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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene4:対峙


青木は、改めて、目の前に居る男を見つめた。

白い肌、長い睫毛に縁取られた大きな瞳、すっと通った鼻筋。
まるで、女かと見紛うような顔立ちだ。

だが、服装や、醸し出す雰囲気は、間違いなく男だ。
そして、居並ぶ男達が皆、彼の一挙一動に目を止め、付き従っているのが、分かる。

「道中、僕の部下達が、何か失礼をしなかったか?」
薪と名乗ったその男は、尋ねた。

「・・いえ。有無を言わせず、こちらに連れて来られたこと以外は」

青木の返答に、薪は目を丸くし・・
そして、ふっ・・と、その口元が、緩んだ。

「ふん・・。面白い男だな。この状況で、そんなことが言えるのか」
薪の言葉に、青木が周囲を見渡してみれば、男達は、蒼ざめて薪の顔を伺う者も居れば、青木に凄みを利かせて睨む者など、皆、戦々恐々としていた。

「あ・・」
青木は、思わず半歩後ずさった。
目の前に居るのは・・

「あなたは、その・・」
言い淀む青木に、薪は首を振り、肩をすくめた。
「日本にも、ホンカオ島のマフィアの存在が、伝わっているのか?」
「・・・・・・」

青木は、言葉を呑み込んだ。
ここでどう言ったものか、見当も付かない。

「それが、この僕達を、指し示すのだとしたら・・?」
そう言って、薪は立ち上がり、階段を降りると、青木に近付いた。

青木は思わず、更に退いたが、後ろに居た彼の部下によって、それ以上の行く手を阻まれた。

薪は、青木のごく傍に、目の前に立った。
その身体は細く小さく、目線は青木の胸の辺りだったが、ぐっと青木を見上げた視線は鋭く、こちらを射抜くような力強さがあった。

「どうやらお前は、回りくどい説明を、必要としない人間のようだ。その方が、僕も都合がいい」
薪は更に、青木に近付く。
目の前から発するオーラの強さに、青木は、動くことも出来ない。

「お前がここ、中国へ渡ったのは、何故だ? 日本から上海へ、一体、どんな用件でやって来た?」
「・・・・・・」
青木は、言葉が出ない。
この、一見華奢でひ弱そうな男に、威圧されている自分を、感じていた。

「大方の予想は付いている。ニッポンタバコの研究員であるお前が、中国へやって来たのは、禁煙法に関わることだ。遅かれ早かれ、この法律は撤廃される。ニッポンタバコの目的は、撤廃後、真っ先に市場に参入することだ。それにはまず、政府との親交が不可欠だ。だが、ただ親交を深め、献金をするだけでは、決め手に欠ける。何か・・相手を納得させる、情報が必要だ」

青木は内心、薪の言葉に驚愕していた。
この男は、何もかもを把握している・・・。

「だが、その情報とは、一体何だ? 営業畑でもない、技術屋のお前が尋ねてきたのは、その情報が、研究開発に関わる事柄だからだ。お前は、何を開発した? 自分達が有利な立場に立てるよう、交渉する為の、政府への餌とは」

薪は、ぐっと、青木を見つめた。
「何なんだ?」

「・・・・・・」
青木は、言葉を失っていた。
相手に気圧されたせいでもあるが、何より、薪が、会社内部でも、ごく一部の人間しか知らない筈の情報を、全て知り得ていたことに対する、驚きの方が勝っていた。

青木の心を見透かしたかのように、薪は言った。
「お前達も、中国のほとんどの人間がまだ知らない、中国政府の動きを、既に知っていた。同じことだ。情報は、常にアンテナを張っている場所へと、自然に集まってくるものだ」

「何故・・」
青木は、やっと言葉を繰り出した。
「何故、オレが、あなたに、そんなことを話すと思うんですか?」

「うん?」
薪は、数歩後ろに下がり、改めて青木の顔を伺った。

「ここで、あなたに・・あなた方に」
青木は、周囲を見渡して、言う。
「会社の機密情報を、話すと思うんですか? オレが、そんなに簡単に、全てを話すとでも?」

青木の言葉に、薪は、驚いた様子で、青木を見上げる。

そして、言った。
「お前が素直な態度を見せれば、無事に解放してやろう。お前が望むなら、それなりの報酬を考えてもいい。これは、取引だ」

薪の言葉に、周囲が、かすかにざわめいた。
静かにしろというように、薪が、手を挙げる。

「そんなことを、問題にしてるんじゃありません・・!」
青木は、無意識のうちに、話し続けていた。

「オレは、NTグループの命運を背負い、使命を背負って、この国にやって来たんです。オレの役割なんて、大したことは無いかもしれない。でも、その些細な役割が、大きな組織の中で、大切なコマの一つになっている。・・少なくとも、オレは、そう思っています。それを、軽々しく、初対面のあなたなんかに話すなど、オレには、考えられないことです」

青木の話が終わると、沈黙が訪れた。
まるで息詰まるようなその間の後、一斉に、男達が叫ぶ。

『ボスに向かって・・!』
『こいつ!!・・』
『一体、何様・・!』

『騒ぐな!!』
薪の一声で、その場がシンと、静まり返った。

『なる程』
薪は、青木を一度じっと見つめてから、くるりと背中を向けた。

『曽我』
薪がアゴをしゃくり、曽我は、手にしていた物を、薪に手渡した。
「あ、それは・・!」
青木が近付こうとすると、後ろに居た部下が、肩を捕まえ、引き止めた。

『岡部、中を調べろ』
薪の一番近くに居た、ヒゲを蓄えた男が、薪から青木のバッグを受け取り、中を探る。
『パスポート、財布、身分証、眼鏡ケース・・それに、ディスクが3枚』

岡部が取り出したディスクを、薪は受け取った。
「これが・・今回の目的の資料か」

「・・・・・・」
青木は、唇を引き結んだ。
自分にとっては、大切な研究資料だ。

「没収したって、無駄です。パスワードを入力しなければ、ファイルは開かない」
青木は、キッパリと言った。

「・・そうか。それは簡単に済みそうだ。つまりは、お前がパスワードを言いさえすれば、全てを閲覧出来るということだ」
「オレが、それを教えるとでも?」

「僕のところには、優秀な解析システムがある。お前が言わなくても、いずれはファイルを開くことが叶うだろう。だが・・それには、時間も手間もかかる。出来れば簡単に済ませたい。要は、お前次第だ。何なら、口を割りやすいようにしてやろうか・・?」

「・・脅しですか?」
青木は、低く唸った。
薪と青木の視線が、絡み合う。

「・・・・・・」
周囲はもう、ざわめく事も無く、皆、二人の会話を、緊迫した面持ちで聞いていた。

「いや」
薪の視線が、緩む。

『返してやれ』
薪はそう言い、岡部にディスクを手渡す。

岡部はそれをバッグに仕舞うと、青木に近付き、無言のまま、それを返した。
青木は、自分の手に返ったバッグをじっと見つめ、信じられない顔で、薪を見つめた。

「脅しではない。・・そんなつもりは、無い。だが、信じてほしい。お前が話せば、無事に帰してやる。そして、お前から得たその情報も、悪いようにはしない」
そう話す薪の目からは、先程の鋭さは、消えていた。

青木は、やや安堵したが、だがまだ、自分の立場が先程までと変わっていないことも、感じていた。

「信じてほしいと言われて、信じられるものですか? 人を騙し、銃を突き付け、オレをここまで連れて来て、拘束しているあなた方を? あなたの部下は、オレが途中で逃げないと言っても、信じてくれませんでした。同じことです。こんな状況で、信じられるわけがありません」

「・・・・・・」
薪はじっと、青木を見ている。
目を細め、その人となりを、伺うかのように。

「○△◇・・・・」
薪は、岡部に向かって、何か話した。

「!!・・□○△・・・」
「○×!」
「・・・◇×△・・」

青木には、全く分からない会話が交わされる。
やがて・・

「初対面の人間を信じられないというのは、もっともな話だ。では、お前を、客人として迎えよう」
薪は言った。

「え?・・」
青木が岡部を見ると、岡部は、不安げな表情で、薪を見ている。

「お前を、外に出すわけにはいかない。外部との連絡も禁止だ。だが、それ以外なら、好きに過ごして構わない」
「えっ・・でも、それじゃ!」

「今の状況では、それが精一杯だ。お前がいつまでも突っぱねるなら・・こちらもやり方を変える必要がある。だが・・それは出来るだけ避けたい」

「やり方を変える」薪のその言葉に、青木は、背筋を走る物があった。
拘束され、外部とは連絡が取れない。
一旦猶予を与えられたとは言え、自分の身柄が、相手の手中にある状況には、変わりが無かった。

『宇野、こいつを連れて行け。荷物も一緒に。小池、曽我、ご苦労だったな。食事を取って、今夜は、ゆっくり休め・・・』
薪が、部下達に指示を出す。

その声を耳に入れながら、
「来い!こっちだ」
そう促され、青木は、その場から連れ出されたのだった。




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