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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
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Scene18:待ち人


青木は、病院の外で待っていた。
薪には、時間がかかるから帰ってろと言われたが、とても、そんな気にはなれない。

今日は、薪の2度目の催眠療法の日だった。

1度目は、何の変化も無く、青木は内心落胆したが、薪自身はそれ以上に辛いのだろうと、そう思って、努めて明るくふるまっていた。

諦めないこと。
だが、焦らないこと。

薪は、療法士から、そう言われてきたと言う。
自分自身が、思い出したくない、忘れていたいと頑なに思っていたら、心は開かない。
けれど、思い出さねばと、強迫観念に駆られても、上手くいかないものだという。

心をリラックスさせ、前向きに臨むこと。
青木は薪からそう聞いて、自分が、薪の心を追い込むようなことは避けねばと、自分に言い聞かせていた。

並行して、薪は、部屋探しも始めていた。
転居シーズンが一段落したこの時期は、なかなか思うような物件に当たらないらしい。
これも、焦らずに探すと、薪は言っていた。

あの時・・・

『あの部屋を、出て行く』
薪が、再度そう言った時。

薪の静かな・・けれどキッパリと言い切ったその言葉に、青木は、自分でも驚くほど、素直にうなずいていた。

薪は、青木の気持ちに気付いていた。
だからこそ・・薪は、出て行くことを選択したのだ。
青木には、それが、分かったから。

『何をやっても、駄目かもしれない。可能性に賭けることで、かえって、絶望を深めるかもしれない。その時は・・・』

すまない。

薪の唇は、そう言っていた。
「すまない」と・・・。

だが、薪が謝ることなど、何も無い。
何年もの間、薪は、自分を確かに、愛していてくれた。
そのことを、改めて感じることが出来たから・・・。

そして・・今の薪も、言った。
『今の僕が、お前にしてやれることは、それしか、無いから』
と・・・。

その言葉だけで、充分です。
青木は、そう言いたかった。

日差しを浴びた薪は、美しかった。
泣きたい程に・・美しかった・・・・・・。

病院のドアが開く度に、振り返っていた青木だが、いざ、薪が姿を見せると、すぐには、足が動かなかった。
すいっ・・と、薪がドアから足を踏み出し、空を見上げた時、青木はようやく、近付くことが出来た。

「薪さん・・」
恐る恐る・・声を掛ける。

薪は振り返る。
青木を見て・・・・

「帰るぞ」
一言、そう言った。

帰る道すがら、薪は、何も話さない。
その静かな表情は、沈んでいるようにも見え、青木も、何も聞くことは出来ない。

やはり・・駄目だったのだろうか・・・。

いや、まだ治療は、始まったばかりだ。
薪が諦めない限り、自分も諦めずに、待っていればいい。

そして、たとえ薪の記憶が戻らなくても・・・自分は今、幸せだ。

マンションに着き、二人は、部屋に入った。
薪は、黙ったまま、廊下を抜け、リビングへと足を運んだ。

リビングの真ん中に立ち、記憶を失くしてから最初にこの部屋に来た時のように、周囲を見渡している。

「薪さん・・・」
青木は、声を掛けてみた。

周囲を見ていた薪の視線が、青木の前で、ピタリと止まった。

「あの・・・」
青木は、どうしたものかと、戸惑っていた。

フッ・・・と、薪の目が緩み、青木を見つめる。
その顔は、微笑んでいるような、泣いているような・・・・

「分からないか?」

薪の言葉に、青木は、息を呑んだ。
時が、空気が、全て、止まったような、気がした。

次の瞬間、薪は、青木の胸に飛び込んできた。
「ま・・薪さん・・。まさか・・・・!」

薪は、青木の背に回した両手で、ギュッ・・と青木を抱き締め、それから、顔を上げる。
そして言った。

「お前の、僕だ」





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コメント

■ 初めまして

初めてコメントします。ずっと『秘密』の大ファンで、薪さんが大好きで、薪さんの想いが通じるように毎号祈りながら読み進めています。こちらのお話を読ませていただいて、『秘密』の世界観そのままに、二人の想いが通じ合っていて本当に嬉しくなって…毎日何回も遊びに来させていただいています。今回の催眠療法も、きっと青木と暮らした幸せな日々に気づけなかったら、薪さんは受けませんでしたよね…。薪さんに、忘れたくない幸せな日々があったんだなと思って、読みながら泣きそうになりました。薪さんには絶対に幸せになってほしいです。続きを楽しみに待ってます。長くなってすみません。

■ scillaさま

○scillaさま

はじめまして。
いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます!

> 初めてコメントします。ずっと『秘密』の大ファンで、薪さんが大好きで、薪さんの想いが通じるように毎号祈りながら読み進めています。

コメント、とても嬉しいです。

あああ・・・お気持ち分かります!!
「毎号祈りながら」まさしく!私もそんな感じでおります(><)

> こちらのお話を読ませていただいて、『秘密』の世界観そのままに、二人の想いが通じ合っていて本当に嬉しくなって…毎日何回も遊びに来させていただいています。

きゃあああああっ・・・!
なんて・・なんて嬉しいお言葉でしょう。

「世界観そのまま」というお言葉が、まず嬉しくて・・。
愛する薪さんを書くにあたり、同じように薪さんを愛する方々が、読んで失望しないように描けているか・・それがとても不安なところなので・・そうおっしゃっていただけて、胸が一杯です・・(TT)

しかも、こんな拙い創作を読んで喜んでいただけ、何度もご訪問いただいてるとのこと・・本当に本当に、ありがたく嬉しいです。

> 今回の催眠療法も、きっと青木と暮らした幸せな日々に気づけなかったら、薪さんは受けませんでしたよね…。

ああ・・そうかもしれません。
こんな風に、読みながら考えていただいて、書き手として、とても幸せです・・。

> 薪さんに、忘れたくない幸せな日々があったんだなと思って、読みながら泣きそうになりました。

うう・・ありがとうございます(;;)

> 薪さんには絶対に幸せになってほしいです。

本当にそうですね。
薪さんに幸せになってほしくて、私は「薪さんの幸せを願う会」を掲げてる位です(バナーを載せているだけで、何もしておりませんが^^;)

> 続きを楽しみに待ってます。長くなってすみません。

どうもありがとうございます。
先日、20話で完結致しましたが、いかがでしたでしょうか。
scillaさんにとって、納得いくようなものであったら良いのですが・・。

こちらこそ、やたらと熱の入ったレスで、すみませんでした(^^;)
薪さんを愛する方にコメントをいただけると、つい力が入ってしまって・・。

どうもありがとうございました♪

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