわ! 知ってる癖に!」
クリスの反応に、ハハハ・・と、フォスターは、声を上げて、笑う。

「今日は、エンリコの店に行くんでしょう? そろそろ出かけましょう」
「ああ。支度をして、すぐに行く」

ニッコリとフォスターに笑いかけ、部屋を出ると、クリスの顔から、笑顔が引いた。
歩きながら、思う。

夫は時々、その視線が、遠くをさ迷うことがある。
今も、ピアノを見つめながら、夫は何か、別の物を見ていた。

もちろん、自分だって、この年になるまでには、色々とあった。
夫に踏み込まれたくないことも、中には含まれている。

でももし、夫に尋ねられたら、自分は、正直に答えるだろう。
そして夫も、もし自分が問えば、隠さずに話してくれるに違いない。

でもそれは、すべきことではないと、クリスは思う。

夫は自分を愛している。
そのことに、不安を感じるわけではない。

ただ、その愛の向こうに、何か、繊細な物が含まれていることを、クリスは、その鋭敏さで感じ取っていた。

でもそれには、触れるべきではない。
触れたらきっと、傷付いてしまう。
そんな予感がした。

クリスは、自分が傷付くことよりも、夫クラークを傷付けることが、恐かった。

「今日のおススメは、何かしら」
クリスは、馴染みのシェフから生み出される料理への期待に、気持ちを切り替えることにした。





関連記事

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/457-5a1508de

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |