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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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※今回、創作「刹那」に関わる、ちょっとしたエピソードが出て参ります。
 他にも、過去の創作に出てきた物がいくつか。
 話の筋は分かると思いますが、未読の方、不明な部分がありましたら、申し訳ございませんm(_ _)m


Scene17:光彩



「え・・・・?」

薪の言葉に、青木は、目を見開き、口まで開けて、薪を見つめている。

「僕が、気付かないとでも思ったか?」
「え?・・」

「そう考えると、何故、僕が、赤の他人で部下のお前と同居生活をしているのか、納得が行く」
「え・・でも、あれ?」
青木は、まだ、薪の言うことが、呑み込めないようだ。

「決定的だったのは、ベッドサイドの棚だ」
「え?」
「もちろん、現物は、そこに無かった。だが、何か置かれていた形跡があった」
「え・・・」

青木の顔が、赤く染まっていく。
対して薪は、そんな話題であることを、気にも留めない様子で、平静な顔で話している。

「そこからこぼれたと思われる、ジェル状の物があった。そして・・お前のベッドサイドに、それを見つけた」
「え・・・!」

・・それは、薪との逢瀬に間が開いた時に、薪の負担を軽減する為に、青木が必ず使用する物。
どちらで始まってしまってもいいように、薪と青木、両方の寝室に置いてあった。
だが、これを、今の薪には、見られるわけにはいかないと、青木は薪の寝室にあったそれを、自分の部屋に持ってきておいたのだが。

「2本あった。一つはたぶん、僕の部屋に置いてあった物だろう。・・何に使う物かは、明白だ」
「・・・・・・」
青木は、耳まで、真っ赤だ。

「彼女を連れてきた時に、使うとも考えられるが、お前は、部屋に誰かを呼んだことは無いと言っていたし。それに、それなら何故、僕の部屋にあった物まで、お前の部屋に持って行っておく必要がある? 僕に知られたくない、ということは、つまり・・」

「ちょっ・・ちょっと待って下さい!」
青木は、やっと言葉を繰り出すことが出来た。
「薪さん、オレの部屋って・・どうして、そんなこと知ってるんですか?」

「偶然、お前の部屋の鍵が開いていたから。ちょっと入った」
「ちょっと・・・入ったって・・・薪さん・・・っ」
「身辺調査上必要な、家宅捜索だ」
「そーいう問題じゃ・・・・・・」

青木は、湯気が見えそうな程、赤い顔をして、目には涙を浮かべていた・・・。

「それに・・・」
薪は、うろたえ、うつむいて顔を隠す青木をそのままに、話を続ける。

「僕のパソコンに・・ファイルがあった。僕は、一定期間が過ぎたメールは、自動的に消去されるよう、設定している。だがそのファイルは、別に切り離した、保存用のメールボックスになっていた」

薪は、どこかを見つめるような、目になった。
「そこには・・僕がアメリカに赴任している間、お前から送られたメールが、入っていた」

薪の言葉に、青木は、顔を上げる。

「そこには、第九での捜査内容や、捜査員達の様子が、淡々と綴られていた。最初は、業務連絡かとも思った。そして、最後に必ず・・僕の体を気遣う一言が、添えられていた」

青木も・・遠くを見るような目つきになった。

「別に、会いたいとか、返事をくれとか、そういった言葉が入っているわけではない。愛の言葉なんて、それこそ一つも無い。でも、僕には分かった。お前の想いが。そして・・それを見た、僕の想いが」
「薪さん・・・」
青木は、薪を見つめる・・・。

「そして・・・」
薪は、上着の胸ポケットを探る。
小さな袋が、現れた。

「何故、こんな物があるのか。自分が、この6年の間に、誰かと出会ったのだろうとは、思った。だが・・それが誰なのか、見当も付かなかった」

薪は、袋の口を開け、手の上で、逆さまにした。
それは、薪の白い手のひらに、コロン・・と、転がり出た。

「・・・・・・」
青木は、黙ってそれを見つめた。

「お前の部屋の机の上に、小さな箱があった。・・僕の部屋にあった物と、同じ」
青木は、銀色の指輪を見ていた。
薪の手の上で、それは、木漏れ日を受け、キラキラと光っている。

青木は、自分のシャツの、一番上のボタンを外し、その胸に下がっている鎖を、引き出した。
「・・・・・・」
今度は薪が、それを見つめた。

鎖の先に下がる、銀色の輪・・・・

「職場に、詮索の種を持ち込むことは無いと、薪さんは言って・・。オレは、ずっとこれを箱に仕舞い込んでいました。薪さんは、その程度の想いなのかとすら、その時は思って。でも・・」
青木は、鎖に繋がる自分の指輪を、手に乗せる。

「でも、薪さんは、ずっと身に付けていたのだと、ある日、知って。薪さんは、そんなこと、オレに一言も言わずに・・。オレは、恥ずかしくなりました。それから、オレも・・・」

薪は、自分の指輪を持ち上げ、その内側に刻まれている文字を、改めて読んだ。
「eternal vow」
永遠の、誓い・・・・・。

薪は、記憶を失い、目覚めたあの日から、今日までの、青木と過ごした日々を、振り返る。
たった半月のことなのに。
なんて・・濃密な時間だったことだろう・・。

そして。
過去の事件データを見た夜。
自分は、その衝撃に、一人で耐えられるつもりだった。
耐えなければと、思っていた。

なのにあの時・・青木の前で、自分は、心の内を吐露してしまった。
自分は、罪を背負い、それを忘れることで、更に罪を重ねたと・・その思いを。

今の自分にとっては、まだ、出会って間もない新人に過ぎないこの男に、何故。

・・今なら、その答えが分かる。
自分には、この6年間、ずっと・・ずっと、この男が傍らに居たのだ。
部下として。
そして・・・・

「青木」
薪が、話し出す。
青木が、薪を見つめ、耳を傾ける。

「青木。僕は・・・・あの部屋を、出て行く」
「・・はい」

たとえ・・そこに、青木と共に過ごした日々が、確かに、あったとしても。
今の自分は、その日々を知らない。
もう一度やり直すことは、出来ない・・・。

薪は、青木の顔を見る。
悲しむかとも思ったが・・青木の表情は、とても静かだった。

薪は言う。
「催眠療法を、受けようと思う」
「え?・・」
青木が、目を上げる。

「でも・・薪さん・・」
「治療を受けることは、正直言って、恐ろしい。・・何かを思い出し、僕は、重大な秘密を、漏らしてしまうのではないかと」
薪は、顔を上げる。

「あるいは・・治療を受けても、何一つ、思い出さないのではないかと」
「・・・・・・」
青木は、薪の横顔を見つめる。
恐ろしいと口にしながら、毅然とした、その顔。

「だが・・僕は、やらねばならない。あらゆるリスクを伴ったとしても。出来うる限りの努力をし、あらゆる可能性に、賭けなければならない。何故なら・・今の僕が、お前にしてやれることは、それしか、無いから」
「薪さん・・・」
青木は、それ以上、言葉が出てこない。

「お前だけじゃない。僕が、この6年間に関わってきた全ての人達に対して、出来ることは、それしか無いんだ」
話をしている間に、太陽が動き、木陰だったそこに、いつしか、日差しが差し込んでいた。

「けれど青木。何をやっても、駄目かもしれない。結局は、打つ手は無いと、ハッキリと認識させられるだけかもしれない。可能性に賭けることで、かえって、絶望を深めるかもしれない。その時は・・」
・・その先は、声にならなかった。

「薪さん」
青木は、薪の肩に、手を置いた。
そっと・・ただ、そっと。

「薪さんの記憶が戻っても、戻らなくても。薪さんが、オレのことを、必要としなくても。この先オレを・・忘れ去ったとしても」

「オレは・・オレの心は、変わらず、薪さんの傍に居ます・・・永遠に」

薪は、目をつぶる。
青木の手のひらから伝わる、かすかな体温を感じながら。

そして、目を開けた。

日差しが・・・・目がくらむほどに、眩しかった。





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コメント

■ 

‥かのんさん、ありがとうございます‥

リアルに涙が出て参りました。
なんて強い絆‥。
そして青木の薪さんに対する愛情の深さ‥それが薪さんの気持を変えたのですね。
青木の為だけではない、他の自分の関わった人たちへの想い‥
そこまで前向きになった薪さんを見て、どんなに嬉しかったか‥

泣けたのは青木の薪さんに対する優しさと‥底のない愛情を感じたからです。
‥やられました。
こんな時間に泣いたら明日目が腫れてしまうのは分かりきっているのに‥
涙を止められない私。

まだ泣くのは早いですよね(^-^)
薪さんも‥昔の薪さんではなく半月青木といただけで‥
硬い心が柔らかくなって‥

今回は青木の心の大きさに気付かされた回でした。
でも‥青木本来の優しさに加えて、
薪さんと出会ったことで大きくなった― そういうことでしょうか。

やっぱり薪さんは‥ステキです。

‥泣いちゃった‥(笑)

‥続き待っております。
でも、無理なさいませんように。

■ 

○ruruさま

コメントありがとうございます!m(_ _)m

> ‥かのんさん、ありがとうございます‥

あああ・・・お礼を申し上げるのは、こちらの方です!(><)

> リアルに涙が出て参りました。
> なんて強い絆‥。
> そして青木の薪さんに対する愛情の深さ‥それが薪さんの気持を変えたのですね。

泣いていただけたなんて、光栄です。
そして・・絆の強さ、愛情の深さ、そんな物を感じていただけたとのこと・・こんなに嬉しいことはございません。
書いてきて良かった・・(つ;)

> 青木の為だけではない、他の自分の関わった人たちへの想い‥
> そこまで前向きになった薪さんを見て、どんなに嬉しかったか‥

青木は、薪さんのことに心を奪われつつも、被害者のことを真剣に思うことも忘れない。
薪さんも、青木のことだけではなく、もっと広く人々を思う・・。

互いを誰よりも大切に想いながら、決して互いさえ良ければそれでいいというわけではない。
そんな視野を持つ二人が、私は好きなのかもしれません・・・

> 泣けたのは青木の薪さんに対する優しさと‥底のない愛情を感じたからです。
> ‥やられました。
> こんな時間に泣いたら明日目が腫れてしまうのは分かりきっているのに‥
> 涙を止められない私。

あああ・・・もう本当に・・・。
何と申し上げたら良いのでしょう・・(TT)

ありがとうございます。
嬉しいです。
ただただ、そんな言葉をお伝えする以外に思い付きません。

> まだ泣くのは早いですよね(^-^)
> 薪さんも‥昔の薪さんではなく半月青木といただけで‥
> 硬い心が柔らかくなって‥

原作の薪さんも、たった一週間で、青木と愛の逃避行(?)をするまでになりましたからね(笑)
それが良いか悪いかはともかく、青木は、知り合って間も無い時点で、薪さんを、そして薪さんの心を振り回す男なのだと思います。

> 今回は青木の心の大きさに気付かされた回でした。
> でも‥青木本来の優しさに加えて、
> 薪さんと出会ったことで大きくなった― そういうことでしょうか。
> やっぱり薪さんは‥ステキです。

ああ・・きっとそうなんでしょうね。
薪さんが青木に何かを気付かされるように、青木は青木で、薪さんによって男として、人間として、大きくなっていく・・ruruさんのお言葉が、胸に沁みて参りました・・。

> ‥泣いちゃった‥(笑)
> ‥続き待っております。
> でも、無理なさいませんように。

とてもとても嬉しいコメントを、どうもありがとうございました。
いつも優しいお心遣いにも感謝致しております。

やっと18話まで、ここまでこぎ付けて・・脱力しておりますが(笑)
あと2話、頑張ります(^^)

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