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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene7:困惑


・・・・どうして!!

奴は、死んでいた。
あの時、既に死んでいたんだ!
なのに何故・・

・・・貝沼!!

「あっ!」
薪は、目を覚まし、ベッドの上に上半身を起こした。

「はあっ、はあっ」
心臓が脈打つ。
息が苦しい。

何度も大きく息を吸い、呼吸を整えようとする。
見渡すと、自分が医務室のベッドに居ることが、分かった。

あの時。

室長室で、これまでの6年間の捜査内容をチェックしようと、端末の画面を見つめていた。
岡部が、落ち着いたら全てを話すと言っていたが、捜査が進行中の事件が片付くまで、岡部の手を取らせることも無いと思った。
まずは、自分で概要を把握しておき、それから、補足説明を受ければ良いと考えていた。

まさか・・あの事件が、貝沼に繋がっていたとは、知らず。

貝沼の姿を認めたその瞬間から、記憶が途切れ、気が付いたらここに居た。
第九の人間が、ここまで自分を運んだのだろう。

・・6年間の記憶は、消えたままだった。
こんな精神的ショックを受けても、失った記憶は戻らない。

一番辛い記憶は、決して消えることなく、生々しく残っているのに・・・。

「・・・・・・」
薪は、両手で顔を覆った。
それから膝を立て、それを抱えるように、身体を丸めた。

「薪さん」
声がして、薪はビクッと身体を震わせた。
見上げると、そこに、長身の新人の姿があった。

「薪さん・・。宇野さんとの捜査報告、終わりました。これから、報告書をまとめて、提出します」
穏やかでいながら、ハッキリとしたその物言いは、やはり、親友に似ている・・・

「ああ・・そうだ。以前薪さんが、眠る時に抱えていた本、あれは、自宅にありますから・・・」
本・・そうだ、あの本。
6年間を歩んできた自分は、あれを必要としないのだろうか。
そしてこの男は・・本に挟んでいた写真のことも、知っているのだろうか。

笑顔で写っていた。
鈴木も・・そして、自分も。

鈴木の面影が、目の前の男と重なり、薪は、口を開いた。

何故この時、青木にあの話をしたのか。
後から考えると、薪は、よく分からない。

鈴木に似た男に、全てを話して、楽になりたかったのだろうか。
それとも・・自分の罪を告白することで、責めを受けたかったのだろうか。

「貝沼を知っていた」
薪の言葉に、青木は黙り込んだ。
驚いた顔をして。

あの貝沼を知っていたとは・・聞いた方は戸惑うだろう。

「僕は・・貝沼を知っていたんだ」
薪は、話し始めた。

貝沼と、初めて会った時のことを。
その因縁を。

青木は、じっと黙って聞いていた。
その瞳は戸惑いの色を見せ、何か言いたげに口を開き・・また閉じた。

「・・貝沼の脳を捜査した中で、僕のことをさし示すような事柄は無かった。だが・・分からない。全部見たわけじゃない。貝沼の脳もデータも全ては、鈴木が破壊した・・。全部見たのは、鈴木だけなんだ・・」

話しながら、薪は、手で頭を抱えた。
段々、頭を痛みが襲ってきた。

「わからない・・鈴木は、貝沼の脳を見たせいで狂気がうつったのではなく・・もしかしたら、僕を・・殺したくなるような・・そんな画を見たのかもしれない・・だから・・!」

「それで・・鈴木は・・僕を!!」
「違う!」
青木は、薪の傍に近付き、その肩を抱いた。

「違います!・・違うんです!」
「・・・・?」
どういうことかと、薪は、いぶかしげに青木を見上げる。

「鈴木さんは・・。そうじゃない、精神的に参って自殺をしかねなかったのは、むしろあなたの方だった、薪さん。原因は自分にあるのではという不安で・・だから、だから鈴木さんは、このまま捜査を続けたらあなたがもたないと・・そう思って、一人で貝沼の脳を全部見ることにしたんです・・!」

「・・何を言ってる?」
薪の目は、驚きに見開かれていた。

「でも、見終わった時には、鈴木さんの精神は壊れて・・貝沼の、狂った視界によって・・・・」
「お前・・何故それを?・・まさか・・」
薪の言葉に、青木は、苦しげに目を細める。

「まさか・・見たのか?お前、鈴木の脳を・・?」
バッ・・!と薪は、青木の手を振り払い、ベッドの上で、後ずさった。

目の前に居るのは、鈴木同様、貝沼の狂った脳を見た男・・・

「薪さん・・!」
「来るな・・」
「薪さん・・!大丈夫です!」

「お前は、鈴木の・・貝沼の画を!」
薪の顔は、引きつっていた。

「大丈夫です!見たのは6年も前です。オレは大丈夫でした。薪さんのお陰で・・だから、落ち着いて下さい!」
「・・・・・・」

薪は、じっと青木を見た。
6年前に?何故?

「僕が・・指示をしたのか? お前に、鈴木の脳を見るようにと」
「いえ、そうではありません。オレが勝手に・・」
「勝手に!?」
薪は叫んだ。

「どういうことだ? お前が、何故? 何の権限があって・・!」
「説明します。落ち着いて下さい!」
「お前が!鈴木の脳を・・何故・・」

薪は再び、頭を抱える。
さっきから、頭痛がしてたまらない。

「そうじゃない・・あなたに話したいのは、そんなことじゃないんです!鈴木さんは・・」
「お前が、暴いたのか? 鈴木の脳を・・鈴木が、命をかけて守り通した・・それをお前は・・!」

薪は、ハッとした。
今、自分は何を言った・・?

「薪さん・・何故それを・・?」
青木も、驚いた表情で、薪を見つめている。

何故?
鈴木が守った?
一体何を?
僕は、何を知っている・・?

「薪さん・・もしかして記憶が・・」
「ああああっ!」

薪は叫んだ。

分からない。
自分が何を言おうとしたのか。
頭が痛い。
割れるように痛い・・!!

「薪さん!しっかりして下さい!」
「何だ!一体何ごとだ!?」
岡部が入ってきた。
薪の様子を見に近くまで来たら、騒ぎが聞こえ、走り込んできたのだ。

「あ!あ!・・」
「薪さん!」
岡部は、薪に駆け寄った。

「出て行け・・」
薪は、頭を抱えたまま、つぶやいた。

顔を上げ、今度は、しっかりと青木を見て、言った。
「出て行け!・・今すぐここから、出て行け・・!!」

「あ・・・・!」
青木は、言葉が出ず、そこに立ち尽くす。

「出て行けーっ!」

薪の悲鳴にも似たその叫びに、青木は、その場から出て行った。





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