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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

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でも必ず書かせていただきますので
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第14話:幸福


岡部と山本は、医者がそれを検分する、その様子を見ていた。

目の前の床に横たわる、二つの遺体・・・。

「凍死だね」
医者の結論は、明確だった。

岡部は、改めて周囲を見渡した。
物取りが入った様子も、争った形跡も無い。
医者の見立ては、間違いないだろう。

「でも、何故・・」
山本がつぶやき、岡部は言う。

「夕べは、殊に冷えたからな。窓が開いている。火鉢も消えた状態では、とても生きては過ごせなかったのだろう」
「だけど・・雪山でもあるまいし、家の中で、何故・・・」

岡部は、首を振った。
何故?
あんな寒い夜に、窓を開け、寒風に身を晒して死んだのか、そんなこと、分かるわけが無い・・!

入り口で、そっと様子を伺う男達に、岡部は気付き、手招きした。
「入っていいぞ」

今井と小池、曽我と宇野が、中へと、足を踏み入れた。
倒れている青木とアキを、最初に見つけたのは、彼らだった。

新婚初夜を過ごした二人を、早速訪ねて冷やかしてやろう・・そんな軽い気持ちでの訪問だった。
それが・・

彼らは、青木とアキの、姿を見る。
二人、手を取り合い、まるで眠っているかのように、そこに横たわっている。

「家族に、連絡を取らねばな」
岡部は言った。

「それから、葬儀屋を呼んで・・」
岡部が独り言のように言いかけると、
「それは、やります」
「オレ達で、手配します・・」

口々に、彼らは言った。
言いながら、嗚咽が漏れた。

「一体、何故・・」
「祝言の夜に、こんな・・」
「くっ・・!」

立ち尽くし、あるいはその場に膝を付き、彼らは、その場から動けずに居た。

「そうだな・・だが、祝言を挙げた後で、良かったかもしれん」
岡部の言葉に、彼らは、顔を上げる。

「だってなあ・・二人とも、何とも、幸せそうな顔じゃないか・・・」

岡部も、最後の言葉は、嗚咽の中に掻き消えた。

彼らは、青木とアキの顔を見る。
二人は、手を取り合い、目をつぶり、そして・・

その顔は、穏やかに、微笑んでいるように、見えた。

「うっ・・」
「くう・・」
「ううう・・・」

二人の顔を見ながら、またも、彼らの嗚咽が堰を切ったように、溢れ出す。

窓から、柔らかい冬の日差しが差し込み、青木とアキの身体を、照らし出していた。



************



吹雪の夜。
吹きすさぶ風の音に交じり、時折、まるで人のすすり泣くような、叫ぶような声が、聞こえることがある。

微かに聞こえるその響きを、「あれは、女の声だ」と言う者もあれば、「若い男の声だ」と言う者もある。

そして・・
中には、こんなことを言う者もある。

あれは、異なる二つの声だと。

二つの異なる者の声が、互いに・・・・呼び合っているのだと。





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