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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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第13話:烈風


「何故話した・・何故、何故、何故だ・・・!」
言いながら、アキの声が、どんどん低くなる。

「!・・アキさん!?」
青木が、アキの身体に手をかけようとしたその瞬間、アキの身体の周囲に、ふわりと風が起こった。

「!!」
青木が、目を丸くして見つめるその前で、アキの髪は風に波打ち、それが、黒から栗色へと変化していき、同時に、するすると短くなっていく。

「アキ・・まさか・・!!」
青木が声を上げる。

アキは、目を上げた。
その瞳は・・栗色だった。

「そんな・・どうして・・!」
青木の悲痛な叫びが響く中、アキの栗色の瞳は、更に、徐々に金色の光を帯びていく・・

「アキさん・・あなたは、あの時の・・!」
青木は、首を左右に振る。
目の前の出来事が、信じられなかった。

「青木・・」
テノールの声が、静かに響く。

「お前はあの時、私と離れたくないと言った。・・私も同じ思いだった。だから、私は人間に姿を変えたのだ。お前の傍に居るには、それしか、無かった・・」

「何故、今まで・・」
青木は呆然としたまま、つぶやく。
あれ程に求めていた・・それが、こんな、こんな近くに・・!

アキの瞳が、切なげに、光った。
「元の記憶を抱えたままでは、人間ではいられない。姿を変える時、私は、自らの記憶を封印した。それは、大きな賭けだったが・・」

アキは、すっ・・と手を伸ばし、青木の頬に触れる。
「だが、私は信じていた。私だと分からずとも、お前が、私と共に生きる道を選んでくれることを。そして・・私が、たとえ記憶を失っても、再び、お前に惹かれるであろうことを・・」

青木の頬を撫でた白い指先が・・離れた。

「そして、それは確かに実ったのだ。お前が約束を守りさえすれば、私は、人間のまま、お前と共に、歩んでいくことが出来たのだ・・」

「なのに・・何故!・・お前は、何故話した・・誰にも話してはならないと、あれ程に誓わせたではないか・・!」

「・・・・・」
青木は、言葉が出なかった。
全てを夢と決めることで、アキとの道を開こうとしたのだ。
アキを裏切るような想いを全て断ち切り、身も心も、アキと共に、歩んでいこうとしたのだ。

まさか、それが・・・・!

「・・あの時、私はやはり、お前を殺すべきだった・・。いや、それは出来ぬ。出来なかった。どうしても私には、出来なかったのだ・・」

アキの言葉に、青木は、あの時の話を思い出す。
「掟を破れば・・そうあなたは言っていた。どうなるのです・・?」

青木の問いに、アキの顔が、悲しげに、ゆがむ・・。

「破れば・・そう、私の姿を見た者を殺さねば、私は・・私の身体は滅び、一陣の風となる」

「!!・・」
青木は、言葉を失った。
自分は一体、何ということを・・・!

「・・だったら、今すぐ、オレを殺して下さい!!」
青木は、自身の胸に手を当て、訴えた。

「・・無駄だ。今となっては、お前を殺したところで、何も変わりはしない。あの時に殺さねば・・後はお前が、口を封じていなければ、その定めは、変えることは出来ない」
「そんな・・・!」

「結局、あの時お前を殺さなかったことで、私の定めは、決まっていたのだ。・・いや、お前に会ったその時に、既に決まっていたのかもしれない・・。所詮、私が人間と共に生きていくなど、到底、無理だったのだ・・」

アキのその顔は、青木を恨んでも、責めてもいなかった。
静かに・・とても静かに、その定めを、受け入れているようだった。

「青木・・。私は・・・」
アキは、青木を見つめていた。

「私は・・お前に会わずに生きていくよりも、お前に会い、今、命が消える方が、良かったと思っている。だから・・そんな顔をするな」
青木の顔は、溢れる涙に、濡れていた。

「私は、お前に会ったその時、温もりというものを、初めて知ったのだ。お前は、私の心を、温めてくれた。心も、身体も、全てを・・」
アキの瞳が、揺れる・・・

「そして、人として、お前に再び会ってからの日々、私はまた、お前の温かさに触れた・・。そしてお前に、名前すら、与えられた・・」

「名前・・」
青木は、つぶやく。

「どれ程私が嬉しかったか・・。生まれてすぐに名を与えられるお前には、分かるまい。元の記憶を封印しながらも、奥底では、初めて与えられた名前という物に、私は喜び震えていた・・」

「お前と出会ったこと、お前と過ごした日々は・・掛け替えのないものであった・・青木・・」
アキの周囲を取り巻く風が、少しずつ強くなっていく。

青木に向かい、そっと片手を挙げるアキの姿に、青木は見入り、そして・・

「何をする・・!!」
アキは、驚きに目を見開いた。

青木が、アキの身体を、抱き締めていた・・・。

「離せ!離すのだ!・・私と共に居たら、お前まで、巻き込まれてしまう・・!」
アキは、青木を振りほどこうと身をよじったが、青木は、アキを抱く腕に、益々力を込めた。

「共に・・連れて行って下さい」
「何を言う・・!」
「オレも、あなたと共に、連れて行って下さい」
青木は、もう一度、繰り返した。

「お前は人間だ。私と共に行く必要は無い。私のことは忘れて、新たな道を歩むのだ・・!」
「出来ません」
「な!・・」

アキは、青木を見上げた。
青木も、アキを見つめる。

「オレはずっと・・ずっと、あなたを探し求めてきた。やっと再び出会えた。二度と、離しはしません・・!」

青木は、アキの瞳の奥を、見つめた。
自分は、惑い、苦しみ、何もかも、全てが信じられなくなった。だが・・

「今やっと、オレは、紛れも無い真実を見つけました・・・・」
青木の声に、もう、迷いは無かった。

「青木・・」
アキの目にも、涙が光る。

「青木・・人として死ねば魂が残るが、このままでは、その魂すら残らないのだぞ。全ては霧散し、風となるのみ。冷たく吹き付ける風となって、さ迷うだけなのだ・・」

「戻れ・・戻れ青木!・・間に合わなくなる!私から離れるのだ・・!」

青木は、アキを抱き締めたまま、首を静かに横に振った。
アキと青木、二人の身体は、徐々に、渦巻く風に、飲み込まれていく・・

「愚かな・・何と愚かな・・だが、そんなお前が・・私は・・・」

言いながら、アキは、青木の胸に、顔を埋めた。
その身体をしっかりと抱きながら、青木は、あの時、最後に聞いたアキの言葉を、思い出していた。

アキは言っていた。

愚かだ・・。本当に、人間は愚かだ・・だが・・そんなお前が。
私は、好きだ。

ああ、そうだ。
アキは、そう言っていたのだ。

そして、自分も・・・

今や風は、大きく渦を巻き、家の中を揺らしていた。
ガタガタと窓が鳴り、その窓が開いた。

アキは、顔を上げ、青木を見つめる。
青木も、アキを見つめる・・・・・・。

やがて・・・・

二人の、人としての身体が、風から舞い降り、ゆっくりと、その場に横たわった。
そして、その身体から、魂がすうっ・・と、流れ出す。

その魂さえも、瞬く間に風の粒となり、そして二つの風のかたまりは、絡み合うように一つになり、開いた窓から、飛んでいった。





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コメント

■ 号泣(T_T)

おはようございます。かのん様。

昨夜拝読いたしました・・・号泣しました。
今朝、改めて拝読いたしました。
またもや、号泣しました(T_T)(T_T)(T_T)

なんで・・・

覆水盆に返らず・・・
聞かなかったことには出来なかったのですね。

彼のお方にもどうすることもできない『掟』なのですね。

彼のお方は、青木に再び巡り合う為に、人間になるために、姿を変え、自分の記憶を封じたのですね・・・

そこまでして、今までの山の神様←(妖怪ではない!)としての自分を全て捨てて、
ただ青木に再び逢うために・・・(T_T)(T_T)(T_T)

そして、出逢い、惹かれ、名をもらい、温もりを与えられた。
アキという人間に生まれ変わった。

しかし、人間として、普通に生きていくことの叶わなかった二人。

とても悲しいですが、でも、これで良かったのかも。とも思ってしまいます。

青木の真っ直ぐな性格から言って、
もし、このまま彼のお方のことを告白せずにアキさんと結婚し年月を重ねても・・・

きっと、彼のお方への想いと、アキさんへの想いで苦悩して、もやもやしたものを抱え、二人の間に溝が出来てしまうのでは。と思います!!

あれだけ、探し求めた人だから・・・どんな形でも「真実」を見つけることが出来て幸せだったのかな(T_T)(T_T)

青木、今度は独りにならなくて良かったね。共に行くことが出来て・・・(号泣)

二人は、一つになり永久に離れることはないですね(T_T)(T_T)(号泣)

ラストはどうなるのでしょうか。
続きお待ちしております。
ずずずっ←鼻をすする音

■ 

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございます。

今回は、ここに至る為に、書いて参りました。
特にこの13話は、何十回と推敲を重ね、魂を込めて書き上げたつもりです。
なので、このような心のこもったコメントをいただき、本当に嬉しくありがたく、感謝の気持ちで一杯です・・。

ただ、それが、読んでる方を苦しめる結果になってしまったのではないかと・・
申し訳なくて、お詫びのしようもなく・・。

> 昨夜拝読いたしました・・・号泣しました。
> 今朝、改めて拝読いたしました。
> またもや、号泣しました(T_T)(T_T)(T_T)

あああ・・・申し訳ありません。
でも、心を動かして下さったことは、とてもありがたく思います。

> なんで・・・
> 覆水盆に返らず・・・
> 聞かなかったことには出来なかったのですね。
> 彼のお方にもどうすることもできない『掟』なのですね。

そうですね。
自分の姿を見たことを、見た者が話す、そのことが引き金となって、ことは進んでしまう・・。
誰にも変えることが出来ない、定めでした。

> 彼のお方は、青木に再び巡り合う為に、人間になるために、姿を変え、自分の記憶を封じたのですね・・・
> そこまでして、今までの山の神様←(妖怪ではない!)としての自分を全て捨てて、
> ただ青木に再び逢うために・・・(T_T)(T_T)(T_T)

ああ・・・そこに気付いて下さったのですね・・!
そうなんですね、この時、青木は全てを捨てましたが、それ以前に、彼の方が、青木の元に来る為に、全てを捨てていたのです。

> そして、出逢い、惹かれ、名をもらい、温もりを与えられた。
> アキという人間に生まれ変わった。
> しかし、人間として、普通に生きていくことの叶わなかった二人。

申し訳ありません・・こんなお話で・・・

> とても悲しいですが、でも、これで良かったのかも。とも思ってしまいます。
> 青木の真っ直ぐな性格から言って、
> もし、このまま彼のお方のことを告白せずにアキさんと結婚し年月を重ねても・・・
> きっと、彼のお方への想いと、アキさんへの想いで苦悩して、もやもやしたものを抱え、二人の間に溝が出来てしまうのでは。と思います!!

エピローグに続く流れを思いを、この時点で全て読み取って下さったのですね。
さすがたつままさん・・と、ため息が出ました。
そして・・・とても嬉しいです。

> あれだけ、探し求めた人だから・・・どんな形でも「真実」を見つけることが出来て幸せだったのかな(T_T)(T_T)
> 青木、今度は独りにならなくて良かったね。共に行くことが出来て・・・(号泣)
> 二人は、一つになり永久に離れることはないですね(T_T)(T_T)(号泣)

あああ・・何だかもう・・・
こんな風に読んで下さることが嬉しくて、こんなコメントを下さるお気持ちが嬉しくて・・私の方が涙が出てしまいました・・。

泣かせてしまって、本当に本当にすみませんでした・・。

> ラストはどうなるのでしょうか。
> 続きお待ちしております。
> ずずずっ←鼻をすする音

号泣しながらも明るく締めて下さるたつままさんのコメが嬉しいです。

最後までお付き合い下さり、本当に本当に、ありがとうございました。

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