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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene20:渦中


「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

そこは、ホンカオの中心地から外れた、小さな家。
岡部も小池も、我が家のように振舞っていることから、薪の部下達がよく使う場所と思われた。

小池と、更にもう一人の部下に、しっかりと見守られ、青木は、この場所に連れて来られたのだ。
そして縛り付けられ、床に転がされ、しばらくそのまま放置された。

水浸しだった服は、いつしかすっかり乾いていた。
転がされた時に、眼鏡は顔からずり落ちていたが、両手が縛られていて、それを直すことも叶わない。

明け方になって、そこに、岡部が現れた。
「・・楽しそうだな」
一体どういう皮肉なのか、岡部は、倒れている青木に合わせ、顔を横向きにして、言う。

「オレは最初から、お前の存在は、後々面倒になると思ったんだ」
そう言うと、岡部は顔を正面に向け、
「このままだと話し辛い。こいつを、椅子に座らせろ」
そう言った。

部下が、青木を座らせ・・ようと思ったが、一人では動かせず、小池も手伝う。
「この図体も、面倒だな」
小池のつぶやきを、青木は、黙って聞いていた。

そして、入り口近くで外を見張る部下を除き、向かって座る青木と岡部、それに傍らに立つ小池の三人は、無言で向き合うことになったのだ。

はーっ・・と、一つ大きなため息を吐くと、岡部は、青木に向かって言った。
「日本に電話してたようだな。誰に、何を話した」
「・・・・・・」
青木は、束の間沈黙し、そして、話し始めた。

「田城さんに・・ニッポンタバコ中央研究所の、オレの上司ですが・・連絡しました。オレの無事を、伝えようと思って」
「ふうん・・。何て話したんだ?」
「無事なのかと問われたので、はい・・と」

「それだけか?」
「あと・・心配を掛けてすみませんと言いました」
「・・それから?」
「・・・・・・・・それだけです」

岡部は、じっと青木の顔を見た。
そして、言った。
「相手は、お前が拉致されたことも、このホンカオに居ることも、ましてやボスのことなんて、何一つ知らないんだろうな」

「んぐ・・げるっ・・・」
青木は、まるでヒキガエルのような、ノドに引っかかる音を発した。

「・・・・・・」
岡部は沈黙し、またも、はーっ・・と、ため息を付いた。

「・・ノヤロっ!」
小池が、青木の襟元を掴んだ。
「てめえっ!!ふざけたマネしやがってっ・・!鈴木さんが居たら、今頃お前なんて!・・」
「小池!」

岡部が制し、小池は、ぐっと唇を引き結ぶと、青木を睨みつけ・・手を離した。

「あの・・」
青木が、恐る恐る、声を出す。
「鈴木さんて・・薪さんの友人で部下だったという人ですか?」

青木の言葉に、岡部が、目を見開いた。
「お前・・誰から聞いた」
「薪さんから」
「ボスが!?」

岡部は、目を細め、じっと、青木を見つめた。
それから、一度目を伏せ、そして、話し出した。

「鈴木さんは・・ボスの古くからの友人で、そして・・ボスの右腕だった」
「・・・・・・」
小池はじっと、押し黙る。

「仕事の上ではもちろんのこと、スナイパーとして、誰よりも優秀だった」
スナイパー・・狙撃手、青木は、胸の中で繰り返す。

「いつもボスの傍に居て、どんな仕事も、共にこなしていた。だがある日、鈴木さんは・・・ボスを、裏切ったんだ」

裏切った・・?
目を上げる青木に、岡部は、話し続ける。

「ボスの会社が、収賄や恐喝、傷害事件を起こしていると、鈴木さんは、警察に、通報したんだ」
岡部は、その時のことを、思い出す。
鈴木の突然の行動に、困惑していた・・薪。

「鈴木さんは、その証拠だという物まで持ち込み、警察は、ボスのことを引っ張ろうとした。だが・・捜査の過程で、それは、実は虚偽であり、全ては、鈴木さん自身が単独で行なっていたことだと、調べが付いた。だが、それが明るみに出た時、鈴木さんは、会社の金を持ち逃げして、ホンカオを出た後だった・・・」

青木は、目を瞬かせた。
何だろう・・何か、岡部の話に、違和感を覚える。

「ボスは、裏切り者は絶対に許さないと言った。部下を各地にやり、その居場所を探させた。警察が鈴木さんを見つける前に、自分が、片を付けると言って」

そこまで話すと、岡部は、立ち上がった。
そして、青木を見下ろして、言う。

「これで分かったろう。ボスは、裏切り者は、絶対に許さない・・・お前のことも、許しはしないだろう」

青木は、呆然としていた。
脳内が盛んに点滅を繰り返すようで、岡部の最後の言葉は、聞こえていなかった。
薪は、もっとも信じていた人間に裏切られ、傷付いたということか?

だが・・何か、釈然としない。
あの時、薪は、何と言っていた?

“約束したんだ・・なのにあいつは・・あいつは・・”

「おい!」
小池に肩を引っ張られ、青木は我に返った。
「立てって言ってるだろ!」

「お前の身のフリは、ボスが決める。・・ボスのところに、連れて行く」
岡部は、青木を見つめ、そう言った。



レストランが襲撃された、その夜。
現場でやることを済ませ、あとを他の者に任せると、チェンは、病院に向かった。

玄関の傍に、カマーバンドにシャツ姿の男が立っている。
あれは、薪の部下だろう。
中には入れるなと、自分の部下に指示しておいたので、玄関先で待機しているというわけだ。

チェンは、今井の視線を浴びながら、病院の中に入った。

とある個室の前で、部下と会話を交わす。
「何も変わりは無いか?」
「はい!」

ドアを開けると・・ベッドに腰を掛け、腕を組んでこちらを見上げる、一人の男が居た。
チェンは、中に入ると、後ろ手にドアを閉めた。

「・・事情聴取は、あなたの部下と、既に済ませてあります。もう、僕がここに居る必要は無いと思いますが」
鋭い視線で見上げる薪に、チェンは言う。
「濡れた服は着替えたようだな。風邪をひかないよう、気を付けた方がいい」

「!・・・」
薪は、益々視線を強くして、チェンを睨み付ける。

「服と共に、ケータイまで取られ、大したこともない傷の治療をされ、そのままここに拘束されている。あまりにも、不当な待遇じゃありませんか?」

薪は、イラ立っていた。
救急車で病院に搬送されると、この部屋に閉じ込められ、外部との連絡を取ることが出来ず、状況が全く分からなかった。

部屋の外には、絶えず見張りが立ち、外に出ることも叶わない。
本気で向かえば、倒すことは可能だろうが、警官を相手にそこまですると、色々と面倒だ。

せめて・・部下や、弁護士、あるいは息のかかった警察内部の人間に、連絡を取ることが出来たら・・・

「ここを出たら、不当な拘束、人権無視で、あなたを訴えますよ」
薪の言葉に、チェンは、ほおっ・・という声を漏らし、微笑む。
薪のその言葉は、当然予測出来ていたという顔だ。

薪は、益々イラ立ちを覚えた。

「実はね・・」
チェンは、薪をじっと見据えると、話し始めた。
「君の事務所のビルだが・・今、一斉捜索を受けている」

「・・・何?」
薪の瞳が、鋭さを失い、大きく見開いた。

「君の事務所を、警察が捜索しているんだ。その中にある、全てをね」
「なっ・・!」
薪は立ち上がり、足を踏み出そうとして、チェンに腕を捕まれ、行く手を阻まれた。

そのまま、チェンは話す。
「君の事務所がね、今日、強盗の被害にあったんだ。犯人はトニー・ロンとその仲間。今、警察が追っている。そして、その現場検証をしているうちに、興味深い事実が、浮かび上がってきたんだ」

「・・・・・・」
薪は、じっと相手を見つめている。

「君は、本来の仕事以外に、何か、利益を得ているようだね。その手段が何かは不明だが。強盗事件の捜査をしているうちに、偶然にも、脱税疑惑が浮上したというわけだ」

「!!」
薪は、カッと顔色を変え、チェンの手を振り放した。
「偶然だって? そんな偶然があるものか!」

「・・何とでも言うがいい。今、ホンカオ警察は大忙しだ。レストラン襲撃事件、トニー・ロンの強盗事件、そして・・君の脱税容疑。これも偶然にも、全て君に関わることだ。君は今、ここホンカオで、一番ホットな人物と言えるかもしれない」

フフン・・と鼻で笑うチェンに、薪は、手を掛けようとした。
何としても、ここを出なければ・・・!

「おっと!」
その薪の動きさえも、チェンは予期していたのか、伸ばした薪の腕を掴むと、そのまま薪の身体を自分の腕の中に抱き込んだ。

「ぐっ・・!」
薪はもがくが、この距離では、体格の差が物を言う。

「私に手を出すな。君は今、犯罪の容疑者だ。ここで私に手を掛けたとなれば、君にとって不利になるだけだ」
「何を!・・」
薪は、ようやく相手が緩めた腕から、はじかれたように身体を離した。

睨み付ける薪に、チェンは言う。
「いいか。本来なら、今すぐに、君を警察に連行し、尋問することだって可能だ。怪我人として病院に留め置くことは、襲撃事件で警察に協力をした、君への見返りだ。事務所の捜索が終わるまでは、君を帰すわけにはいかない」

薪を見据えるチェンの顔は、もう、笑ってはいなかった。
「訴えたいなら、そうすればいい。私は、この事件が片付いたら、警察稼業から身を引いたって、構いはしない」
チェンの顔に、気迫がみなぎる。

「ワン・シウルン。私は君を・・ここホンカオでの裏取引を、ずっと、追い続けていた。君のやっていることを、見逃すわけには行かない。前回は逃したが、このチャンスは、絶対に逃しはしない」

「・・・・・・!」
薪とチェンは、距離を保ったまま、互いに相手を、鋭い視線で射抜いていた。





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