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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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第4話:雪華


その日は、しんしんと雪が降っていた。

青木が、店を閉めようと外に出ると、藍色の着物にハカマ姿の娘が、ぽつんと、佇んでいた。

「こんなところで、どうしたのですか?」
青木が声を掛けると、娘は首をかしげるようにして、こちらを振り返った。

「・・・・・」
白い肌、彫りの深い顔立ち。
青木は、その顔を、以前、どこかで見たような気がしたが・・

「どちらのお方か知らないが、もう日も暮れる。早く家に帰った方がいいですよ」
青木が言うと、娘は、もう一度首をかしげ、
「家・・・」
そうつぶやいて、かぶりを振った。

黒く長い髪が、日暮れの空気を切り取るかのように、揺らめいた。

娘の様子に、ただ事ではないと感じた青木は、
「ここでは寒い。中に入って、暖まっておいきなさい」
そう言って、娘を中へと招き入れた。

「・・・・・」
娘は、中に入ると、そこに立ち尽くし、周囲をぐるりと見渡した。

「古本屋に入るのは、初めてですか?」
娘はまたも首をかしげ、青木を振り返る。

「ここに座って下さい。今、お茶を入れますから」
青木は茶を入れながら、黙って座っている娘を見やった。

似ている・・・・。

だが、違う。
今、目の前に居るのは、どう見ても娘だ。
長い黒髪を、少しだけ後ろに束ねて結び、小さな顔に、大きな黒い瞳が輝いている。

「どうぞ」
青木は茶を差し出し、娘の向かいに座った。
娘は青木を見上げ、それから茶碗を見つめると、手を伸ばし、口元へと運び、ゆっくりと、すすった。

・・それは、何とも美しい仕草だった。

きっと、余程良いところのお嬢さんに違いない。
青木はそう思い、娘に尋ねた。

「家はどこですか? もう、若い娘が一人で出歩く時間ではない。送りますから」
青木の言葉に、娘はまた、首をかしげる仕草をし、そして、口を開いた。

「分からないのです」
それは、涼やかな女の声。

やはり、違う・・。

いや、違って当たり前だ。
青木はそう思いながら、更に尋ねた。

「分からない?」
「はい。気が付いたらここに居て。私にも、何が何だか・・」

これは、益々ただ事ではない。
「何か・・身元を示す物は持っていませんか? 何でもいい」
青木に言われ、娘は立ち上がり、着物のたもと等を探ってみたが、何も、出て来る気配は無かった。

青木は、そこで初めて、娘の着物が、雪や泥で、大分汚れていることに気が付いた。
もしかすると、どこかで転び、頭でも打ったのかもしれない・・

娘はもう一度座り直すと、青木を見上げて、言った。
「私・・一体、どうしたら良いのでしょう・・」
「どうしたらと言われても・・・」

長い睫毛に縁取られた、大きな瞳。
くっきりと通った鼻筋。
艶やかな桜色の唇・・・

それらを見ていると、青木は何か、落ち着かない気分になった。
娘は、困り果てた様子で、青木のことを、じっと見ている。

「・・明日、駐在所に行ってみましょう。あそこの巡査長さんとは、顔見知りです。何か、力になってくれるかもしれない」
更に、青木は続けた。

「それまで・・今夜は、ここに泊まったら良いでしょう」

青木の最後の言葉に、娘の顔が、ふっ・・と、緩んだ。
口元から白い歯がこぼれ、引き上げた頬に、赤みが差す。

青木は何故か、そんな娘の笑顔から、目をそらさずには、いられなかった。





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コメント

■ 

○1/31に鍵拍手コメ下さったMさま

コメントありがとうございます(^^)

前章・・すみません・・腐りました(笑)
まあでもここがある意味山場でしたので、びっくりどきどきしていただいたこと、嬉しいです(^^)

長くなること歓迎とのお言葉もありがたく思います。

嬉しいコメントを、どうもありがとうございましたm(_ _)m

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