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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene2:アメリカ


クリスマスより10日程前の、週末。

クリスは、車から降り、夫のエスコートで、その邸宅へと足を踏み入れた。

「・・これが、身内だけの、ささやかなクリスマスパーティー、なの?」
クリスは、周囲を見渡し、そう言った。

屋敷の外には高級車が並び、中は豪華なクリスマスデコレーションが施されている。
ボーイや料理人が縦横に歩き回り、奥に見える広間からは、音楽が流れ、ドレスアップした客達が溢れていた。

「何だか・・私だけ、場違いみたいね」
そうつぶやくクリスのコートを、フォスターは脱がせ、ボーイに手渡した。

目の前に居る、黒のイブニングドレスに身を包み、その肩をストロベリーブロンドの髪で覆う妻の姿を見て、フォスターは微笑んだ。

「そんなことは無い。君は、どこであれ、自信を持って、堂々としていればいい」
そう言って、フォスターは、クリスの腰を引き寄せる。
同時にクリスはフォスターの腕に、自分の手を絡めた。

広間に向かいながら、フォスターは話す。

「今回は、本当に身内だけだ。毎年、父が親族を招き、その功労に報いる為に開いている。もっとも、親族の多くは役員に名を連ねているから、ビジネスパーティーと重なる部分も否めないがね。事業関係者を招いてのパーティーは、先週のうちにホテルで済ませている。私は会社役員ではないので、出席はしなかったが」

「お前も株主の一人なんだから、遠慮せずに、出席すれば良かったんだ」
声のした方を振り返ると、フォスターと同じ黒髪の、しかし瞳は青みがかった、背の高い男性が立っていた。

「兄さん」
「久しぶりだな」
フォスターの兄のダニエルは、一言そう言うと、肩をすくめた。

「クリス、よく来てくれたね」
ダニエルはクリスに笑みを向け、2人は軽くハグを交わす。

「何故、お前はいつも、あの場に顔を見せない」
ダニエルの言葉に、フォスターは答えた。
「私は、父さんのビジネスには関わりの無い人間だ。それに、私には私の仕事がある」

「・・・・・・」
ダニエルは無言で、自分よりも背の高い弟を、上目遣いで見つめていたが。

「ま、お前がそう言うなら、それでいいさ」
そして、続けて言った。
「父さんや母さんへの挨拶がまだだろう? 奥に居る」

ダニエルが先頭に立ち、広間へと入る。

「クラーク、やっと来たか」
「お招きありがとうございます、父さん」
「クリス、来てくれてありがとう。まあ、素敵ね」
「お母様こそ」

フォスターとクリスは、両親と挨拶を交わし、そしてそれぞれに、親族達と話し始めた。

「マディー」
フォスターの前に現れたのは、濃い茶色の髪をアップにした、切れ長の瞳が印象的な女性。
「クラーク、元気そうね」
ダニエルの妻のマデリーンは、微笑んだ。

「相変わらず、とても綺麗だ」
フォスターはそう言うと、空になりかけたマディーのグラスを手に取り、傍を通るウェイターに渡すと、代わりにシャンパンの入ったグラスを2つ取り、1つをマディーに手渡した。

フォスターはグラスを片手に、話す。
「こんなにも美しく聡明な女性が、あんな堅物の兄貴のどこが気に入ったのか、いつも不思議に思うんだが」

「あなたも相変わらずね、クラーク」
マディーはフフッ・・と笑う。
「結婚しても、そういうところは変わらないのね。あんな美女を射止めておきながら」
マディーが見やるその先には、フォスターのいとこと笑顔で話す、クリスの姿があった。

「焦がれた女性は、既に兄貴の妻だった。傷心の男は、他の女性を探すしかなかったってわけさ」
そう言ってのける義弟に、マディーは、またも微笑する。

「そこまでだよ、兄さん。人の妻を口説くなんてこと、僕の妻には、しないでくれよ」
フォスターが振り返ると、そこに居たのは、190を越える彼自身より、15センチ程低い背の、蜂蜜色の髪と、碧い目を持つ男。

「ジミー、元気?」
「やあ、義姉さん」
フォスターの前で、弟のジェームスと義姉が抱擁し合う。

「ソフィーは? 具合どう?」
「大丈夫だよ。ありがとう」

2人の会話に、フォスターは弟に尋ねた。
「ソフィアが、どうかしたのか?」
「ちょっと・・体調を崩してて」

「大丈夫なのか?」
「うん・・病気ってわけじゃないから・・」
「うん?」

見かねて、マディーがフォスターの耳元でささやく。
「おめでたよ」
「あ・・」

「さすがのあなたも、そこまでは思いつかないみたいね」
マディーが言うと、フォスターはまるで、照れた子供のような表情を見せた。
ジェームスも、どこか決まりが悪そうな顔をしている。

改めて弟を見つめると、フォスターは言った。
「おめでとう、ジェームス」
「ありがとう・・」

マディーは、そんな2人を微笑んで見やると、声をかけてきた別の知人の元へと離れていった。

ジェームスは話す。
「今はつわりがひどくて、彼女の実家に帰したんだ。僕も本当は、出来る限り彼女の傍に居たいんだけど。ソフィーは仕事や付き合いを優先してほしいと言うし。母さんも、今日はどうしても来てくれって言うし」

「お気に入りのお前が来なきゃ、母さんは承知しないだろうからな」
「・・そんな言い方、やめてくれよ」
フォスターの言葉を、ジェームスは咎めた。

「ジミー!」
まるで噂が聞こえたかのように、そこに母が現れた。
「ジミー、私の坊や。来てるなら、早く顔を見せてちょうだい」
「母さん、ごめん。ちょうど、おじさんと話してるようだったから・・」

先程まで、パーティーの主催者夫人として、完璧に接客をこなしていた母の顔が、すっかり母親のそれになってしまっていることを、フォスターは感じていた。

その様子を見て、その場を離れようとするクラークに、ジェームスが声をかける。
「兄さん。あのピアノ、たまには・・弾いてる?」
フォスターは立ち止まる。

「ピアノ、そう、今日だって、お前に披露してほしかったのに。クラークが、ピアノを持って行ってしまったから」
「母さん、前にも言ったろ? あれは、僕が家を出る時、兄さんにもらってくれるよう、僕が頼んだんだ。置きっ放しにしても、弾く人は居ないし」

「お前が家に来た時に、弾いてくれればいいのよ。何も、出さなくても良かったのに」
「母さん、そんなに僕のピアノが聴きたかったら、また家に遊びにおいでよ。ソフィーが落ち着いたら、招待するから」
ジェームスが母をなだめると、母はまた新たにやって来た客の顔を見つけ、その場を離れていった。

「兄さん、クリスマス・イヴには、またここに、来るんだろう?」
「時間が取れればな」
フォスターは言い、横を向いて、目の合った親戚に、軽く手を上げる。

「兄さんは、感謝祭も来なかった。また、仕事を理由にするの? 公務員だって、この時期は、皆休みの筈だろう?」
「我々の仕事は、また別だ。犯罪に、キリストの生誕は関係ない。殺す側にとっても、殺される人間にとってもな」

「兄さん・・」
つぶやくジェームスの視線が、フォスターの背後に泳いだ。
いつの間にか、フォスターのすぐ後ろに、クリスが居た。

「あの・・」
「クリス、久しぶりだね!」
その場の空気に言い淀むクリスに、ジェームスは明るく声をかける。

クリスと抱擁し、そして、改めてジェームスは、フォスターを見上げ、言った。
「今年は、クリスも居るんだ。一緒に来たらいいよ。こんなパーティーじゃなくて、もっと・・」

話しながら、ジェームスは、他の親しい親戚の顔を見つけ、フォスターに背を向けながら、
「来てくれよ。クリスと」
そう言って、離れていった。

晩餐の夜は更け、やがてそれぞれ皆、帰路に着いた。

帰りの車中で、クリスが、言う。
「クラーク・・」
「何だ?」
フォスターは、優しく、聞き返す。

「あなたは、何故、弟のジェームスに、あんな言い方をするの?」
「・・・・・・」
フォスターは、運転をしながら、フロントガラスの向こうを見つめる目を、やや細めた。

「ジェームスは、好意で誘ってくれたんだし、あんな言い方で返さなくても、いいんじゃないかしら」
「そうだな。君の言うとおりだ」
フォスターの言葉を、その横顔を見つめながら、クリスは聞いた。

「これまでも・・あなたは感謝祭やクリスマスに、実家を訪れてはいなかったの?」
クリスの質問に、フォスターは答える。
「時間があれば、行ったさ。仕事が入れば、そちらを優先する。その年によって、行ったこともあれば、そうではない時も・・」

確かに、積極的に、実家に顔を出そうと思ったことは、無い。
仕事に手を抜くわけにはいかなかったし、仕事自体に、やりがいを覚えていたせいもある。

それに、去年と、その前の年は、また特別だった。
職場に行けば、そこには・・・

何かに思いを馳せるフォスターの傍らで、クリスは話す。
「それぞれの事情があることだから、私が口を挟むことじゃ、ないかもしれないけれど」

そして彼女は、結婚披露宴の時も、感じていたことを、口にした。
「あなたは・・こんなに優しいのに。親兄弟の中に居ると、まるで人が違ったみたい。何だか、あなたを見ていると、家族の中に居るようには、見えなくて・・」

「家族・・か。そうだな」
赤信号で、車が停まる。

フォスターは横を向き、自分をじっと見つめる、クリスの頬をそっと撫で、
「僕の家族は、君だ。だから、何も問題は無い」
そう言って、笑顔を見せた。

信号が変わり、フォスターはクリスから手を離し、前を向いてアクセルを踏む。
クリスもそれ以上、何も言わなかった。

『今年は、クリスも居るんだ』
弟の声が聞こえる。

そう、今年は、クリスが居る。
去年までとは、違う年にしても、いい。
いや、そもそも、違う物にしようとの思いが、どこかにあったからこそ、結婚を決意したのでは、なかったか。

とっくに区切りを付けたつもりでいながら、実は今なお引きずってきた、親兄弟に対する様々な思い。
それに、終止符を打つ時が、来たのかもしれない。

そして・・
彼も、もうここには、居ないのだから・・・。

「クリス。・・君のご両親も、クリスマスには、君の帰りを待っているだろう」
「え?」
「父の家に、君を連れて行ってしまったら、君のご両親は、さぞ気落ちするだろうな」

「クラーク・・」
クリスは、目を見張る。

「仕事がどうなるか、まだ分からないがね」
平静な顔ながら、付け加えた一言が、夫の照れ隠しにも思え。

「そうね。行けたら・・いいわね」

クリスはそう言って、微笑んだ。





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コメント

■ フォスター・・・

おはようございます。かのん様♪

あああ~フォスター・・・
何と言ったらいいか・・・
ファビオ君の家族だけの暖かい家庭的な手作り料理のパーティーと対照的な華やかなパーティー

財界人一家の一員なのに、家族と一線を引いたような異なる人生を歩んでいる次男坊。
跡継ぎの長男と、溺愛される末っ子。
家族との確執は大人になっても付いて回り、心に暗い影を落としてしまうものでしょう・・・(T_T)(T_T)

フォスターを理解してくれたお祖父様がいたらまた違ったものになったでしょうね。

クリスは人生の伴侶として最高の女性です。
相手の人生に強引に割り込まず、しかし暖かく包むことが出来る人だと思います。

決して手に入らない、何かを追い求めるだけは、心が疲弊してしまいます。

心の中にいつも充たされないものを持ち続けている彼が最愛の人の薪さんを得たら何かが変わるのかな・・・
とも思いますが、
やっぱりフォスターの足りない何かを補うのはクリスの役目なのかと。

クリスと、その家族と一緒に暖かく満ち足りた時間を作ってほしいですね。
フォスターはこれから新しい家族を作って、素敵なクリスマスを過ごして幸せになって下さい。祈っています!!!

しかし、こんなに想われていたのに、薪さんたら・・・
たった数日のクリスマス休暇なのにキャンセル待ちをしてまで日本に、青木に会いに帰って来たのですね。←これも愛の力か(≧∇≦)

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!m(_ _)m

> あああ~フォスター・・・
> 何と言ったらいいか・・・
> ファビオ君の家族だけの暖かい家庭的な手作り料理のパーティーと対照的な華やかなパーティー

ああ・・確かにそうですね。
ファビオ君のところとは、全く雰囲気が違うかも・・。

> 財界人一家の一員なのに、家族と一線を引いたような異なる人生を歩んでいる次男坊。
> 跡継ぎの長男と、溺愛される末っ子。
> 家族との確執は大人になっても付いて回り、心に暗い影を落としてしまうものでしょう・・・(T_T)(T_T)

ありがとうございます。
私の拙い文章を、たつままさんの格調高いコメントで引き上げて下さって、本当に感謝しきりです。

フォスターは、広い世界に目を向けることで、家族とのことには区切りを付けた・・と思いつつ、やはり、引きずる思いは色々とあるのでしょう・・

> フォスターを理解してくれたお祖父様がいたらまた違ったものになったでしょうね。

過去記事を読んで覚えていて下さっているからこそ、出てくるコメントに、本当に頭が下がります。
ありがたいです・・(TT)

> クリスは人生の伴侶として最高の女性です。
> 相手の人生に強引に割り込まず、しかし暖かく包むことが出来る人だと思います。

あ・・嬉しいです(;;)
女性キャラはあまり書いてこなかっただけに、色々と不安もあるのですが、そうおっしゃっていただけると、本当に安堵致します・・。

> 決して手に入らない、何かを追い求めるだけは、心が疲弊してしまいます。

「決して手に入らない、何か」
言い得てらっしゃると思います。

はたから見れば、何でも出来て、自在に欲しいものを手に入れているかのように見えるでしょう。
そんな彼が、本当に手に入れたくて、でも入らない物は、とても身近な物だったりして・・。

> 心の中にいつも充たされないものを持ち続けている彼が最愛の人の薪さんを得たら何かが変わるのかな・・・
> とも思いますが、
> やっぱりフォスターの足りない何かを補うのはクリスの役目なのかと。

薪さんとの出会いも、その日々も、フォスターには、他からは得られない素晴らしい物をもたらしたと思います。
でも、同時に、フォスターの人生に、より渇望をもたらしたかもしれません。

そんな、フォスターにとっての薪さんの存在を、たつままさんは、真に分かって下さっているのだと、彼の理解者なのだと、しみじみ思います。
本当に、ありがたいことです。

> クリスと、その家族と一緒に暖かく満ち足りた時間を作ってほしいですね。
> フォスターはこれから新しい家族を作って、素敵なクリスマスを過ごして幸せになって下さい。祈っています!!!

ありがとうございます・・。
きっとたつままさんのお優しい気持ち、その祈りは、届くと思います・・(つ;)

> しかし、こんなに想われていたのに、薪さんたら・・・
> たった数日のクリスマス休暇なのにキャンセル待ちをしてまで日本に、青木に会いに帰って来たのですね。←これも愛の力か(≧∇≦)

ひゃあ☆
なんて懐かしいことを、しっかりと覚えていて下さるのでしょうか・・!
ありがとうございます・・(TT)

・・今思うと、短くも激しい逢瀬でしたねえ・・ふふ♪

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