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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene20:微風


第九では、相変わらず、日々、激務が続いていた。

薪が、小池の操作するモニターを、覗き込んでいる。
「それで?」
薪の言葉に、小池が顔を上げる。
「えっ・・・。以上・・ですが」

「これ位のことで、僕を呼ぶ必要があるか!」
「えっ・・でも、この被害者の結果は・・」
「これだけでは、確証を得るに至らない。第二の被害者と並行して照合してから呼べ!」
「は・・はいいっ!!」

薪が立ち去った後、小池が、宇野を相手にぼやいている。
「ついこの間までは、仕事が速いって、感心してたくせにな・・・」
「6年前の薪さんには、それで通用してたんだろ」

記憶を失っていた期間に比べ、薪の要求する仕事のレベルが急に上がり、第九メンバー達は、仕事に追いまくられていた。
だが・・・

「小池のやつ、文句言いながら、結構嬉しそうなんだよな」
曽我がつぶやけば、
「そう言うお前も、何だかやる気になってるじゃないか」
今井が笑う。

「おいおい!無駄話をしてる暇は無いぞ!さっさとやらないと、薪さんの雷が落ちる!」
岡部の掛け声に、皆、肩をすくめ、顔を見合わせて、仕事に向かう。

もちろん。
青木も張り切って、仕事に臨んでいた。

記憶を取り戻すと、今度は、記憶を失っていた期間の出来事を、忘れてしまうのではないかと思っていたが。
薪の場合は、そうではなかった。

「記憶を失くしていた間も、この僕は、そこに居たんだ」
薪は、青木に言った。

「居るのに。奥で眠っていて。反応したいのに、声を出すことが出来なくて。まるで・・夢の中で、思うように声が出せないかのように」

「もどかしくて・・でもずっと、この僕は、記憶を失くした僕を、見ていたんだ。だから、全て覚えている」

結局は、記憶を失くした薪も、今の薪も、同じ一人の人間だったと、そういうことなのだろうか。

・・・薪が、記憶を取り戻した、その日。

薪の言葉に、青木は、何も言うことが出来なかった。
何も、言うことも、考えることも。

ただ、自分を見上げた薪を、夢中で抱き締め、抱き上げ、そのまま、寝室に連れて行った。
抱き合い、キスを交わし、服を脱いだ。

二人は全裸になり、ベッドの上で、互いを抱き締め合った。
抱き締め、キスをし、また抱き合う。

二人とも、涙を流しながら・・・・・

肌を寄せ合い、強く抱き締め、互いの身体を、涙で濡らした。
終わるともしれないキスを、繰り返し、繰り返し交わした。

青木は、薪の肌の滑らかさを、薪の体温を、薪の匂いを、感じていた。
薪の存在を、確かめるかのように。

そして、その間にも、涙は、後から後から溢れ続けた。

薪は、そこに居た。
自分の腕の中に。

自分はあの日を、一生、忘れないだろう・・・・・・

その夜、最後に職場を出た薪と青木は、二人で、帰り道を歩き始めた。
川沿いの土手を、並んで歩く。

ふと、青木の足が止まった。
「桜・・終わっちゃいましたね」

見上げた先には、半分以上の花が落ち、緑の若葉が芽生えた木々。

薪も足を止める。
ほんの弱い風に吹かれただけでも、力を無くした花びらが、雪のように舞い降りてくる。

「オレ・・・」
青木は、桜を見上げたまま、語り始める。

「オレ・・今度のことがあるまで、薪さんを、失うことがあるなんて・・思いもよりませんでした」
青木の言葉に、薪は、青木の顔を見上げる。

「離れて暮らしていた頃は、不安もありました。去年のあの事件の時も・・。でも、この先、薪さんを永遠に失うことがあるかもしれないなんて・・そんなこと、考えもしなかった・・・」
「青木・・・」

「これからはずっと・・ずっと。薪さんと一緒に居られる。オレは、そう思い込んでいました。それが、こんな・・奇跡みたいに、かけがえの無い物であることを。薪さんと一緒に居られる、その一瞬一瞬が、大切な時間であることを・・オレは、分かっていなかった」

青木を見つめていた薪が、ふっ・・と、目をそらす。
そして、言った。

「たとえ、何事も起こらなかったとしても、いつかは・・・・・別れる日が来るんだぞ」

青木は目を丸くして、振り返った。
「それは・・いつかは、オレが薪さんに愛想をつかされるということですか?」

青木の言葉に、薪も目を見開いて、青木を見つめる。
そして・・プッ・・と吹き出した。

「そうじゃない」
「え?・・」
「そうじゃない。それに・・僕がお前に愛想をつかしたところで、お前は、しつこく僕の傍に居るつもりなんだろう?」
「あ・・ええ、まあ・・・」

ククッ・・と薪が笑い、青木は、顔を赤らめる。

そして・・薪が目の前で微笑んでいる、その顔を見ながら、青木は何故か、胸が苦しくなった。

「・・まだ、涙が残ってるのか?」
「え・・?」

薪に言われ、青木は、自分の頬を、涙が伝っていることに、気が付いた。
そして、青木に背を向ける、薪。

頬を手の甲でぬぐいながら・・青木は、薪が向こうを向く瞬間、薪の目からも、光る物がこぼれたような・・気がした。

けれど青木は、そのことについては、何も言わず。
薪の隣りに並び、上を見上げて、ただ、こう言った。

「散る桜も、綺麗ですね」
「うん・・・・」

花びらが舞い落ちる。
後から、後から。

降りしきる花びらの中に、二人は、並んで立っている。




狂風 終





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コメント

■ 幸せです(≧∇≦)

こんばんは。かのん様☆

名作『狂風』お疲れ様でした(≧∇≦)
本日だけで、3本!!凄いパワーです(^_^)

明日、倒れないで下さいね(T_T)

最後は、穏やかな微風の中で、
散りゆく桜の下を肩を並べて歩く二人に限りない幸せを感じました。


今後、薪さんと青木は、かけがえのない唯一無二の存在として、
互いを命尽きるまで愛し続けるのでしょうね(〃∇〃)

今回、青木は薪さんを包み込める愛情を持てる男として、大きく成長したと思います\(^ー^)/

いつも、俺の心は薪さんの傍にいる・・・青木の『誓い』であり想いですね。

薪さんは、色々と辛い人生を歩んできた。

でも、今は、青木に甘えていいと思います。
青木は、何をしても大丈夫です(笑)
薪さんより先には逝きません!!

どうか、これからは安心して幸せな人生を青木と共に歩んでほしいです(^_^)

素敵な超大作をありがとうございました\(^ー^)/
ドキドキな毎日を過ごす事が出来ました☆☆☆

■ よかったです~~

かのんさん、超大作、お疲れさまでした~~。
せつなくて前半はかなり苦しい展開でしたが、その分後半はうっとりと、安心して幸福に読ませて頂きました。

ところで、質問です。
1つ、このお話の曽我は、気がついてますよね、、、?
ですよね??岡部さんと曽我ですか?何となく、、、?と感じてるのは?
2つ目、薪さんが例のベットサイドのジェルに気がついた
のって、あの薪さんが初めて2人の部屋に帰ってきて青木を『そうだ、青木』と呼び止めておいて『何でもない』と何も言わずドアを閉めた時でしょうか?(だとしたらあのとき薪さんはどういう気持ちで青木を見上げていたのでしょうか!!こういう風にこのお話を読み返したら2度楽しいです!)
あと、この時のこういう話題を赤面一つせず事件報告のように青木に淡々と話す薪さんが超かっこ良くて好きです!!

お忙しいでしょうからかのんさんの気が向いた時にでも聞かせて頂けたら大変喜びます。

ではでは、美しいお話をありがとうございました。

■ たつままさま

○たつままさま

こんにちは。
コメントありがとうございました!☆

> 名作『狂風』お疲れ様でした(≧∇≦)

めめめめいさくだなんてことはございませんが・・・(><)

たつままさんには、欠かさずお読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m

> 本日だけで、3本!!凄いパワーです(^_^)

既に脳内には書く物は出来ていたので、翌日は、朝から役員の仕事が入っていたので書く暇が無いだろうと、一気に仕上げてしまいました。

> 明日、倒れないで下さいね(T_T)

・・・お気遣い、ありがとうございます。
ふははは☆
まるで予言のようですね(笑)

書き上げた時は、充実感で胸が一杯で、幸せな気持ちで寝たのですが、翌日・・何だかノドが痛い・・?と思いつつも、役員のお仕事に行ったんですね。
ところが、行事が行われた場所が寒くて寒くて・・。

帰宅してからも、ダルさや寒気を感じつつ、朝は出来なかったお掃除等を済ませて、犬の散歩して、買い物に行って、帰宅して夕食の支度・・を途中までしたものの、あまりのダルさに、うっかり座ってしまったら・・あれ?腰が抜けて立てない・・。
で、熱を測ってみたら、39℃あったという・・(^^;)

> 最後は、穏やかな微風の中で、
> 散りゆく桜の下を肩を並べて歩く二人に限りない幸せを感じました。

ありがとうございます。
ありがとうございます・・・(TT)

読みながら、風景を思い浮かべて下さったこと。
そして、幸せを感じて下さったこと。

そのことが本当に嬉しくて、私も幸せです・・・・

> 今後、薪さんと青木は、かけがえのない唯一無二の存在として、
> 互いを命尽きるまで愛し続けるのでしょうね(〃∇〃)

「唯一無二の存在」「命尽きるまで」
いい言葉ですね・・・

たつままさんのコメントに、うっとりと浸ってしまいます・・・。
自分の書いた物に、こんな素敵なコメントをいただけること、とてもありがたく思います。

> 今回、青木は薪さんを包み込める愛情を持てる男として、大きく成長したと思います\(^ー^)/

だと良いですね(^^)
ただ安穏としているだけではなく、薪さんを失うかもしれないという危機感や、嫉妬心というマイナス感情も知った上で、薪さんを広く大きく愛せる男になってくれたらと思います。

> いつも、俺の心は薪さんの傍にいる・・・青木の『誓い』であり想いですね。

そうですね・・。
考えてみると、「第二の居場所」で薪さんと想いが通じ合って以来(と言うことは、当ブログのあおまき創作が始まって以来)、青木は、ずっと同じセリフを繰り返しているんですよね。
この想いが、二人の関係の、根底にあると申しますか・・・

> 薪さんは、色々と辛い人生を歩んできた。
> でも、今は、青木に甘えていいと思います。

そうですね。
甘えてほしいです。

薪さんは、強い方です。
生きていくのに、誰かを必要としなければならない・・という方ではないかもしれません。

でも、辛い時、苦しい時、ふと、心が折れそうになった時・・そんな薪さんを包み、甘えさせ、癒してくれる、そんな心のより所を、忘れずにいてほしいと思います。

> 青木は、何をしても大丈夫です(笑)
> 薪さんより先には逝きません!!

そうですね!(笑)
頑丈であることが、何よりの薪さん孝行であり、君に課せられた使命だ、青木!(^^)

> どうか、これからは安心して幸せな人生を青木と共に歩んでほしいです(^_^)

「安心して」・・・はあ・・そうですね。
本当にそのとおりです。
胸が一杯です(つ;)

> 素敵な超大作をありがとうございました\(^ー^)/
> ドキドキな毎日を過ごす事が出来ました☆☆☆

ちょちょちょちょうたいさくではないですがっ(><)

日々欠かさずコメントいただき、ずっと傍に付いていていただいたようで、本当に心強く思いました。

どうもありがとうございました!!!

■ シーラカンスさま

○シーラカンスさま

コメントありがとうございます!
レスが遅くなりまして、申し訳ございませんm(_ _)m

> かのんさん、超大作、お疲れさまでした~~。

ありがとうございました。
ちょーたいさくなんてお言葉は、もったいないですが(><)
お読みいただき、嬉しいです!

> せつなくて前半はかなり苦しい展開でしたが、その分後半はうっとりと、安心して幸福に読ませて頂きました。

前半・・そうですよね。
お心を痛めるような物を書いてしまいまして、申し訳ございませんでした(><)
それでも最後までお付き合い下さいましたこと、そして幸福を感じていただけたとのこと、とても嬉しく、感謝申し上げます。

> ところで、質問です。
> 1つ、このお話の曽我は、気がついてますよね、、、?
> ですよね??岡部さんと曽我ですか?何となく、、、?と感じてるのは?

えへへ♪
これはですね、「新春」の辺りですね。
岡部さんと曽我が、薪さんと青木の関係に何となく疑問を感じるのは。

特に岡部さんは「Scene2」→http://kanon23.blog36.fc2.com/blog-entry-280.html、曽我は「Scene8」→http://kanon23.blog36.fc2.com/blog-entry-287.html をご覧いただけると、雰囲気がお分かりいただけるかと思います。

この二人の疑問は、その後、「美酒」の「Scene1」→http://kanon23.blog36.fc2.com/blog-entry-410.htmlや、「紅葉(もみじ)」の「Scene2」→http://kanon23.blog36.fc2.com/blog-entry-424.htmlでの、微妙な反応にも表れております(^^;)

> 2つ目、薪さんが例のベットサイドのジェルに気がついたのって、あの薪さんが初めて2人の部屋に帰ってきて青木を『そうだ、青木』と呼び止めておいて『何でもない』と何も言わずドアを閉めた時でしょうか?(だとしたらあのとき薪さんはどういう気持ちで青木を見上げていたのでしょうか!!こういう風にこのお話を読み返したら2度楽しいです!)

ジェルには既に気が付いていたでしょうね♪
ただ、このジェルと、指輪に関しては、まだ、青木が関係しているとは分からなかったと思うのですが(その後、青木の部屋を家捜し(笑)したのがいつなのか・・は、私にも分かりません^^;)
メールボックスは既に見始めていたので・・他にも色々と、尋ねたいことは、あったのでしょうね。

こんな風に、色々と疑問を抱いたり、考えたりしてお読みいただけることは、書き手冥利に尽きると申しますか、とても幸せです(*^^*)
ありがとうございます!

> あと、この時のこういう話題を赤面一つせず事件報告のように青木に淡々と話す薪さんが超かっこ良くて好きです!!

ああ・・嬉しいです!

こんな話題・・薪さんが・・良いのかしらとも思いましたが。
そんな風におっしゃっていただけると、ホッと安堵致します。

> お忙しいでしょうからかのんさんの気が向いた時にでも聞かせて頂けたら大変喜びます。

お気遣いありがとうございます。
とても嬉しいコメントをいただきました。

> ではでは、美しいお話をありがとうございました。

美しいとのお言葉・・もったいなくも、嬉しいです。
こちらの方こそ、お読み下さいまして、どうもありがとうございました!!!

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