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かのん

Author:かのん
薪さんと同身長が自慢です

基本、「薪さんと鈴木さんは精神的両想いだった」「薪さんと青木には、心身共に結ばれてほしい」という、偏った視点で書いております
創作も主に、薪さんが「青木と幸せになる未来」と、「鈴木さんと幸せだった過去」で構成されております

コメ、拍手コメ共に、過去記事にも遠慮なく投稿いただけたらと思います
レスは「コメをいただいた翌々日までにお返しする」ことを自分に課しておりますが、諸事情により遅れる場合もございます
でも必ず書かせていただきますので
ご了承下さいませm(_ _)m

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Scene21:主役


レストランで、非常ベルが鳴り響いた時。

岡部は、犯人一味を4人程相手にした後、警察が、彼らを捕える様子を見て、広間を後にした。
いつの間にか、今井も合流していた。
ボスを手分けして探そう、早足で歩きながら、互いに目配せし、無言で会話を交わした瞬間、行く手を阻まれた。

「ちょっと、待ちなさい!」
無論、そんなことには構っていられず、岡部は彼らをどけて、先へ進もうとした。
自分達の肩を押しのけ、当然のように通り過ぎようとする岡部に、相手は、一瞬、唖然としていたが。

「何をしてる!早く外に出て!」
慌てて、岡部を押し戻した。

「離せ!」
岡部がもがく。
「まだ、中に人が居るんだ!」
今井も同様だった。

「我々が救助します。あなた方は、外へ!」
何としてでも薪を探そうとする岡部達と、それを止めようとする警官達。
襲撃犯以上に抵抗を見せる岡部に、次々と警官達が押し寄せる。

結局・・岡部は、今井と共に、外に出されてしまった。

そして、出た瞬間、自分を捉える、大量の光。
サーチライトが辺りを照らし、報道陣のフラッシュがたかれる。

眩しさに目を細め、手をかざした向こうを覗けば、そこには、警官達、救出されたワン一族と、その安否を心配し、駆け付けたと思われる家族達、報道関係者に、大量の野次馬で、ごった返していた。

傍に記者が走り寄り、マイクを向ける。
「救出されたご感想は?」
「犯人とは何か、言葉を交わしましたか?」
「一味を撃退したというのは、あなたですか?」

「はあ!?」
振り返れば、今井も同様にマイクを向けられ、同じような質問をされていた。

「ほら!どいてどいて!こっちは立ち入り禁止!」
警官が、岡部と記者達の間に割って入り、記者達を押し戻した。

「コワモテとイケメンのコンビ、ちょっと絵になりますかね」
「うーん、もう一つインパクトが欲しいな」
彼らのそんな会話が、耳に届いた気がしたが。

岡部と今井は、改めて怪我が無いか、警官に安否を確認されると、少し離れた場所へと誘導された。
「こちらで、事情聴取にご協力を」

移動する間に、小池が走り寄ってきた。
「岡部さん!今井さん!無事で・・・ボスは?」

小池と話し、事務所のビルでは、何とトニー・ロンが強盗に入ったと聞いた。
まったく!今日は、なんて日だ!

既に犯人一味は逃亡し、警官達が到着したという。
岡部も曽我に電話を入れたが、どうも、その警官達の様子が、おかしいようだった。

自重聴取を受けながらも、岡部は、ずっとレストランの方を気にしていた。
そして・・薪がタオルで身体を包み、歩いてくる姿が、見えた。

・・・・・・・!

薪は大丈夫だ、そう信じていたが、やはり、無事な姿を目にした途端、岡部の胸に、熱いものが込み上げた。

どうやら最後の救出者とあって、報道陣が、一斉に薪にカメラを向けている。
ものすごいフラッシュの量だが、薪は気にも留めず、警察の人間と話している。

事情聴取が終わり・・いや、岡部が完全に上の空になった為、終了になったのかもしれないが、岡部は、今井と共に、薪の傍へと足を運んだ。
自然と足が速まる・・が、何と薪は、警官に抱えられ、こちらに運ばれてきた。

薪は怒っているようだったが、薪の元気な様子に、岡部は内心、まずは安堵した。
今井と別れ、車へと向かう。
目立つリムジンではなく、小池の采配で、部下達が、小回りの利く車を何台か用意していた為、個別に動くことが可能だった。

車に乗り込むと同時に、再び曽我に連絡を入れる。
「引き続き、警察が捜索をしています。全フロアを・・顧客名簿や、データまで・・・」
曽我の言葉に、岡部は、うなった。
ケータイを切ると、頭を振り、瞬きをして、車を発進させる。

事務所の傍まで来ると、ケータイが鳴った。
道路際に車を停め、電話を取る。

「小池か。ああ、もうすぐ着くが。え?・・青木が?」
あの男のことを、すっかり忘れていた。
まだ、こんなところに居たのか・・・。

「ああ・・そうだな。今、事務所に連れ帰るのはマズイ。ボスが戻るまで・・ああ、そこに連れて行け。オレも手が空いたら、そっちに行く」

ケータイを切り、ため息を付いた。
正直言って、もう、あの男のことなど、どうでもいい。
だが、もし今、あの男の拉致監禁が明るみに出たら、薪にとって良い材料とは言えないだろう。

やはり、奴は面倒を持ち込む男だ。
あの男がここに来てからというもの、ロクなことが無い!

それから岡部は、今井に連絡を取った。
「ああ、今、事務所の傍だ。警官に止められて? ケータイも繋がらないか・・そうか」

ケータイを切り、岡部は考える。
今井は病院の入り口で留め置かれ、薪とは、全く連絡が取れないようだ。
事務所での捜索と言い、これは何か、警察が企んでいる。

ここはやはり、あの人物に頼るしか無いか・・。
薪は、借りを作ることを、嫌がるだろうが。

岡部は、電話を掛けた。
「夜分に失礼致します。私は、ワン・シウルンの部下で、岡部と申します。この度は大変なことで・・。ええ、ミスター・ワン・ティンフンは、もうお戻りかと・・」

少々お待ち下さいと言われ、岡部は、そのまま待った。
警察内部には、薪の息のかかった人間が居る。
だが、ワン一族の血縁でも無い自分では、話も聞いてもらえないだろう。
ここはやはり、薪の伯父である彼に、口を聞いてもらうしかない。

「・・はい。え?何ですって?・・・テレビに出てる!?」
岡部は、すぐに車内のテレビをつけた。

まさしくそこには、記者のインタビューを受ける、ワン・ティンフンが居た・・・・・。

「あ・・また後で掛け直しますので。はい、失礼します」
岡部は、開いた口が塞がらなかった。
どこで着替えたのか、パーティーに出席した時のドレス姿ではなく、仕立てのいいスーツに身を包み、物腰柔らかに、報道陣の質問に答えている、ティンフン。

『ええ。我々は、犯人に、決して屈しませんでした。最後まで諦めず、勇気を持って・・』

「何だ、これは」
岡部は、思わずつぶやいた。
今回、ティンフンが、少しでも勇気を見せた場面が、果たしてあったろうか。
事件の最中、会場内のどこに居たのかすら、思い出せない・・。

『はい。シウルンは、亡くなった義弟に代わり、私が手塩に掛けた甥で・・』
「はあ?」
薪の名前が出てきたことに、岡部は、身を乗り出した。
そして、次の瞬間・・

「うっ・・!」
岡部は、度肝を抜かれた。

『華麗なるワン一族の御曹司』
そんなテロップと共に、スーツ姿でソフト帽をかぶり、笑みをたたえている、薪のアップ画像が、映ったのだ。

一体、こんな画像を、どこから入手したのか。
それが、明らかに社交辞令用の笑みであることは、岡部には分かるが。

『今回、犯人一味逮捕に、多大なる貢献をした彼に、賞賛の声が上がっています』
レポーターの声と共に、レストランから出て来る、薪の姿が映る。
下の方はカットしてあり、それがドレス姿であることは、分からないようになっている。

濡れた髪で、タオルをかぶり、何事か話している、薪。
更には、警官に抱きかかえられた、その姿まで・・・

「こんなところまで、撮っていたのか」
これを目にした時の薪の怒りが、今から目前に見えるようだ・・・。

薪が何事か叫ぶアップと共に、『犯人の卑怯なやり方に、怒りを露わにするミスター・ワン』などと、テロップが出ている。
“こいつを何とかしろ”と、岡部に向かって、わめいていたシーンだ。

『当局では、以前、若き事業家特集で取材をした、貴重な秘蔵映像が残っています』
貴重な秘蔵映像・・言葉がおかしくないか?
いや、そんなことはどうでもいい、こんな取材、薪が受けた覚えは無いが。

案の定、そこに映るのは、公的な場面に渋々出席した薪の姿など、大勢の中に映る、薪だけをアップにしたものだ。
そう言えば・・何年も前に、取材依頼自体は、あったような気もする。
薪は、あらゆる取材を断わっていたから、これも当然、断わった筈だが。

しかし・・一体、この扱いは何だ?

“ちょっと絵になりますかね”
“もう一つインパクトが欲しいな”

そんなセリフが、岡部の脳裏によみがえった。
そうか、これが、報道陣にとって、「絵になり」「インパクトのある」人物ということか。

彼らは、この事件の主人公を探していたのだ。
犯人グループに何か注目すべき点があれば、それを大々的に報道するのだろう。
だが、ただの不良少年達の、考え無しの行動だった。

だったら、パーティーの出席者の方に、目を向けた方が、話題になる。
何と言っても、ホンカオでも有数の財閥のパーティーなのだ。

そして、そこに最後に現れた、薪・・・

岡部は、頭を抱えた。
この分だと、今、事務所で起こっていることも、あっという間に、彼らに嗅ぎ付けられるだろう。
前回の事件の時は、早々に報道規制の手を打ったが、既にここまで派手にやられてしまうと・・・。

近付く人の気配に、岡部は、瞬間的に身構えた。
運転席の窓を叩いたのは・・・

「こんばんは。警察の者です。実は、この先のビルで、強盗事件がありましてね、犯人は逃亡中なもので。どうか、お気を付けて」
岡部が窓を開けると、制服警官が、笑顔で、そう言ってきた。

周囲に注意を促しているのか。
岡部はホッと息を付き、うなずく。
「分かりました」

そう言って窓を閉めようとすると、警官の手が、それを止めた。
「すみません」
「はい」

「犯人はですね、金髪の若者をリーダーとしたグループです。もし、暴走している車やバイク、集まっている若者などを見かけましたら、通報にご協力を」
「はい、分かりました」
そして岡部が窓を閉めようとすると・・

「すみません!」
「はい!まだ何か?」
「あの~・・こちらをお受け取りいただきたいんですが」
岡部は、警官から、一枚の紙を渡された。

「ここ、路上駐車禁止なもので・・申し訳ございません」
にこやかにそう言われ、岡部は、手の上に乗る、違反切符を見つめた。

・・まったく!

本当に今日は、なんて日だ!!





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