カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
第6話:名前


「お一人ですか?」
「ああ。山本は、見回りに出ている」
青木の問いに、ガッシリとした体格で、ヒゲを蓄えた男が、答えた。

青木は、駐在所の机に向かう相手に、更に話しかける。
「岡部さん、ちょっと、ご相談したいことがあって」
「何だ?」

首だけ振り返って話していた岡部は、青木の後ろから入ってきた娘を目にするなり、身体ごとそちらに向けようとして・・
「ダッ・・!」
「大丈夫ですか!?」

「ああ。・・ったく!」
岡部は、机の脚に、思い切りぶつけた足をさすりながら、改めて、青木と娘を出迎えた。

「相談ごとって何だ? まさか、オレに仲人を頼もうって言うんじゃないだろうな」
青木と娘の顔を交互に見て、岡部は言った。

「・・そんなんじゃありません」
宇野にも繰り返した台詞を、青木は口にする。

「こちらは岡部さん。駐在所の責任者です」
「巡査長のオレと、巡査の二人しか居ないけどな」

青木と岡部のやりとりを見て、娘は、岡部に頭を下げた。
手を揃え、丁寧にお辞儀をする娘の様子を、岡部はじっと見ている。

岡部に勧められた奥の椅子に、娘が座り、青木と岡部は、机の傍の椅子に座って、話し始めた。

「記憶喪失・・というやつか」
「はい。身元を示すような物も無くて。家に来た時は、着物が雪や泥で汚れていました。もしかすると、転んで頭でも打ったのかもしれません」

「あるいは・・追いはぎにでもあったか」
「えっ!?」
岡部の言葉に、青木は、目を丸くする。

「若い娘が、何の荷物も持たずに、一人で出歩いているというのは、不自然だろう。見たところ、相当いいところの娘らしい。金目の物を目当てに、荷物を根こそぎ脅し取られ、その恐ろしさに、記憶を失ったのかもしれん」
「そんな・・」

「あるいは・・・。こんなことは考えたくないが、お前と会った時、娘の着物や髪に、乱れは無かったか?」
「え・・?」
青木は怪訝な顔をし、やがて、岡部の言わんとするところを理解し、見る見る顔が紅潮した。

「・・いえ。ちっとも。そのようなことは」
「そうか。では、そういうことでは無いのだろうが」
「・・・・・」

青木の目は、椅子に座ってじっとしている、娘の姿を捉えた。
いずれにせよ、何か、恐ろしい目に会ったのかもしれない。
・・不憫なことだ。

そんな青木の顔を、岡部は見やり、ふっ・・とため息を付いて、言った。
「ま、何があったか知らんが。今日はもう、あの娘を連れて帰るんだな」
「え?」
青木は、声を上げ、岡部の方へと向き直った。

「今のところ、あのような娘が行方知れずだと、そんな届けが出ているという話は無い。娘に全く手がかりが無いのであれば、こちらから探しようも無い。今、こちらで出来ることは、何一つ無いんだ」
岡部は、お手上げだという手つきをして見せた。

「そんな・・」
戸惑いを見せる青木を、じっと見やり、岡部は言った。

「お前、一人暮らしだろ? 何の気兼ねも要らんだろう」
「ええ、そうですが。いや、だからこそ・・・」
青木は、口ごもる。

「何だ。娘が居ると、何かマズイことでも起こるというのか?」
「いえ! 決して、そのようなことは・・」
「じゃあ、構わんだろ。記憶が戻るまで、面倒を見てやれ」
「・・・・・」

駐在所を出て、青木は娘と二人、並んで歩く。

「・・すみませんでした。何の力にもなれなくて」
青木が言うと、娘は微笑み、そして首を横に振った。

青木の脳裏には、最後の岡部の言葉が、よみがえっていた。

「面倒を見るとは言っても、あまり、あの娘に情を移すなよ」
岡部は、そう言っていた。
「同情も過ぎれば何とやらだ。ま、何か少しでも記憶が戻ったら、いつでも相談に来い」

「戻ったらって・・。もし、このまま戻らなかったら、一体どうすれば・・」
青木は小さく、つぶやいた。

娘が顔を上げ、青木を心配そうに見つめる。
それを見て、青木は娘を不安にさせまいと、微笑んで見せた。

それから、思い付いたように、言った。

「そうだ。名前を決めましょう」
「・・名前?」
娘は、首をかしげる。

「いつまでも、君や、あなたでは、分かり辛いでしょう。呼び名を付けましょう。もちろん、あなたが、記憶を取り戻すまでの、仮の名前ですが」
「・・・・・」
娘は、大きく目を見開いて、青木を見ている。

「アキ、というのは、どうでしょう?」
「アキ・・?」
その名をつぶやき、娘は立ち止まった。

青木も立ち止まる。
「女流作家の名前から取りました。・・気に入りませんか?」
「・・・・・」

「冬に出会ったのに、アキ、という名前も、可笑しいですね」
青木はそう言い、頭をかいた。

「アキ・・アキ・・アキ・・・」
娘は繰り返しその名を口に出し・・

「ありがとうございます」
青木を見上げ、ニッコリと、笑った。

「・・・・・」
青木は、何だか眩しい物を見たようで、思わず一度目をそらした。
それから、もう一度娘と目を合わせ、微笑み返す。

そして、二人は再び歩き始めた。




関連記事

コメント

■ おかべっく登場!

おはようございます。かのん様♪

昨日の夜の雪は積もりましたか?
こちらは久々に積もりました(^_^)v

きっと、目覚めたらうちの子供は喜びます♪
旦那は、先程、自転車でガリガリと氷った雪の上を走って行きました(^_^;)←見ている方が怖い!!!

4:30頃は、月が出て雪を明るく照らし、幻想的な風景でした(^_^)

新雪、月明かり、着物姿の薪さん・・・
この3つが揃ったら、この世のものとも思えぬ美しさを醸し出すのかしら・・・

と、すっかりかのん様の創作の世界に浸っているたつままは瞬時に妄想しました(≧∇≦)

おっ!!!
おかべっく登場ですね(^_^)v

やはり、こちらの世界でも警察官なんですね♪
部下は山本なんですね。きっと、いいコンビなのでしょうね。

きゃはは!
青木青年は、美人を託せる、信頼に値する純情な青年なんですね♪

情なんか、いっぱい移して下さい(≧∇≦)

どうぞ、おかべっくをお仲人に、早く式を挙げちゃえ!!!←失礼しました・・・

あきさんですか。
素敵なお名前です(^_^)v
残念ながら、同名の作家を知りません(T_T)

次に登場する第九メンバー楽しみです\(^▽^)/
何屋さんかしら♪

毎日、早朝から大変ですね。
続き、楽しみにお待ちしております(^_^)v

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます!(^^)

> 昨日の夜の雪は積もりましたか?
> こちらは久々に積もりました(^_^)v

昨日はとても寒かったですね。
こちらもうっすらではありますが、溶けずに残る位は積もりました(^^)

> きっと、目覚めたらうちの子供は喜びます♪

子供は雪が大好きですよね♪
うちの娘も、「雪が積もったら、あしたは、雪だるまや雪うさぎを作ろうね」と言って張り切っていたのですが・・夜のうちに何だか様子がおかしくなり、熱を測ったら・・
「39度2分・・・」

というわけで、今日は学校を休み、大人しくお布団に寝ております。
本当に風邪マメな娘です(^^;)

> 旦那は、先程、自転車でガリガリと氷った雪の上を走って行きました(^_^;)←見ている方が怖い!!!

ひゃあっ!
自転車は恐いですね(><)

> 4:30頃は、月が出て雪を明るく照らし、幻想的な風景でした(^_^)
> 新雪、月明かり、着物姿の薪さん・・・
> この3つが揃ったら、この世のものとも思えぬ美しさを醸し出すのかしら・・・
> と、すっかりかのん様の創作の世界に浸っているたつままは瞬時に妄想しました(≧∇≦)

ううう・・ありがたくて涙が出ます・・(><。。)
普段の光景で、創作の世界を思い浮かべて下さるなんて・・

> おっ!!!
> おかべっく登場ですね(^_^)v

ぷはっ☆
すっかりおかべっくで定着ですね(笑)
はい。登場していただきました(^^)

> やはり、こちらの世界でも警察官なんですね♪
> 部下は山本なんですね。きっと、いいコンビなのでしょうね。

山本さんも、貴重な第九メンバーの一員なので、この世界でも一緒に仕事をされてるようです。
でも、今一つ未知数なせいか、今のところ名前だけです(^^;)

> きゃはは!
> 青木青年は、美人を託せる、信頼に値する純情な青年なんですね♪

そうみたいですね(^^;)

どこかの世界の青木は、手が早そうですが・・(あ、自分で書いて、何だかイヤ~なことを思い出してしまいました・・。せっかくこの世界に浸っているのに、余計なことは考えるな、自分!><)

> 情なんか、いっぱい移して下さい(≧∇≦)

あはは☆
笑っちゃいました♪♪♪

> どうぞ、おかべっくをお仲人に、早く式を挙げちゃえ!!!←失礼しました・・・

いえいえ、こういうお言葉、嬉しいです(^^)

> あきさんですか。
> 素敵なお名前です(^_^)v

ありがとうございます!♪

> 残念ながら、同名の作家を知りません(T_T)

あ、それで良いのです。
この名前は、実在の作家名をそのまま取ったわけではないですので。

この時代の日本に、実際に活躍した女流作家(5千円札の顔になってる、あの方です)の本名が「なつ(夏子)」というのですね。
でも、この似て非なる世界なつもりの日本では、そのまま使うのもどうかと思いまして。
「なつ」という作家が現実に居るなら、じゃあ「あき」という作家がこの世界に居てもいいかなと(^^;)

ちなみに、「カフェ・パリスタ」も、この時代の日本のコーヒー文化を生み出したカフェの名前から、1字抜いてみました。

> 次に登場する第九メンバー楽しみです\(^▽^)/

ありがとうございます♪
次回で登場します(^^)

> 何屋さんかしら♪

あ・・そこまで考えておりませんでした・・(←一体どういう登場の仕方をするのでしょうね)

> 毎日、早朝から大変ですね。

いえいえいえ!たつままさんより遅いです!(笑)

それに、ご家族の為に起きるたつままさんと違い、私は自分の楽しみで起きているのですから。
さあ、これから書き上げよう!・・と思うと、寒い朝でも、わくわくした気持ちで起き上がることが出来るのです(^^)

そして、UPすると、このようにたつままさんからコメントをいただいて・・
本当に、書き上げるかいがございます!

> 続き、楽しみにお待ちしております(^_^)v

とても励みになります。
ありがとうございました!

■ 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

■ 

○2/2に鍵拍手コメ下さったMさま

コメントありがとうございます!♪

岡部さん、似合いますでしょうか?嬉しいです。
実は私も脳内に浮かぶ岡部さんに「似合う・・」と思ってしまったのでした(^^;)

そうですね、青木は自然とそういうイメージになりますね(^^)

続きをお待ちいただけるというお言葉が、本当に嬉しく、何より励みになります!
ありがとうございます!(TT)

娘のこともご心配下さり、ありがとうございますm(_ _)m
さすがに39度以上の時は辛そうでしたが、翌日には37度台に下がり、元気にしております・・本人はもう、寝そべりながら本を読んだりして、休日を満喫している様子です(笑)

私の体調までお気遣いいただいて、本当に、Mさんの優しさに、いつも癒されております・・。

ありがとうございました。

■ 

○2/2に非公開コメントを下さったYさま

コメントありがとうございます。

山本さんに吹いて下さいましたか(笑)
私はYさんの、薪さんと岡部さんと山本さんの会話に、フキましたっ!(≧m≦)

続きはYさんのところへ、非公開コメにてレスさせていただきましたm(_ _)m

■ 

○2/5に鍵拍手コメ下さったMさま

コメントありがとうございます♪
続けて読んでいただき、とても嬉しいです。

時代設定はですね、明治後期から大正、昭和初期にかけての日本・・・に似た、架空の時代、架空の日本という感じで、お願い致します(笑)
第二次世界大戦に突入する前の、西洋文化が花開き、一方で富国強兵が叫ばれた、日本という国自体が、迷い無く突き進んでいた時代と申しましょうか。

名前の元になった作家さんも、実在しないんです。
私の好きな一葉さんの本名が「なつ(夏子)」であることから、この世界には、「あき」という作家が居てもいいかなと思ったのです(^^;)

あ、でもそうですね、与謝野さん、ピッタリですね。
やっぱりそういうことにしようかしら(←主体性ゼロ)

素敵なお話とのお言葉が、とても嬉しいです。
最後までそう思っていただけるかどうかは分かりませんが、心を込めて、続きを書いて参りたいと思います。

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/485-0473606e

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |