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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene5:隠蔽


総監は、デスクの上に両手を組み、じっと考え込んでいた。

目の前には、腕を組んで立つ、細身の身体をスーツの中に滑り込ませた、第九室長の姿。
その隣りには、憂い顔の、科学警察研究所長が立っている。

薪は、第九の仕事への、即日復帰を望んでいた。
確かに、現状で、薪以上に、その立場にふさわしい者は居ない。

だが、記憶を失った人間を、そのまま元の地位に立たせるということは、果たして、許されるものだろうか。

薪が事故に合ったと報告を受けた時は、その負傷が単なる外傷であり、しかも軽微な物であると聞いた。
だから、薪の身体が治癒次第、第九に復帰させるとの決定を、当然と捉えた。

だが、記憶を失ったとなると、話は違ってくる。

もちろん、記憶を失くしたところで、薪の能力が、冴え渡る物であることに、変わりは無い。
それどころか、この数年の間に、薪の胸に納めさせた、数々の秘密を忘れ去ったということは、ある意味、好都合と言えないこともない。

「・・このことは、まだ内密になっているんだろうな」
総監の言葉に、田城が答えた。
「はい。薪警視正が事故に合ったことは、既に報道もされましたが、記憶喪失に関しては、私と、第九の人間しか、まだ知りません」

「病院側も、そこは心得ているんだろう?」
「はい。あくまで患者のプライベートなこととして、外部には漏らさないようにと」

総監は、ため息を付いた。
とりあえず、今、このことを知っている人間は、限られている。

だが、薪の今回の事故には、多くの人間が関わっている。
事故の目撃者、事故処理をした人間、病院の人間、事情聴取をした一課の者達・・いずれ、どこかから情報が漏れ出る可能性は、大いに有り得る。

そして、他部署の警察関係者の知るところとなった時、記憶を失くした人間を、そのまま要職に付けていたことで、自分がどういったあおりを受けることになるか・・・

「・・・・・・」
考え込む総監を、じっと見ていた薪は、やがて、そのふっくらとした唇を開き、言った。

「・・私が、報告義務を怠ったことにしたら、どうでしょう?」
「うん?」
総監が顔を上げた。
田城も、どういうことかと、薪に目をやった。

「私は・・第九室長の地位に固執する余り、事実を報告しなかった。こちらの外科医の診断書は提出したが、もう一つの診断書は提出せず、記憶を失くしたことを隠蔽した。・・そうなれば、もし、どこかから情報が漏れた場合、私一人が、責を負えば済む」

「いかがですか?」
「・・・・・・」
薪の提案に、総監も、田城も、揃って言葉を失った。


************


一人、室長室に戻った薪は、椅子に座り、ファイルをめくった。

総監も田城も、薪の言葉に驚いていたが、結局は、その提案を受け入れた。
「いや、しかし・・・」
田城はうろたえ、食い下がっていたが、薪が、そうでもしないと、このまま第九室長を続けていくのは困難だろうと話すと、総監も同意した。

「いずれにせよ、第九室長に、薪警視正以上の適任者が居ないことは、確かだ。まずは元の仕事に復帰し、様子を見る方が得策だろう。その上で、おいおい記憶が戻れば、それで済むことだ」
総監の言葉に、田城も受け入れざるを得なかった。

・・そうまでして、何故、自分はここに居るのか。

これ以上、検査やリハビリに日々を費やし、病院で過ごすなんて、真っ平だった。
記憶喪失を理由に、閑職に回されるのも、ご免だ。

ここで、第九で仕事をしていれば、その間は、色々余計なことを、考えなくて済む・・・。

後から顔を見せた岡部には、田城と共に、今後一切、第九の人間以外に、薪の記憶喪失について他言しないようにと、それだけを、約束させた。
総監との話し合いに、岡部が同席していなかったことは、幸いだった。
何も言わずとも、岡部は、ことの次第を察しただろうが。

岡部は、余計なことをみだりに話すことは無いが、同時に、嘘を付くことは不得手だ。
たとえ察しても、自分で見聞きしていない限り、他の人間に何かを尋ねられても、自分は、他言しないようにと指示されただけだと、言うことが出来るだろう。

それにしても、昨日からの捜査で、既に被害者の脳の検証が済んでいるとは。
目覚ましい進歩だが、第九メンバー達は皆、それが当然という顔をしていた。

6年の間に、システムの機能が向上し、同時に、捜査する皆が、それだけ著しく成長したということなのだろう。
自分の指導のもとに、それが成し遂げられた筈だというのに、この、まるで他人ごとのような、取り残された感覚は、不思議だ・・

そんなことを思いながら、同時に薪の目はファイルの文書を追い、その内容を脳に刻み付けていった。
それは、薪が田城に求め、手渡されたファイルだった。
これまでの第九が手がけた事件が、簡単に列記された物と、自分自身の経歴データだ。

自分の経歴には、驚いた。
何と、2年もの間、アメリカのMRI研究所に赴任している。
一体、どういう経緯で、そんな結果に至ったのだろう。

その直前に、研究所の所長が交代し、クラーク・S・フォスターという人物になっている。
この人物に仔細を尋ねたい気もするが、今は、自分が記憶を失ったと気付かせるようなことを、アメリカ側に伝えることは、控えるべきだろう。

ファイルの全てを確認すると、薪はそのファイルを傍らに置き、次に小さなディスクを手に取った。
田城から受け取った物は、もう一つあった。

ファイルの文書に書かれていたのは、第九が手がけた事件の、ごく簡単な項目だけだ。
だが、このディスクには、事件の一つ一つ、そのMRI捜査の、詳細が納められている筈だ。

薪は、ディスクを端末に挿入すると、情報が現れる瞬間を、画面を見つめて待ち受ける。

機械はウィンとうなりを立てて、その情報を読み込み始めた・・・・・





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コメント

■ 

こんにちは、かのんさん。
先日は‥正気に戻るといつも後悔してしまいますが‥
おバカなコメ‥申し訳ありませんっ!お、お許しを‥。

ああ‥フォスターの名前も出て参りましたね‥
もしかして彼が出てきたりして‥違いますね、すみません(^_^;)

でも記憶を失くした薪さんが‥痛々しいです。すごく心が硬く、重く‥。
今回もすべての責任を負う覚悟で‥
青木の心情を思うと‥。

いえっ!
その前に私が辛いです(笑)
青木より私‥かのんさんの薪さんファンの私‥。私、私と連呼してしまいました‥。
申し訳ございません‥。

でも‥でもーーーっっ!
胸が締め付けられますっ!(>_<)
かのんさんのSSですから、絶対ハッピーエンド‥そう思ってても‥。

辛いのはかのんさんなのに‥ごめんなさい。
私は薪さんの背後霊のように後ろにいる気分になってしまって‥暴走‥(・・;)
大丈夫ですから!
かのんさん、謝らないでくださいね。

薪さんの後ろの‥室長室のブラインドの後ろに隠れているかのごとく、見てますからっ!
‥あああ‥それは‥かえって迷惑ですね‥
薪さんに対する愛ゆえです!‥どうかお見逃し下さい‥

続き、楽しみにしております。失礼しました<m(__)m>

■ 

○ruruさま

こんにちは。
コメントありがとうございますm(_ _)m

いつも楽しい心のこもったコメントをいただいて、とても感謝しております。
ruruさんが謝らなきゃならないようなことは、何一つございませんので(^^)

> ああ‥フォスターの名前も出て参りましたね‥
> もしかして彼が出てきたりして‥違いますね、すみません(^_^;)

目を留めて下さって、ありがとうございます。
今のところ、今回の彼の登場予定はございません。
彼の名前を出したのは・・楽屋落ちと申しますか、お遊びみたいなものですね(^^;)

> でも記憶を失くした薪さんが‥痛々しいです。すごく心が硬く、重く‥。
> 今回もすべての責任を負う覚悟で‥

今の薪さんなら分かりませんが、鈴木さんの事件から数ヶ月しか立っていない薪さんは、きっと、第九に居て仕事を続けられる為なら、犠牲も払ってしまうのだろうと思います・・。

> 青木の心情を思うと‥。
> いえっ!
> その前に私が辛いです(笑)

きゃ~~~っ!
すみませんすみませんすみません・・(><)

> 青木より私‥かのんさんの薪さんファンの私‥。私、私と連呼してしまいました‥。
> 申し訳ございません‥。

こちらの薪さんファンだなんて・・何だかさり気なくものすごく嬉しいお言葉をっ。
ありがとうございます!!!!(TT)

> でも‥でもーーーっっ!
> 胸が締め付けられますっ!(>_<)
> かのんさんのSSですから、絶対ハッピーエンド‥そう思ってても‥。
> 辛いのはかのんさんなのに‥ごめんなさい。
> 私は薪さんの背後霊のように後ろにいる気分になってしまって‥暴走‥(・・;)

思い返せば・・「Sの手口」の時も、「絶対にハッピーエンドですよねっ!」と確認し懇願するような悲痛な反響が多かった・・またこんなことで・・申し訳ございませんっm(_ _)m

> 大丈夫ですから!
> かのんさん、謝らないでくださいね。

私にまでお気遣い、ありがとうございます。
ruruさん、お優しい・・・。

> 薪さんの後ろの‥室長室のブラインドの後ろに隠れているかのごとく、見てますからっ!
> ‥あああ‥それは‥かえって迷惑ですね‥
> 薪さんに対する愛ゆえです!‥どうかお見逃し下さい‥

室長室のブラインドの後ろって・・想像して、ウケてしまいました!(笑)
すみません・・ruruさんが必死になってらっしゃるのに。
でも、ここまで気持ちを込めて読んでいただき、本当に嬉しいです。

> 続き、楽しみにしております。失礼しました<m(__)m>

ありがとうございます。
お言葉を励みに、頑張って書いて参ります。

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