カウンター


プロフィール

かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

リンクは嬉しいので、ご自由にどうぞ♪


当ブログ拍手頁

最新の公開拍手コメのレスはこちら それ以前の公開拍手コメ&レスは、各記事の拍手ボタンを再度押していただければ読めます 鍵拍手コメにつきましては、拍手をいただいた記事下コメント欄にレスを書いております

所属してます♪


月別アーカイブ


最新記事


最新コメント


検索フォーム


 
Scene8:抵抗


ラウ達が去った後、薪は、平常業務に向かっていた。
デスクに向かい、書類に目を通し、メールや電話の処理をする。

その中の一件、薪は電話で話をしていた。
「・・その件については、あくまで噂の段階です。ええ。そうです。いえ、そうなっても、僕はそちらとの取引を止めたりはしません。値段についても、品質さえ変わらなければ、下げるつもりはありません。安心して・・これからも、いい物を作って下さい」

電話を終えると、薪は、目を伏せた。
「あちらにまで、噂が広がっている・・」

薪の言葉に、傍らで、薪の仕事を手伝っていた岡部が、薪を見つめ、言った。
「値下げをする気は無いって・・本気ですか?」
「それが、どうか?」

「市場価格は、間違いなく下がるでしょう。なのに・・仕入れの値段を変えないとなると・・」
「向こうは、今だって、余裕があるわけではない。それでやっと生活が成り立っている。こちらが仕入れ値を叩いたら、どうなる?」

「ですが・・無茶だ。損害を出す気ですか? これまで散々投資してきて、やっと利益が上がるようになったのに!・・」

ダンッ・・!と、薪が、勢いよく立ち上がった。
「岡部。いつからお前、僕に指図をするようになった・・?」
「・・・・・・」
岡部は、言葉を飲み込んだ。

薪は、視線をふっ・・と緩め、言う。
「・・分かっている。お前の言うことも。だが、今は、こう言うしか無い。噂に惑わされ、今、彼らに仕事を放棄されても困る。得意客が待ってるんだ。安定した供給を確保することが、最優先だ」

「分かりました。失礼を致しました・・ボス」
岡部は、即座に謝罪して見せた。

そこにまた、電話が入る。
岡部が着信を押すと、声が流れた。

「ボス。情報が入りました。トニー・ロンが取引をするそうです。時刻は1時間後。場所は、民国大通りを入った・・・」
報告を聞き終えた薪に、岡部が言う。
「警察に流しますか? それとも、誰かを・・」

岡部が言い終わらないうちに、薪は上着を手に取り、歩き出す。

「ボス!あなたが出向くことは・・」
「言ったろう。僕に指図をするな」
薪は早足で歩きながら言い、岡部も上着を手に並んだ。

「少し数を集めろ。二度目だ。相手もそれなりに、覚悟をしている筈だ」

市街地の外れの裏通り。
そこは、寺院の裏手だった。

週末ともなれば、表は観光客や参拝客が訪れる。
だが、平日の、日が落ち始めるこの時刻に、周囲を散策する物は居なかった。

・・いや。
数人の若者が現れた。

中心に居るのは、短く立てた髪を、金色に染めた男。
白人との混血で生まれた彼の容貌に、その髪は、溶け込んでいた。

彼らは周囲を伺った。
時計を見て、一人がつぶやく。
「時間だ・・」

そこに、人影が現れた。
寺院の壁の向こうから、夕日を背に、近付いてくる。

金髪の若者は、目を細める。
やって来たのは、スリーピースに身を包み、ソフト帽をかぶった男達。

その中に、大柄な男達に挟まれて、一際細身なシルエットがある。

そのシルエットの男は、若者達から、はっきりと顔が分かる程に近付くと、立ち止まり、言った。
「久しぶりだな。トニー・ロン」

「お前・・・!」
トニー・ロンは、薪の顔を見て、声を上げた。

「取引相手は、来ないぞ」
薪の言葉に、トニー・ロンは、周囲を見渡した。

壁の向こうのその先では、宇野と曽我が、やって来た少年達を、追い返している。
「今日の取引は、無しだ!」

「話が違うぜ!」
「どけよ!」
いわゆる、不良グループのリーダー達。
掴みかかる彼らに、宇野も曽我も、容赦はしなかった。

「未成年の少年達に、煙草を売り付ける。相変わらず、やり方が卑しいな」
トニー・ロンに向かい、薪は言う。

「けっ。大人はオレとの取引には乗らねえんだよ。あんたが販売網を握っちまってるせいで。みんな、あんたが恐くて、他には手を出さねえ。あんたのことを知らないガキなら、客になるってもんだ」
「お前のような奴が居るから、僕は、このマーケットを掌握したんだ」

「ふん。いい金になるよな。ホンカオ島の密造煙草の取引は、全部あんたのもんだ。警察も役人も、あんたの言いなりだしな。ボロ儲けってやつだ。そうだろ?」
「・・ホンカオ島から、出て行け。以前にも、僕の部下が言ったろう。支度金だって渡した筈だ。これが、最後の通告だ・・!」

薪の目が、燃える・・・・

「最後・・そうだな、そんな口を聞けるのは、これが最後にしてやるよ!!」
「!!」
薪は、目を見開いた。
トニー・ロンの手には、銃が握られている。

彼だけではない。
若者達は皆、銃を手にし、薪と、その部下達を狙っている。

「おおっと、動くなよ!そっちのおっさん、胸から手を抜いて!」
薪の隣りで、岡部は、自分の銃に触れた手を、そっと引き抜いた。

「この銃は既に、あんたらのボスを狙ってるんだ。ちょっとでも変なマネをしたら、引き金を引く!!」
トニー・ロンが、高らかに言った。

「・・どうする?」
「今、出て行くのはまずい。ボスの身に、何かあったら・・」
少年達の相手を終えた曽我と宇野は、壁の向こうから、様子を伺っていた。

「駄目だ・・遠すぎる!」
宇野が、自分の銃でトニー・ロンを狙い、うめいた。

「こんな時、鈴木さんが居たら・・」
「言うな」
曽我のつぶやきを、宇野はさえぎった。

「それで・・撃つのか?僕を?」
薪は、静かに、言った。

「ああ!オレは、一躍英雄になれるぜ!ホンカオ島の表と裏、両方を牛耳るワン・シウルン!そいつをこのオレが殺ったってな!!」
「・・そして、次の瞬間、お前は、蜂の巣にされる」

「!・・何っ!?」
薪に銃を向けたまま、トニー・ロンは叫んだ。

「その弾は、確かに、僕を貫くだろう。だが、一瞬の後には、僕の部下達が、お前達、全員を撃っている」
「な・・何言うんだ。銃を持ってるのは、オレだけじゃねえぞ!」
トニー・ロンの言葉に、その仲間達も、改めて、銃を構え直した。

「お前はともかく、仲間達は、銃の扱いに慣れていないようだな」
「なっ・・!」
「一撃で息の根を止められるなら、お前達にも分はあるかもしれない。だが、少しでも急所を外れれば、部下達は、次の瞬間、反撃に出る。そして・・僕の部下は、急所を外したりは、しない」

薪とトニー・ロンのやりとりを、岡部は、黙って聞いていた。

「先に銃を向け、発砲したのは、お前達の方だ。お前達が全滅しても、僕達は、正当防衛になる。確かに、伝説にはなるかもしれない。僕を撃つ為に、仲間と共に、華々しく命を散らしたトニー・ロン」
「ぐっ・・!」
トニー・ロンが歯を噛み締めるその脇で、仲間の手が、カタカタと震えている。

「ばっ・・馬鹿野郎っ!! あんな脅しに乗るんじゃねえ。銃を構えてるのは、こっちなんだ!」
「どうする? それでも撃つか? なら、急所は外すな。1センチたりとも。僕も、そして部下達も、全員を一撃で倒すんだ・・!」

薪の瞳が、相手を見つめ、燃え盛る・・・・・

「う・・うわあああああっ!!」
若者の一人が、声を上げて、その場から駆け出した。
それを合図に、一斉に全てが動く。

駆け出す仲間に気を取られたトニー・ロン。
そのほんの一瞬の間に、身をひるがえす薪。
と同時に、その薪の前に立ち塞がり、銃を構える岡部。

全てがスローモーションのように。
しかしそれは、一瞬のことで・・・

・・トニー・ロンの銃が地に落ち、彼の手から、血が吹き出していた。

駆け出す音。
悲鳴。
そして、発砲する音・・!

ダダッ・・ダン・・!!

いくつもの銃の音に交じり、一つの弾が、薪の身体を、かすめていった。
「ボスっ!」
「野郎っ!!」

そこに、騒ぎを聞き付け、到着するパトカーのサイレン。

蜘蛛の子を散らすように。
その場に居た者達は、一斉に居なくなっていた。





関連記事

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

■この記事のトラックバックURL

⇒ http://kanon23.blog36.fc2.com/tb.php/559-d539401d

この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

■この記事へのトラックバック

 | BLOG TOP |