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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene2:幻影


隣りで寝返りを打つクリスの肩に、フォスターは布団を掛け直すと、ベッドから出た。
夜着を身にまとい、寝室を出て、書斎へと向かう。

部屋に入ると、棚から1枚のディスクを取り出し、オーディオにセットした。
それから、反対の角にある、ごく小さなカウンターバーからワインを取り出すと、グラスへと注ぐ。
その間に、音楽が流れ始める。

フォスターはグラスを手に、ソファーへと身を沈めた。

ハスキーな女性ヴォーカルの声を聴きながら、フォスターは、ピアノへと、目をやった。
ぽつんと置かれた、グランドピアノ。

誰も座っていない筈なのに、昼間見えた影が、また、フォスターの前を、うつろう。

彼も、クリスと同じことを言った。
『お前なら、出来そうだがな』

「薪・・・」

空中に放たれたその響きに、フォスターは、無意識のうちに、自分がその名をつぶやいていたことを、知る。

薪が、アメリカで過ごした2年間、自分はあれだけ薪の部屋に入り浸っていたのに、薪の方が、フォスターの家を訪れたのは、たったの2度。
そのうちの、1度のあの日。

薪は、そこに座っていた。


************


「・・書斎に、カウンターバーがあるのか」
フォスターが、そこからグラスを取り出す姿に、薪は言った。

「飲むか?」
「いや」

薪は短く返事をすると、先程から目の前に広がる、膨大な蔵書を改めて見つめた。
薪がフォスターの元を訪れたのは、これが目的だった。

「自由に手に取ってくれ」
そうフォスターが言った時には、もう薪は、最初の一冊に手を延ばしていた。

あっという間に時が流れる。
驚異的な集中力で、食い入るように、次々と本を開いては閉じていく薪の姿を、フォスターは、ずっと見ていた。

「ふう・・・」
気になった本のチェックを終えた薪は、ソファーに座ると、両足まで座面に乗せ、肩膝を立てた体勢で、ため息を付いた。

立てた膝に片肘を乗せ、その手で前髪をかき上げながら、目を伏せる。

その薪の目の前に、2つのグラスが置かれた。
そのグラスに、フォスターの手で、白ワインが注がれる。
いつものように、片方には少し、もう片方のグラスには、並々と。

「日本からのゲストの君に、今日は日本産のワインを取り揃えておいた」
フォスターは、そう言った。

「日本のワインは、甘い物が多いな。だがこれは・・」

「なかなかいい」
言いながら、フォスターは薪にグラスを手渡すと、自分のグラスを掲げて見せた。
2人は、ワインに口を付けた。

「お前が、ピアノを弾くとは知らなかったな」
「うん?」

薪の視線の先を辿り、フォスターもピアノに目を留めた。
「いや・・あれは、ただの飾りだ」
「豪勢な飾りだな」

薪は、グラスを置くと、立ち上がり、ピアノに近付いた。
ただの飾りにしては、ホコリ一つ無く、綺麗な状態を保っている。

フタを開けてみる。
鍵盤も、よく磨き上げられている。

改めて、ピアノ全体を見渡し、
「これ程の・・もったいないな」
そう言って、薪は椅子に座った。

フォスターも、傍に歩み寄る。

「お前なら、やれば出来そうだがな」
薪は、傍らに立つフォスターを見上げ、そう言った。

「君は、薪。ピアノを弾いた経験は?」
フォスターの言葉に、薪は答える。
「昔・・弾いていたこともある。だが、もう忘れた」

「君が忘れるという言葉を使うなんて、信憑性が無いな」
フォスターは言い、更に続けた。

「私は、音楽は鑑賞が専門だ。雑食でね。ジャンルは問わない。クラシック、ジャズ、カントリー、ロック、ポップス・・」
「ポップス? お前が?」

「うん?」
フォスターの目に、自分を斜めに見上げる薪の顔が、口角が上がった口元、可笑しそうに揺れる瞳が、飛び込んだ。

「・・ポップスと言っても、その種類は、様々だ」
言いながら、フォスターは薪に背を向けた。

フォスターは、動揺を感じていた。
普段、滅多に顔色を変えることの無い自分が、薪の微笑み一つで・・

「例えば・・これだ」
フォスターが棚から取り出した物を見て、薪は言った。
「随分、大きなケースだな」
「楽譜付きの、特別版だ」

フォスターは、改めてピアノに近付くと、薪の目の前に、その楽譜を広げて見せた。
「これは、ジャズやカントリーの要素も取り入れたアルバムで・・特にこの曲は、シンプルで弾き易い」
「ん?」

薪が、怪訝な顔をして見せると、フォスターは言った。

「弾いてみないか? これだったら、過去にピアノに触れたことがある人間なら、即興で弾きこなせる筈だ」
「何を・・」

抗議しかけた薪の右手を、フォスターは手に取り、そっと、鍵盤の上に、乗せた。





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コメント

■ 甘く切ない思い出

おはようございます。かのん様☆

先程、玄関を開けましたら
未明の澄んだ西の空に、満月より少し欠けた月が輝いていました。
とても綺麗な月明かりで
きっと、フォスターと薪さんが釣りをした晩も、最後に会った夜もこんな月の下だったのだろうと思いを巡らしていました(^_^)

結婚をして、愛する妻を得て、フォスターはとても幸せなのでしょうね。

でも、ふとした瞬間に
薪さんを思い出してしまうのでしょうね。

薪さんの微笑みに冷静さを自負する心がかき乱される。
薪さんのことを深く想っていたのですね。

薪さんはフォスターの書斎に殆んど訪れたことがなかったのですね。←以前こんなお話しをしましたよね(^_^)

来ても、フォスターの蔵書に目を奪われ、読みふけり・・・
それをただ見ているフォスター。
きっと、フォスターはそれでいいのでしょうが切ないです~(T_T)

そして、フォスターの手によってピアノに触れる薪さん(≧∇≦)

この後の出来事は、きっと甘く切なく、フォスターの心に残る美しい思い出なのでしょうね。
次のシーンがとても楽しみです\(^▽^)/

続き、お待ちしております☆☆☆

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!m(_ _)m

> 先程、玄関を開けましたら
> 未明の澄んだ西の空に、満月より少し欠けた月が輝いていました。

「未明の~輝いていました」の、この一文。
月の輝く空が、瞬時に脳内に浮かび、清爽な空気が感じられました。
素敵です。

> とても綺麗な月明かりで
> きっと、フォスターと薪さんが釣りをした晩も、最後に会った夜もこんな月の下だったのだろうと思いを巡らしていました(^_^)

あああ・・・ありがとうございます・・・。

折に触れて、こんな風に思い起こして下さる・・なんて、なんてありがたいのでしょう・・(TT)

> 結婚をして、愛する妻を得て、フォスターはとても幸せなのでしょうね。

だといいなと、思います。
彼には、幸せを得てほしいので。

> でも、ふとした瞬間に
> 薪さんを思い出してしまうのでしょうね。

薪さんの記憶は、永遠に消えないのでしょう。
でもそれも、一種の幸せの形かもしれません・・

> 薪さんの微笑みに冷静さを自負する心がかき乱される。
> 薪さんのことを深く想っていたのですね。

とっさに薪さんに背中を向けてしまう・・表情を見られたくなかったのか・・
脳内に浮かぶフォスターの背中に、書きながら私は微笑んでしまいましたが。

> 薪さんはフォスターの書斎に殆んど訪れたことがなかったのですね。←以前こんなお話しをしましたよね(^_^)

そうですね。
あの時のたつままさんの素晴らしい妄想が、私の中に残っていたから、こんな展開になったのだと思います。
ああ、また、たつままさんに助けていただきました!(^^)

> 来ても、フォスターの蔵書に目を奪われ、読みふけり・・・
> それをただ見ているフォスター。
> きっと、フォスターはそれでいいのでしょうが切ないです~(T_T)

切ないなんて・・たつままさん、お優しい・・
オリキャラを優しい目で見ていただいて、本当にありがたいです。

フォスターの真意は、書いている私も分かりませんが、私なんて書きながら
「あなたは本当に、薪さんの姿を愛でながら、一杯やるのが喜びなのね・・」
と、思っておりましたから・・・

> そして、フォスターの手によってピアノに触れる薪さん(≧∇≦)

今回唯一のボディタッチでしょうか。
薪さんは全く気に留めてないようですが。

> この後の出来事は、きっと甘く切なく、フォスターの心に残る美しい思い出なのでしょうね。
> 次のシーンがとても楽しみです\(^▽^)/
> 続き、お待ちしております☆☆☆

あ・・・
この後ですが、何だか、ものすごくアッサリとしたシーンになってしまって・・
ガッカリされたかも・・すみません(><)

本当は、もっともっと薪さんの麗しさを表現したり、そんな薪さんを見つめるフォスターの想いを書き表せたら良かったのですが・・

結局は、目に見える(脳内で動いている)事実しか、書き連ねることが出来ず、こんな短い文章に・・

でも、楽しみに読んでいただける、そのお言葉がお気持ちが嬉しく、本当に励みになりました。

土日はあまり時間が取れないので、後書きは来週になると思います。
とりあえず本編を今日までに書き上げられて、ホッと致しております。

どうもありがとうございました!

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