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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene11:策略


チェンが、ソンと共に、現場から署に戻ると、部下の一人が、声を掛けてきた。

「やはり、届けが出ていました。ソーホーの病院で、二人の青年が、それぞれ腕と脚を撃たれて、手当てを受けたそうです」
病院は、銃弾での負傷を診察した場合、警察に届け出ることを、義務付けられていた。

「早速聞き込みに行ったんですが、患者の氏名は偽名ですね。・・住所もデタラメです。医師に確認したところ、トニー・ロンとその仲間に、間違いありません。受付の防犯カメラにも、奴らの姿が映っていました」
部下は、写真をチェンに手渡した。

「先程の少年の証言と、一致するな・・」
チェンは、防犯カメラの静止画像に映る、手に布を巻きつけた、金髪の若者を見つめる。

「チンピラ同士の抗争だな」
チェンは、すぐ傍に居た、上司の声に、顔を上げる。

「怪我人は命に別状はなく、無事、手当てを受けた。血痕が誰の物であったか判明し、こいつらは、撃たれたことを、警察に訴え出ることも無いだろう。よし、報告書をまとめろ。それで、この事件は終わりだ」
「部長!・・ちょっと待って下さい!」
チェンは、上司の言葉に、驚きを隠せなかった。

「不良グループのリーダーは、今日、この現場で、密造煙草の取引がある筈だったと、話していました」
「・・・・・・」
上司は、無言のまま、チェンを見上げる。

「けれど、スーツ姿の男達が待ち構えていて、行く手を阻まれてしまったと。少年達は抵抗しましたが、まったく手が出なかったそうです。・・相手はただのチンピラじゃない。訓練された者達ですよ」

チェンは、確信を込めて、話し続ける。
「そして、その男達は、トニー・ロンとその仲間を撃ち、逃亡した。何故、彼らはこの取引に介入したのか。それは・・そいつらも、密造煙草の売買を担っているから、そうとしか考えられません」

「・・・そうとは限らない。トニー・ロンの持つ煙草を巻き上げたかったのかもしれないし、あるいは、単に彼に恨みを持つチンピラの仕業かもしれない。トニー・ロンは、敵の多い奴だからな」
「部長!!」

チェンが声を荒げ、その場に居た者、皆が彼らに注目した。

「これは、密かに、しかし、確実にホンカオ全域に広がっている、密造煙草を根絶やしにするチャンスです。これまでにも、幾度か機会はあった。しかし、いずれも、どこかで邪魔が入り、捜査は打ち切り、あるいは、起訴に至らなかった。・・誰がこの裏マーケットを動かしているのか、皆、分かっている筈です。なのに・・」

「チェン警部!」
チェンの言葉をさえぎり、上司がキッパリと言った。
「いいか?捜査を待ってる事件は、いくらでもあるんだ。こんなチンピラのケンカに、時間を掛けている暇は無い」

上司は、長身のチェンに向かい、背伸びするように顔を近付けると、言った。
「いいか。報告書を上げろ。今夜中にだ。いいな」

その場を去る上司の後ろ姿を、チェンは、じっと見送った。

「威勢のいいことだな」
チェンは背中に、今この場で、もっとも聞きたくない男の声を、聞きつけた。

「上司に楯突いたら、査定が下がるぜ。タダでさえ安月給のあんたが」
「・・言っておくが、今の収入で、オレは充分満足だ」
「警部になるまでは、異例の出世だったのにな。万年警部の異名は、あなどれないなあ」
「お前こそ、いつになったら上級検事になるんだ? ラウ」

そう言って、チェンは振り返った。
痩せた身体にツイードのベストを身に着けた男が、立っていた。

「お前の場合、今の給料で満足しているようには思えないが。給料以外の収入があるから、問題は無いんだろう」
「何のことを言ってるのか、サッパリ分からないな」
チェンの言葉に、ラウは、肩をすくめて見せる。

「今日は、どんな餌の匂いを、嗅ぎつけて来たんだ」
「人聞きの悪いこと言うなよ。今度担当する事件の資料を取りに来ただけだ」
「それにしては、来る部署が違うようだがな」
「現在進行形の事件の動きを手広く知っておくのも、検事の仕事のうちだ」

「熱心なことだな」
その言葉を最後に、チェンは、ラウに背を向けた。
ふふん・・と鼻を鳴らし、去っていくラウ。

「何しに来たんでしょうね、あの黒検事」
「さあな」
ソンがささやき、チェンが答える。

以前、「黒検事」というラウのあだ名を、ソンに教えたのは、チェンだ。
「リッキーなんて英語名を付けているが、警察内部では、ブラッキー・ラウと呼ばれている」
「黒のラウ、ですか」
「あいつが担当した事件が、幾度も不起訴になったんだ」

それは、もっともらしい理由を挙げられていたが、こちらとしては、納得の行かないものだった。
それだけではない。
起訴に持ち込まれた物も、これでは参考にならないと、証拠を付き返されたこともあった。
その証拠品の有無によって、審理が左右されたのは、言うまでもない。

「あいつが検事になったこと自体が間違いだった。オレは、そう思っている」
チェンは言った。

「でもよく・・そんなやり方で、検事を続けられるものなんですか?」
「狡猾な奴なんだ。尻尾は出さない。それに、裏の無い事件に関しては、一分の隙も無く、検事としての職務を全うする」

「そんな実力があるなら、ヤバいことしなくても、充分食っていけるでしょうに」
「人間の欲望には限りが無い。あいつを見ていると、そう思う」

ラウは、ホンカオ警察を出ると、ユエンを伴い、ある場所に出かけた。
チンピラ達が、大体どういったところに潜伏しているか、そういった情報は、常に握っていた。

「おいおい。物騒な物、出すなよ。オレは丸腰だ」
ラウは、その入り口で、ユエンと共に手を挙げ、若者達のボディチェックを受けた。

「警察じゃねえのか?」
若者に問われ、ラウは答える。
「オレは、検察官だ。だから、身構えるなって。トニー・ロンに話があるんだ。悪い話じゃないと思うが」

トニー・ロンは、仲間と話していた。
「もう、こんな所、出ようぜ。やっぱりここでは、商売にならねえよ。今持ってる煙草は、どっか別の場所で売りさばこうぜ」

仲間の言葉に、トニー・ロンは、言った。
「ホンカオ島を出て、それで、どこで売るってんだ。ツテは何もねえんだぞ。デカイ街では、もう既にそこを仕切ってる奴がいる。入り込んで、ルートを確保するにも、金が無きゃ動けねえ」

更に、包帯を巻いた自分の右腕を見ながら、苦々しい様子で、話す。
「それに、禁煙法だって、無くなるかもしれねえって噂が出てる。売りさばくなら今だ。悠長に構えてる暇はねえんだ。畜生・・ワン・シウルン、あいつさえ居なきゃ・・」

そこに、仲間が割って入った。
「客が来てる」
「客?」
「美味い話があるって。どうする?」

中に通され、自己紹介を済ませると、ラウは、目の前に居る若者に、言った。
「派手にやられたな。だが、左腕はかすり傷だけのようだな。不幸中の幸いだったな」
「話って、何だ?」
トニー・ロンは、ラウを見据え、言った。

「ワン・薪・シウルンのことだ」
ラウのその一言に、その場がざわめく中で、トニー・ロンは、一見、動揺する様子も見せず、ただ、ラウを鋭く、睨み付けた。

ラウは言う。
「お前に、あいつから、ある物を奪ってもらいたい。もちろん、報酬は払う」

「・・何故、オレに?」
「その怪我と、取引が中止になった報復が出来、その上、オレからの報酬があるんだ。一挙両得じゃないか?」

「・・・・・・」
ラウが、全てを知っていることに、トニー・ロンは、口をかすかに開き、相手を見つめた。

図星のようだな・・
ラウは、内心でほくそ笑む。

「・・そう簡単に行きはしねえよ。あいつの周囲にはいつも、ボディガードがへばりついてやがる」
トニー・ロンの言葉に、ラウは、微笑んで見せた。

「幹部達のことか。実は、明日の夜、ワンは、グループ企業のパーティーに出席する。もちろん、主要な幹部も付き従うことだろう。その間・・本拠地は手薄になる」

「あれは、表の事業の事務所でもあるからな。あそこに居るのは、幹部とその候補生以外は、何の訓練もされていない、ただの会社役員達だ。しかも明日は休業日で、そいつらはほとんど居ない。ビルに残るのは、留守番をする少数の人間だけになる」

ラウの話に、トニー・ロンは、段々と乗り気になっていく。
「・・警備システムってもんがあるだろ」

安易に引き受けないトニー・ロンの様子に、ラウは内心苛立ちながら、それを表に出すことは無かった。
慎重な人間程、引き受ければ、仕事をこなす確立は高い。

「無理矢理ドアや窓をぶち破れば、それはもちろん、警報装置が鳴り響くだろう。だが、正面玄関から堂々と入れば、誰かが通報ボタンを押さない限り、警報は鳴らない」
「・・・・?」
「そして、警察が手配する頃には、お前達は、報酬を受け取って、ホンカオからおさらばだ」

「・・そんなに上手く行くか?」
「それは・・お前達の動き次第だ」

翌朝。

薪は一人、端末の画面に見入っていた。
ごく一部の人間しか知らない、自分の端末の、ネット電話の番号。

そこに、たった今、電話をかけてきた相手の顔を、薪は画面を通して、見つめた。





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コメント

■ 敵多し・・・(°□°;)

おはようございます。かのん様♪

何ですか!!
この黒検事は~
ゆっ、許さんΨ(-_-#)Ψ

きぃぃぃ!!
検察官の分際で、チンピラと手を組むなんてもっての他!!!
自分の手を汚さない・・・本当に狡猾な奴ですね!

薪さんがパーティーに行っている間に・・・一体、チンピラに何を???

ま、まさか・・・(;`皿´)
そんなことをしたら、たつまま、チンピラの持っている違法粗悪品煙草を検事の口の中に突っ込んでやるΨΨΨ

薪さんのお供で、部下たちは殆んどパーティーに行ってしまうのですね。
ということは・・・
青木の見せ場かな(≧∇≦)
男を上げるチャンス!!!
頑張ってね(^_^)v

・・・でも・・・きっと駄目なんだろうな・・・(T_T)(T_T)(T_T)

まぁ、いいか♪
薪さんの偉大さと寛大さと、強さを知って
懐に入りたくなるキッカケになるかも(≧∇≦)
今後に期待!!

とは言え、
薪さんのビルに悪人が来ると分かっているのに・・・
何も出来なくて、もどかしいです~(∋_∈)

どうなるのでしょう。
続き、楽しみにお待ちしています♪♪

■ たつままさま

○たつままさま

こんにちは。

薪さんがほとんど出てこない上に、オリキャラばかりが動く回で、申し訳ございません(><)
それにも関わらず、丁寧なコメント、ありがとうございます!m(_ _)m

> 何ですか!!
> この黒検事は~
> ゆっ、許さんΨ(-_-#)Ψ

うわっ。
出た~~たつままさんのΨΨ(笑)

> きぃぃぃ!!
> 検察官の分際で、チンピラと手を組むなんてもっての他!!!
> 自分の手を汚さない・・・本当に狡猾な奴ですね!

すみませんすみません、本当にすみません!
そうですねえ。
物事をすぐに見極める勘を持ち、警察よりも行動が早いのに、それを悪事に使うという・・とんでもありませんね。

> 薪さんがパーティーに行っている間に・・・一体、チンピラに何を???
> ま、まさか・・・(;`皿´)
> そんなことをしたら、たつまま、チンピラの持っている違法粗悪品煙草を検事の口の中に突っ込んでやるΨΨΨ

ぷはははっ☆
笑ってしまって申し訳ございません。
でも、「違法粗悪品煙草を検事の口の中に突っ込む」って・・!!

たつままさんの脳内では、何が予測されているのでしょう??
確かめたいような・・
恐いような・・

> 薪さんのお供で、部下たちは殆んどパーティーに行ってしまうのですね。
> ということは・・・
> 青木の見せ場かな(≧∇≦)
> 男を上げるチャンス!!!
> 頑張ってね(^_^)v

そそ・・そうですね(汗)

> ・・・でも・・・きっと駄目なんだろうな・・・(T_T)(T_T)(T_T)

あっ・・(絶句)

たつままさん、諦めがお早い・・
ああ・・駄目です・・おかしい・・お腹痛い(笑ってしまって本当にすみません・・)

> まぁ、いいか♪
> 薪さんの偉大さと寛大さと、強さを知って
> 懐に入りたくなるキッカケになるかも(≧∇≦)
> 今後に期待!!

・・で、今度は「まぁ、いいか♪」ですか。
テンションの上がり下がりが・・楽し過ぎます、たつままさん♪♪♪

> とは言え、
> 薪さんのビルに悪人が来ると分かっているのに・・・
> 何も出来なくて、もどかしいです~(∋_∈)

たつままさん、ああ、なんてお優しいのでしょう・・
こんな風に思われて・・こちらの薪さん、幸せですね・・(;;)

> どうなるのでしょう。
> 続き、楽しみにお待ちしています♪♪

ありがとうございます。
12話はまたも「本当にあおまきすと?」的展開で・・ああ・・申し訳ございませんっ!

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