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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene6:再現


「青木、大丈夫か?」

青木が、両の手の平で、まぶたを押さえている様子を見て、宇野が声をかけた。
「ぶっ通しで見続けてるからな。少し休むか」

宇野と青木、二人で自販機のコーヒーを飲みながら、休憩を取る。
今井や小池もやって来て、同様に、飲み物を手に座った。

「そっちは、捜査報告に入れそうか?」
「そうですね。薪さんが戻ったら、準備しますよ」
今井と宇野の会話を聞きながら、青木は、薪の姿を思った。

「薪さんは、オレが入ってからのことは・・覚えてないんですよね」
誰に言うともなく出た、青木のつぶやきに、他の者達は、顔を見合わせた。

「まあ・・な。だけど、一番古いオレ達だって、今の薪さんにしてみれば、第九に配属されて、たったの5か月なんだ。大差ないだろ」
小池が、青木に向かって言った。

「青木・・。薪さんは、部下のことは、ちゃんと見てくれる人だ。これまで同様、情熱を持って仕事をこなしていれば、お前の実力は、分かってもらえる」
「薪さんの部下として、一から、やり直せばいいんだ。すぐに認められるさ」
今井や宇野も、口々に言った。

「・・・・・・」
青木は、黙って聞いていた。
先輩達の気遣いは嬉しかったが、心は、一つも晴れなかった。

執務室に戻ると、薪と岡部も第九に帰ってきた。

「薪さん、捜査報告、すぐに出来ますが」
宇野が言うと、
「僕は、すぐにチェックしたい物があるから。・・そうだな、30分後に始められるよう、準備しておけ」
薪はそう言って、室長室へと入っていった。

その後、岡部が皆を集め、薪が仕事に復帰を遂げたこと、また、薪の記憶喪失について他言しないことを、メンバー達に伝えた。

「薪さんは、このまま、今までどおり、仕事を続けられるんですか?」
「他部署との連携をする際に、薪さんの事情を知らせていないと、支障が出て来る面もあるのでは?」
「一体、どこまでの人間が、この事実を知ってるんでしょう?」

「詳しいことは分からん。とにかく、よその人間には話すなと、薪さんの命令だ」
メンバー達の疑問の声に、岡部はただ、そう答えた。

捜査報告のセッティングをして、宇野と青木は、薪が室長室から出て来るのを待った。
「遅いな・・」
宇野が時計を見る。

「呼んでくるか。でも、まだ何かチェックしてる最中だと、うっかり声をかけても面倒だからな。もう少し待つか・・・青木?」
宇野が言い終わらないうちに、青木は、室長室へと足を向けた。
何か・・不安が胸をかすめていた。

「薪さん、青木です。捜査報告の準備が出来ました」
室長室のドアをノックして声をかけるが、反応が無い。
青木はすぐさま、ドアを開けた。

「!!・・薪さん!」
青木の叫び声に、他の者達も、室長室へと向かう。

最初に中に飛び込んだ青木は、床に倒れていた薪の身体を抱えた。
「薪さん!・・薪さん!」

岡部は、薪の端末の画面を見て、舌打ちを鳴らした。
「よりによって、これを一人で見るとは・・」

顔を上げた青木の目にも、その画面が見えた。
そこには、2060年1月の、少年達の自殺事件の、捜査内容の詳細が記されていた。
少年達に催眠術をかけていた、貝沼の画像と共に・・・・

「病院へ・・」
「いや。またすぐに病院に戻ったとなると、薪さんの立場が悪くなる」
青木の言葉をさえぎり、岡部はそう言った。

青木達は、薪を医務室へと運んだ。
同時に所内の医師に連絡を取り、指示を仰ぐ。

薪が落ち着いた頃合を見て、メンバー達は第九へと戻った。
溜まっている事件を、仕事を、片付けねばならない。

岡部の指示で、宇野と青木が担当した事件の、捜査報告が始まった。
時折、別の事件を担当している今井と小池が、交代でその場から抜け、薪の様子を見に行っては、変わりは無いと、岡部に報告している。
青木は、それを耳に入れていた。

薪が留守の時こそ、部下として、しっかりと仕事をこなさねばと思う気持ちと、薪の傍に居たいという思いが、胸の中でせめぎ合っていた。

「よし。じゃあ、これを報告書にまとめろ」
捜査報告が終わり、岡部がそう言って、その場は解散となった。
青木は、片付けを終えると、医務室へと向かった。

薪の様子を、ほんの少し、見てくるだけのつもりだった・・・その時は。

青木が医務室を覗くと、薪は、目を覚ましていた。
ベッドの上に身体を起こし、膝を抱えている。
その様子は落ち着いて見え、青木は胸をなでおろした。

「薪さん・・。宇野さんとの捜査報告、終わりました。これから、報告書をまとめて、提出します」
青木の言葉に、薪は黙ったまま、青木を見つめている。

「ああ・・そうだ。以前薪さんが、眠る時に抱えていた本、あれは、自宅にありますから。帰って休んだ方が、きっとよく眠れますよ。だから・・」
青木は、ずっと言いたかったことを、口にした。

「家に・・帰りましょう。」

薪は、顔を上げ、青木を見つめていた。
ようやく口を開いた薪が発したその言葉に、今度は青木が、黙り込んだ。

「貝沼を知っていた」
薪は、繰り返す。

「僕は・・貝沼を知っていたんだ」





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