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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene19:誤算


「一体、どういうことなんだ・・!」
トニー・ロンと落ち合ったその場所で、ラウは、毒づいていた。

「だから言ったろう。このままシウルンの奴に、直接手を出さないまま、ホンカオ島を出るのは、オレの性に合わねえ、そう思ったんだ」
トニー・ロンは、涼しい顔で言う。

「あいつらは退屈していたし、オレとの取引も駄目になって、腐っていた。だから、もう一度取引しようと言ったんだ。金はいらねえ、その代わり、金持ち連中の鼻を明かしてやれと」
「それで・・不良少年達に、パーティー会場を襲わせたのか?」

「奴らをちょっと痛めつけてやれ、オレはそう言っただけだ。ついでに、防犯システムについても、色々と教え込んでやったがな。たとえ捕まっても、殺しさえしなきゃ、大した罪にもならず出てこられる。礼は煙草をタップリ提供してやるとな。前金代わりに少し手渡してやったら、あいつら、その気になって」

「・・・・・・」
ラウは、唇を噛み締める。
今回の話をする時に、薪が出席するパーティーについても、トニー・ロンから色々と質問をされ、自分は、何も問題は無いと思って、知る限りのことを、答えてしまった。

トニー・ロンは、馬鹿じゃない。
計画を実行するに当たり、様々な事柄を把握しておきたいのだろうと、そんな風に考えていた。
それがまさか、パーティー会場襲撃に繋がるとは・・。

それは、ラウの誤算だった。

「もっとも、あいつら、連中を痛めつけるどころか、逆に痛めつけられちまって、大したことも、出来なかったようだがな」
仲間が差し出すケータイ画面のテレビ報道に、トニー・ロンは、目をやった。

「ちょっと痛めつけてやれ、そう言っただけなのに。こんな騒ぎになるとはな。あいつら、すっかり強盗気分で、お祭りみたいに、楽しみやがった」

それは、トニー・ロンの誤算だった。

「・・馬鹿な連中だ。誰があいつらが出て来るまで、待つもんか。あんたから金を受け取ったら、オレ達は、さっさとホンカオ島から、おさらばだ」
そう言って、トニー・ロンは、笑った。

「おい」
トニー・ロンが言い、仲間が、一つの袋を、ラウに差し出す。
同時にラウは、トニー・ロンに、封筒を差し出した。
トニー・ロンは、その中を確かめ・・

「・・随分、話が違うじゃねえか」
ラウを鋭く、睨み付けた。

「お前達が、予定外のことを、しやがったからだ」
「何だと・・!」
トニー・ロンの仲間が、ラウを取り囲む。
だが、ラウは、怯える様子を露ほども見せない。

「あんたの言うとおり、ビルに押し入って、それを盗み、今、あんたに渡した。約束は守ったんだぜ」
「ああ。お前は、その件に関しては、よくやってくれた。だが、オレに無断で、余計な事件を引き起こしやがった。本当なら、ビタ一文渡さねえところだ。だがよ、こっから出てくにも、多少は資金が必要だと思ってな。それは、オレのお情けだ」

「ナメやがって・・!」
トニー・ロンは、ラウに、一歩近付く。

「このまま、大人しく、オレがホンカオ島から、出て行くと思うのか?」
「お前は、ホンカオ島全土の警察から、指名手配されている」
「オレがパクられたら、お前に頼まれたことだと、全部バラすぜ」
「ほお・・。検事とチンピラ、世間は、どちらの言うことを信用するかな」

「っ・・!!」
トニー・ロンの目が、憎悪に燃える。

ラウは、話を続ける。
「警察は、お前を逮捕するチャンスを、ずっと狙ってるんだ。人質を取り、強盗を働いただけじゃない。一度逮捕されれば、これまでの恐喝や裏取引の件も、警察は見逃しはしないだろう」

「そうだな・・それに、殺しもな」
トニー・ロンが、銃を引き抜いた。

「オレを殺るのか? そろそろ戻らないと、オレの仲間が、警察にタレ込むことになってるが」
ラウは、腕時計を見る仕草をすると、そう言った。
「仲間の一報で、今、お前達を追ってるホンカオ中の警官が、ここに集まってくる。チンピラの検事殺し。捕まったら、まあ、極刑は免れないだろうな」

「・・・!!」
銃を持つトニー・ロンの手が、震える。

その様子を見て、ラウが言う。
「今、オレの渡した金を手に、ここから出て行くか。それとも、オレを殺して、臭い飯を食ったあげく、地獄へ堕ちるか。どちらを選ぶ? お前は、賢い男だと思ったが」

「殺っちまおうぜ!」
「ここまでコケにされて、引き下がんのかよ!」
「いや、ヤバいんじゃねえか?」
「お前、いつからそんな腰抜けになった!!」

トニー・ロンの周囲で、仲間達が言い争う。

「・・黙れっ!!」
トニー・ロンは、ラウをじっと見つめると、素早くその手を伸ばした。
「あっ!・・」
ラウの手にしていた袋が、トニー・ロンの手に、渡っていた。

「返・・!」
ラウが慌てて取り返そうとした時には、袋は、トニー・ロンの仲間から仲間へと手渡され、遥か奥まで運ばれていた。

「おいっ!・・」
「おおっと。ここから先には通さねえぜ」
トニー・ロンが銃をかざして言い、仲間達が、その両脇に並んだ。

「金は受け取ったろう。ブツを返せ!」
わめくラウに向かい、トニー・ロンは言う。
「最初に取引した時、あんたは、あれを盗んでほしいとは言ったが、それを自分に手渡せとまでは言ってねえぜ。オレは、約束を果たした」

「何言ってやがる・・!」
「あれにどんな価値があるのか、オレは知らねえが、あんたにとっては、こんなことをしてまで、手に入れたい物だった。あれは、オレ達の保険だよ、おっさん。オレ達がここを離れた途端、警察にタレこまれたら、たまんねえからな」

「っ・・!!」
ラウは、唇を噛み締め、真っ赤になっていた。

「オレ達がパクられたら、あれも警察の手に渡る。警察は、中身が何なのか、当然確かめるだろうな」
「・・・・・・」
「オレ達が無事にズラかるまでは、あんたも、安心出来ねえな」
「・・早く行け」

「え?」
「早く・・ここから、出て行け・・!」
悔しさに顔をゆがめ、声を絞り出すラウに、トニー・ロンは、せせら笑った。

そしてトニー・ロンとその仲間は、車やバイクに乗り込むと、その場を去って行った。

「畜生っ!」
舌打ちをして、ラウはきびすを返した。

車の中で待っていたユエンは、助手席に乗り込むラウの姿に、顔を上げた。
「奴らと、話が付きましたか」
「話も何も・・あいつ、こっちが思った以上に、ズル賢い奴だった」

「え・・」
ラウのただならぬ剣幕に、ユエンは、それ以上の質問は止めた。

「警察に、通報をさせろ」
「え?」
「誰か、適当に見繕った奴に、金を渡して、警察に通報させるんだ。キャット・ストリートの西を、暴走してる奴らが居るとな」

「え?」
「早く行ってこい!」
「は、はいっ!」
ユエンは、金で動く人間を求めて、夜の街に消えていく。

ラウは一人、車中で考えていた。

警察だって馬鹿じゃない。
ニセのタレ込みに、簡単に踊らされたりはしないだろう。
だが、無いよりはマシだ・・・

チキショウ!
トニー・ロンの野郎、捕まるんじゃねえぞ。

ラウは初めて、心から、人の無事を祈っていた。



曽我は、警察の事情聴取を受けていた。
その間にも、周囲を漁る警官達の様子が、気が気ではない。

「止めろ!そこまでする権利があるのか!」
非番だった宇野も駆け付け、警官達をけん制しようとしているが、彼らは、全く聞く耳を持たない。

「オレ達は被害者だぞ。何故そんなことをする!」
宇野の声が響く中、警官達は、薪の事務所のビルを、徹底的に捜索し、顧客名簿や、パソコンのデータまで閲覧していた。

曽我は、話をしていた警官から、やっと解放されると、呆然と辺りを見渡した。
宇野や、他の部下達も、近付いてくる。

「酷い・・酷過ぎる・・」
曽我のつぶやきに、彼らも目を伏せる。

「ボスとは?」
「ああ。まだ連絡は取れない。小池の話だと、犯人一味は捕まったそうだが」
宇野と曽我が話していると、曽我のケータイが鳴った。

「岡部さん・・!」
「曽我。ボスは、無事に救出された」
岡部の言葉に、その場に居た部下達から、安堵のため息が漏れる。

「だが、ボスは、病院に搬送されて、まだ戻れない」
「えっ・・!まさか怪我を!?」
曽我が声を大きくすると、岡部は言った。
「いや、かすり傷だ。警察の人間に、強引に救急車に乗せられただけだ。心配は無い」

「そうですか・・」
再び、部下達の間に、安堵の声が漏れる。

「そっちの様子は、どうだ?」
「それが・・」
曽我の声が、上ずる。

「引き続き、警察が捜索をしています。全フロアを・・顧客名簿や、データまで・・・」
「・・一体、どうしてそんなことになったんだ?」
「分かりません・・。最初は、トニー・ロンの仲間が、まだ残っていないか捜索すると言って・・その後は、彼らが何を探していたのか、原因を突き止めると・・」

「無茶苦茶だ・・!」
岡部は、苦々しい声を出す。

これは、単なる強盗事件の捜査ではない。
始めから彼らは、事務所の捜索をする気で来たのだ。
よりによって・・ボスの居ない時に・・!

「とにかく、今からオレもそっちに行く。警察に何か聞かれても、余計なことはしゃべるなよ!」
「はい・・!」

曽我は、ケータイを切った。
薪が、この光景を見たら、どう思うか・・
そう思うと、涙が出てきた・・・。

トニー・ロンの襲撃を受けた時、曽我は、階段を駆け下りた。
同時にケータイが鳴っていたが、それどころではなかった。

目指すは、40階のモニタールーム。
ビル内の監視カメラの映像が、映し出される場所だ。

「曽我さん!」
そこに居た部下が、蒼い顔で、曽我を迎えた。

映った映像を見て、曽我は、愕然とした。
ユエンと、入り口に居た部下が、トニー・ロンの仲間に銃を突き付けられ、エレベーターを上がっていく様子が見えた。

「目的は、何だ?」
エレベーターのスピーカーに繋がるスイッチを押し、曽我は言った。

「シウルンの部下か?」
「そうだ」
「とりあえず、警察への通報は無しだ。エレベーターのシステムを止めたり、ドアロックをしたりもするなよ」

「金か?」
「まあ・・な」
トニー・ロンは、監視カメラに向かってニヤニヤと笑い、そう言った。

「今日は休業日だ。あいにく、ここに金は無い」
「そうみてえだな・・」
なす術も無く、曽我がモニターを見ていると、やがてトニー・ロンは、エレベーターを降りた。

「その辺の、金目になりそうな物を、もらって行くぜ」
そう言うと、トニー・ロンは仲間に指示をし、人質の二人と、その見張りを、エレベーターを降りたその場に、残していく。

「ボスに連絡を取れ。指示を仰ぐんだ。オレは・・人質を助けに行く」
そう言って、曽我は、モニタールームを飛び出した。

残った部下は、薪や岡部に、連絡を取ろうと試みた。
だが、いずれも電源が切られ、繋がらない。
更に今井、小池と電話をし、ようやく、そこで繋がった。

「何だって!?」
小池は、声を上げた。
その時、薪、岡部、今井は、ならず者達に占拠されたレストランの中に居た。

曽我が、人質と、その頭に銃口を突き付けている男達にそっと近付き、距離を詰めている間に、連絡を終えた部下も、加わった。

そして、男達の一人に、連絡が入る。
男はケータイで手身近に話すと、仲間同士、互いに目配せをして、突然、彼らは人質から離れ、エレベーターに乗り込んだ。

「!!」
曽我は駆け寄り、男達を追おうとする。
だが・・

「待って下さい!ラウ検事が人質に取られてるんです!彼らを見逃して!」
ユエンが、曽我や部下達と、エレベーターに乗るトニー・ロンの一味の間に、割って入った。

曽我が躊躇する間に、彼らは閉まるエレベーターのドアの隙間から、こちらに向かって撃ってきた。
「うわ!うわわっ・・!」
ユエンが、慌ててその場から飛びのく。

あっという間に、エレベーターは階下へと降りていく。
「お前・・!」
曽我が、ユエンに詰め寄ると、ユエンは、腰が抜けた様子で床に座り込んだまま、言った。

「ラウ検事が居ることを、彼らに知られて・・自分達が逃げるまでは、そちらを人質に取ると言って・・」
息も絶え絶えに、ユエンは言う。
「本当に・・死ぬかと思った」
最後にポツリと、そう言った。

その頃、トニー・ロン達は、ラウに銃を突き付けて、階下へと降りていた。
ビルを出ると同時に、ラウの頭を殴り、倒れたラウを置き去りにして、去って行く。

ラウの無事を確認すると、ユエンはすぐさま、警察に通報した。
曽我と部下達は、トニー・ロンがどの部屋に押し入り、何を盗んだのか、調べていった。

調度品や、時計等、雑多にあちこち手が付けられている。
それに・・・データディスクの保管庫が、荒されていた。
気まぐれに漁ったのか、それとも・・・。

ラウとユエンは、既にその場に居なかった。
一味に殴られた怪我を病院で診てもらうと言い、事情聴取は後から受けると、警察に伝えていた。

警官が到着し、捜索を始めたのは、それからすぐのことだった。





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