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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene4:懸念


青木の目の前には、包帯をした腕を、持ち上げた状態で、ベッドに寝ている男が、居た。
ベッドごと上半身を起こして、曽我は、青木に顔を向けている。

「思ったより元気そうで、良かったです」
そう言う青木は、椅子をベッドの傍らに寄せて、座っていた。

「う~ん・・。元気は元気なんだけどな。腕は、いてーんだよ」
「痛い? やっぱり痛みがあるんですか?」
「点滴に痛み止めが入ってるから、痛くない筈だって言われたんだけどさ。でも、今もいてーんだよ」
そう言って、曽我は苦笑して見せた。

「オレ、骨折って言ったら、せいぜいギプスで固められる程度だと思ってたんだ。まさか手術をすることになるとは、思わなかったよ」
「骨がずれてたんでしょう? 仕方無いですよ」

青木は、改めて曽我の怪我をした腕を眺めると、言った。

「曽我さんが、薪さんをかばったそうですね・・だから、薪さんは、軽傷で済んだのだと聞きました」
「ああ・・それは」
曽我は、無傷な方の手で、頭を掻きながら、話す。

「あの時・・薪さんは、車を発進させてすぐに、何か異変に気付いたようだった。だけどオレは、既にアクセルを踏んでいたんだ。車を止めろと言われたけど、その時は、既にブレーキが利かなくなってて・・」

「オレ、焦っちゃって。薪さんに、安全装置のレバーを引けと言われるまで、その存在すら忘れてたよ。周囲を巻き込まないよう、とっさの判断で、無人の駐車場に入るよう誘導したのも、薪さんだ。最後には、隅の立ち木に追突したけど、安全装置のブレーキが作動したから、この程度で済んだんだ。薪さんの指示が無かったら、たぶん・・」
曽我は、声を押とし、布団を掴んだ。

「でも、その最後の瞬間に、薪さんを、かばったんでしょう?」

ひと呼吸置いて、青木の口から、自然に言葉がこぼれ出た。
「・・ありがとうございました」

「!?・・・」
曽我は目を開いて青木を見上げ、
「なんで、お前が礼を言うんだよ」
そう言って、笑った。

「あ・・」
青木は、言葉を呑み込んだ。
かすかに、顔が熱くなる。

「・・・・・・」
そんな青木の顔を見て、曽我は、やや沈黙した後、言った。
「正直言って、細かいことは、よく覚えてないんだ。オレは無我夢中だったし、薪さんも何かわめいてたけど・・とにかく、あっという間の出来事だったんだ・・」

黙って聞いている青木に向かい、曽我は続けた。
「・・薪さん、この6年間の記憶を、失くしたんだってな」

「誰から聞きました?」
青木が尋ねると、曽我は青木の顔を見て、言った。

「薪さんが、ここに来てくれたんだ」
「薪さんが?」
青木は、目を見開く。

「『お前、結婚してるのか?』って、聞かれたよ」
「えっ!?」

曽我は、青木と目を合わせると、クスッ・・と笑った。
「驚いたよ。何ごとも決して忘れない、あの薪さんが・・」
そう言いながら、曽我の視線は、青木から離れ、空をさ迷った。

それからもう一度、青木に視線を合わせると、曽我は、じっと青木の顔を見つめ、言った。
「青木、大丈夫か?」
「え?」

青木は目をしばたかせ、それから、言った。
「あ・・第九の様子でしたら、大丈夫です。そりゃ、薪さんも曽我さんも居なくて、大変ですけど。岡部さんや今井さんが中心になって、何とか回ってます。曽我さんは、何も気にせず、ゆっくり養生して下さい」

青木が笑顔を見せながら、そう言うのを聞き、曽我は言う。
「そうじゃない。・・青木、お前自身は、大丈夫なのか?」
「え?・・・」

青木は、目を見開き、曽我の顔を見つめた。
曽我の質問が、一体どういう意味なのか、よく分からない・・。

「いや、いいんだ」
曽我は視線を外し、話題を変えるように視線を泳がせると、ベッドサイドの時計を見て、言った。

「お、そろそろ検温の時間だ。気付いたか? ここの看護師さん、優しくて、結構可愛い子が多いんだぞ」
曽我は、ニッコリと笑った。

タイミングよく、ドアをノックする音がした。
「失礼します」
その声と共に入ってきたのは、爽やかな笑顔の・・男性看護師だった。

「あ・・」
曽我は、腕だけでなく、顔までが固まっていた。
「なる程。確かに優しそうですね」
青木が、つぶやく。

「曽我さん、ご気分はどうですか?」
「あ・・悪くはありません」
「今日は、清拭もしましょうね」
「・・・はい」

急にしおらしくなった曽我を見て、青木は微笑むと、
「じゃあ、曽我さん。オレ、行きますから。お大事にして下さい」
そう声を掛けて、病室を出て行った。

『お前自身は、大丈夫なのか?』
第九へと戻る道すがら、青木は、曽我の言葉を思い出していた。

オレ・・オレ自身は・・何も変わらない。
薪さんが怪我をしても、記憶を失っても、オレは何も・・・

そう思いながらも、何かが、心の奥底に、引っかかっていた。


************


第九では、岡部の指揮のもと、捜査が進んでいた。
人員が減ったことは痛手だったが、それでも皆、必死に仕事をこなしていた。

第九メンバー達は、薪も近々復帰すると、聞かされていた。

「記憶が戻らないままで、第九に戻るんですか?」
小池の問いに、岡部が答える。
「記憶を失ったとは言っても、薪さんの能力そのものが、失われたわけじゃないからな」

「・・・・・・」
青木は、黙って聞いていた。
このまま復帰して、薪さんは、本当に、大丈夫なんだろうか。
そんなことを思っていた。

「それにしても、あの薪さんが記憶を失くすなんて、考えられませんよね」
小池は話し続ける。
「薪さんの有能さは、ホントにスゴすぎるっていうか。サイボーグ入ってんじゃないかと思ってたんですけど、薪さんも生身の人間だったんですねえ・・」

「小池!」
宇野の言葉に、その場に居た人間が、一斉に後ろを振り返った。

「・・・・・・」
薪が、そこに立っていた。

「薪さん・・! もう・・いいん・・ですかっ・・」
そう言いながら、小池は何か、デジャヴを感じた。
こんな展開、いつかどこかで・・・

「せっかく静かな環境なのに、病院に居ては、安静にしていろと、仕事から隔離される。もう身体は、すっかりいいんだ」
薪は静かにそう言いながら、小池に向かって微笑んだ・・・。

うわあ・・と、小池が声にならない声を漏らす・・。

その間に、青木は、薪のもとへ駆け寄っていた。
「薪さん・・!」
「薪さん、復帰のご予定は、まだ先の筈じゃ・・」
そう言いながら近付く岡部に、薪は顔を向けた。

「もう病院に居る必要は無い。岡部」
「はい!」
「まずは、現在進行中の捜査資料だ」
自分の脇をすり抜けていった薪の姿を、青木は見つめていた。

「病院から、直接いらしたんですか?」
「ああ。まずは、こちらが気にかかったからな」
「これです。今、捜査中の事件は・・」

薪は、岡部から話を聞きながら、今井に質問をし、宇野や小池に、見守られていた。
青木は、何故か、その場から動くことが、出来ない。

「こちらは今井と小池が担当で・・こっちは宇野と青木が」
「青木?」
薪が、振り返った。

目と目が合い、青木は、口を開きかけたが・・
「何を突っ立っている! こっちへ来いっ!」
「は、はいっ!」
薪の怒声に、青木は慌てて駆け寄った。

「昨日の・・この被害者の脳の検証は、どこまで進んでいる?」
「全部終わりました」
岡部の言葉に、薪は、顔を上げる。

「全部?」
「ええ。今、宇野と青木が、第二と第三の被害者の脳を並行して追っていて・・何か?」
薪がメンバー全員を見渡す仕草に、岡部は尋ねた。

「いや・・続けてくれ」
薪は、ひととおり捜査状況の確認を終えると、いくつか指示を出す。
今井以下、宇野や小池、そして青木も、MRIの検証に取り掛かった。

「僕はこれから、田城さんと一緒に、上を回ってくる。今日はもう戻れないだろうから・・岡部、この調子で、後を頼む」
薪は、岡部にそう言った。

「はい」
それだけ言って、岡部は、薪を見上げる。
心配そうな目で薪を見るが、それ以上は、何も言わない。

薪は、そんな岡部の顔を見て、ちょっと考える様子を見せると、口を開いた。
「・・岡部」
「はい」

「捜査の目処が立ったら、お前にも合流してほしい。今後の方針について、上と相談することになるだろうが、いずれにせよ、お前の協力が必要だ」
「はい」
「あくまで、捜査に区切りが付いてからでいい。こちらの方が優先だ」
「はいっ!」

端末に向かいながら、青木は、背中でその会話を聞いていた。

室長代理も務めた岡部だ。
その岡部を、薪が頼りにするのは、当然のことだ。
そう思いながら、青木は何か・・焦りのような物を、感じていた。

「今井、そちらの刺殺事件は、お前に任せたぞ」
「はい!」
「小池、顔が特定出来次第、今井の画と照合しろ」
「はい!」

「宇野、捜査報告は、僕が戻ってからだ」
「はい!」
「青木・・・」
そこまで言うと、薪は、よどみ無く口にしていた言葉を、一度止め・・

「・・これまでのように、皆の指示に従い、宇野と協力して、捜査をしろ」
「・・はい」

薪が出ていく、その後ろ姿を見送りながら、青木は、呆然としていた。
宇野が、青木の肩に手を置く。

「仕方ないさ」
宇野は、青木に向かって、言った。
「薪さんは、お前のことは、まだよく分からないんだ。どの程度の能力で、どんな捜査をしてきたのか・・だから、あんな言い方をするしか、なかったんだ。でも青木、お前の実力を見せれば、薪さんだって、すぐに理解するさ」

ポンポン・・と、青木の肩を叩き、そして宇野は、捜査に戻った。
青木も、端末に向かい、座り直した。

頭の中が、ぐらぐらと揺れる。

しっかりしろ、まずは、目の前の仕事を、やり遂げることだ。
青木は、そう、自分に言い聞かせていた。





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