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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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第2話:吐息


このような吹雪の日に、女一人で・・

尋常ではない。
青木は思ったが、同時に、女の足元に倒れている、半ば雪に埋もれた男の姿に気が付いた。

「河村さん!!」

即座に駆け寄り、河村の肩に触れた。
「・・・!!」

河村の身体は冷たく、生きている気配を感じなかった。
衝撃を受ける青木の姿に、女は微かに微笑んだが、青木はそのことに気付かない。

青木は、夢中で河村の身体を、小屋の中へと引きずった。
運びながら、女を見上げる。
見上げながら、叫んだ。

「何をしている! 君も中へ!」
河村の身体を小屋の中に引きずり込むと、青木は出口へと引き返し、立ち尽くす女の手を取った。

まるで氷のように冷たい、その手。
この女も凍えているのだと思い、青木は女の手を強く引いた。

その場から動こうとしなかった女は、青木に引かれた拍子に、倒れるように、青木の身体にぶつかった。
とっさに青木は、女の身体を抱き留めた。
女の身体は、冷え切っていた。

河村といい、この女といい、このままでは凍え死んでしまう。
一刻も早く、何とかしなければ・・!

その一瞬の時、女は、青木の腕の中で、青木の行動に驚いたように、目を見開いていた。
束の間、風が止まる。

その隙に、青木は女を離し、素早くドアを閉めた。
暗闇の中で、ランプを探し、火を灯す。

灯りの中に浮かび上がった女は、日本髪ではなく、まるで町の洋装の女達のように、短い髪をしている。
そして、髪の色も、目の色も、黒ではなかった。

異人・・?

青木がそう思ったのも、一瞬のこと。
次の瞬間には、その場に横たわっている、河村の身体を揺すっていた。

「河村さん!河村さん!」
声を掛けたが、反応は無く、その身体は、まるで氷の塊のように、冷たく、硬い。

「くっ・・!」
青木は舌打ちを鳴らし、石炭ストーブの火を起こす。
そして、河村の身体を、ストーブのすぐ傍まで引き寄せた。

床に膝を付き、河村の身体を揺すり、頬を叩く。
「河村さん! 河村さん・・!!」

青木は河村の手首を握り、更に、頚動脈を探った。
全く、動きが感じられない。

それでも青木は諦められず、河村の蘇生を試みた。
・・だが、河村の身体が、再び息を吹き返すことは、無かった。

「河村・・さん・・・」

青木は、呆然としていた。
「何故・・何故・・」

ほんの一瞬のことだった。
たったあれだけの時間で、河村は凍死してしまった。

「馬鹿な・・」
嗚咽が込み上げた。
とても信じられなかった。

同時に、溢れるような後悔の念が押し寄せた。
「オレが・・オレが来なければ・・こんな・・」

「何故・・泣く?」

突然聞こえたその声に、青木はビクッとして、顔を上げた。
声の聞こえたそこに、女が、立っていた。

「君・・君も、もっと火の傍へ」
青木は、我に返った。
せめて、この女だけでも、生き延びさせてやりたい。

女は、束の間、戸惑う様を見せ、それから、青木の傍へと近付いた。
女の身体は、あれ程凍えていた筈なのに、少しも不自由な様子を見せず、その動きがしなやかであることに、青木は驚いた。

「もっと・・そちらじゃなく、火の傍に」
青木が指し示しても、女は、河村の身体の傍に佇む青木を挟んで、ストーブとは反対側の床に、すいっ・・と、音も無く座り込んだ。

「・・・・・」
青木は、改めて、女の顔に見入る。
それは、青木がこれまで見たこともない、彫りの深い顔立ちだった。

首に掛かる、栗色の髪。
髪と同じ色の、大きな瞳。

抜けるような白い肌。
くっきりと浮かび上がる鼻筋。

やはり・・異人。
心の中で思いながら、この女が、さっき、自分と同じ言葉を話していたことに、青木は気が付いた。

・・そう言えば、先程、女は、何て言っただろうか。

「何故、泣く?」
ああ、そうだ、女はそう言ったのだ。
青木はそう思い、そして、その言葉が、今、再び、目の前の女の口から、発せられたものであることに、気が付いた。

若い女にしては低い、テノールのその声が、意外に思えた。

「何故・・って。河村さんは、今この場で、亡くなったんですよ」
この女は、何故、そんなことを尋ねるのだろう・・。

「それに・・河村さんは、今日、オレをここに案内する為にやって来てくれたんです。それが・・こんなことに・・」
言葉はそこで途切れ、またも、青木の口から、嗚咽が漏れ始めた。

「たったそれだけの人間を、お前は・・」
女の声に、青木は目を上げる。

「お前は、私が、恐くは無いのか?」
唐突な女の言葉に、青木は、しばし言葉を失った。

「恐い・・とは?」
青木がようやく聞き返すと、女は言った。
「これまでの人間達は、私が現れると、その姿に驚き、逃げようとした」

「?・・・・」
青木は、沈黙したまま、どういう意味かと、考えを巡らせる。

「そして、共に居る者が命を失えば、怯え、自分は助かろうと・・そんな者ばかりだった。なのに、お前は・・」
女の話を聞くうちに、青木の脳裏に、先程の光景がよみがえった。

吹雪の中、着物一枚で立っていた女。
その足元に、倒れていた河村。

「!・・まさか!」
青木は、思わず後ずさる。

同時に、女の両眼が、怪しく光り始めた。

「まさか・・妖怪・・!」
声を絞り出す青木の前で、女の目は、今や、暗闇に浮かび上がる獣の目のように、金色の光を放っていた。

女の周囲で、ふわりと風が起こり、栗色の髪が波立つ。

そして女の口がすぼまり、その唇から、ふーっ・・と、白い息が漏れ始めた。
それはとても、とても冷たく、青木の顔に辿り着くと、その表面を、あっという間に凍りつかせていく。

ランプの灯りが、また、消え入りそうに揺れた。

「こうして・・河村さんのことを・・!」
「このまま、これ以上山を荒らすことが無ければ、許してやる筈だったのに。・・人間達は、お前達は、また同じことを繰り返すのか・・愚かな者達よ・・!」

女の声が凛と響き、瞳の光が、強さを増していく。

「やはり・・あの事故も・・あんなに大勢の人達を・・何て酷いことを!」
青木の顔が、ゆがむ。

「あれは、我らの仕業ではない。人間達は、自分達で危うい物を作り上げ、自分達で、その罰を被ったのだ。だが、それでも一向に省みようとはしない。自分達の通ってきた道を。何故気付かない。自分達の手で、自分達が住むこの地を汚していることに。破滅の道を、辿っていることに・・!」

青木の目からは、またも、熱い物がこぼれ、冷えた頬を辿っていく。

その青木の姿に、女の表情が、変わった。

「・・何故、何故泣く? 会ったことも無い者達の為に。恐怖に囚われて泣いているのか?・・いや、違う。お前の涙は、そんな物ではない。私が、恐くは無いのか・・?」

女の言葉に、青木は目を上げて女を見た。
確かに恐怖もあった。
だが、悲しみが、その恐怖を、凌駕していた。

「お前は、一体・・そう、私のことまで・・何故・・?」

つぶやく女の瞳から、いつの間にか、金色の光が消えていた。
冷たい吐息も、風も止み、ランプの灯りが、元に戻る。

「人間は、先を見ず、勝手な者だと・・そう、思っていたのに」
女は、ついっ・・と、座ったまま、滑るように青木に近付いた。

「っ・・!」
青木は、息を呑んだ。
女が、青木の膝の間に入り込み、青木の頬に、手を触れたのだ。

冷たい手。

今すぐ、この女を、妖怪を、抹殺しなければ。
青木は思うが、身体が、固まったように、動かない。

女はじっと、青木の顔を覗き込む。
「・・綺麗な目をしている。一度も迷ったことの無い目。真っ直ぐに突き進む目だ。美しい・・・」

そうつぶやく、女のふっくらとした唇が、青木のすぐ目の前にある。

「はっ、はっ・・」
それは恐怖なのか、それとも別の何かなのか、青木の呼吸が早まっていく。
そんな青木の両頬を、女は手で挟み・・・

そして、青木の唇に、口付けた。

「!!・・んっ」
女の手は氷のように冷たいのに、その唇は、意外にも、温かく、柔らかだった。

女は唇を離すと、その場で、すっ・・と立ち上がり、自らの帯を解いた。
すとん・・と、白い着物が、青木の目の前に落ちた。

現れた裸体は、女のものではなかった。





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コメント

■ きゃ~(≧∇≦)

こんにちは。かのん様♪

おおおっ!!!

遂に登場いたしましたね(≧∇≦)

青木上等兵、迷いのない真っ直ぐで澄んだ優しい心を持つ青年なのですね・・・。

その人を思いやる心に「妖怪」(←ひどい・・・山の神ですよね~)も戸惑いながらも惹かれてしまうのですね。

青木上等兵もその人外の美しさに、悲しみに
自分が気付かないうちに惹かれている。

あああ~
どこかの世界のあの二人みたいですね(〃∇〃)♪

異人モダンガールの薪さん、じゃない・・・神様の口づけを受けた青木上等兵は・・・

いいな・・・
柔らかい温かい唇・・・←いろんな妄想が膨らむ(〃∇〃)

きゃ~
えっっっ!!!

この後、どのような展開になるのでしょう!!!

自ら帯を解くって・・・いいですね・・・←すみません腐りすぎですm(_ _)m

ドキドキしながら、続きお待ちしております!!!

■ 

○1/27に鍵拍手コメ下さったMさま

続けてのコメ、どうもありがとうございますm(_ _)m
嬉しいです!(≧▽≦)☆

何とか・・ここまでの展開は受け入れていただいたようで、ホッと致しました。

ご期待に沿えるかどうかは分かりませんが、最後まで、精一杯、心を込めて書きたいと思います(^^)

■ 

○たつままさま

欠かさずコメントをありがとうございます!m(_ _)m
(それから、こちらに何ですが、心のこもったメールも、ありがとうございました!)

> おおおっ!!!
> 遂に登場いたしましたね(≧∇≦)

はい。
登場なさいました。

名前を出さずとも薪さんと分かってしまうところが、薪さんの魅力の成せる技ですね!

> 青木上等兵、迷いのない真っ直ぐで澄んだ優しい心を持つ青年なのですね・・・。
> その人を思いやる心に「妖怪」(←ひどい・・・山の神ですよね~)も戸惑いながらも惹かれてしまうのですね。

どちらかと言うと、人から見ると悪いことをする者なので、「妖怪」ということに、なってしまうのでしょうね(^^;)

青木に惹かれていることを自覚するのは、やはり妖怪(薪さん)が先のようです(あ、自分で書きながら切ない・・TT)

> 青木上等兵もその人外の美しさに、悲しみに
> 自分が気付かないうちに惹かれている。

たつままさん、この拙い文章から、その辺りを汲み取って下さるのですね。
ああ・・嬉しいです・・。

> あああ~
> どこかの世界のあの二人みたいですね(〃∇〃)♪

このお言葉が、とても嬉しいです。
「どこかの世界」から遠く離れたこんな創作でも「どこかの世界」を感じて下さって・・。

> 異人モダンガールの薪さん、じゃない・・・神様の口づけを受けた青木上等兵は・・・

アハハ☆(^^)

夕べ、夫が付けっ放しにしていたテレビを、たまたま見たら、「モダンガール」は、その英語の意味もあるのでしょうが、髪を切った女性、「毛断嬢」の読み方を掛けていると説明がされていました。
普段、滅多にテレビを見ず、本当にたまたま目をやったら、そんな番組で・・
創作をするようになってから、こういう巡り合わせが、しばしばあって、驚かされます(^^;)

> いいな・・・
> 柔らかい温かい唇・・・←いろんな妄想が膨らむ(〃∇〃)

書いた物から、妄想していただけることも、とても嬉しいです☆

> きゃ~
> えっっっ!!!
> この後、どのような展開になるのでしょう!!!

どのような・・ええ、まあ、そんな展開になりました(笑)

> 自ら帯を解くって・・・いいですね・・・←すみません腐りすぎですm(_ _)m

いいですよね!(笑)
私もこういうシチュ大好きなので、そこに目を留めていただき、嬉しいです(≧▽≦)

先日たつままさんがリクエストされたコハルさんの絵も、最高でございました!
自らボタンを外す・・私にとって、ストライクど真ん中バッターアウトって感じです。

> ドキドキしながら、続きお待ちしております!!!

ありがとうございます!

続けてUPしたいのですが、4話以降は、来週になってしまいそうです。
申し訳ございませんが、今後もお付き合いいただけたら、幸いですm(_ _)m

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